準決勝 : 石丸 健(熊本) vs. 森 勝洋(東京)

更新日 Event Coverage on 2006年 8月 27日

By Yukio Kozakai

石丸 健

石丸 「このマナバランス、構成。凄いデッキです。さすが、鍛冶さん(鍛冶 友浩(埼玉)最終成績16位)のデザインしたデッキ……」

石丸 健は、森 勝洋のデッキを絶賛していた。そして、デザイナーである鍛冶は、森を絶賛していた。鍛冶としても複雑な思いはあった。共に「Kajiharu80」でPTチャールストンを制した親友の斎藤 友晴(東京)と、デッキを託した森が準々決勝でぶつかる事になったのだから。

昨晩の時点で、鍛冶はこう話していたものだ。

鍛冶 「僕、今夜は(齋藤にも森にも)練習付き合いませんよ?」

本当ならば、齋藤にも森にも日本王者になってもらいたい。しかし、準々決勝が終わるまでは、どちらにも平等に接するという意思表示。だが、その準々決勝は森の勝利で終わり、解放された鍛冶は全力で森の応援に回っている事だろう。

鍛冶 「デッキは確かに強いんですけど、使ってるのが僕じゃなくてモリカツ氏ですからね」

そして、鍛冶はこう続けた。

鍛冶 「優勝しちゃうんじゃないですかね?」

軽く話してはいたが、鍛冶の言葉はとても重かった。

共に、オリジナルデザインのデッキ同士の対戦となった準決勝。石丸は、自分と森のデッキをこう分析していた。

石丸 「正直に言って下さい。僕のデッキと清水君(準々決勝で対戦した清水 直樹(神奈川))のデッキって、世間的にどっちが勝つと思われてたんですか?」

筆者 「申し訳ない話ですが、"ソーラーフレア"有利という説が多かったですかね……」

石丸 「なるほど。ですが、"ソーラーフレア"だけには負けないように調整してきたので、清水君には勝てると思っていました」

筆者 「では、準決勝はどうでしょう?」

石丸 「鍛冶さんのデッキ……確かに素晴らしいデッキです。勝つのは難しいと思います。でも、冠雪地形を全く使ってないですよね? 僕のデッキで氷雪マナを使うカードが無いのに、何故、基本地形が全て冠雪地形なのか、おわかりですか?」

筆者 「いや、恥ずかしながら、わからないです」

石丸 「環境には、多数の《ファイレクシアの鉄足/Phyrexian Ironfoot》がいます。氷雪マナが無いと、そいつがアンタップしないんです。なので、《鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni》をデッキに入れてるプレイヤーは、必ず冠雪地形を入れなければならないんです」

デッキの1枚1枚のカードに、明確な理由を持たせて投入している。と、デッキデザイナーらしく語ってくれた石丸。相手が世界王者でも、冷静さは失わない。この2人、このデッキ同士の対戦が、どんなマッチになるのか。ライターとしてではなく、純粋に、構築戦を愛する一人のプレイヤーとして今から楽しみで仕方がない。

とりあえず、全国の《鬼の下僕、墨目》ファンのプレイヤー諸氏は、デッキの基本地形を全て冠雪基本地形に入れ替えつつ、このマッチをご覧頂きたい。

Game 1

「先手取れるかどうかで勝率が1割変わるんですよ」

と、インタビューで語ってくれた石丸。準決勝は後手スタートとなった。世界王者相手に、いきなり勝率1割減。これがどう影響するか。

森が《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》《宮廷の軽騎兵/Court Hussar》とテンポ良く動くと、マナクリーチャースタートの出来なかった石丸は、《化膿/Putrefy》で《梅澤の十手》を破壊し、《迫害/Persecute》を《邪魔/Hinder》されたところで2枚目の《梅澤の十手》を通すが、《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》《闇の腹心/Dark Confidant》と次々に手を打ってくる森を前に、どちらがコントロールデッキなのかわからない展開になった。

守りに回っては勝てないとばかりに、石丸は《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》に《梅澤の十手》を装備して《宮廷の軽騎兵》に突っ込んで行き、《惑乱の死霊/Hypnotic Specter》を召喚。続く戦闘で《宮廷の軽騎兵》を除去すると、《オーランのバイパー/Ohran Viper》を戦線に加えた。

「攻めるしかない」

石丸は、世界王者を前にしても、決してブレない。カウンターの1つ残った《梅澤の十手》を《惑乱の死霊》に装備して突撃し、森は《曇り鏡のメロク》のトークンを4体生み出すことでこれに対する。

つまり、森のハンドには《屈辱/Mortify》が無い?

