あの暑い夏が帰ってくるようだ。

今年のGP名古屋チャンプ、岸 辰則が早くもラウンド1のフューチャーマッチに登場する。
同じ栃木の強豪である中野 史樹と、この日に備えてみっちりとリミテッドの練習をしたという岸は、構築だけではなく、リミテッドでもそのプレイングが確かである事をここで確かなものとして、その総合力を証明したいところ。
デッキは、白黒2色にまとめてテンポで勝利を目指すビートダウン。薬剤師らしく、デッキ処方の妙を見せ付けてくれるのではないだろうか。
対する小林は、緑+青白デッキ。
間もなくGP横浜開幕の号令が掛けられる。
Game 1
ダイスロールで先攻は岸。
オープニングハンドに見える土地は《平地/Plains》2枚。《鼠の浪人/Nezumi Ronin》など、黒の優秀なビートダウンクリーチャーが見える中でテンポを最優先にしたい岸だったが、何とか戦えると判断してこれをキープ。一方の小林はダブルマリガンのスタートとなってしまう。
《狐の易者/Kitsune Diviner》のプレイに対し、小林は《密の守護兵/Hisoka's Guard》で返す。第2ターンにも土地を引けなかった岸だったが、無事に《沼/Swamp》を引き込んで《鼠の浪人/Nezumi Ronin》の召喚に成功する。
小林もダブルマリガンの影響を感じさせず、《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》を召喚して《鼠の浪人/Nezumi Ronin》のチャンプブロックにしつつ、マナを伸ばして今後の展開に備える構えだ。岸はというと、これ以降3枚で土地が止まってしまっているが《狐の裂け目歩き/Kitsune Riftwalker》プレイでビートダウンの手を緩めない。
しかし、マナの伸びた小林が《聖鈴の僧団/Order of the Sacred Bell》をプレイすると、ガチンコの殴り合いモードが展開される。《残酷な詐欺師/Cruel Deceiver》プレイでダメージを加える算段を追加した岸は、小林のプレイした《残忍な詐欺師/Feral Deceiver》を《狐の易者/Kitsune Diviner》で寝かせ続けて数の暴力に訴える作戦に出た。
1対1ではサイズで不利だ。それなら人海戦術あるのみと、《不退転の意志/Indomitable Will》をも纏わせたクリーチャー群で果敢に攻め立てる。《狐の易者/Kitsune Diviner》がある分だけ、盤上は岸にアドヴァンテージがある。《空民の雨刻み/Soratami Rainshaper》を送り込んだ小林だったが、押されている状況下での飛行クリーチャーは根本的解決に至らず、《古石の神/Kami of Old Stone》をガッチリと構えた岸は《聖鈴の僧団/Order of the Sacred Bell》の侵攻をも封じ、チャンプブロックを続けざるを得なくなった小林に対して《血に飢えた大峨/Bloodthirsty Ogre》まで加えて陣営を強化する。
本来ならば、シメに使いたかった《杉の力/Strength of Cedars》を守りの力として捧げるしかなくなった小林に、逆転の可能性は残されてはいなかった。
Nagoya Champ 1-0 小林
Game 2
今度は小林の先攻。
再びテイクマリガンとなってしまうが、6枚のハンドを見てキープ。岸はマリガン無しからの《狐の易者/Kitsune Diviner》プレイ、さらに《残忍な詐欺師/Feral Deceiver》《狐の刃遣い/Kitsune Blademaster》連打と、第1ゲームを思わせるビートダウン戦術で一気に展開する。
小林も《大蛇の支援者/Orochi Sustainer》《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》の召喚でマナを伸ばし、序盤にプレイしていた《半弓/Hankyu》が弓を構えようかという所。
だが、そんな悠長なボードコントロールを許すほど、岸のデッキは大人しくない。《狐の癒し手/Kitsune Healer》《鼠の浪人/Nezumi Ronin》と畳み掛けて、小林へ徹底してプレッシャーを与え続ける。例え《半弓/Hankyu》で《鼠の浪人/Nezumi Ronin》《残忍な詐欺師/Feral Deceiver》《狐の易者/Kitsune Diviner》のいずれかを失う事となっても、そこまでに築き上げたテンポというアドヴァンテージが消える事は無いのだから。
結局、戦闘の後《狐の易者/Kitsune Diviner》を失った岸だったが、すぐに《つぶやく神/Gibbering Kami》を追加。返しに小林のプレイした《黄昏の守護者、秘加理/Hikari, Twilight Guardian》が足かせになるかとも思われたが、5枚目の土地を力強く手繰り寄せた岸が《影の舞い/Dance of Shadows》で自陣を鼓舞すると、小林に残された12点のライフを一気に奪い取って見せたのだった。
終始押せ押せムードの中で、ともすれば勢いに任せて過剰な攻撃や展開をしがちな所で、冷静に戦況を分析したグラチャン(GPチャンプ)の姿勢は一貫している。
あくまで、立場は挑戦者。
こう言い切る謙虚な王者がGP名古屋からの連勝を伸ばして、舞台の幕は切って落とされたのだった。
Nagoya Champ 2-0 小林
Results : Winner is GP Nagoya Champion !!!