準決勝:サイドステップ
Paulo Vitor Damo da Rosa(ブラジル) vs 渡辺 雄也(日本)

更新日 Event Coverage on 2012年 8月 31日

By Steve Sadin

パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosa (Zoo) vs 渡辺 雄也 (ジャンド)

 プロツアー殿堂選出者、パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosaは現在までに12回のグランプリ・トップ8と、9回という圧倒的なプロツアー・トップ8を記録している。しかし、この10年の大半で世界でも最高のプレイヤーのひとり(まさに最高、ではないかもしれないが)であるにもかかわらず、ダモ・ダ・ロサはプレイヤー・オブ・ザ・イヤーの栄冠を勝ち取ったことがない。

 ダモ・ダ・ロサがこのプレイヤー選手権を0-3の成績でスタートしたとき、彼はまたも栄えあるタイトルを来年まで待たなければならない運命にあるかに思われた…

 …が、彼はそこから勝ち始めた。勝った。さらに勝った。今や、彼は初開催のプレイヤー選手権の優勝まであとわずか2勝だ。

 ダモ・ダ・ロサは困難だらけのスタートからすでに目覚ましい仕事をやってのけたが、決勝に進むためには、2009年のプレイヤー・オブ・ザ・イヤー、渡辺雄也を打ち負かさなければいけない。

 ダモ・ダ・ロサと同じように、渡辺も世界で最高のプレイヤーは誰かという議論で候補に挙がる。ダモ・ダ・ロサがマジックの歴史上初めてブラジルにプレイヤー・オブ・ザ・イヤーのタイトルを持ち帰ろうと奮闘する一方で、渡辺も自身のキャリア2度目の名誉に浴するまでちょうど6ゲーム勝つ必要があるのだ。

パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサと渡辺雄也が、世界最高の2人の座を懸けて激突する。

 ダモ・ダ・ロサのZooに搭載された火力が決勝への道を焼き開くか、それとも渡辺のジャンドが撃退し生き残るのか?

ゲーム1

 ダモ・ダ・ロサは爆発的な初手をキープし、最初の2ターンのうちに2体の《密林の猿人》と《ステップのオオヤマネコ》をキャストした。しかし、渡辺も準備ができていた。《稲妻》と《大渦の脈動》が吹き荒れるとダモ・ダ・ロサに戦力は残されず、渡辺が優位に立った。

 ダモ・ダ・ロサは《密林の猿人》と《聖トラフトの霊》で戦線を再構築しようと試みたが、渡辺は《台所の嫌がらせ屋》、《タルモゴイフ》と《稲妻》でゲームの支配権をしっかりと握り続けた。

渡辺が最初のゲームの主導権を握った。

 ダモ・ダ・ロサは自身の《タルモゴイフ》と《クァーサルの群れ魔道士》で最後のもがきを見せるが、渡辺のもう1枚の《タルモゴイフ》と《ヴェールのリリアナ》は第1ゲームを決めるに十分だった。

ダモ・ダ・ロサ 0-1 渡辺

ゲーム2

 第2ゲーム、ダモ・ダ・ロサは即座に初手をキープすることを決めたが、渡辺はそう簡単にはいかなかった。

 この2009年度プレイヤー・オブ・ザ・イヤーは、与えられた初手をキープするかどうかを暫くの間熟考した。その内容は《台所の嫌がらせ屋》、《ヴェールのリリアナ》2枚、《血編み髪のエルフ》2枚、土地2枚というものだ。

 最終的に、渡辺はこの土地2枚の初手で運試しすることに決めた。

「ゲームが長引けば非常に有利なものになると考えたので、キープすることにしました。もし土地を引けたら、《台所の嫌がらせ屋》や《ヴェールのリリアナ》をキャストすることができますし、土地を引けなくても、時間を稼ぐための除去や《タルモゴイフ》を引けるでしょう。重い呪文しか引かなければ、そのときは僕の負けでしょうけど、そのリスクは受けるに値すると思ったのです。」

