準決勝:鏡なんて壊すほど
David Ochoa(アメリカ) vs. 渡辺 雄也(日本)

更新日 Event Coverage on 2012年 10月 21日

By Nate Price

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デイヴィッド・オチョア/David Ochoa(ジャンド) vs. 渡辺 雄也(ジャンド)

 私が望んでいた、一ヶ月以上前にここシアトルで行われたマジック・プレイヤー選手権以来のこの二人のマッチが行われていた。難しいかもしれないが、私はできればそれがモダンだといいと望んでいた。不運にも、全ての願いは私を悩ませた。ともかく、この二人のゲームの達人は12回戦を通して互いにぶつかることはなかった。

 彼らにとっては幸運だと私は思う。私にとっては不運だ。だが、甘い関係はここまでだ。双方のプレイヤーは。彼らがプレイヤー選手権で得た、畏敬の念を起こさせる刺繍の入ったパーカーを着用して、この週末のスポットライトを浴びていた。

デイヴィッド・オチョア/David Ochoaと渡辺雄也は2ヶ月前のマジック・プレイヤー選手権とまったく同じように
ジャンドのミラーマッチで激突する。

ゲーム1

 スイスラウンドの成績によってオチョアが先攻を得る。最初のターンを呪文を唱えることなく相手に渡し、オチョアが渡辺の《思考囲い》を受けて公開した手札は《闇の腹心》、《タルモゴイフ》、《血編み髪のエルフ》と3枚の土地だった。渡辺はカードアドバンテージ・エンジンを選び、オチョアは2ターン目のプレイを腹心から《タルモゴイフ》へと切り替えることになった。

 幸運にもオチョアのデッキは2体目の《闇の腹心》を吐き出し、彼は続くターンにそれを《タルモゴイフ》の横に並べる。渡辺は自分のターンに《ヴェールのリリアナ》をプレイしてオチョアにクリーチャーの選択を迫り、当然ながら腹心が場に残された。続くターンにオチョアは腹心によって土地を手に入れ、《血編み髪のエルフ》を自らの陣営に加えた。《血編み髪のエルフ》の続唱で《死儀礼のシャーマン》が現れ、オチョアはエルフで渡辺を攻撃し、腹心はリリアナに止めをさした。

デイヴィッド・オチョアは渡辺の脅威に対してどうすれば最も優位を保てるかを計算する。

 渡辺は差を縮めるために《血編み髪のエルフ》から《死儀礼のシャーマン》を続唱し、そしてオチョアのライフは17になった。オチョアの2体目の《血編み髪のエルフ》は《稲妻》をつかみ取り、渡辺の《血編み髪のエルフ》に止めを刺し、オチョアは考え込んでから全軍を戦闘に送り出した。渡辺は《死儀礼のシャーマン》で《闇の腹心》をブロックして、ライフはその過程で5にまで落ち込んでしまった。戦闘の後にオチョアがプレイした《思考囲い》に対して、渡辺は笑みを浮かべてその4枚の土地だけの手札を広げ、オチョアの含み笑いを引き出した。ユーモアのある状況が過ぎ去った後で、渡辺はもう十分だと判断して自分のカードをまとめた。

デイヴィッド・オチョア 1-0 渡辺雄也

 ゲームの間に、オチョアは彼とチーム・チャネル・ファイアボールが深夜のプレイテストでまとめたリストの記録を参照していた。渡辺は静かにデッキを見つめ、サイドボードのカードをデッキに加え、そして不要なものを外科手術のような正確さで取り出していった。

ゲーム2

 2本目のゲームは渡辺が先攻を選び、そして彼はかなりゆっくりとしたスタートで口火を切った。どちらのプレイヤーも最初の2ターンには何もプレイせず、最初に現れたのは第3ターンにオチョアが出した《大爆発の魔道士》だった。ジャンドデッキが多色土地の支援する正気ならざるマナの要求に依存していることを考えれば、《大爆発の魔道士》は大変なことになりかねない。

