準々決勝 : 石丸 健(熊本) vs. 清水 直樹(神奈川)

更新日 Event Coverage on 2006年 8月 26日

By Yukio Kozakai

丸 健

2回同じ相手には負けられない。ましてや、負ければそれで終わりの日曜日。石丸 健は、越えなければならない対戦相手に、最終日で再び対峙した。スイスラウンドのラヴニカリミテッド。ここで、連勝中の勢いに乗る清水 直樹に初黒星を喫した石丸は、「今日は、ここで絶対に清水君に勝ちたいです」と強い意志を語ってくれた。

今回プレーオフに残ったメンバーは、大変フレッシュな顔ぶれが並んでいる。石丸も新鋭と見られがちだが、それはちょっと違う。

33歳。マジック歴10年。プロツアー4回参戦。マジック:ザ・ギャザリングの歴史を知り、世界を知り、そして1人の大人として社会を知る大ベテラン。今回のTOP8がフロックではないのは、この秋に開催されるPT神戸の権利を既に持っていることでも証明済みだ。

石丸 「仕事がとても忙しくて、長い休みを取れるのは、年に1回程度です。今回も夏休みを使って来てますが、社会人でも年に1回以上はPTに出る、という目標を持ってマジックをしてます。熊本という地方に住んでて、しかも忙しい僕にとっては、8人でドラフトが出来るというだけで幸せなんです」

週末に出来た時間にショップに出掛けたり、たまに福岡で行われるPTQ・GPTが、マジックをプレイ出来る数少ない機会だという。マジック・オンラインでのプレイも出来ないでいたが、それでも使える時間は全て使って練習を積んできた。全国区では無かっただけだ。けれども、実力は日本トップクラス。

それが「老練な新鋭」、石丸 健だ。

"ソーラーフレア"、日本で言う"太陽拳"の使い手が、その手に太陽を掴もうとしている。だが、清水 直樹を語る上で外せないキーワードではあるが、彼はそれだけのプレイヤーではなかった。

スイスラウンド10連勝など語るべきテーマは多いが、迫るのは彼自身のキャラクターだ。大会中、周囲のプレイヤーや関係者も感じていた事だが、感情をストレートに言葉で表現する場面が非常に多く、それが「ビッグマウス」と取られることもしばしばあった。

だが、それが勢いとして結果に現れているのも確かである。世に言う「ビッグマウス」というキャラクターは、「自分に自信を持っているエンターテイナー」であることが多い。それでも、結果を残している間は好意的に受け入れられる風潮が一般的だ。

しかし、結果と実力が伴わなければ逆風を受ける。その覚悟が無ければ、「ビッグマウス」というキャラクターは演じ切れない。精神的なタフさが要求されるからだ。その意味では、「勝負師」としてのセンスに長けているのが、この清水ではないかと思う。

ともあれ。両者とも、ニューフェイスとしては久々に登場した実力派であり個性派だ。フランス・ルーブル美術館を目指した、ある意味で最後の関門。突き破るのは、石丸か、清水か。

Game 1

マリガン後も土地が1枚しか見えない石丸。《極楽鳥/Birds of Paradise》を召喚し、祈りを込めてドローをした2ターン目。無事に《草むした墓/Overgrown Tomb》を引き当てて《惑乱の死霊/Hypnotic Specter》をプレイし、《香杉の源獣/Genju of the Cedars》も加えてビートダウンを完成させる。

さらに《化膿/Putrefy》で《アゾリウスの印鑑/Azorius Signet》を破壊し、ランダムディスカードを強要し続ける石丸に対し、《ふるい分け/Sift》と《アゾリウスの大法官庁/Azorius Chancery》で手札を維持し、ディスカードも土地ばかりで呪文を抱えている事の出来た清水は《神の怒り/Wrath of God》に届く。

しかし、《香杉の源獣》の攻勢は止まらず、《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》を出すものの《惑乱の死霊》で《嘆きの井戸、未練/Miren, the Moaning Well》を失っていた清水は、伝説の黒龍をもってしても石丸の《悪魔火/Demonfire》をかわしきる事は出来なかった。

石丸 1-0 清水

Game 2

またしても初手に土地が1枚しかないが、マナクリーチャーと《闇の腹心/Dark Confidant》《オーランのバイパー/Ohran Viper》など先が見えるハンド。第1ゲームのドローがあれば……と信じてゲームを進めるが、2度目は無かった。

土地が1枚で止まり、《闇の腹心》は《屈辱/Mortify》、続けてもう1体追加するも、今度は《神の怒り/Wrath of God》が飛んでくる。

清水 「さすがに、マリガンミスじゃないですか?」

石丸を挑発するが、石丸のハンドで唸るカード群は、あと数枚の土地さえあれば充分に清水を制するだけの力があり、ゲームスコアでリードしているのも石丸である。冷静に状況を分析し、清水の挑発にも微動だにせず沈黙をもって応える。

