チーム・スタンダードの基礎知識

更新日 Event Coverage on 2006年 4月 7日

By By Daisuke Kawasaki

165チーム495名が駆けつけた

チーム・スタンダードと言う、比較的なじみの薄いレギュレーションでグランプリが行なわれる浜松の地に165チームが集結した。構造自体に人気のあるチーム戦というレギュレーションと、世に最も普及しているスタンダードというレギュレーションとがコラボレーションしたのだから、この盛況ぶりもたしかに頷けるものではある。

だが、チーム・スタンダードと言うレギュレーション自体は、まだまだ普及しているとは言い切れないレギュレーションであり、戦術もまだまだ発展途上の状態であるというのが正直なところだろう。

そこで、GP開始前の予備知識として、チーム・スタンダードにおける基本的な戦術をおさらいしてみようと思う。

■PTホノルル前後のスタンダードの状況

まずは、ここ最近のスタンダード事情を簡単におさらいするところからはじめよう。

現在のスタンダードシーンを考えると、まずはスタンダードでおこなわれたPTホノルルの結果が重要な位置を占めている事がわかる。最近で行われた最も大きなプレミアイベントであるのだから当然であろう。それを踏まえて簡単にスタンダードのデックを紹介していきたい。

・ステロイド

「赤の火力と緑のクリーチャーによるビートダウン」

最も古典的であり、最も単純で、それでいて最もマジックらしい戦略を機軸に据えたデックタイプである。

Mark Herberholz – Gruul Beats

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海外においては、「グルールビート」だとか「ヒージー・ストリート」という名前でも知られているが、日本では古くから「ステロイド」と言う名前で愛されてきた経緯があり、この場でも「ステロイド」と言う呼び名で統一していこうと思う。

さて、ギルドパクトで追加された3つのギルド、そのうちの赤緑を割り当てられたグルールが、まさにこのステロイドの戦略を体現し強力にバックアップしたものだった。

その為、ギルドパクト販売前からステロイドはメタの最上位に挙げられ、また、それは現実のものとして、PTホノルルを制した。そこにメタゲームのいたずらが多少はあったと言えども、確かなデックパワーがあった裏づけとしては十分な成績であろう。

ちなみに、このデックタイプにおいて《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》が重要なポジションを占めていることも付記しておきたい。

・Zoo

「バニラと火力とマナバランス」

さて、ステロイドと同じく、赤緑系のビートダウンではあるが、より極端にビートダウンを推し進め、また、多色化環境を体現していると言えるのがZoo、赤白緑ビートダウンである。

Craig Jones - Zoo

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低マナ域においては、緑と同等、もしくはそれ以上のコストパフォーマンスを発揮し、また、ラヴニカにおいて、ボロス・セレズニアとすでに赤緑のそれぞれとフィーチャーされていた白を加える事によって、更なるカードパワーの向上を目指したデックだ。

マジックのコストの基本として、単色のカードよりも多色のカードの方が強力であるというのがある。

ステロイドが白を加える事で、《番狼/Watchwolf》や《稲妻のらせん/Lightning Helix》といった単体でのカードパワーの高いカードを投入する事が可能となるのである。単純なデックパワーとしてはステロイドを上回るといっても過言ではない。ステロイドのように、突破力に《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》の力を借りる必要すらないのである。また、白を含めることで、《密林の猿人/Kird Ape》に加えて、《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》と1ターン目にパワー2のクリーチャーをキャストできる可能性を上げられるのも大きなメリットであるといえよう。

だが、多色化したデックの宿命として、色マナの供給が不安定になりがちである事と、ダメージランドやデュアルランドによるダメージが馬鹿にならないことが挙げられる。

そう、環境でもっとも多くのデュアルランドを使用するデックの1つでもあるのだ。

・オルゾフ

グルール同様、ギルドパクトでフィーチャーされた色である白黒、オルゾフは、新たに加えられたカードのパワーと言うよりは、白と黒と言うそれぞれの色のもつポテンシャルが最大限に発揮される場が提供されたと言うことによって、メタゲームの一角に食い込んだ。

食い込むなんてものではない。環境の三分の一から四分の一ぐらいはこのギルドのテーマカラーである白と黒のデックによって占められていると言っても過言ではないだろう。

それはなぜか?

