準々決勝 : 栗原 伸豪(東京) vs. 片山 英典(大阪)

更新日 Event Coverage on 2006年 8月 26日

By Daisuke Kawasaki

栗原 伸豪

さて、準々決勝から東京の栗原と大阪の片山の一戦をお送りしよう。

さきのプロツアー・チャールストンでは、日本勢から2チームが日曜日の決勝トーナメント進出を果たすという素晴らしい活躍が見られた。優勝した「Kajiharu80」からは、斎藤 友晴がこの横のテーブルで日本代表を目指すべく戦っているし、八十岡 翔太と鍛冶 友浩は、今や世界の「Player of the Year 2006」争いをリードする存在なのだ。

だが、日本勢ではそれらに次ぐ第8位に入賞したチーム「GG Jirou」のメンバーもまた、その大会以降、非常に注目すべき成績を残していることをご存知であろうか?

作るデッキが全て「ムネオコン」の名を冠するほどのコントロールフリーク・鈴木 貴大はこの日本選手権でも圧倒的なパフォーマンスを見せ、今まさに準々決勝を戦っている。

また、実力者揃いの中で強烈な存在感を放つ野中 健太郎もまた、鈴木とともにグランプリ広島でTop8入賞を果たし、実力のあるところを見せ付けている。

そして、このチームの『第3の男』ともいえる存在が、栗原 伸豪(東京)なのである。

天才肌でシャイな鈴木と「前に出る」キャラクターの野中の間にあって、少し引いてチームをまとめる印象がある栗原。プロツアー8位の実績が示すとおり、彼自身の実力もまた太鼓判ものなのであるが、やや目立たないところがあるのもまた、率直な印象である。

しかし、その栗原に戴冠のチャンスがやってきた。そのたたずまいは落ち着いたものであるが、内心秘めたものがあるのは間違いない。

対する片山 英典(大阪)もまた、静かに気持ちを高めるタイプのプレイヤーだ。その2人の対戦は、大規模トーナメントでのプレイオフが初めてとは思えないほど、絵になるものだと記しておこう。

もうひとつ注目したい点がある。それは、双方のデッキは「Rouge Deck」に分類されるものになる、ということだ。

栗原のそれはドイツ選手権を制した、いわゆる「Combat Proven」のものとはいえ、軽量スペルの連打から《深き刻の忍者/Ninja of the Deep Hours》《上位の空民、エラヨウ/Erayo, Soratami Ascendant》が飛び出すというのは、やはり見ていてワクワクさせる、「地雷」感にあふれたものだろう。

「奇襲デッキ」から、優勝デッキの王道へ。
「第3の男」から、日本王者という主役へ。

静かな闘志を燃やす2人が、火花を散らす。

Game 1

ダイスロールで栗原先攻となる。
しかし初手を見て、眉をしかめて考える。マリガン、入念にシャッフルをやり直す。

その過程が、1度2度3度…4度5度と繰り返されることになってしまうとは。
さしもの栗原もあきらめ顔。手札2枚からのスタートでは、実力者もいかんともしがたい。

片山も3枚目の土地を引けなかったのだが、《闇の腹心/Dark Confidant》で公開された《冠雪の山/Snow-Covered Mountain》を見た時点で、栗原は静かに次のゲームに移った。

片山 1-0 栗原

片山のサイドボーディング
Out:
4《血の手の炎/Flames of the Blood Hand
3《火山の鎚/Volcanic Hammer
1《残酷な布告/Cruel Edict
In:
4《氷結地獄/Cryoclasm
2《紅蓮地獄/Pyroclasm
1《陶片のフェニックス/Shard Phoenix
1《流砂/Quicksand

栗原のサイドボーディング
Out:
3《上位の空民、エラヨウ/Erayo, Soratami Ascendant
2《マナ漏出/Mana Leak
4《差し戻し/Remand
1《撹乱する群れ/Disrupting Shoal
1《羽ばたき飛行機械/Ornithopter
2《ミシュラのガラクタ/Mishra's Bauble
In:
3《木彫りの女人像/Carven Caryatid
2《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves
2《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror
2《梅澤の十手/Umezawa's Jitte
3《不忠の糸/Threads of Disloyalty

Game 2

片山 英典

またしてもマリガンスタートを余儀なくされる栗原だが、6枚から《極楽鳥/Birds of Paradise》《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》のスタート。これに対し片山は《炎の印章/Seal of Fire》をプレイしたが、《極楽鳥》を焼くことなくそのままターンを返す。

ここはひとつのキーポイントである。
忍術により《深き刻の忍者/Ninja of the Deep Hours》を出すことが全ての始まりである栗原のデッキにとって、《炎の印章》による牽制ほど嫌らしいものはない。逆に言うと、片山にとっては、第1ターンにしてやってくる関門をクリアしたことになるのだ。

栗原は《羽ばたき飛行機械》で攻撃宣言するが、《炎の印章》を見て結局、何もなし。そこに片山は《紅蓮地獄/Pyroclasm》をプレイ、《極楽鳥》《羽ばたき飛行機械》を流す。忍術の種になる小型クリーチャーを丁寧に除去することもまた必要なことだ。