 渡辺の初手の土地は《草むした墓》、2枚の《樹上の村》、そして《血の墓所》で、それを考えれば《大爆発の魔道士》は実際に危害をもたらすことができるように見えた。にもかかわらず、オチョアはそれを打ち出さず、より良い状況を待ち続けた。渡辺が《血編み髪のエルフ》から《ヴェールのリリアナ》を打ち出し、彼はわずかにリードしたように見えた。エルフで攻撃するよりも、彼はそれを防御のために残し、リリアナを維持することを望んだ。渡辺はリリアナの一番上の能力を起動し、渡辺は《稲妻》を、オチョアは《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》をディスカードした。渡辺の最良の企みはリリアナを不名誉から守ることであったが、彼は《血編み髪のエルフ》を《稲妻》によって失い、阻む者の無くなった道を《大爆発の魔道士》が行きリリアナの忠誠度を2へと下げた。

渡辺は続唱した《ヴェールのリリアナ》と共にそのアドバンテージを押し出していく。

 渡辺はリリアナの最初の能力を使い続け、オチョアから土地を奪い自分は除去呪文を投げ捨てた。その後、彼は素晴らしく状況に合った《殴打頭蓋》を自らの陣営に加えた。このマッチアップにおいて絶対的なモンスター、《殴打頭蓋》は即座に対処されなければ渡辺に確実なゲームの勝利をもたらすだろう。オチョアは《稲妻》を打ちリリアナを始末すると、《血編み髪のエルフ》から4/5の《タルモゴイフ》を続唱、しかしこれは《突然の衰微》されて砕け散った。渡辺は彼の《殴打頭蓋》で攻撃し、そしてオチョアは彼の《大爆発の魔道士》でブロックして、ダメージの解決の前に生け贄に捧げて渡辺の《樹上の村》を破壊してさら彼のライフゲインを阻んだ。戦闘の後、渡辺は《死儀礼のシャーマン》をプレイしてターンを返した。

大爆発の魔道士

 オチョアは第2の《大爆発の魔道士》を出し、もう一つダメージへの盾を用意した。渡辺が彼の最後の《樹上の村》を起動して攻撃すると、オチョアは少し時間を費やした後《大爆発の魔道士》を生体武器をブロックし、生け贄に捧げ《樹上の村》を殺した。オチョアは自分のターンに《稲妻》を引いてプレイし、この極度の消耗戦において信じられないほどに強力なもう一つのカードである渡辺の《死儀礼のシャーマン》を破壊した。渡辺は攻撃を続け、今回はライフを得た。さらに彼は《ヴェールのリリアナ》を出し、オチョアの最後のクリーチャーを除去し、ゲームの最終ターンはすぐにやってくるように見えた。

 オチョアは《殴打頭蓋》を殺すための《古えの遺恨》を見つけ出したが、時すでに遅し。渡辺はオチョアにデッキの一番上をプレイするように迫り続け、さらに渡辺は自らの陣営にクリーチャーを加え続けたのだ。《台所の嫌がらせ屋》、《闇の腹心》、さらに《血編み髪のエルフ》が続き、全てがゲームを終わらせるために結実し、オチョアとのスコアをタイに戻させた。

デイヴィッド・オチョア 1-1 渡辺雄也

 ゲームの間、オチョアがシャッフルしている時に、私は彼のシャツの襟にアゾリウスのバッジがあることに気がつき、それが彼のモダンのデッキとひとつも色が重なっていないことをとても面白いと思った。渡辺は少なくとも一色は重なったイゼットのバッジを誇らしげにつけていた。

ゲーム3

 渡辺は《死儀礼のシャーマン》でゲームを始めたが、しかしそれは長続きしなかった。ジャンドのプレイヤーとして、オチョアはこの《極楽鳥》であり《渋面の溶岩使い》であるクリーチャーを無視するのがどれだけ愚かなことかを知っていた。《稲妻》はそれをものすごいスピードで殺した。シャーマンを殺した《稲妻》はフェッチされた《血の墓所》からプレイされていて、オチョアが2ターン目に彼の陣営に加えた《タルモゴイフ》は3/4になっていた。ゲームの開始としては悪くない形だ。