白と黒と言う、コントロールとビートダウンと言う2つの側面を持った色同士が手を組んだ事により、様々なデックタイプが登場したのである。例えば、黒のお家芸である手札破壊だって、攻撃的にも防御的にも使用できるのだ。

よって、白黒によって構成されるデックタイプは、例えば赤緑における「ステロイド」のように「オルゾフ」とひとくくりにできる状態ではなくなってしまっている。ここでは、簡単な指標をもとに、オルゾフデックを4つに分類し、紹介したいと思う。

・オルゾフ・コントロール

Descendant of Kiyomaro

「白の全体除去と黒の単体除去」

ギルドパクト後の環境のメタゲームの最右翼がステロイドであったとすれば、その正反対に位置していたのがオルゾフ・コントロールであろう。クリーチャーによるビートダウンがメタに上がれば、全体除去とライフ回復でダメージコントロールに優れる白系のデックがメタの中心に上がってくるのはメタゲームの1つの真理である。

オルゾフ・コントロールは、《神の怒り/Wrath of God》による全体除去と《屈辱/Mortify》による単体除去、手札破壊によって場をコントロールする。このタイプのデックが苦手とする序盤は、《清麻呂の末裔/Descendant of Kiyomaro》によって凌ぎきる。対戦相手がビートダウンであれば、ほとんどの場合においてこちらの方が手札が多く、《清麻呂の末裔/Descendant of Kiyomaro》は鉄壁の防壁+ライフ回復手段として機能するのである。

多くの場合、このデックタイプは、《債務者の弔鐘/Debtors' Knell》をフィニッシャーとして採用しており、海外では「誰が為に鐘はなる」としても知られているが、その有無をここでは重要視せず、ここではオルゾフ・コントロールとして単純にまとめてしまおうと思う。

しかし、これだけ幅の広い受けを可能とするデックであるオルゾフ・コントロールではあるが、結局大きな戦績を上げるに至らなかった。

理由のひとつは、後述する「コントロール殺し」ハウリングオウルの台頭、そしてもう1つはThe Rockというデックが先人として我々に教えてくれている。

そう、手が広いだけのデックは、勝利に向かう突破力に乏しいのである。

・オルゾフ・アグロ

「アドバンテージとビートダウン」

The Rockに対するMacey Rock(日本で言う「今日と迷宮案内」の類)のように、オルゾフ・コントロールに対して存在するのがオルゾフ・アグロである。

Ruud Warmenhoven – Orzhov Aggro

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もともと、オルゾフというギルドは、小さいアドバンテージをコツコツと積み重ねて勝利すると言うのを基本としてデザインされたギルドである。《金切り声の混種/Shrieking Grotesque》がよい例だが、これらネズミ系のクリーチャーやボブメイヤーこと《闇の腹心/Dark Confidant》等の、場に出るだけでアドバンテージを稼げる小型クリーチャーを《残虐の手/Hand of Cruelty》《ヴェクの聖騎士/Paladin en-Vec》といった白黒を代表するプロテクションを持ったクリーチャーや、《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》の1マナパワー2コンビによってビートダウンする。

当然除去と手札破壊によるサポートつきだ。とはいっても、デックの性質上大量除去は投入できないのだが。

このデックもまた、環境でステロイドと1・2を争うくらい《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》に依存したデックである。

クリーチャーのタフネスが全体的に低い為、十手の力を借りないと突破力に乏しいことと、《闇の腹心/Dark Confidant》によるライフ喪失をリカバーする手段が無い事がその大きな理由である。チーム・スタンダードでは、十手はチームに四枚きりである。

・オルゾフ・スピリット

「御曹司による加護と盤面の掌握」

オルゾフ・アグロとほぼ同じように、クリーチャーデックに寄せた別の形のオルゾフがオルゾフ・スピリットである。

Olivier Ruel – Hand in Hand

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オルゾフ・アグロが(《闇の腹心/Dark Confidant》によるアドバンテージを最大限に獲得することも視野に入れて)白の1マナパワー2クリーチャーを投入し、より序盤のクロックを重視して、他のカードはそのクロックの継続をサポートする為にあるという「クロック・パーミッション」型の戦術であるのに対して、オルゾフ・スピリットは、《オルゾフの御曹子、テイサ/Teysa, Orzhov Scion》によるボードコントロール能力に注目し、そのためにクリーチャーを多めに投入する、という構造になっている。誤解を恐れずに言えば、リス対立やブルーオーブ、最近で言うところのセレズニアコントロールのような「対立型」のクリーチャーコントロールと見る事ができるだろう。

