Gabriel Nassif(ラクドス) vs. Martin Juza(ボロス)
対戦相手が何ターンも土地を置けなかった後に《ラクドスの復活》で手札を空にしてやる気分はどんなものだろう? 殿堂顕彰者であるガブリエル・ナシフはマーティン・ジュザと相対し、3度の高速なゲームの途中でそのことを「まあまあだね」と謙虚に要約した。
プロツアーのベテランプレイヤーであるジュザとナシフは、両者ともにプロツアーの序盤のラウンドで勝利する価値を理解している。初日の勝利がより良いタイブレーカーをもたらす。そして両者ともに攻撃的なデッキでそれを目指すことにした。
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マーティン・ジュザのボロスデッキには攻撃的なクリーチャーがいたが、ナシフのラクドスデッキには《暴動の長槍使い》や、オーラ、そして除去呪文といった重いパンチが詰め込まれていた |
ジュザは長年グランプリでの成功からそのリミテッドの腕前で名高く、2マナ域を固めた白重視のボロスをドラフトした。《軍部の栄光》と《ボロスの魔除け》のような軽いコンバットトリックは一通りあるが、彼のデッキは除去を欠いていた。そしてまた攻撃できないクリーチャー、2枚の《聖堂の護衛》を含んでいた。
除去と効率的なアタッカーは、2度のプロツアー王者であり、殿堂顕彰者であるナシフがより簡単に手に入れていた。彼は赤いカードが満載のラクドスデッキをまとめあげた。《誘導稲妻》と《打ち上げ》に代表される致命的な呪文が、複数枚の《爆弾部隊》、《暴動の長槍使い》そして《逸脱者の歓び》によく合っていた。
「このマッチアップは良さそうだと思ったんだ」とナシフは言った。「でも2ゲーム目で《協約のペガサス》を見て、僕のデッキは《暴動の長槍使い》が全てときた。突破するのに色々と方法はあるにせよ、やってみてとても劣勢に感じたよ。1ゲーム目の後はまあまあだと思ったんだけどね。」
ジュザは3ゲームを通じて常にマナが詰まっていたが、特に1ゲーム目においてはそれが顕著だった。「僕は何もキャストできなかったよ」と彼は認めた。立ち上がりが非常に遅かったため、ジュザはずっと押さえ込まれざるを得なかった。ナシフは《武器への印加》で《くすぶり獣》、《爆弾部隊》そして《灰の盲信者》を援護し、《徴税理事》と《聖堂の護衛》を乗り越えて殴っていった。そして1ターン後、ブロックしている《聖堂の護衛》を守ろうとした《軍部の栄光》が最悪なことに《誘導稲妻》によって台無しにされた。
ナシフが6マナから4点のダメージと4枚のカードを奪う《ラクドスの復活》を繰り出した時も、ジュザはそれまでのターンと同様、何もできることはなかった。2枚の《爆弾部隊》その片方は《逸脱者の歓び》付きに負けゆく間、ジュザのメモ帳は彼が見たナシフのデッキに入っている強力な呪文で埋め尽くされていくが、それらの情報を得るには高い代償だった。
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ナシフは対戦相手が土地を見つけるために苦労している間に、致命的な《ラクドスの復活》で1ゲーム目を締めくくった。 |
2ゲーム目はジュザが立ち直りを見せた。彼はマリガン後もマナカーブ通りに動くことを欲し、そうなることを期待してカードを手に取った。説明していわく、「僕はいつもまず4枚見てから残りの3枚を見るんだ。または3枚から3枚だね。2マナのカード、3マナ、4マナ、そして土地、土地、土地って祈るんだ」
彼は願いを6枚の手札に託し、《ボロスの猛犬》から《薪荒れのシャーマン》へと繋げ、《聖堂の護衛》を追加した。ナシフの《ふいごトカゲ》と《とげの道化》は攻撃に出ることもなく、次のターンにジュザの望み通り交換され、ジュザは《徴税理事》と2体の《協約のペガサス》を追加し、強請で多くのライフを持っていくことになった。ナシフが《打ち上げ》で切迫するダメージ源を除去するころには、彼のクリーチャーは底をついていた。
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ジュザは除去を欠いていたかもしれないが、クリーチャーの質は高かった |
3ゲーム目はナシフが先手を取る番で、ジュザはサイドボーディングで《ザリーチ虎》を入れることで対応した。しかし、除去の欠如がジュザの勝ち目を失わせた。《ボロスの魔除け》と《軍部の栄光》が手札にあり、十分に働くクリーチャーが戦場に出ていても、ナシフが勝利に要したのはたった3枚のカードと6ターンだけだった。つまり《暴動の長槍使い》が2ターン目に登場すると、3ターン目に即座に《向こうずな技術》がエンチャントされたのだ。それが殴り、さらに4ターン目にも殴った。その《暴動の長槍使い》は最終的に《ならず者の道》でブロックされない状態になり、5、6ターン目で最後のダメージを削ったのだった。
(Tr. Masashi Koyama)