ラヴニカへの回帰ブロック構築において、果たしてたった一つのギルドがその支配権を真に主張できるのだろうか? ラヴニカの全てのギルドのチャンピオンが出揃い、暗黙の迷路の走者となったが、プロツアー「ドラゴンの迷路」においては、その中でも3人が強力な選択肢として際立っている。
《 第10管区のラヴィニア 》はアゾリウスを代表し、ルイス・スコット=ヴァーガスのエスパーコントロールのような、白青を含むデッキにおいて見られる。《 第10管区のラヴィニア 》の公正な裁きを求める性格は、《 戦慄掘り 》や《 ミジウムの迫撃砲 》のような強力な除去を回避するプロテクション(赤)と、対戦相手のパーマネントに一斉に影響する留置の能力に現れている。「《 第10管区のラヴィニア 》は白緑のデッキにとって非常に有効だね。というのもそれらは緑黒や他の緑白の盤面に干渉して速度を落とすし、そして、明らかに赤単に対しても強力だ」とルイスは言う。「僕は大体の場合、バントデッキのメインに入れていたよ。基本的に、全てのクリーチャーのマッチアップにおいてとても強力だ」
![]() |
|
ルイス・スコット=ヴァーガスは《
第10管区のラヴィニア
》が持つ、鍵となる除去呪文からのプロテクションと、 盤面が膠着させる緑白のマッチアップで即座にゲームを終わらせる彼女の能力が大好きだ。 |
《 縞痕のヴァロルズ 》は《 第10管区のラヴィニア 》とは趣を異にする。ゴルガリ出身の野蛮な戦士である《 縞痕のヴァロルズ 》は、ブライアン・キブラーのジャンクアグロのような攻撃的黒緑デッキの要石だ。《 縞痕のヴァロルズ 》の再生能力は強力な除去呪文を一笑に付す。そして、墓地にある全てのクリーチャーを恒久的な+1/+1カウンターへと変化させ、次のクリーチャーが常に脅威であることを保証する。彼の力は少なくとも、とある1つのチームの興味をそそったようである。「チーム内の40%前後が《 縞痕のヴァロルズ 》をプレイしているよ」とチーム・ChannelFireballのジョシュ・アター=レイトンは言う。「そいつのおかげで、全てのクリーチャーが巨大な怪物になるんだ。そして本質的に《 神の怒り 》への耐性を持っているんだが…」とこのブロックが持つ《 神の怒り 》である《 至高の評決 》にも言及する。「…それは重要なことなんだ。おかげで、対処が困難な脅威をプレイできることになるからね」
![]() |
|
ジョシュ・アター=レイトンの《
縞痕のヴァロルズ
》への評価は高い。効率的で、《
至高の評決
》のような除去を 再生能力でかわすことができる。そして墓地を活用能力は伝説のクリーチャーを差し迫った脅威へと変える。 |
「まさに注文通りの構築級カードだよ」とこれまたチーム・ChannelFireballの一員である、ベン・スタークが言う。「殺されないし、《 至高の評決 》から生き残び、墓地を活用してくれる――みんなこのカードを見た瞬間こう考えるんじゃないかな、『これはいいカードだね。これは構築級のカードじゃないか』ってね。完璧な構築級カードだよ」
《 ラクドスの血魔女、イクサヴァ 》はゴルガリの戦士である《 縞痕のヴァロルズ 》と似ているように見えるかもしれないが、彼女はまったく違った迷路走者だ。ラクドスギルドのメカニズムである解鎖は間違いなく攻撃的な能力であり、戦場に出るクリーチャーがブロックに参加できなくなるが、攻撃の際には強力だ。《 ラクドスの血魔女、イクサヴァ 》は全ての解鎖されたクリーチャーに速攻を与えるが、それは《 至高の評決 》や《 ミジウムの迫撃砲 》によって一掃される前に攻撃する機会を与えてくれるということだ。一方で大きいサイズと先制攻撃をも同時に持っている。