《オルゾフの御曹子、テイサ》の能力の関係上、白のクリーチャーより黒のクリーチャーを入れた方がアドバンテージに繋がる為、《サバンナ・ライオン》《今田家の猟犬、勇丸》を1マナ域からばっさりカット。そして、空いた1マナ域には、《オルゾフの御曹子、テイサ》の能力をダイレクトにボードアドバンテージに繋げる《病に倒れたルサルカ/Plagued Rusalka》が投入されている。

オルゾフ・アグロよりもビート能力に劣り、オルゾフ・コントロールよりもコントロール能力に劣るというそういってしまえば微妙なデックではあるのだが、その微妙さが、危ういバランスでメタゲームに合致しているため、環境でも人気のデックタイプとなっている。

こちらも、ベースはオルゾフ・アグロと同じであるため、やはり十手に強く依存した構成になっている。

・ゴーストダディ

Tallowisp

「神河物語の置き土産」

さて、最後に残ったオルゾフ系のデックがこのゴーストダディである。

オルゾフというギルドはストーリー上、霊的なものとのつながりが(まやかしにしろ)非常に強い。そのため、幾つかのクリーチャーがスピリットとしてデザインされているのである。

ここに着目したのが、この「ゴーストダディ」というデックタイプ。かねてより「スピリットクラフトが実用的ならば」という前置きつきで優秀なアドバンテージエンジンとして着目されていた《脂火玉/Tallowisp》が遂に日の目を見ることとなったのである。ここで持ってくるオーラとして新しく《不眠の晒し台/Pillory of the Sleepless》を手に入れた事も影響として小さくは無いだろう。

このデックでもっともキーとなって活躍するのが《不快な群れ/Sickening Shoal》と《輝く群れ/Shining Shoal》の2つのピッチスペル。これらはピッチスペルであると共に秘儀でもあるので、《脂火玉/Tallowisp》の能力を誘発するのである。どちらも、クリーチャー対策として十二分に力を発揮してくれるカードである。また、前述の《不眠の晒し台/Pillory of the Sleepless》は、この両方のピッチコストとして使用できるという点で最もこのデックにあったカードと言えるだろう。

また、このデックが2つのビート系と大きく違う点は、《梅澤の十手》に依存していないという点である。

Anthony Purdom - Ghost Dad

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通常のスタンダードの場合、カード資産の問題を意図的に度外視すれば、それほど大きな特徴にはならないかもしれないが、チーム・スタンダードである場合、後述する理由でこの部分が大きな意味を持ってくることとなる。

・イゼットロン

「大量のマナと大量の火力」

ギルドパクトでフィーチャーされたギルドの最後の1つが赤青のイゼットである。

正直、現時点でこのギルド自体の評価は非常に低い。だが、赤青という色がフィーチャーされたと言う事が環境に与えた影響は決して小さくは無いのである。

その恩恵をもっとも享受しているのが、ギルド名をその名に冠したイゼットロン。

Osyp Lebedowicz – Izzetron

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世界選手権のスタンダードで全勝し、日本では中村 修平をFinal'sファイナリストへと導いた服部半蔵トロンがその原型であり、色マナに不安を抱えていた服部半蔵トロンに《蒸気孔/Steam Vents》と《イゼットの印鑑/Izzet Signet》を加える事で安定を高めている。

《紅蓮地獄/Pyroclasm》と《電解/Electrolyze》(そして《差し戻し/Remand》)によって、序盤をしのぎつつアドバンテージをとり、トロンをそろえる事によって大量のマナで一気に勝負を決めると言うのがその戦略である。

クリーチャーコントロールのほとんどが火力に頼っている為、タフネスの小さいクリーチャーが多いオルゾフ系には強く、タフネスの高いクリーチャーの多いグルール系には厳しい。

