決勝: 岸 辰典 vs. 橋本 恵介

更新日 Event Coverage on 2004年 8月 29日

By 吉川 祐輔

日本初のスタンダードフォーマットグランプリ。始まりは941名だったが、9+6+2回戦を戦い抜いて、今残るはただ2人である。

岸辰典と橋本恵介。全国的なイベントでブレイクするのはこれが初めてと言っていい2人。どちらが勝っても初優勝である。しかし、この過酷なイベントを勝ち抜いてきた、それこそが実力の証明だ。

新たな実力者を決める戦いを、始めよう。

Game 1

静かな表情でシャッフルを繰り返す岸を、緊張を隠せない面持ちながら静かに待つ橋本。騒がしい会場に、ここだけには静寂がある。

「ダイスで」と岸。岸は3、橋本は2を出し、岸先攻。

呼吸を整える程度でキープを宣言した岸に対し、橋本は一瞥しただけでマリガンを宣言。6枚には少し戸惑いながら「はい」と橋本。

《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》スタートでターンを渡す岸。橋本は《大焼炉/Great Furnace》から《彩色の宝球/Chromatic Sphere》。しかし、岸が導いたのは《森/Forest》。もちろん続く行動は《大焼炉/Great Furnace》に《酸化/Oxidize》である。沈みがちだった橋本の表情がさらに曇る。

岸は《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》でターンを返すが、橋本はドローし…そのまま、エンドを宣言。マリガンゆえ、わかっていても土地1枚で始めざるを得なかったのだ。

岸はいきなり転がり込んだ絶対の勝機に、静かに《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》をつなげ攻撃。続くターンにも橋本に土地はなく、岸のプレイした《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》を見て橋本は「投了します」と告げた。

岸 1-0 橋本

岸のサイドボーティング:
In: 4*《帰化/Naturalize
Out: 4*《スカークの探鉱者/Skirk Prospector

橋本のサイドボーティング:
In: 4*《紅蓮地獄/Pyroclasm
Out: 3*《爆片破/Shrapnel Blast》 1*《頭蓋囲い/Cranial Plating

Game 2

圧倒的なデッキ相性差を、ひどい形で見せつけられてしまった橋本。果たして気を取りなおしての大逆転はあるか。対して岸は、機運を逃さないよう心をこめてシャッフルをする。
橋本は再び初手に考える。土地は再び、わずかに1枚。しかし爆発的な展開が期待できる内容に、橋本は意を決したか「やります」。岸もキープを告げる。

その橋本の開幕ターンは、《教議会の座席/Seat of the Synod》《溶接の壺/Welding Jar》《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》《黄鉄の呪文爆弾/Pyrite Spellbomb》《金属ガエル/Frogmite》。岸は「なにそれ」といった感じだが、落ち着いてプランを練り直す。そして、先程と同じように《教議会の座席/Seat of the Synod》に《酸化/Oxidize》を。

橋本の勇気にドローが戻ったか、ここから橋本は土地を引き当てていく。岸は第2ターンに《金属ガエル/Frogmite》に《帰化/Naturalize》を撃ち込んで攻撃を回避するが、橋本は《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》を出し攻撃の礎とする。

岸は《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》を出すが、これは攻撃に行かず。プランは他のところにある。

今度こそ。第1ゲームの分まで、橋本は必要な土地を引き込んでいく。色マナの噛み合わせにも恵まれる。手札に腐りそうだった《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》を《彩色の宝球/Chromatic Sphere》で出す。《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》との黄金コンビが揃う。だが、まだだ。岸が態勢を整える前に勝負を決めなくてはいけないのだ。

しかし、岸は確実に対処を持っていた。《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》によって速攻を得た《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》。橋本の瞬殺の望み、蜘蛛の糸たる《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》に砲口が向けられる。

橋本は勝利のプランを残すべく、それに対応して3つの非クリーチャーパーマネントを《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》の贄とし、《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》は4/4へ。代償としてほぼ全てのパーマネントを失うこととなったが、これは橋本の決意表明だ。

だが、それすらも。岸は残酷なまでに、的確に対処をしていく。そのまま自らのターンを返すと、橋本のアップキープステップに入ってから《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》に《帰化/Naturalize》をプレイする。

当然、橋本は電結能力により《金属ガエル/Frogmite》にカウンターを移し、攻撃を継続しようとするのだが、ここでは「同時に」《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》のアンタップ能力が誘発し、アクティブプレイヤーである橋本がコントロールする電結能力の後にスタックに乗るため、「先に」《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》が解決されることになる。すなわち…橋本の最後の望みをかけたカウンターが乗る前に、《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》の速射砲は《金属ガエル/Frogmite》を撃ち抜いているのだ。

…そして、橋本の前には0/2の《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》だけが残った。悲しそうな、でも事実を認めきれないような、まだ緊張した面持ちのままの橋本。ただ、ターンを返すのみ。

勝ちきることは非常に困難だ。だが、岸はそれを着実に、丁寧にこなしていく。ゴブリンを追加し、橋本のライフを、自らの勝利へのカウントを減らしていく。橋本が最後の抵抗にと出した《頭蓋囲い/Cranial Plating》も、これを装備した《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》を《酸化/Oxidize》で撃墜する。

勝ちへの道が全て閉ざされたのを確認すると、橋本は投了を宣言しカードを片付けたのだった。

岸 2-0 橋本

明確な相性差があることは、戦前から囁かれていた。しかし、相性通りに勝ちきることが、この大舞台ではいかに難しいことか。ただ勝つだけだと言われていても、それを成し得ることが、いかに難しいか…。

確固たる知識と、的確な選択を重ね勝ち抜いた岸。厳しい戦いに敗れはしたが、最強デッキたる親和の中で頂点に立った橋本。彼らの業績を称えよう。

例えアマチュアであろうと。例え環境が整っていなくとも。真摯な思いでマジックに臨むプレイヤーを、カードは決して見放しはしない。

次は、誰の番だ!?

おめでとう、「2004グランプリ名古屋チャンピオン」岸 辰典!

Keisuke Hashimoto

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ソーサリー (4)
4 Thoughtcast
インスタント (3)
3 Shrapnel Blast
アーティファクト (15)
4 Welding Jar 4 Chromatic Sphere 3 Pyrite Spellbomb 4 Cranial Plating
60 カード
サイドボード (15)
4 Mana Leak 2 Moriok Rigger 4 Pyroclasm 3 Seething Song 2 Furnace Dragon

Tatsunori Kishi

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