 ダモ・ダ・ロサは第2ゲームも素早いスタートを切った。2体の《密林の猿人》を出すと、かつてのプレイヤー・オブ・ザ・イヤーが最初の呪文を唱えるまでにライフを14まで減らしてみせた。

 わずか2ターンが過ぎただけだが、渡辺がここから少しでもつまづけば、もう形勢を取り戻すチャンスはないであろうことは明白だった。たとえ呪文を唱えるために必要な土地を引けたとしても、盤面を安定化させるためには多くの物事が彼にとってうまく進む必要がある。

第2ゲーム、渡辺は悪い状況を良いものへと、いかにしてひっくり返すかを苦慮する。

 事実、渡辺は第3ターンに《台所の嫌がらせ屋》を唱えるために必要な土地を引いた。(前のターンに《稲妻》で焼かれることを嫌ったため手札の《タルモゴイフ》を唱えることをしなかった)ダモ・ダ・ロサに、《稲妻のらせん》を《台所の嫌がらせ屋》に使わせ《密林の猿人》での攻撃を継続させることを促した。

 攻撃の後、ダモ・ダ・ロサは渡辺の持つであろうカードを考えるともはやプレイに余裕はないと考え、《タルモゴイフ》を出してターンを返した。

 自由に使える4枚目の土地を得て、渡辺は《血編み髪のエルフ》から《コジレックの審問》を続唱することができ、これでダモ・ダ・ロサの手札にある最後の呪文を叩き落とした。ダモ・ダ・ロサの全軍攻撃に対し、渡辺は《台所の嫌がらせ屋》と《血編み髪のエルフ》を《タルモゴイフ》と交換することにして、《密林の猿人》の攻撃を受けてライフは9となった。

 渡辺は《血編み髪のエルフ》のお代わりを出すと、これで《台所の嫌がらせ屋》を続唱し、ダモ・ダ・ロサは非常に厳しい状況に追い込まれた。

ダモ・ダ・ロサ相手に形勢をひっくり返す。

 《部族の炎》が《台所の嫌がらせ屋》を半分除去し、次の攻撃で渡辺はライフ9に戻るが、さらなる《台所の嫌がらせ屋》、《稲妻》、《ヴェールのリリアナ》が、ダモ・ダ・ロサがこの状況を引き延ばす前に、渡辺にこのゲームの勝利をもたらしたのだった。

ダモ・ダ・ロサ 0-2 渡辺

ゲーム3

 背水の陣に追い込まれ、赤マナ源のない初手からスタートしたダモ・ダ・ロサは第2ターンに《乾燥台地》を引くまで《密林の猿人》をキャストできなかった。

 2/3の《密林の猿人》のみが絡んでくる状態で、渡辺は2枚の《コジレックの審問》を使い、ダモ・ダ・ロサを《稲妻のらせん》と《流刑への道》、1枚の土地しかない状況に追い込み、主導権を確保した。

 この時点で、ダモ・ダ・ロサはこの形勢からの再起を図るためには何らかの脅威が必要であった…しかし、このブラジル人プロが《聖トラフトの霊》を引き、唱えたところでは、突然今度は渡辺が困難な状況から脱する必要に迫られていた。

 渡辺は《タルモゴイフ》を持っていたが、3枚目の土地はなく、厄介なことになったのは明白だった。

ダモ・ダ・ロサのZooデッキは、対戦相手がもたついている状況をフルに活かすにはうってつけだった。

 《流刑への道》が《タルモゴイフ》を処理し、続く攻撃で渡辺はライフ10に落ち込む。そして出てくる2枚目の《密林の猿人》は、ダモ・ダ・ロサがまさに次のターンにはゲームを勝ち取る位置にいることを示していた。