・ハウリングオウル

「増えるカードと使えないマナ」

PTホノルルにおいて、初日のトピックとして華々しくデビューしたコントロール殺しのデックタイプ。

Antoine Ruel – Owling Mine

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基本的な戦略は、いわゆるVice Ageと呼ばれるデックとほぼ同じなのだが、あまりにも古いデック過ぎてわからない方も多いと思われるので、改めて簡単に説明しよう。

まず、《吠えたける鉱山/Howling Mine》と《三日月の神/Kami of the Crescent Moon》によってお互いのドローを加速させる。そして、その豊潤な手札を使って、バウンスや《疲労困憊/Exhaustion》で相手のマナを縛り、対戦相手には手札が増えた恩恵を受けさせない。これが基本的な戦略となっている。

「対戦相手が常に7枚の手札を使えないでキープしている」という状態を作り上げ、最終的にはデック名となっている《黒檀の梟の根付/Ebony Owl Netsuke》や《突然の衝撃/Sudden Impact》でダメージを与えて勝利するのである。

対戦相手が手札を多く抱えていることが勝利条件であることと、マナを縛るという特性から、多くの手札を抱えつつ、アクションのために使用するマナが多いコントロール系のデックに対しては無類の強さを発揮するが、手札をダンプする手段に事欠かなく、また、アクションに必要なマナが少ないビートダウン系のデックに対しては非常に苦戦を強いられるというマッチアップの相性が非常にわかりやすいデックである。

・ヒエラルキー

「教主には贈り物も品物も必要ない」

このカテゴリーでは非常に近い三つのデックタイプを紹介したい。

まずは、グレーターグッドと呼ばれる《よりよい品物/Greater Good》をキーカードとしたデック。世界選手権でFrank Karstenがプレイしていたデックタイプである。緑のマナ加速によってマナベースを整え、《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》を《よりよい品物/Greater Good》で回して対戦相手をソフトロック状態にしつつ盤面の優位を固めるデックである。

続いて、けちコントロールと呼ばれる《けちな贈り物/Gifts Ungiven》をキーカードとしたデック。緑のマナ加速によってマナベースを整え、《けちな贈り物/Gifts Ungiven》によって《花の神/Hana Kami》を中心とした秘儀使いまわしエンジンを一気に揃え、そのアドバンテージで勝利するデックである。

この2つのデック、お気づきになられたかもしれないが、サブとなる色は異なるものの、緑のマナ加速によるマナベースの確立を戦略の基幹に据えている点では共通しており、そのためかハイブリッド(混成デックの意。二つ以上の別コンセプトのデックを1つのデックにまとめること)される事も少なくない。例えば前述のKarstenのデックは、メインボードではグレーターグッドだが、サイドボード後はけちコントロールに変化する事が可能である。

これらのデック二つに共通しているのが、マナベースの強固さとビートダウンに対する相性の良さなのであるが、これをさらに対ビートダウン性能に特化させる為に、《よりよい品物/Greater Good》や《けちな贈り物/Gifts Ungiven》のギミックを排除し、森 勝洋を世界王者に導いたセレズニアコントロールよりに調整したものがヒエラルキーと呼ばれるデックタイプである。

《神の怒り/Wrath of God》と《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》の2枚のカードのビートダウン耐性は余計な小細工をすら必要としないのである。

・マガシュー (ハートビート)

「もっとも現実的なコンボデック」

さて、ここまでで9個のデックタイプを紹介してきたが、それらはビートダウンとそれへのアンチテーゼであるコントロール、そして、コントロール殺しのハウリングオウルと非常に健全なメタゲームの三角形の中にあるデックタイプである。

メタゲームのスパイスとして常に存在していたコンボデックは現在の環境にはいないのだろうか?

残念ながら、ズアーロックや歴伝のようなデックが僅かながら存在するものの、メタの一角に食い込むほどの勢力とは現状なっていない。バベルこと《機知の戦い/Battle of Wits》も恐らくいない。

そんななかで、1人気を吐いているのがマガシューと呼ばれる《春の鼓動/Heartbeat of Spring》を中心としたコンボデックである。

Maximilian Bracht - Heartbeat

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《春の鼓動/Heartbeat of Spring》を中心としたデックと言えば、昨年度のエクステンデッド環境で存在したハートビートデザイアが代表格であるが、このデックはそこから《春の鼓動/Heartbeat of Spring》と《早摘み/Early Harvest》による大量マナエンジンをそっくり頂いている。

