準々決勝:瞬速より速く
エストニア代表 vs. アイスランド代表

更新日 Event Coverage on 2013年 8月 4日

By Mike Rosenberg

Mike Rosenberg is a writer and gamer and has been part of the Magic text coverage team since 2011. He joined Wizards as organized play’s content specialist in June 2014.

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エストニア代表 vs. アイスランド代表(チーム共同デッキ構築・スタンダード)

 エストニア代表。昨年のワールド・マジック・カップを11位という見事な成績で終えたこのチームから、ハンネス・ケレム/Hannes Keremとサイモン・ロバーツ/Simon Robbertsのふたりが戻ってきた。プロ・ポイント49点でこのチームのリーダーを務めるケレムは、メンフィスで行われた世界選手権2008でもトップ4入りという注目すべき結果を残している。

 その相手となるのは、ケレムが獲得したプロ・ポイントの4分の1にも満たないチームなのだが、彼らはこの週末を席巻してきた。アイスランド代表が持つプロ・ポイントは全選手合わせて12ポイントだ。その中でアルヴィン・オーリー・ギスラソン/Alvin Orri Gislasonが、国内プロ・ポイント・リーダーと「ナショナル・チャンピオン」の立場にある。人口30万人ほどのアイスランドでは、マジック界の規模は大きくない。それでも、この国は世界の舞台でトップ32に入ることを目指し、その目標はチーム・メンバーに刻まれていた。

 彼らは勝ち続けた。2日目第1ステージが終わったとき、気づけば彼らはトップ16に入っていた。さらに3ラウンド後、彼らはトップ8の場にいた。

準々決勝で顔を合わせるエストニア代表とアイスランド代表。前大会の経験者を擁するチームと、この場にいるだけで幸せを感じているチームの試合だ。

 全選手がスポーツマンシップに溢れている両チームは、席につくなり握手を交わし、シャッフル後それぞれの戦いを始めた。

ミック・カーシク/Mikk Kaasik(アリストクラッツ) vs. アルヴィン・オーリー・ギスラソン(ドムリ・グルール)

 アイスランドの「ナショナル・チャンピオン」とエストニアのカーシクの試合は、短いものだった。第1ゲーム、ギスラソンが序盤に《ドムリ・ラーデ》を呼び出すと、それはギスラソンの手札を補充し、《血の芸術家》を除去し、続けて《雷口のヘルカイト》が素早くカーシクを壁際へ追い込んだ。《冒涜の行動》によってひと息つけたカーシクだったが、ギスラソンの追加した《ゴーア族の暴行者》が、続く2ターンでゲームを決めた。

 第2ゲームはさらに速かった。カーシクはマリガン後、土地がタップインするものだけの手札になった。それに対して、ギスラソンは第1ゲームと同様の早さでスタートを切り、《雷口のヘルカイト》が試合開始早々にアイスランドへリードをもたらした。

サイモン・ロバーツ/Simon Robberts(青白赤フラッシュ) vs. ヘジン・ハロルドソン/Hedinn Haroldsson(青白赤フラッシュ)

 この青白赤フラッシュのミラー・マッチは、予想の通り時間のかかる試合だった。ハロルドソンとロバーツの両選手は土地を並べ続け、小競り合いを続けるうちにライフはひと桁になった。争点はどちらが《スフィンクスの啓示》を通せるか、ということに尽きる。ようやく大きな動きが実を結んだのは、ロバーツのライフが6点になったころだった。ロバーツがライフを回復してハロルドソンのライフを0点へ近づけようと《戦導者のらせん》を撃ち込むと、ハロルドソンも《戦導者のらせん》を合わせてきた。ハロルドソンのターンの終わりにカウンター合戦が巻き起こり、その結果ライフ総量に変化はなく、ハロルドソンがタップ・アウトの状態になった。

