決勝

更新日 Event Coverage on 2004年 3月 21日

By 吉川 祐輔

グランプリの週末は、いつも長いようで短い。そんなひと時の結末は、この一戦で締めくくられる。その舞台に相応しい二人が顔を揃えた。

片や大阪から森田雅彦。「関西を代表する若手」と呼ばれて久しい彼は、4度のグランプリ準優勝というキャリアを持つ。しかし、その腰の据わったプレイングはもはやその呼び名にはふさわしくないように思う。そろそろ、タイトルを手にしてもいい頃だ。

片や茨城から志村一郎。真面目でさわやかな人柄で誰からも愛される彼がブレイクしたのは、2002年のGP宇都宮でのことであった。昨年中は学業を優先すべくトーナメント環境を離れていたのだが、再開した途端にこの活躍を見せるあたり、やはり只者ではない。
親和と白速攻というこの環境を代表する2つのアーキタイプが、最高のプレイヤーに操られて場に躍る。果たして、タイトルを手にするのはどちらか。

Game 1

先攻の志村がじっと手札を見据える。白の濃い内容であるのだが土地は《山/Mountain》2枚。しばらく考えるが、これを嫌い一度マリガン。6枚になった志村と、7枚の森田がそれぞれうなづくと、ゲームの幕が上がった。

《レオニンの円月刀/Leonin Scimitar》から《急報/Raise the Alarm》につなぐ発進を見せる志村に対し、森田は準々決勝でのMVPカード《ゴブリンの修繕屋スロバッド/Slobad, Goblin Tinkerer》で応じる。
《レオニンの円月刀/Leonin Scimitar》を装備した2/2兵士で志村が攻め、森田が静かに守りの打開策を探す展開が静かに続く。この間、《翼竜の幽霊/Pteron Ghost》が《黄鉄の呪文爆弾/Pyrite Spellbomb》と、《上昇スリス/Slith Ascendant》が《浴びせかけ/Irradiate》とそれぞれ交換に。

局面が動いたのは森田が《加工/Fabricate》で《尖塔のゴーレム/Spire Golem》を導いたときだった。《ゴブリンの修繕屋スロバッド/Slobad, Goblin Tinkerer》と相まって攻めを止められてしまった格好の志村だったが、ここで値千金の《ロクソドンの戦槌/Loxodon Warhammer》をドロー。出してあった《電結の暴れ者/Arcbound Bruiser》とともに、ガードの上からの突破を図る。

一度は装備を一身に集めた7/4《電結の暴れ者/Arcbound Bruiser》に殴られた森田だったが、簡単には負けじと《水銀のビヒモス/Quicksilver Behemoth》を配備。今度は志村が考える番になる。

手札には暖めた《とげの稲妻/Barbed Lightning》があるのだが、森田の守りは堅い。追加のクリーチャーはあいにくにも《錆胞子の羊/Rustspore Ram》。熟慮の後、《彩色の宝球/Chromatic Sphere》を使ってドローを進めると…そこにはこの場の追加戦力としては最高級とも言える2体目の《電結の暴れ者/Arcbound Bruiser》が! これをプレイした後、勇躍7/4《電結の暴れ者/Arcbound Bruiser》をレッドゾーンに送り込む志村。

森田は少考の後《尖塔のゴーレム/Spire Golem》と《ゴブリンの修繕屋スロバッド/Slobad, Goblin Tinkerer》効果で《電結の暴れ者/Arcbound Bruiser》を殺さぬよう身を守るのだが、いかんせんそのダメージは大きく、しかも自らの勝利は遠くへ逃げていってしまう。
守りを固めながらも守るだけしかできなかった森田に対し、志村はさらに引き寄せた《手綱取り/Grab the Reins》で第1ゲームをものにした。

森田 0-1 志村

Game 2

森田先攻に代わっての第2ゲーム。森田は初手を見て少し苦い顔をしながらもキープ、志村もマリガンすることなくゲームが始まった。

その苦い顔が示すとおりか第3ターンまで何も動きのない森田に対し、志村は《急報/Raise the Alarm》《希望の使者/Emissary of Hope》で攻め立てる。第4ターンの戦闘時に現れた《針虫/Needlebug》も《静電気の稲妻/Electrostatic Bolt》で退け、序盤は志村優位に進む。

しかし、森田の攻防のエース《尖塔のゴーレム/Spire Golem》が《溶接の壺/Welding Jar》の守りつきで現れると、志村も手を止めざるを得なくなる。やや土地を引き過ぎている印象か。

だがこれで止まってしまうのが今日の志村ではない。《電結の暴れ者/Arcbound Bruiser》をプレイし、森田が《クラーク族の兵卒/Krark-Clan Grunt》を追加した次のターンには《レオニンの円月刀/Leonin Scimitar》を引いて兵士トークンに装備させ攻撃し、《クラーク族の兵卒/Krark-Clan Grunt》にブロックされた兵士を失いながらも森田に《教議会の座席/Seat of the Synod》をサクリファイスさせる。

森田がここで《尖塔のゴーレム/Spire Golem》の手を止めると、志村は続けて《手綱取り/Grab the Reins》をドロー。すぐさまこれを、コントロールを奪う対象を《尖塔のゴーレム/Spire Golem》に、投げつけてダメージを与える対象を《クラーク族の兵卒/Krark-Clan Grunt》に指定してプレイする。

カードを手に取り、ルールの確認をジャッジに求める森田。最善の策を求め考慮を進め、選んだ対応策は、《クラーク族の兵卒/Krark-Clan Grunt》を《残響する真実/Echoing Truth》で救うことだった。これにより、《尖塔のゴーレム/Spire Golem》のコントロールが移動し、これがサクリファイスされるところまでが実行された。無人の荒野を、志村の《電結の暴れ者/Arcbound Bruiser》と兵士トークンが駆ける。

《クラーク族の兵卒/Krark-Clan Grunt》と《電結の働き手/Arcbound Worker》を改めて場に出し、その先制攻撃能力でもってなんとか場を押しとどめようとする森田。だが、志村は手に入れた追加戦力を有効に使い、道をこじ開けていく。

まずは《ロクソドンの戦槌/Loxodon Warhammer》を引き、これを兵士トークンに装備させ、先ほどと同じように先制攻撃で一方的に死ぬことを覚悟しての攻撃。森田も注文通り応じざるを得ない。さらに《オキシダのゴーレム/Oxidda Golem》を引き当て、これで《電結の暴れ者/Arcbound Bruiser》の接合能力に意味を持たせた上で攻撃。これはなんとか撃退した森田だが、もはやアーティファクトは残されてはいない。

次に引いたカードを見た森田は、残された手札に対応策が全く無いことを明らかにして、右手を差し出したのだった。

森田 0-2 志村

実に5度目の銀メダルとなってしまった森田。しかし、そのプレイングは日本を代表するプレイヤーのそれであったことは間違いない。

そして、素晴らしいドローを見事な手腕で勝利に結びつけた志村一郎。多くの友人に祝福されるその姿こそが、彼の魅力を体現しているのだと思う。

素晴らしいパフォーマンスを見せた彼らの、サンディエゴでの活躍を期待しよう。

おめでとう、2004グランプリ仙台チャンピオン、志村一郎!

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