2ゲーム目の渡辺の荒ぶる場。《殴打頭蓋》はその名に応えて殴りかかった。

 渡辺はこのターンの最善のプレイに関してしばらく考えた。手には《思考囲い》があり、ソーサリーが《タルモゴイフ》のパワーとタフネスに1点を加えることには気がついていながらも、彼は偵察作戦を選択した。その時に彼が見たものは《終止》、《血編み髪のエルフ》、《強情なベイロス》、そして《殴打頭蓋》で、彼は冗談ぽくベイロスをオチョアの手札の他のカードから離して置いた。《タルモゴイフ》のサイズがこのターンに5/6になるにもかかわらず、渡辺は抜け目無く《殴打頭蓋》をオチョアの手札から選んで墓地へと追いやった。

 オチョアの《タルモゴイフ》は言葉のあらゆる意味で強烈な一撃を加え、渡辺のライフを13に落とした。渡辺は《突然の衰微》を持っていたが、しかし緑マナが無いのでそれを唱えられなかった。彼は《樹上の村》という形でそれを見つけ出したが、それを唱える前にもう一撃を食らうことになりそうだ。幸運にも彼は代わりに《終止》で《タルモゴイフ》を殺して安全を保った。オチョアは4枚目の土地を持っておらず、またそれはゲーム開始からずっとのように見えた。彼は《強情なベイロス》と《血編み髪のエルフ》のどちらもプレイすることができず、渡辺が先に重要な《血編み髪のエルフ》を唱える機会を得るようにも見えた。

台所の嫌がらせ屋

 少なくとも私はそう思ったのだが、渡辺は簡単にアンタップして4枚目の土地を加えて《台所の嫌がらせ屋》を唱えた。オチョアはまだ4枚目の土地をプレイできず、彼は《死儀礼のシャーマン》を代理人にしようと試みたが、これは《稲妻》で殺された。渡辺は《タルモゴイフ》で有利な状況を押し進め、オチョアをあと2ターンで殺すところまで迫った。カリフォルニア人は依然として4枚目の土地を見つけられず、苦境に陥っていた。続くターンに渡辺が《血編み髪のエルフ》を唱えた時、ゲームオーバーになった。渡辺はサービスブレイクでスコアを2−1とした。

デイヴィッド・オチョア 1-2 渡辺雄也

 オチョアはジャンドのミラーマッチでの不利な状況に慣れていないわけではなかった。彼は0−2からウィリー・エデル/Willy Edelとの準々決勝を取り戻してここまでたどり着いた。それでも、君臨するプレイヤー・オブ・ザ・イヤーと対戦することは、オチョアにとってより困難な立場にあると言えた。彼の対戦相手は事実上ミスのないマジックをプレイすることを知っていた。彼にとって幸運なのは、プロツアー・トップ8は初めてであるにしろ、この元アメリカ・ナショナル・チームのメンバーである彼は多くのプレッシャーと共にプレイしたのが初めてではないということだ。エデルにとの対戦で勝ってみせたように。

ゲーム4

 オチョアは先攻をそれほど満足の行かない手札とともに始めた。そして、彼は《死儀礼のシャーマン》で開幕を迎え、即座の《稲妻》によりこれを失った。オチョアは2枚目のシャーマンを続けたが、2枚目のランドはなかった。渡辺は2枚目の《稲妻》を《死儀礼のシャーマン》に打ち、事態はオチョアに対して問題があるように見え始めた。幸運にもオチョアは2枚目の土地を見つけ、そして《闇の腹心》を唱え、それが彼の初期に空けてしまったリソースの穴から戻してくれるよう願った。渡辺も自身の《闇の腹心》に、《死儀礼のシャーマン》を伴わせた。オチョアは2発の《稲妻》を渡辺のクリーチャーに投げつけて彼の場を掃除し、デッキが何故ジャンドと呼ばれるかを見せ付けた。戦闘の後、3枚目の《死儀礼のシャーマン》を出し、オチョアは他の全てと同じ運命をたどらないように願った。