アイスランド代表のヘジン・ハロルドソンは、第1ゲームの長期戦にその身を置いた。

 ロバーツは素早くアンタップし、続けて《スフィンクスの啓示》をX=6で唱えた。ライフは12まで回復し、手札が一新される。ハロルドソンも返しのターンに同じことをしてカードを5枚引くと、両プレイヤーともふりだしに戻った。ハロルドソンはカードを引く呪文に続けて打ち消し呪文も手に入った。

 両者は再び元の戦いに戻った。小さなアドバンテージを削り合い、《ムーアランドの憑依地》のトークンでライフを交換し合い、《ボーラスの占い師》を出し合い、またハロルドソンの方はたまに《変わり谷》を起動した。やがて、ロバーツのライフがハロルドソンの《戦導者のらせん》に捉えられたのだった。

 ところが、第2ゲームへのサイドボーディングが終わらないうちに……

ラウノ・ライドマ/Rauno Raidma(ドムリ・グルール) vs. ラグナル・シグルズソン/Ragnar Sigurdsson(ジャンク・アリストクラッツ)

……シグルズソンがライドマを相手に、激しいゲームをふたつ乗り越え勝利をものにした。第1ゲームはシグルズソンが《カルテルの貴種》と《復活の声》で序盤から攻め立て、一方ライドマは4ターン目《雷口のヘルカイト》でその上を飛び越えていこうとした。

 この《雷口のヘルカイト》はやや早計であったことがわかる。《未練ある魂》のおかげで、シグルズソンはライフ・レースを有利に進めるだけでなく、《カルテルの貴種》が《復活の声》を生け贄に捧げてエレメンタル・トークンを生み出すと、強烈な脅威になるのだ。結果的に、《未練ある魂》とエレメンタルのトークン軍団が第1ゲームを取っていった。

 第2ゲームは《漁る軟泥》同士の戦いが目立った。両プレイヤーとも先を争うように、前のターンに相討ちしたクリーチャーを《漁る軟泥》に餌として与えた。だがしかし、シグルズソンが呪文を引き始め、ライドマのドローは土地が続くと、この争いは無意味なものになった。シグルズソンが引いた呪文のひとつが《突然の衰微》で、彼は対戦相手の《漁る軟泥》を除去し、ライフが心許ないものの攻撃に向かった。

 ライドマの手札から《地獄乗り》が繰り出されても、それでは不十分だった。続くターンにシグルズソンの《カルテルの貴種》やスピリット・トークンと相性の良い《血の芸術家》が現れると、エストニア代表の未来は厳しいものとなった。それでもシグルズソンは堅実なプレイを続け、盤面を固めるまで毎ターン1/1トークンだけで攻撃した。

エストニア代表のコーチ役を務めるハンネス・ケレムが、ラウノ・ライドマのドロー・ステップのたびに、強化されていく対戦相手の盤面への解答が引けるかどうか、じっと見守っている。

 ついに現れる《復活の声》。再び《カルテルの貴種》で生け贄に捧げると、ゲームはゆっくりとアイスランド側へ傾いていった。ライドマのライフは10点まで落ち込み、その後大きく育った《漁る軟泥》と、シグルズソンが生け贄に捧げた《復活の声》が残したエレメンタル・トークンに対して、チャンプ・ブロックに入らざるを得なくなり、ライフはさらに減っていった。「土地9枚か。オーケー……」エストニア代表のコーチ、ハンネス・ケレムがつぶやいた。彼はチームメイトが何も引けないのをただ力なく見守っていた。

 最終ターンには2枚目の《地獄乗り》が繰り出されたが、あまりに小さく、あまりに遅かった。対戦相手は《血の芸術家》と《漁る軟泥》のおかげで、ライフを安全域まで上げていたのだ。シグルズソンの《血の芸術家》と《カルテルの貴種》が力を合わせれば、ゲームを終わらせることができる。ライドマは攻撃に向かい、その後ふたりのエストニア代表プレイヤーはシグルズソンに握手を求めた。次のターンは無いのだ。

ワールド・マジック・カップ優勝というアイスランドの夢は、生き続ける。

 エストニア 0-2 アイスランド


(Tr. Tetsuya Yabuki)

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