昨晩の雨模様から一転、快晴で迎えたグランプリ・静岡。霊峰・富士を擁する静岡に集った1784人の「登山者」は、ふたつの道に分かれ、頂上を目指して登り始めた。
そして今、ここフィーチャー・テーブルに差しかかったプレイヤーがふたり――浅原 晃、里中 健太郎の両名だ。

言わずと知れたデッキビルダーの浅原。今大会に持ち込んだデッキは調整を繰り返し、独自のチューンを施しているようだ。周りから送られる「『これは強い』って言ってた」との声に「強い時代はもう終わった」と返し渋い笑みを浮かべる浅原だが、どこか不敵なものも感じられる。
一方の里中はグランプリ参加3回目のフレッシュなプレイヤーだ。カメラを向けられると、それに緊張した様子で応じる。それでもシャッフルの所作は落ち着いていて、集中は乱れていないようだ。
ともに1敗を喫している両者。ここで踏みとどまれるのはどちらか。
- 浅原 晃(青黒) vs. 里中 健太郎(コロッサル・グルール)
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浅原 晃 |
浅原が先手を取り、ゲームスタート。両者とも動き出しは快調で、1ターン目は互いに《欺瞞の神殿》、《奔放の神殿》と置き合うと、浅原の2ターン目《群れネズミ》には里中が《ミジウムの迫撃砲》で応えた。続くターン、浅原の《夜帷の死霊》に対し里中は《魔女跡追い》を展開。浅原は空から2点のダメージを与え戦いの火蓋を切るが、そのまま4マナを構えてターンを渡した。
《魔女跡追い》で殴り返した里中は、《ニクスの祭殿、ニクソス》とマナ・クリーチャーを追加してエンド――そのとき、浅原の手札から《概念泥棒》が瞬速で姿を現す。
ターンが返ってくるなり浅原が続けて唱えたのは、なんと《囁く狂気》。《概念泥棒》が戦場にあるため、「各プレイヤー」が引くはずのドローはすべて浅原のものになるのだ。さらにこれを《夜帷の死霊》へ「暗号化」すると、爆発的なカード・アドバンテージが奔流となり浅原のもとへ流れ込んだ。里中はあっけに取られたように見守ることしかできない。

ところが、里中もその返しにビッグ・アクションを見せる。里中のトップは……《獣の統率者、ガラク》![+1]能力で負けじとアドバンテージを取ると、《ニクスの祭殿、ニクソス》を絡めて強烈な展開力を見せる。
続くターン、浅原はじっくり考えたのちに《夜帷の死霊》で攻撃。暗号化された《囁く狂気》が解き放たれ、14枚のカードを浅原にもたらす。浅原は《群れネズミ》を盤面に追加し、残す手札を吟味してターンを返した。
里中も《獣の統率者、ガラク》で着実にクリーチャーを補充し、高い信心から大量マナを生み出すと、盤面をクリーチャーで埋め尽くしていく。《狩猟の神、ナイレア》も戦場へ降り立ち、タフネスの低い浅原の軍勢は里中の攻勢を防ぎ切れない。
《旅するサテュロス》が《ニクスの祭殿、ニクソス》をアンタップし、合計20マナが《狩猟の神、ナイレア》の力を帯びて《魔女跡追い》へ注がれる。ここまで激しい戦闘のなかったこのゲームだが、一撃で浅原は窮地に立たされた。
ターンをもらい熟考する浅原。「ありません」とぽつり。
浅原 0-1 里中
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里中 健太郎 |
第2ゲームは里中の《炎樹族の使者》からスタート。浅原は《変わり谷》で《炎樹族の使者》の攻撃を防ぐものの、動きが鈍い。黒マナの供給が遅れ、手札に黒いカードが停滞しているようだ。
一方、《世界を喰らう者、ポルクラノス》、《魔女跡追い》、《霧裂きのハイドラ》と脅威を繰り出し続ける里中。浅原がようやく黒マナを得た頃には、盤面の不利を覆す猶予は残っていなかった。
浅原 0-2 里中