しかし、いくら《春の鼓動/Heartbeat of Spring》と《早摘み/Early Harvest》が法外なマナを生み出すとしても、人ひとりを殺せるだけのマナ、具体的には20マナ以上を生み出すのには、これまた法外な手間がかかる。はっきりいってトーナメントレベルで現実的な話ではない。

そんな虚構を現実としているのが、《幻の漂い/Drift of Phantasms》の変成能力と《奇妙な収穫/Weird Harvest》によるもう1つのエンジンである。一回目の《早摘み/Early Harvest》である程度のマナが揃ったところで《奇妙な収穫/Weird Harvest》を撃つと、《幻の漂い/Drift of Phantasms》の変成経由での2枚目以降の《早摘み/Early Harvest》とフィニッシャーである《現し世の裏切り者、禍我/Maga, Traitor to Mortals》が一気に揃ってしまうのである。また、勝ち手として《火想者の発動/Invoke the Firemind》というオプションがギルドパクトから加わったことも注目したい。

序盤を主に手札破壊から凌ぐ為に入っている《交錯の混乱/Muddle the Mixture》の変成能力で《奇妙な収穫/Weird Harvest》を持ってこれるのと、大量のマナ加速(その全てはライブラリーをシャッフルする)が《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》と抜群の相性を発揮することもあり、かなり安定した動きを期待できるコンボデックとなっている。

このデックの大きなポイントは《早摘み/Early Harvest》を使用する以上、多色化に必須のパーツであるデュアルランドを使用することができないと言う点である。

以上、かなり長くなってしまったが、これら10個のデックタイプが現在のメタゲームの中心となっている。

もちろん、文中で触れた歴伝やズアーロック、森 勝洋を世界王者に導いたセレズニアコントロールや黒田 正城をFinal'sチャンピオンに導いたアネックスワイルドファイア等も少数ながら存在するが、メタゲームの中核にいるとは言い難い。

■チーム・スタンダードの基本戦術

Umezawa's Jitte

では、こうしたスタンダード環境を踏まえて、チーム・スタンダードの基本戦術について考えてみたい。

まずは、チーム戦の基本のおさらいから。

チーム戦は、3人1組のチーム同士が対戦するレギュレーションである。

チームはそれぞれABCの3つのシートに割り振られ、同じシートのプレイヤー同士が対戦する。ここで、相手に合わせてシートを変更するといった事はできない。

そして、チーム全体で2勝したチームが勝利チームという事になる。例えば、速攻でAシートの対戦が終了して勝利したとしても、残り2人が負ければチーム全体としては負けという事になる。逆に言えば、1人が負けても残り2人が勝てばチームとしては勝利なのである。

さて、チーム・スタンダードにおけるメタゲームが通常のメタゲームと異なるのは以下の2点である。

1.チーム内で使用できるカードは(基本地形以外は)1種類4枚まで
2.それによるデック分布の偏り

それぞれ見てみよう。

まず、1.についてだが、この影響をもっとも受けるのが、ビートダウンに必須の《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》と多色化に重要なデュアルランドである。

《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を2枚ずつに分ける事にそれほど大きな意味が無い(十手に依存するデックは4枚入れなければ機能しない事が多い)以上、上記で十手を必須パーツとしてあげたデックはチーム内で1つしか存在できないという事になる。仮に十手を使用したデックが環境最強であると確信していたとしても、そのデックを使用できるのはチームで1人であり、残りの2人は(その理論からすれば)劣ったデックを使用しないわけにはいかないのである。

同様に、多色化の必須パーツであるデュアルランド(そして、ダメージランド)も基本的にはデックに4枚入れたいカードであるので、それを踏まえると同じ色の組み合わせはチーム内に1人しか存在できない。例えば、ヒエラルキーを1人が使用してしまうと、白緑という組み合わせはすでに使われているので残りのチームメイトの選択肢からはZooが消えてしまう。

これにより、かなりデック選択に通常と違う要素が含まれることが理解いただけるだろうか?