オチョアはマッチを5ゲーム目に押し込むために動く。

 《闇の腹心》を維持できず、渡辺はカード・アドバンテージを他の方法で生み出すことに決めた。《オリヴィア・ヴォルダーレン》はこのマッチアップで鍵となるカードで、舞い降りてオチョアの場を除去せんと脅かした。一撃で除去するべく、オチョアは《終止》を吸血鬼に投げつけた。オチョアは《ゲラルフの伝書使》を場に加えて、今支配している有利を固めた。渡辺は前のターンと同じ組み合わせを手から出して、《死儀礼のシャーマン》と《闇の腹心》を彼の側に加えたが、明らかに後れを取っていた。オチョアが彼の軍勢で攻撃してきた時、渡辺は《闇の腹心》で相打ちを選び、ライフは4に落ちた。別の《ゲラルフの伝書使》と《死儀礼のシャーマン》を組み合わせると渡辺は死に、このマッチは第5の、そして最後のゲームへと進んだ。

デイヴィッド・オチョア 2-2 渡辺雄也

死儀礼のシャーマン

 ここまでのこのマッチの見解としては、《死儀礼のシャーマン》、《闇の腹心》、または《殴打頭蓋》を維持できた方が勝利している、と言える。カード・アドバンテージ、有用性、そして加速それぞれを頼みにしたデッキであることを考えれば驚くべきことではない。昨日エリック・ラウアー/Erik Lauerはトップ8のリストを熟読し、無害に見える《死儀礼のシャーマン》に気付いて驚いたようだった。またジャンドをプレイするチャネル・ファイアーボールのメンバーはみな、トーナメント全体を通してこの小さなやり手に対処することがどれだけ重要かを誰も理解していない、とジョークを飛ばしていた。フェッチランドとフラッシュバックの流行を考えると、何故この小男が優秀であるかを理解するのは難しくない。彼はマナを加速、調整し、必要な時にライフを増やすことも減らすこともできる。彼は対戦相手の強力なカードを最も適切な時に取り除くのに役立つ万能の十徳ナイフだ。彼は実によく働く。

ゲーム5

 オチョアはこの最後にして準決勝の行方を決めるゲームにおいて困難なマリガンの決定に直面した。手札の土地は超過しており、初期に《死儀礼のシャーマン》や《闇の腹心》に対処しなければならないとき、それは簡単には上手く行かないものだった。彼が2回目に見つけたのはわずかにより魅力的な《思考囲い》と《闇の腹心》で、彼はキープするのにまだわずかに不満なように見えた。

 渡辺は最初のターンに《新緑の地下墓地》から土地をフェッチしてきて《死儀礼のシャーマン》を出した。オチョアはカードを引いてため息をつき、結局《草むした墓》から《思考囲い》を唱えることに決め、《タルモゴイフ》を2枚の土地と2枚の《ヴェールのリリアナ》の手札から取り除いた。渡辺はカードを引き、最初のリリアナをプレイし、ディスカードを迫った。渡辺がディスカードしたのは2枚目のリリアナで、オチョアは《大爆発の魔道士》を手放した。オチョアは《死儀礼のシャーマン》を生け贄に捧げるために彼のターンに出し、渡辺にパスした。アドバンテージを得る好機に、渡辺はリリアナの忠誠値を下げてシャーマンを始末した。《霧深い雨林》から今まさに引いた《血編み髪のエルフ》が降り立ち、渡辺の場は爆発した。《血編み髪のエルフ》は4/5の《タルモゴイフ》を続唱し、プレイヤー・オブ・ザ・イヤーの場に信じられない量のダメージをもたらした。

 オチョアは3枚目の土地無しでの選択肢を必要としていた。彼は《闇の腹心》を出したが、それは十分ではなかった。リリアナは腹心を始末し、そして渡辺の大量の軍勢が殴りかかってオチョアのライフを5にまで落した。もう1ターン、オチョアは奇跡を生み出すことができず、始めてのプロツアートップ8は準決勝で幕を閉じた。

オチョアは彼の対戦相手の速攻に実質的に手が無く、渡辺は決勝へと進んだ。

 一方渡辺は最近の彼の絶対的な支配を継続し、2連続でトップレベル・イベントで決勝に進出を果たし、すでに輝ける彼の経歴に最初のプロツアー優勝を加えることに目を向けた。

渡辺雄也が3−2でデイヴィッド・オチョアを下して決勝進出!


Nate Price / Tr. Takuya Masuyama


David Ochoa

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渡辺 雄也

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