しかし、現状は厳しい石丸。引き込んだ《困窮/Distress》で清水の手札をうかがうと、そこには《夜の星、黒瘴》《アダーカーの戦乙女/Adarkar Valkyrie》《絶望の天使/Angel of Despair》《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》と、フィニッシャーだらけの内容に、思わず天を仰ぐ。

石丸が仰いだ天に舞うのは、その名の通りの絶望の運び手、《絶望の天使/Angel of Despair

石丸 1-1 清水

Game 3

清水 直樹

考え込んだ末に、キープを宣言した清水。石丸は今回は軽やかに《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》経由で《オーランのバイパー》を召喚し、《アゾリウスの印鑑》を《化膿》する。

《神の怒り》を遠ざけ、新たなる「知恵の蛇」が、次々と石丸に知識を持ち込む。《惑乱の死霊》は《屈辱》されるが、印鑑を破壊した事で土地の止まった清水に、《巨大ヒヨケムシ/Giant Solifuge》が圧倒的な力で襲い掛かる。

清水 「何故(マナが足りてないと)わかったんだ……」

印鑑を失って完全にプランが狂った清水。迷わず《化膿》を打ち込んだ石丸。石丸のブレないプレイングスタイルは、決勝ラウンドでも健在だ。

《神の怒り》は遠く、《清麻呂の末裔/Descendant of Kiyomaro》を守りの力として呼び込むも、石丸の《闇の腹心》が《死の印/Deathmark》を提示したのを確認すると、「投了します」と、一言。

清水 「……こんなはずでは」

ついに弱気が口をついて出てくる清水。彼の中で、何かが崩れ始めている。

石丸 2-1 清水

Game 4

清水 「そろそろ、マナクリーチャースタートは勘弁して欲しいです」

第2ゲームまでの勢いは、もはや清水にはない。それでも、ハンドをキープした目はまだある可能性を信じている強さが残っている。

一方、昨日の最終ラウンド終了後に「デッキがかみ合えば……」と話していた石丸。その時のマイナス面の話がここで出てしまう。ダブルマリガン後も充分とはいえないハンドをキープせざるを得なかった。

考え込みながらもファーストドローに手を伸ばすと、そこには《香杉の源獣/Genju of the Cedars》、続けて《闇の腹心》プレイと、かなり好調なスタートが出来た石丸だったが、《闇の腹心》には即座に《屈辱》。先が見えなくなった石丸だったが、順調に4マナを並べてプレイした《巨大ヒヨケムシ/Giant Solifuge》が、フィールドを駆け抜ける。

対応策を求めて清水が《強迫的な研究/Compulsive Research》した返し。石丸が引き当てたのが、会心の《迫害/Persecute》!

Persecute

これが決定打だった。

清水の《神の怒り》らの真っ白なハンドを一網打尽にし、引き当てはしたが、もはやただのブロッカーの域を超えない存在となった《絶望の天使》には《死の印》を打ち付け、石丸は日本代表入りへ最初の関門を突破したのだった。

石丸 3-1 清水

清水 「ちくしょーーーー!!! 何でだーーーー!!!!!」

手札を机に放り出し、全身で悔しさを表現する清水。

清水 「でも、あそこで土地の置き方を間違えてた……。そうでなければ《神の怒り》を撃てた。うん、ミスだ。俺はミスして負けたんだ」

石丸のトップデッキした《迫害》は確かに強かった。だが、敗因をそこには求めず、あくまで自身に責があると冷静にゲームを振り返り―――――

清水 「世界選手権出場、おめでとうございます」

石丸に握手を求めた。今大会中、"ソーラーフレア"に始まり、堂々の勝ちっぷりと独特のビッグマウスで会場の話題をさらった清水。しかし、敗れた時は潔かった。

まず、1人の若者がフィールドを去った。しかし、その実力は本物であり、この先のプレミアイベントでも、きっと清水の名を目にすることがあるだろう。

さて、準々決勝を勝ち上がり、年末に世界選手権の行われる、フランス・ルーブル美術館の参加権を手にした石丸。社会人の石丸にとっては、まず「休暇が取れるかどうか」という問題がある。筆者は尋ねたが、石丸は力強く答えてくれた。

石丸 「もちろん。絶対に行きたいですよ!」

「行ける」では無く、「行きたい」なのには理由があり。

石丸 「その前に、まず上司とのRound 0に勝利してからです!!」

戦う社会人。男・石丸33歳の夏休みは、まだまだ終わらない。

Congratulations to Ken Ishimaru !!
Advanced to Semifinal !!

Ishimaru Ken

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ソーサリー (6)
4 Demonfire 2 Persecute
インスタント (2)
2 Putrefy
アーティファクト (4)
4 Umezawa's Jitte
エンチャント (2)
2 Genju of the Cedars
60 カード
サイドボード (15)
1 Giant Solifuge 4 Carven Caryatid 3 Deathmark 3 Distress 2 Crime/Punishment 2 Indrik Stomphowler

Shimizu Naoki

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