 メインフェイズの《ジャンドの魔除け》が《聖トラフトの霊》を除去したが、渡辺は2体の《密林の猿人》の攻撃を受けてライフ6。《台所の嫌がらせ屋》が渡辺に浮上のきっかけを与えたが、いまだ物事は彼にとって非常に手厳しい方向に向かっているようだった。ターン終了時の《稲妻のらせん》が渡辺のライフを5に落とし、《忘却の輪》が《台所の嫌がらせ屋》を追放すると、《密林の猿人》たちの攻撃で渡辺はライフわずか1に追い込まれた。

 渡辺は《大渦の脈動》で《忘却の輪》を壊した(これによって《台所の嫌がらせ屋》が帰ってきて、ライフが3に戻る)。しかしながら、《稲妻のらせん》はダモ・ダ・ロサがこのマッチで最初のゲームを勝ち取るのに十分だった。

ダモ・ダ・ロサ 1-2 渡辺

ゲーム4

 ダモ・ダ・ロサは第4ゲームを《ステップのオオヤマネコ》で始めた(これは、彼のチームメイトがトーナメントのスイスラウンド中に、ジャンド相手にはサイドアウトしていたカードだ)。一方の渡辺は《コジレックの審問》を唱え、《部族の炎》を抜き取ると、ダモ・ダ・ロサには《タルモゴイフ》、《聖トラフトの霊》、《聖トラフトの霊》、《遍歴の騎士、エルズペス》、そして緑マナの出る土地がない手札が残された。

 ダモ・ダ・ロサは緑マナ源を引くことはなく、《ステップのオオヤマネコ》が《稲妻》で除去されてしまうと、彼は1体のクリーチャーもいない盤面のままターンを返さざるを得なくなった。

 渡辺の《台所の嫌がらせ屋》が圧力を与えてきて、ダモ・ダ・ロサが3枚目の土地もクリーチャーもなく第3ターンを終了したことで、終末の兆しが見えてきた…

 渡辺は続く2ターンで《ヴェールのリリアナ》と《強情なベイロス》を出し、一方のダモ・ダ・ロサは(相変わらず3枚目の土地に嫌われたまま)《瞬唱の魔道士》以上のものを出すことができない。

 何度かの攻撃が行われた後、渡辺雄也が決勝に進出し、八十岡翔太と相見えることとなった。

ダモ・ダ・ロサはこのイベントを通して見事な戦いを挑んだが、渡辺のジャンドがそれをしのいだ。

 渡辺雄也が3-1で勝利し、決勝に進出!

 マッチの後、ダモ・ダ・ロサは《ステップのオオヤマネコ》をデッキに残す選択をしたことについて説明してくれた。

「僕は軽いクリーチャーを保たなければいけないと考えました。長期戦は彼に分があるから、僕は素早く勝つ必要があるのです。たとえ彼が《紅蓮地獄》を持っているとしても、それほど大きな損害になるとは思わなかったし、フェッチランドがあれば、それをコントロールできるのですから。」


(Tr. Yusuke Yoshikawa)

Paulo Vitor Damo da Rosa

Download Arena Decklist

渡辺 雄也

Download Arena Decklist

最新Event Coverage記事

Featured

2015年 11月 16日

2001 Grand Prix Sendai Coverage by, Wizards of the Coast

2001 Grand Prix Sendai Coverage 相次ぐ新星の誕生 10 年ぶりの記録的大雪とのことで、積雪は 20cm 近かった。 2 日目は初日の豪雪が嘘であるかのような快晴となったものだが、やはり北国の冬らしく深々とした寒さが印象的だった。 細かい点にまで言及してはキリがないが、とりあえず今回の上位陣の顔ぶれを見て特に印象的...

記事を読む

Featured

2015年 11月 16日

2002 Masters Series San Diego Coverage by, Wizards of the Coast

2002 Masters Series San Diego Coverage In the first game of the finals, it seemed that Karma was on the side of Humpherys. Fuller only needed a bounce spell to wa...

記事を読む

記事

記事

Event Coverage Archive

過去の記事をお探しの場合 アーカイブのページをご覧ください。人気の著者による、数千にわたるマジックの記事が残されています。

一覧を見る