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藤田修 – 藤田剛史謹製のバーン風味ゴブリン。
鍛冶 – 昨日乗り換えたという緑白スライド。
今シーズン、ベテランと新鋭としてそれぞれに確実な戦績を残し続ける2人の対決。このカードは、実は今年初頭のPTアムステルダムの再戦でもあり、そのときも私がカバレージを取っていて、藤田が勝利している。鍛冶はリベンジなるか。
Game 1
コイントスで鍛冶先攻。鍛冶少し考えてマリガン、藤田は力強くキープを宣言。
立ち上がり《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》からスタートの鍛冶に対し、《ゴブリンのそり乗り/Goblin Sledder》から《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》、《火花鍛冶/Sparksmith》と軽快につなげる藤田。
マリガンのせいか動きが重い鍛冶は、第4ターンに《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》。藤田は冷静に、鍛冶が土地を持ってくる前にこれを《ショック/Shock》する。
鍛冶は何とか打開策を見出そうとするが、第5ターンメインの《金粉の光/Gilded Light》サイクリングでも《神の怒り/Wrath of God》を引けずに渋い顔。《新たな信仰/Renewed Faith》を握ったままターンを返してみるが、藤田は終了フェイズに《マグマの噴流/Magma Jet》、メインに《焦熱の火猫/Blistering Firecat》プレイと重ね、逆転の隙を与えずに鍛冶を投了に導いた。
藤田修 1-0 鍛冶
Game 2
続いて鍛冶先攻。サイドボーディングに少し迷いを見せるのは仕方のないところなのか。必要なカードはあるが土地に不安を抱える初手に、鍛冶はまた悩む。結局、マリガンを選択。
6枚の鍛冶と7枚の藤田の第2ゲームは、《スカークの探鉱者/Skirk Prospector》《ゴブリンのそり乗り/Goblin Sledder》と軽快な展開。鍛冶は第3ターンに《霊体の地滑り/Astral Slide》によってコントロールの土台を築こうとするが、これを見て藤田は《ゴブリンのそり乗り/Goblin Sledder》をマナに変換しての《焦熱の火猫/Blistering Firecat》強襲。さらに《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》を出すのみの鍛冶に対し、《硫黄の渦/Sulfuric Vortex》を設置して《火山の鎚/Volcanic Hammer》の連打で迫る。
回復の隙を与えてもらえず、鍛冶は2枚目の《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》でライブラリを確認の上、投了を宣言した。
藤田 修 2-0 鍛冶
マリガンの選択論
鍛冶は、しきりに負けたことを悔しがっていたが、その中でポイントになったのは、やはりマリガンの選択だったという。
第1ゲームの彼の初手は、《森/Forest》*3、《神の怒り/Wrath of God》*2、《新たな信仰/Renewed Faith》*2。相手の藤田修がゴブリンであることも知っている。果たしてキープすべきなのか?
結果的には、彼はカバレージにある通りマリガンを選択し、結局土地しか引けずに敗北した(付け加えると、藤田が「土地をサーチされる前にドローさせる」《ショック/Shock》をプレイした結果、鍛冶のドローは土地だったという)。では、マリガンをしなければ勝っていたのか?
この状況から勝ちを得るには、早い段階で《神の怒り/Wrath of God》をプレイすることが必須だが、そのためには白マナソースが2枚必要となる。さしあたって《新たな信仰/Renewed Faith》で凌ぐにしろ、1枚は必要だ。標準的な白緑スライドで考えたとき、白マナソースとなり得るカードは何枚あって、どれくらいの確率で引けるのか瞬時に判断できるだろうか?
それは非常に難しいし、確率的な正解を選んだとしても勝てるかどうかはわからない。それでも的確な判断を続けられる者が勝利へ近づくことは確かだと、僭越ながら思う。
しかし、ここで通りかかった藤田剛史によると、彼は確率的に判断したことはないという。「今の手札で勝てるかどうか」が重要だと、彼は直感的かつ経験的に考えているそうだ。無論、それを支えるのは練習量であるのは間違いないが、この考え方の違いも興味深い。
Osamu “Fuji-Shu” Fujita defeats Tomohiro Kaji.