準々決勝:土地勝負
三原 槙仁(日本) vs. Matej Zatlkaj(スロバキア)

更新日 Event Coverage on 2013年 5月 19日

By Nate Price

A longtime member of the Pro Tour and Grand Prix coverage staff, Nate Price now works making beautiful words for all of you lovely people as the community manager for organized play. When not covering events, he lords over the @MagicProTour Twitter account, ruling with an iron fist.

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三原槙仁(エスパー・コントロール) vs. マテイ・ザトルカイ/Matej Zatlkaj(エスパー・コントロール)

 決定的なトップデッキが織り成すドラマは、マジックというゲームにおいて私たちの記憶に焼き付くような数々の伝説を生み出してきた。ここぞという瞬間にカードの心を掴んでいることが報われるというのは、これ以上ない喜びに包まれることだろう。しかしデッキが思い通りに動くということは、その逆もまたある。マテイ・ザトルカイと三原槙仁の両者が、焦れるような準々決勝にてそのスリルのなかで感じ取ったように。

 三原槙仁が勝利をもぎ取るには、5ゲームすべてを要した。一進一退の試合のなかで、彼は強力なトップデッキを見せ、ついに最後のダメージを通したのだ。

「試合が始まる前に、これだけは言っておきたかったんです。あなたをプレイヤーとして尊敬しています。どちらが勝つにしても、僕は幸せだ」三原のとてつもない偉業をたたえ、ザトルカイが切り出した。

第3ゲーム、第5ゲームと両者ともが強烈なトップデッキを叩きつけ合い、三原槙仁がマテイ・ザトルカイを下した。

 ザトルカイがどれだけ幸せを感じていたとしても、彼の2度目のプロツアートップ8、その最初のゲームがまともにできなかったことには苛立ちを隠せなかった。三原が着実にマナ基盤を築く間、ザトルカイのデッキから手札へ土地がどんどん溢れ出したのだ。やがて三原は、伸び続ける土地を使う先となる《霊異種》を戦場へ投入した。ザトルカイは《スフィンクスの啓示》を2枚引き込み、そこに増えすぎた土地を注ぎ込んだが、苦しみを和らげることはなく、むしろ苛立ちを増すばかりだった。X=4、5と続けた《スフィンクスの啓示》でも、それを唱える前と比べて一歩もゲームを進めることはなかった。

「スペルは《スフィンクスの啓示》2枚だけでした」ザトルカイがそう言うと、三原も同じような事故を起こしていたと認めた。唯一の違いは、それを《霊異種》で有効に使えたことだけだ。《霊異種》の攻撃が2回通り、ザトルカイは投了の意思を示し手札から土地を1枚ずつテーブルへ並べた。それが10枚を数えたところで両者は苦笑を漏らす。決して望んでいないスタートだった。

 最初のゲームを決定づけたのはマナ・フラッドだったが、マナ・スクリューがゲームを決めることもあった。ザトルカイは第2ゲーム、第3ゲームとマナに問題を抱えず戦い2-1とリードを取ったものの、デッキの気まぐれに再び計画を狂わされた。4枚目の土地が置けず、《思考を築く者、ジェイス》の着地が遅れたのだ。さらに困ったことに三原の戦場には《罪の収集者》がいて、ザトルカイは《思考を築く者、ジェイス》を出しても最初はカウンターを増やすことを強いられた。続くターン、三原が戦場へ2体目のクリーチャーを加えると、ザトルカイは行動を起こすことに決めた。彼は《思考を築く者、ジェイス》でカードを引くことにしたが、三原は《アゾリウスのギルド門》をひとつの束に、そして《心理的打撃》と《アゾリウスの魔除け》をもうひとつの束に分けた。ザトルカイはため息を吐いて呪文の束を取り、土地をデッキへ戻した。

「そこでギルド門じゃ意味がなかったんです」ゲーム後、ザトルカイはそう告白している。「アンタップ・インの土地だったらそっちを取って、《拘留の宝球》ともう一枚除去が使えたから《思考を築く者、ジェイス》を残せたかもしれないので」

 それでも、彼は土地4枚のまま《思考を築く者、ジェイス》を守ろうとした。《アゾリウスの魔除け》と《肉貪り》を組み合わせ、このターン《思考を築く者、ジェイス》を残す望みに賭けた。しかし、三原は《払拭》で《肉貪り》を止めて《罪の収集者》を生かすと、《思考を築く者、ジェイス》に攻撃を加えた。次のターンになっても流れは変わらず、ザトルカイはマナを増やせなかった。三原はゆっくりとリードを広げ、ザトルカイへの勝利を確実なものとした。

