
シールドからロチェスター・ドラフトのその様子を変えて、 64 人のプレイヤーがこの競技に参加する。
そこに呼ばれるフィーチャーマッチのプレイヤーと言えば、お決まりの全勝対決。今大会は全勝が現時点で 5 人いるため、こちらも直前まで組み合わせがわからなかったのだが、いざ席についてみると、グランプリ宇都宮覇者である橋本と、今回の注目株である伊藤との対決となった。
まだまだプロフィール欄の情報の少ない伊藤であるが、今大会のグランプリトライアルを優勝してバイ 3 を手に入れ、 昨日のシールドをきっちり 5 勝。本日は余裕の 1st pod からロチェスターを開始している。
この伊藤だが、実は「普通の全勝プレイヤー」とは異なる部分が少しあり、これは運営側サイドでも話題になったほどだ。
シールドデッキが弱い。
初日全勝デッキが 5 人分記載されているのだが、これを見る限り飛びぬけて伊藤のデッキは弱い。逆説的に言えば、グランプリトライアルを優勝し、本戦一日目を弱めのデッキで全勝と言う成績を残した彼こそ、今一番波に乗っているであろうプレイヤーなのだ。
では、本日一発目のフィーチャーマッチをご堪能頂こう。
Game 1
先手は橋本の 2 ターン目の《鼠の殺し屋/Nezumi Cutthroat》から 1 本目が開始。
返す伊藤も《かまどの神/Hearth Kami》から展回を始めると、次の橋本のターンで《困窮/Distress》が飛んでくる。
そこで公開された 6 枚の手札には、《粗暴な詐欺師/Brutal Deceiver》、《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》、《かまどの神》、《山崎兄弟/Brothers Yamazaki》、《浪人の犬師/Ronin Houndmaster》《水辺の学舎、水面院/Minamo, School at Water's Edge》が。
ここで橋本は熟考を重ね、テンポを遅らせる選択肢を選び、《浪人の犬師》のディスカードを迫る。
さて、残った手札でも綺麗にマナカーブを描く事は出来るので、落ち着いて《粗暴な詐欺師》、《山崎兄弟》と呼べば、後に橋本が展回する《呪われた浪人/Cursed Ronin》が《かまどの神》と相打ちになり、橋本は《魂無き蘇生/Soulless Revival》で《呪われた浪人》を拾いつつ、《氷河の光線/Glacial Ray》を連携させて伊藤の《粗暴な詐欺師》を除去。鮮やかな攻防だ。
残る《山崎兄弟》は、こちらも同じくと橋本も《山崎兄弟》を呼んで相打ちに。
先手の理と《氷河の光線》の連結使用によって、橋本が一歩有利であるが、未だ伊藤の手札には《潮の星、京河》が潜み、油断は全く出来ない情況ではある。
さて、伊藤にターンが回り、ここで土地を引けば 6 枚目の土地をセットできることとなり、無事《潮の星、京河》を場に放つ事ができるのだが、このターンのドローは《龍の牙、辰正/Tatsumasa, the Dragon's Fang》。
双方強いレアカードではあるが、 5 マナでは使用できない。《川の海神/River Kaijin》を設置してターンを橋本に回すと、橋本は「少し考える時間を下さい」と宣言。
何に悩んでいるのだろうかと思えば、なんと橋本の手には《思考の猛火/Mindblaze》が!
現在の伊藤のライフは 10 。
《思考の猛火》を成功させ、《鼠の殺し屋》の攻撃を加えれば、丁度 10 点となってゲームエンドなのだが、ここで橋本が発言したカードネームは《龍の牙、辰正》・・・
ロチェスター・ドラフトと言う特殊な環境に措いて、誰がどのカードを所持しているかは見える仕様になっているが、流石に自分以外 7 人のプレイヤーのカードを覚えきるのはほぼ不可能。
それだけに目立った、印象に残ったカードを指定するのは当然の行為であるが、奇しくも既に引かれていたカードを、橋本は指定してしまう運命の悪戯に敗北してしまった。
ここで勝負あったか、伊藤は次ターンに土地を引き、そのまま《潮の星、京河》を場に放ち、 2 回の攻撃を以って 1 本目を制した。
橋本 0 – 1 伊藤
Game 2
再び先手は橋本。
《血塗られた悪姥/Wicked Akuba》から展回を始め、続けて《山崎兄弟》、《呪われた浪人/Cursed Ronin》とマナカーブを描き、伊藤はそれを耐えるように《かまどの神》、《空民の雲乗り/Soratami Cloudskater》などを重ねて耐え忍ぶ。
だが、勢いに乗った赤黒デッキは、出して焼いて殴るのお手本どおり、小さいクリーチャーは無視して攻撃し、障害となるクリーチャーは《山伏の炎/Yamabushi's Flame》で除去を 2 回プレイすると、そのまま橋本は伊藤を蹂躙し、 2 本目は橋本の勝利。
橋本 1 – 1 伊藤
Game 3
変わって先手は伊藤に移り、2 ターン目に《かまどの神》を出せば、対する橋本も鏡打ち。

今回の伊藤は、 1 , 2 本目と打って変わって、ビートダウン色濃い展回になり、続けて、《浪人の犬師》、《粗暴な詐欺師》と展回し、激しく橋本に攻め入る。
この様なプレイは、橋本の赤黒デッキでも似合うのだが、良く見ると橋本の場には山のみが並び、沼は姿を見せていない。
そうこうしている間に橋本は手札が渋滞し、攻めにも守りにも欠け、8 ターン目にしてやっとの事沼を引いて黒いクリーチャーを展回する事出来たが、残りライフも少なく、伊藤の攻撃を体で受け、残り 3 。最後のライフを《溶岩の撃ち込み/Lava Spike》できっちり削られてしまい、ラウンド 9 の勝者は新鋭・伊藤に確定した。
Final Result : 橋本 1 – 2 伊藤