第13回戦:不確かなオーラ Raymond Tan(マレーシア) vs. Jacob Wilson(アメリカ)

更新日 Daily Deck on 2014年 2月 22日

By Blake Rasmussen

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    レイモンド・タン/Raymond Tan(呪禁オーラ) vs. ジェイコブ・ウィルソン/ Jacob Wilson(メリーラ・ポッド)

 今大会が君たちの初めて参加するプロツアーだと想像してみて欲しい。君たちは我々カバレージ班が「ブッ飛びグランプリ勝率」と呼ぶ76.5%を記録し――そして数カ月前のグランプリで優勝し、今大会への権利を得た。デビュー戦となったこのプロツアーも残り数試合。なんとここまで10勝2敗だ。君たちはフィーチャー・マッチ・エリアに呼ばれ、対面に座るチーム「Face 2 Face Games」のメンバーを乗り越えればトップ8入賞が見えてくる、というところまで来た。

 なかなか想像がつかないだろう? そう、とんでもない偉業だ。

 これを実現したのが、比較的新しいプレイヤーであるレイモンド・タン。プロツアー『神々の軍勢』、スイス・ラウンド第13回戦を迎える彼の状況だ。彼はグランプリ・デビューも昨年したばかりであり、51位、45位と参加するたび着実に順位を伸ばすと、グランプリ・北九州2013で躍進を果たした。この大会で優勝し、プロツアーの権利を得たのだ。このペースで進むと、彼は近いうち世界王者になるのではないかと私は確信している。不可能だとはまったく思わない。

 そんなタンの輝かしい出世街道に立ちはだかるのは、同じくグランプリ・タイトルを持つゴールドレベル・プロ、ジェイコブ・ウィルソンだ。18歳という年齢にも関わらず、ウィルソンはすでに5回のプロツアー参加経験を持ち、グランプリ・トップ8入賞は3回を数える。マジックというゲームにかけてはすでに老練としたものを感じさせるウィルソンだが、彼のキャリアは始まったばかりであり、「期待の新星」の呼び名が実にしっくりくるだろう。

レイモンド・タンとジェイコブ・ウィルソン、ふたつの「新星」が試合に臨む。
凄まじいグランプリ勝率を誇るタンと、わずか18歳で輝かしい戦歴を誇るウィルソンの戦いだ。

 このマッチアップは、今大会で使用者を多く集めたふたつのデッキの戦いとなった。タンは「呪禁オーラ」デッキで相手の頭を悩ませ、ウィルソンはチーム「Face 2 Face Games」の仲間たちと同様、「メリーラ・ポッド」の運用に長けている。

    ゲーム展開

 この重要な一戦で、タンはまさしく理想的なスタートを切った。《林間隠れの斥候》から2ターン目に《天上の鎧》ともうひとつ1マナのエンチャントをつけたのだ。彼はさらに《夜明けの宝冠》と《ハイエナの陰影》を重ね、小さな1/1のエルフは10/10の怪物へと変貌し、あっという間にウィルソンの《根の壁》を突破した。

 だが、ウィルソンも黙ってはいない。《召喚の調べ》がぴたりと《呪文滑り》を引き当て、《怨恨》を奪い取る。これで自分のライフは守れたが、みるみる増えていくタンのライフをどうにかすることはできなかった。それでも、タンはこれ以上オーラを安心して重ねることができなくなった。

 延々と現れるチャンプ・ブロッカーを突破できないタン。ウィルソンが《イーオスのレインジャー》でコンボの鍵である《臓物の予見者》ともう1枚の1マナ域を持ってくると、タンは頭を振った。

 ウィルソンの残りライフを2点まで下げれば《呪文滑り》のファイレクシア・マナは支払えなくなる、とタンは希望を持っていた。ところが《貴族の教主》が出てしまっては、《怨恨》を引き込んでも実質永遠に唱えられないようなものだ。

タンのクリーチャーは怪物へと姿を変えた。しかしそれにはゲームを終わらせるのに必須となる能力が欠けていた
――トランプルがなかった。

 しかし毎ターン、ウィルソンの軍勢はタンのライフを増やし続けた。それでもウィルソンは軽く優れたクリーチャーたちを戦場へ次々と送り、勝利の可能性を高めていく。

 するとタンがゲームに大きな影響を与えるミスを犯した。《霊魂のマントル》を《呪文滑り》の能力に突っ込ませたのだ。これでウィルソンはタンの攻勢を無傷で切り抜ける手段を得て、さらにタンが繰り出すクリーチャーをすべてブロックできるようになった。

 その後オーラを引き込んでも、もう意味がなかった。タンの敗北が決まったのだ。

 ウィルソンは《出産の殻》と《召喚の調べ》を引き込み、《シルヴォクののけ者、メリーラ》と《台所の嫌がらせ屋》か《残忍なレッドキャップ》を持ってこられるようになった。クリーチャーの群れが築く壁の後ろでコンボが完成し、ゲーム冒頭の1段落目には終わったかと思われたゲームで奇跡の巻き返しを見せた。

ウィルソンの修練が、第1ゲームの勝利を彼にもたらした。

 タンは可能な限り最高のドロー見せた。ウィルソンは彼の猛攻を受けながらも、それでも沈まなかった。これでも勝てないと言うならば、いったいどうすればいいんだ?

 《コーの精霊の踊り手》でも駄目だった。ウィルソンは1ターン目にそれを《思考囲い》で抜き去り、タンの手札には他にクリーチャーがいなかった。タンはオーラをつける用意を整えたが、クリーチャーがいない。幸い、《墓掘りの檻》と《石のような静寂》で少なくともしばらくはウィルソンも大きな動きができなかった。

 ただ、ウィルソンがクリーチャーを出し攻撃してくることに何の手も打てない。4ターン目、5ターン目とウィルソンは《台所の嫌がらせ屋》に続き《納墓の総督》を繰り出した。

 ようやく5/1の《林間隠れの斥候》を用意するタンだが、攻撃に向かえるほどの力はなく、彼のライフは残り3まで追い詰められた。最後のターンにこれしかないという《夜明けの宝冠》をトップ・デッキするも、これに《突然の衰微》を当てられると、すべてのチャンスがなくなった。タンはカードを片付け、「グッド・ラック」とウィルソンに伝えるのだった。

 これでタンにトップ8の目が無くなったわけではない。とはいえ、上位争いを続けてきた彼は一歩後退することになった。一方、ウィルソンの戦いはここから始まるのだ。

レイモンド・タン 0-2 ジェイコブ・ウィルソン


(Tr. Tetsuya Yabuki)

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