栗原は、3枚目の土地から《木彫りの女人像/Carven Caryatid》をプレイ。後の攻撃の備えとするとともに、新たなカードを求める。

片山は考えながら《闇の腹心/Dark Confidant》をプレイした。

戦前に片山が語ったもうひとつのキーポイント、それは《不忠の糸/Threads of Disloyalty》である。際限なくアドバンテージを生み出すこの「Bob」が栗原の手に渡るようだと、手数で勝負したい片山側が非常に苦しくなる。そもそも、栗原のデッキのカードは軒並みマナコストが軽いのである。

果たして、それはなかった。栗原は《手練/Sleight of Hand》でカードを探しつつ、《極楽鳥》を追加するだけ。しかし、《ラクドスのギルド魔道士/Rakdos Guildmage》は《マナ漏出/Mana Leak》してリードは許さない。

栗原が4枚目の土地として《繁殖池/Breeding Pool》をアンタップでプレイして《極楽鳥》で攻撃宣言するが、片山はこれを「ブロックに入る前に」《炎の印章》で除去し、忍術=《静風の日暮/Higure, the Still Wind》登場の芽を摘む。

片山の《闇の腹心》が《氷結地獄/Cryoclasm》を導くと、これが《繁殖池》を破壊。マナベースとライフの双方を攻撃され、栗原は苦しくなってきた。片山は《尖塔の源獣/Genju of the Spires》を準備。

栗原の終了フェイズに片山が《海の中心、御心/Mikokoro, Center of the Sea》を起動したところで、《闇の腹心》を《撤廃/Repeal》して時間を稼ぐ栗原だったのだが、片山がプレイしたのは《闇の腹心》ではなく《陶片のフェニックス/Shard Phoenix》。盤面に静かな圧力をかけ、将来のカードアドバンテージも確保する。

栗原は5枚目の土地から《静風の日暮》を素出し。しかし片山はこれを《悪魔火/Demonfire》で焼き、突っ込んでいった《尖塔の源獣》は《木彫りの女人像/Carven Caryatid》と相打ちになった。

土地6枚からの《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》にはまたしても《悪魔火》。トークンは《ショック/Shock》で忍術の機会を与えない。ペインランドとショックランドで、いつしか栗原のライフは6。《尖塔の源獣》が再び現れ、栗原に大きなプレッシャーをかける。

しかし、譲らない栗原も《曇り鏡のメロク》の2枚目をプレイグラウンドへ送る。
そろそろ火力も尽きている片山だが、《陶片のフェニックス》で攻撃宣言。栗原は通してライフ4。片山の手から《炎の印章》がプレイされ、これが《曇り鏡のメロク》に打ち込まれたあと《紅蓮地獄/Pyroclasm》。トークンを出す機会はなく、栗原の最後の頼みの綱、《曇り鏡のメロク》も墓地へ送られることとなった。

続けて片山がプレイするは《闇の腹心/Dark Confidant》。
現状において、最高の追加戦力である。

打つ手を全てさばき切られ、栗原は次のゲームに目を向けた。

片山 2-0 栗原

片山のサイドボーディング
Out: 1《火山の鎚/Volcanic Hammer
In: 1《残酷な布告/Cruel Edict

Game 3

Pyroclasm

栗原はまたしてもマリガンの苦しいスタート。しかし、先ほど同様《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》のスタートを決める。しかし、《炎の印章/Seal of Fire》で待ち受ける片山に、栗原は2枚目の土地を置けず《ラノワールのエルフ》で攻撃して《極楽鳥/Birds of Paradise》をプレイするのみ。

そこに突き刺さる《紅蓮地獄/Pyroclasm》。

無人の戦場を駆けるは《尖塔の源獣/Genju of the Spires》。
対策を持たなかった栗原は、静かな笑顔で投了を宣言した。

片山 3-0 栗原

勝負が終わって立ち去り際に栗原がポツリと、

「2戦目は勝てる回りだったんだけどなぁ…」

しかしその響きは、勝てなかったボヤきというよりも、強い回りに対しても的確に攻撃をさばいてきた相手に対する敬意が感じられるものだった。相手への敬意、自分への反省。勝負から多くのものを得るためには、そういった要素が不可欠のものであると感じた。

静かな闘志と同時に、取り巻く空気を柔らかくまとめる魅力を持った栗原。日本代表の「第3の男」となることはできなかったが、今後もその活躍に期待したいと思う。

片山 英典、準決勝進出!

Shingou Kurihara

Download Arena Decklist
ソーサリー (4)
4 Sleight of Hand
インスタント (15)
4 Remand 3 Disrupting Shoal 4 Mana Leak 4 Repeal
アーティファクト (4)
4 Mishra's Bauble
エンチャント (4)
4 Erayo, Soratami Ascendant
60 カード

Katayama Hidenori

Download Arena Decklist
クリーチャー (8)
4 Dark Confidant 4 Rakdos Guildmage
ソーサリー (11)
4 Cruel Edict 4 Volcanic Hammer 3 Demonfire
インスタント (12)
4 Shock 4 Char 4 Flames of the Blood Hand
エンチャント (7)
3 Genju of the Spires 4 Seal of Fire
60 カード

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