決断の狩猟者

更新日 Daily Deck on 2014年 2月 21日

By Blake Rasmussen

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 『神々の軍勢』が影響を与えるのは間違いなくリミテッドの方だろう、とそう思われていた。ところが――いや、参った、それ以上にモダンへの影響が大きかったのだ。

 今大会を控え、いくつかのカードにモダンで使われる可能性があると期待はされていた。《オレスコスの王、ブリマーズ》に視線が注がれ、《灼熱の血》は《焼尽の猛火》を思わせた。だが、誰が予想しただろうか。今回の禁止改定ほどの衝撃が待っていようとは。

 チーム「Elaborate Ruse」が「ジャンド」に手を加えたことで、ほとんど話題に上がらなかったあるカードがモダンに居場所を見つけた。あるカードとは――《クルフィックスの狩猟者》だ。

 昨年の《血編み髪のエルフ》禁止に続き先月の《死儀礼のシャーマン》禁止と、「ジャンド」はこのところ大打撃を受けていた。その結果として、今大会に「ジャンド」を選択する声は多く聞かれなかった。しかし、何かやってくれそうなものがあるなら、このデッキを候補から外すことはできないだろう。

 たぶんチーム「Elaborate Ruse」は、黒赤緑の組み合わせを使うための方程式を見つけ出したのだ。何か少しでも、《クルフィックスの狩猟者》にできることが確実にあるはずだ。そう、のちにこいつは重要な役割をもつようになる。そして長い冒険の旅の始まりを告げるのは、モダンにとってはまだまだ新しいこのカード――《神々の憤怒》だ。

4は3より大きい。数学の時間だ!

 《神々の憤怒》は、「モダン最高の」とまではいかないが、全体除去のひとつだ。《台所の嫌がらせ屋》、《復活の声》、そして至る所で目にする《野生のナカティル》にとって、《神々の憤怒》はまさに「黙示録」となる。

 なるほど、ときおり(ゴホン、失礼)「グリクシス・コントロール」に《神々の憤怒》が採用されていることはあるが、今大会での活躍は芳しくない。チーム「Elaborate Ruse」は《神々の憤怒》で活躍した側のチームのひとつなのだ。

「参加登録を終えてホテルに戻った昨日の晩、みんなに言ったんだ。『絶対に《神々の憤怒》を使うべきだ』って」そう宣言したのは、プロツアー『ドラゴンの迷路』で準々決勝に進出したマテイ・ザトルカイ/Matej Zatlkajだった。「Zoo」と「メリーラ・ポッド」の台頭を受け、ザトルカイは《神々の憤怒》がこの環境の突破口となり、「ジャンド」を選択するだけの理由になると意識していたのだ。

「巧妙な策略/elaborate ruse」などではない。マテイ・ザトルカイはモダンで《クルフィックスの狩猟者》を使うことを、彼の属するチーム「Elaborate Ruse」の面々に納得させた。

 さらに、《死儀礼のシャーマン》が選択できなくなったことで「ジャンド」に採用されるクリーチャーのほとんどが《神々の憤怒》に巻き込まれず、このソーサリーをメインから入れることができた。

 こうしてデッキはほぼ完成し、残るはカードの選定に苦戦していた3マナ域だけになった。

 最初は、攻撃にも防御にも使える《台所の嫌がらせ屋》から始めた。難点は攻撃面も防御面もそこまで効果が大きいわけではなく、特に《タルモゴイフ》を前にするとチャンプ・ブロック要員にしかなれないことだった。そこで、チームは他の選択肢も模索してみた。3マナ域ではない《雷口のヘルカイト》まで試した。この「ジャンド」が多くのマッチアップで《神々の憤怒》に頼る以上、なりふりに構っていられなかった。

 そこで2/4の《クルフィックスの狩猟者》の登場だ。

 《クルフィックスの狩猟者》は、ただ《神々の憤怒》に耐えるだけではない。わずかながらライフを得られることで、様々なところから自身のライフを削る「ジャンド」というデッキを支え、延いては「Zoo」への耐性も向上させるのだ。3/4までなら《タルモゴイフ》も止められるブロック性能を持ち、わずかながらライフをもたらし、カード・タイプをふたつ持つことで《タルモゴイフ》のサイズが上がりやすく(チーム「Elaborate Ruse」は恐らく、今大会で最も安定して《タルモゴイフ》を5/6まで育てている)、それからフェッチ・ランドと組み合わされることで、これまでの「ジャンド」になかったライブラリー操作をある程度可能にしているのだ。

「なんとかして《神々の憤怒》を使いたかった。《クルフィックスの狩猟者》はこのプランにぴったりだったんだよ」とザトルカイは言う。「そして、柔軟性の高いカードが欲しかった。その点でも《クルフィックスの狩猟者》がベストだったのさ」

 その選択はここまでザトルカイの期待通りに進んでいる。現在6ラウンド終了時点、彼は「ジャンド」で3-0し、《クルフィックスの狩猟者》が彼の成績を5-1へ導いた。

 一体どうやって、この日最初のリミテッド・ラウンド3回戦を勝ち越したのかって? もちろん、1パック目の初手に《クルフィックスの狩猟者》をピックしたのだ。

「今日はこいつの日だと確信したよ」


(Tr. Tetsuya Yabuki)

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