ザトルカイはゲームを先取しようと試みたが、デッキが土地と呪文の比率通りにカードを供給しなかった。

 興味深いことに、そのゲームを通しては三原もマナに問題を抱えていた。ザトルカイが5枚目の土地を引かない一方で、三原は2枚目の青マナ源がないままゲームのほとんどを乗り切っていたのだ。つまり大勢が決まるまで、《霊異種》と《スフィンクスの啓示》と《思考を築く者、ジェイス》が手札に取り残されていたということだ。それだけの悪条件でもゲームを取れたという事実が、ザトルカイの不利な状況を物語っている。

 デッキはいつでも冷酷というわけではない。第3ゲーム、ザトルカイは三原の動きを傍目から見ていたかのような気持ちになった。三原がおもむろに《罪の収集者》をプレイすると、ザトルカイが公開した手札には抜けるものがひとつもなかった。ザトルカイがドロー後土地を6枚倒し、《スフィンクスの啓示》をテーブルへ出した瞬間の三原の驚きを想像してほしい。

「ははっ、オーケー」ザトルカイの手札が満たされるのを見て、三原が言えたのはそれだけだった。そこがこのゲームの分岐点で、ザトルカイが《霊異種》を引き込み2ターン後に展開すると、彼が勝利を得るには時間がかからなかった。

三原は対戦相手から運良く飛び出した《スフィンクスの啓示》によって第3ゲームを落とした。
ただし、彼は5ゲーム目に意趣返しを果たす。

 三原のもとにも幸運が訪れた。この試合最後のゲーム、三原が《思考を築く者、ジェイス》を通してカードを引きわずかな優位を得たところで、ザトルカイが《知力の刈り取り》をX=2で放った。三原の6枚の手札を見ると、そこには《霊異種》や《スフィンクスの啓示》が見られず、ザトルカイはそれらを《ロボトミー》できないことにやや落胆を覚えた。彼は仕方なく《罪の収集者》と《払拭》の2種類を抜いた。アンタップ後三原は笑顔を見せ、タップ・アウトし《スフィンクスの啓示》をX=3で撃つと、そのドローは完璧だった。《思考を築く者、ジェイス》を守れるカードに加えて、ゲームを終わらせる《幽霊議員オブゼダート》。2ターン後、試合は決したのだった。

「最後のゲームは僕のドローも良かったのですが」試合後、ザトルカイはそう語った。「このマッチアップで輝く《管区の隊長》2枚に、《アゾリウスのギルド門》。でも2枚目の白マナ源が手に入りませんでした」

 マナの問題が頻発し両プレイヤーを悩ませる試合ではあったが、それでも光るプレイは見られた。ハイレベルなコントロール同系戦で常に見られるように、両プレイヤーとも《湿った墓》と《神聖なる泉》の出し方でアドバンテージを取り合い、ときには手札に使えるカードがなくとも2点を受けアンタップで出すこともあった。あるとき、ザトルカイは2枚の手札が打ち消し呪文と除去呪文であるかのように三原をうまく騙してみせ、三原に《払拭》を構えつつ《霊異種》を守れるマナを確保するまで《霊異種》の投入を躊躇させた。

 このマッチアップは本当に僅差の試合で、結果は三原の側に転んだ。三原は最後まで諦めず極めて優れたプレイを見せ、それはマテイ・ザトルカイへの勝利、そして準決勝への進出という形で報われたのだ。


試合メモ:

 第1ゲーム終了後、三原は《ヴィズコーパの血男爵》をデッキに残した。サイドボード戦略としては正攻法でないやり方だ。この戦略により三原はザトルカイの予想より多くの脅威を持ち、ザトルカイはサイドボーディングの見直しを余儀なくされた。クリーチャー除去を増やし、パーミッション戦略を犠牲にすることとなったのだ。

 このマッチアップでは普通、最初に戦場へ出るのは《思考を築く者、ジェイス》か《霊異種》だが、今回は2ターン目に《管区の隊長》を出したプレイヤーがそのゲームを取っている。これは5ゲーム中4つのゲームで起きており、三原が《管区の隊長》を引き込んで勝利を決めた第5ゲームもそうだった。


(Tr. Tetsuya Yabuki)

三原 槙仁

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Matej Zatlkaj

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