《惑乱の死霊》を失うが、《梅澤の十手》と《オーランのバイパー》が残っている石丸。《曇り鏡のメロク》で耐えるしかない森。思った通り、石丸が《迫害》(宣言は黒)で見た森のハンドには《邪魔》と《相殺/Counterbalance》のみ。この知的かつ凶暴な蛇を止める手段が無いとわかると、溜まりに溜まった《梅澤の十手》のカウンターで《曇り鏡のメロク》を退場させ、《巨大ヒヨケムシ/Giant Solifuge》を走らせる。

だが、それでも森は諦めない。

《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》を引き当てて未来を模索し、《宮廷の軽騎兵》で守りの力と更なる未来を。再構築まで時間が稼げれば、という思いでライブラリーを循環させるが、《梅澤の十手》を《オーランのバイパー》から《ラノワールのエルフ》に付け替えるなど、勝っている場でもスキを見せず。

先勝したのは、挑戦者、石丸だ。

石丸 1-0 森

Game 2

森 勝洋

第1ゲームの間に、反対側のテーブルでは山本の勝利が告げられていた。それを知った森が言う。

森 「じゃあ、あと1勝だね。ここ(準決勝)を勝てば、次負けないし」

第1ゲームを負けているにもかかわらず、世界王者には日本王者の椅子しか見えていない。それも、山本のデッキが準々決勝で下した斎藤 友晴(東京)と同系統の"クロックパーミッション"であることを織り込んだ上で、「このマッチの勝利が日本王者を決定付ける」と、早くも宣言して見せたのだ。予感めいたフィーチャーテーブル。オーラをまとったかのような、森から感じる雰囲気。

気圧されまい。と、石丸は手札に力をこめるが。ゲームはここから森のショータイムと変わる。

森の《闇の腹心/Dark Confidant》を石丸が《化膿/Putrefy》すれば、今度は森が石丸の《極楽鳥/Birds of Paradise》を《不忠の糸/Threads of Disloyalty》で奪うという、またしても序盤から激しい展開。

ならば、と《梅澤の十手》を通した石丸だったが、森が《宮廷の軽騎兵》から《梅澤の十手》を引き込んで対消滅させると、2体目の《闇の腹心》で前のめりに展開を続ける。

《惑乱の死霊》を召喚はしてみたものの、石丸のドローは土地だらけ。森の場に降臨した《曇り鏡のメロク》はトップデッキした《悪魔火/Demonfire》で対処して見せるが、散り際に生み落としたトークンの忍術から現れた《鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni》が石丸へと深く切り込み、最後まで土地ゾーンに当たり続けた石丸は投了を宣言した。

石丸 1-1 森

Game 3

マリガンながら、《闇の腹心》スタートを切れた石丸。しかし今度は土地が伸びず、2マナで止まっているところに、またしても森の《不忠の糸》が石丸へ絡みつく。

森へと寝返った腹心が次々とカードを捧げ、《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》は《オルゾフの司教/Orzhov Pontiff》で除去して石丸に何もさせない。そのまま、《宮廷の軽騎兵》《曇り鏡のメロク》とビートダウンを始め、森がゲームを連取。先に、決勝進出に王手をかけた。

石丸 1-2 森

Game 4

「攻めるしかない」

これを思い出した石丸が、森に牙を剥く。森が《闇の腹心》を出すたびに《巨大ヒヨケムシ》を突きつけて相打ちを要求し、自らも《闇の腹心》を召喚。《梅澤の十手》を対消滅で失うが、まだ攻め手は残っている。

しかし、2枚目の《梅澤の十手》は《呪文嵌め/Spell Snare》で失い、攻撃に行ったところを《糾弾/Condemn》されると、森の場には3枚目の《闇の腹心》が登場。《呪文嵌め》を警戒し、X=2で《悪魔火》を放って除去するが、表情を曇ったままの石丸。

それもそのはず、森のトップデッキは止まらず、次には《曇り鏡のメロク》。これは《化膿》で除去するも、生み出したトークンの返しのアタックから飛び出したのは、またしても《鬼の下僕、墨目》!!

これが世界王者の力なのか。第1ゲームでも書いたが、使っているのはコントロールデッキでも、攻めていたのは森の方だった。

石丸 1-3 森

第2ゲーム開始前の森の言葉。

森 「ここを勝てば、日本王者だね」

なぜ、彼の言葉には、それを現実と思わせてしまう力があるのだろうか。周囲のギャラリーも、その場にいるジャッジや、もちろんライターとして横に座っていた筆者自身も、「そうか。そうなのか……」と考えていた。もしかしたら、対戦相手として石丸も、森の創り出す世界に飲み込まれてしまったのかも知れない。明らかに、第2ゲーム以降の石丸の展開が、それまでのものと違っていたからだ。

実は、この話には続きがある。

反対側のテーブルにいた2人のデッキは、双方とも石丸のデッキでは勝ち目が薄いと、石丸自身が観念してしまっていた。準決勝を勝った先に光を見つけた森と、勝った先にも敗れた先にも光を見出せなかった石丸。実際に戦っているのは森と石丸なのに、まったく逆のモチベーションをそこで生み出す結果となった。

もちろん、森がそこまで考えて声を発したとは考えられない。ただ、「目先の勝利以上に欲しい物があって、その為には目先の勝利が必要である」という矛盾したテーマに対し、自分自身に向けて即座に回答を出しただけの話。

そして。解答は、きっと決勝でわかるはずだ。

Congratulations to Katsuhiro Mori !!
Advanced to Final !!

Ishimaru Ken

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ソーサリー (6)
4 Demonfire 2 Persecute
インスタント (2)
2 Putrefy
アーティファクト (4)
4 Umezawa's Jitte
エンチャント (2)
2 Genju of the Cedars
60 カード
サイドボード (15)
1 Giant Solifuge 4 Carven Caryatid 3 Deathmark 3 Distress 2 Crime/Punishment 2 Indrik Stomphowler


Mori Katsuhiro

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