プロツアー殿堂顕彰者であり、仲間であり親友であるロブ・ドハティと協力したダーウィン・キャスルはこう説明する。「それらの色で比較的攻撃的なデッキをプレイしようと試みたのだけれど、彼女は明らかに優れた攻撃的クリーチャーだ。心配していたのは《 至高の評決 》を積んだ多くのデッキについてだ。俺はソーサリータイミングの除去で対処される前に殴ることと、盤面を一掃された後に追い討ちで殴ることが好きなんだ。」
![]() |
|
《
ラクドスの血魔女、イクサヴァ
》のおかげでクリーチャーは即座にダメージを叩き出し、彼女の速攻能力は 対戦相手がこのラクドスのクリーチャーに対して回答を持っている場合でも一定の仕事をしてくれる。 |
しかし、攻撃的になるのに彼女だけでは、ダーウィンにとっては不十分だった。「もし、彼女を場にいれば、《 ロッテスのトロール 》をプレイして、クリーチャーカードを捨ててすぐに攻撃できる」と彼は言う。「手札に2枚のクリーチャーがいたとして、その進化する奴をプレイして、それからもう一方のクリーチャーもプレイして、それから一緒に殴ることだってできるんだ。間違えちゃいけない。俺のデッキの4マナ圏はもっと多くの選択肢がある。《 死橋の大巨虫 》がいる。《 屍体屋の脅威 》がいる。《 ラクドスの血魔女、イクサヴァ 》はデッキに加えた最後のカードだ。ただもっと速攻持ちが欲しかっただけなんだ。もし《 屍体屋の脅威 》が場にいれば、彼女は5/5になって場に出るし、どちらにしろ大体の奴らを進化させるだろうな」
もちろん、ギルドの英雄たち全てが競い合っている《 迷路の終わり 》での勝利とは、暗黙の迷路を完成させるための同名のカードのことだ。走者たちがいまだ知り得ぬであろうことは、《 迷路の終わり 》そのものが勝利への有効な道具であるということだ。デニス・ラシドと何人かのスウェーデンのプレイヤーは、ブロック構築において《 迷路の終わり 》と誰にも負けないように妨害する手段に頼ったコントロール・コンボデッキを使用している。
![]() |
|
多くが1人ないし2人の迷路走者と手を組む一方で、デニス・ラシドとスウェーデンチームの何人かは 《 迷路の終わり 》デッキをこの週末に乗りこなすことを決めた。 10個のギルドを手にすることができるのに、なぜ1つで良しとしなければならないのか? |
なぜ10個全てのギルド門の力を引き出し、まっすぐゴールに進まないのか? ラシドはこう説明する。「このデッキは遅いデッキに対しては打ち勝つことができると信じている。多くのプレイヤーは速いデッキを倒すために、最終的に中速かコントロールデッキになると思ったんだ。僕が試みたのは、速いデッキを倒すデッキを倒すことだ。《 迷路の終わり 》デッキは赤単や緑白と対戦するにはそこまで良いものではないけれど、エスパーコントロールに対してはとても有効なんだ。これが僕のメタゲームの選択さ。」
《 迷路の終わり 》デッキを組むにあたって、知っておくべき最も重要なことは何だろうか?「最も重要なのは、10枚以上プレイしなきゃいけないことさ」このチームのデッキ製作者の1人であるスウェーデン人プレイヤー、エリアス・ワッツフェルトはそれぞれの門が複数枚必要であると説明する。「そうでなければ、《 夜帷の死霊 》が勝利条件を持っていってしまうからね」
ラヴニカのチャンピオンの誰かが優勝へと突き進むのか、それとも《 迷路の終わり 》コントロール使いがプロツアー「ドラゴンの迷路」を支配する運命なのか? プレイヤーたちが戦って解明しなければならない難問だ。
(Tr. Masashi Koyama)