上記の例のように、1人がヒエラルキーを使用する事により、Zooが消える。だが、赤緑系のビートダウンはデックパワーからいっても選択肢から外しにくいので、もう1人はステロイドを使用する事となる。ここで《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》も使用されてしまうので、最後の1人のデックの選択肢はゴーストダディかイゼットロンくらいしか無くなってしまうのである。

他に、多色で使用しやすいカウンターである《マナ漏出/Mana Leak》や《差し戻し/Remand》、コントロールやコンボの必須パーツ《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》もそれぞれチーム内での割り振りに頭を悩まされるカードであると言えるだろう。

ここでまず、環境とデックに対するバランス感覚が試されることとなる。

続いて、2.のデック分布の偏りについてだが、まず、極端に偏ったメタゲームと言うのが無くなる。極論を言えば、最高でも会場の三分の一しか同じデックを使用することができず、また、その全員が同じシートで対戦する事になる可能性は更に下がるので、例えば「会場のほとんどがMoma」とか「会場の半分以上が親和」といった極端に異常なメタゲームになる事は少ない。つまり、極端に1つのデックを対策したデックを使用するのはメリットよりもリスクの方が大きくなる可能性が高いということだ。

だが、その一方で、1.の4枚制限のルールにより、現実的に使用できるデックタイプは限られてくる。少なくとも、組み合わせ自体は特殊な例外を除けば、かなり絞っていく事ができる。つまり、通常の環境に比べて、大きな枠でのメタゲームは把握しやすいという事になる。ということは、その情報を利したチームに大きなアドバンテージがあるのは当然であろう。

つまり、想定のデック内でより幅広い相性をもつデックを中心に選択すればするほどチーム全体の勝率が上がるのである。

これら2点を踏まえた上で、現在基本的な戦術とされているのが、W(White)+ビートダウン(Beatdown)+その他のデック(以下WBX)である。または、グルール+オルゾフ+その他と読み替えても良いだろう。

PTホノルルの結果を見ても明らかなように、グルール系のデックと、オルゾフ系のデックのデックパワーは頭1つ抜けている。また、これらのデックは、《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を除けば基本的に構成要素が被ることが無いため、1つのチームに共存させやすい。

したがって、この2つのギルドのデックを中核にすえ、残りの枠を残りのカードで組めるデックの中でもできるだけデックパワーが高いデックを選ぶというのが、現在チーム・スタンダードで最も基本的な戦術として認知されるに至っているのである。

特に、オルゾフ系のデックは調整の幅が広く他にカードの融通を利かせやすい上に、組み方によって、ビートダウン・コントロール・コンボのうちの2つのカテゴリーに強いデックにすることが可能であるため、ここでの構築がチーム全体の勝率に直結するキーとなっている。

最後の1つのデック、仮にデックXと呼ぶ、として選択されるのは、上記2つのギルドと被らないイゼット系のデックか、そもそもギルドランドに頼らないマガシューである事が多い。また、ここでカードプールが被らないと言う理由で、上記ではあまり重要視しなかったズアーロックや歴伝が選択される事も少なくないようだ。このへんがまた、チーム・スタンダードを通常のスタンダードと毛色の違うものとさせ、面白くさせている要素なのではないだろうか。

例えば、WBXという名前が体現しているように、チームのうち2人はほぼビートダウン系のデックを使用する事になるため、PTホノルルでは猛威を振るったオウリングマインがほとんど使用されない状態となっている。だまっていても、会場の三分の二に負けてしまうデックを進んで使用するには相当な度胸が必要だろう。

また、WBXが基本戦術であるというのはほぼ共通認識であることを踏まえ、ヒエラルキーやオルゾフ・コントロールのような白系のコントロールをチームに1人用意して、1人分の勝ち星を計算しやすくした上で、チーム全体の勝率を上げるという戦術も最近では段々と開発されているようであるし、まだ見ぬ斬新なストラテジーでデックを構築しているチームが登場しないとは言い切れない。セレズニアコントロールだって、ビートダウン中心と言うメタゲームでは無類の強さを発揮するのだし、チームに2人コントロールを入れるという戦略だって、カードプールの制約はあるものの、理論上は可能なのである。

この環境においては、デック分布がかなり均等化されている為、マッチアップごとの相性が通常のメタゲーム以上に重要であり、それを意識した調整がなされてくる事が予想されるので、それに着目してデックリストやチーム構成を眺めてみるのもまた、1つの楽しみなのではないだろうか。

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