特集:メタゲームに夢中

更新日 Event Coverage on 2012年 8月 30日

By Blake Rasmussen

Blake is the content manager for DailyMTG.com, making him the one you should email if you have thoughts on the website, good or less good (or not good). He's a longtime coverage reporter and hasn't turned down a game of Magic in any format ever.

 マジック・プレイヤー選手権は最上級の者のみが参加する、モダン・プロツアー最高峰の選ばれし大会だ。おそらくこのゲームの歴史上最も参加資格を得るのが難しい大会だろう。

 と同時に、それはフライデー・ナイト・マジックのようなものでもある。

 この話に、ちょっとだけ付き合ってくれ。

 通常のプロツアーやグランプリでは、会場には技術レベルの異なるたくさんのプレイヤーの組み合わせが見られる。一度も友人やプレイテストのパートナーと対峙することなく大会を勝ち抜くこともできるだろう。すると、メタゲームの予想は知識でありまた技術でもある。

1)規定のルールセットの範囲を超えたゲームにおいて用いられる戦略、行動、手段のこと。ゲームに影響を与える外部の要素。あるいは想定された限界値やゲームの環境を超えて取り組むこと。

2)0-2ドロップの際に非難するもの。例:「デッキは最高だったんだけど、メタゲームが変わっててさ」

 しかし、マジック・プレイヤー選手権にはたくさんのプレイヤーはいない。16人である。それでも、友人たちとの組み合わせなしに大会を勝ち抜くこともあり得るが、それは考えにくい。特に、全員がハイ・レベル・プレイヤーであるがゆえに、いずれにしても全員がお互いのことをよく知っているのだ。お互いの強さを、好みを、こだわりを、そしてプレイングの傾向を。そのため、全員がプランを立てられる。

 つまり、モダンのメタゲームを考えるということは、次のFNMのメタゲームを考えることとよく似ているのだ。ビリーはたぶんランプ・デッキで来るだろうとか、マイクはいつも《秘密を掘り下げる者》デッキだとか、メアリーは彼女の大好きなゴブリン・デッキで来るに違いないとか、君たちがよく知っている方法と同じように、今週の16人の参加者は他のプレイヤーの好みに基づいて決断を下せるほどに、お互いのことをよく知っているのだ。

 このほとんどは渡辺雄也や中村修平と共にジャンドを使うと決めたマーティン・ジュザ/Martin Juzaと話しているうちに明らかになったことで、少なくとも一部は彼から感じたものだ。ジュザには他のみんなが何を使うか、だいたいの目星はついていた。いや、全員がおおよその予測は持っていたのだ。

「ソウル・シスターズのことを考えてみてよ」と、ジュザは言った。「このデッキはジャンドにとって相性が悪いけれど、ここにいる人たちを見てくれ。僕にはルイス(スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargas)がソウル・シスターズを使う想像ができない。親和も同じだ。パウロ(ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosa)はきっと親和は使わないと思うよ。ドロー操作をする手段がないから」

 ジュザたちは人数の多いChannelFireball勢(ダモ・ダ・ロサ、スコット=ヴァーガス、ジョシュ・アター=レイトン/Josh Utter-Leyton、デイヴィッド・オチョア/David Ochoa)が選んだ「Blue Zoo」に目をつけて、彼らが「Blue Zoo」を使い、とりわけ、《聖トラフトの霊》を採用するであろうことを読み切った。その結果ジュザたちは、同時に予想していた《秘密を掘り下げる者》デッキに対しても効果がある、《ヴェールのリリアナ》を4枚フル投入した。

ヴェールのリリアナ聖トラフトの霊

プレイヤーが何を採用するか、というアイデアが冴えたメタゲームを導く。

 

 その一方で、ジュザたちはクオ・ツーチン/Tzu Ching Kuoがワールド・マジック・カップ後にそこで使った青白デッキが全くしっくりこなかった、と嘆いているのを聞いていた。青白デッキはジャンドとのマッチアップでは有利だが、ジュザと仲間たちは、クオは青白デッキを使わないだろうと判断した(実際に使わなかった)。ジョン・フィンケル/Jon Finkelとブライアン・キブラー/Brian Kiblerが青白デッキを携えて現れたことには多少驚いたが、全ての事態を読むのは無理というものだ。

 それでも、ちょうどFNMのように、誰かのことをよく知っているということは、時に先読みを可能にする。ビリーが《原始のタイタン》を貸して新たに《修復の天使》を手に入れるなんて、あいつそれを試すのかもしれないとか、メアリーはゴブリン・デッキを家に忘れてきたから、《交易所》デッキを借りるに違いない、といった風に。

 あるいは、まさに信じがたいことだが、ビリーたちは君たちが予想してきたメタゲームと同じもので戦うことを決め、君たちが彼らを出し抜こうとしているのと同じように君たちを出し抜こうとしているのかもしれない。

 それなら、この場所にも当てはまる。家に置いてきたのでは誰もデッキを変えることはできないが、ここにいるプレイヤーは世界を代表するメタゲーム脳の持ち主たちだ。ゲームで一枚うわてに出る策にかけては、頭痛がするほどに長けている。なにしろ、君たちが予想できる事柄を予想すると、対戦相手はまったく同じ読みを完璧に行い、さらに予想された予想を打ち砕く予想をしてくるのだ。

 わかるかい? 私もわからない。では、例を挙げよう。

 2つのチームがこの週末にはZooが良いと、同じ結論に至った。すなわちChannelFireballの4人と、オーウェン・ツァーテンウェルド/Owen Turtenwald、リード・デューク/Reid Dukeのペアだ。だが、彼らのリストはいくつかキーとなるポイントで大きく異なる。(デッキリストはこちらを見てくれ。)

 まず、ChannelFireballチームは《聖トラフトの霊》の採用し、サイドボードはプレイヤー選手権に表れるメタゲームをより綿密に反映したものとなっている。

 一方、ツァーテンウェルドとデュークのリストはコンボ・デッキに対処できる調整となっていて、《精神壊しの罠》4枚を目玉としたサイドボードに仕上げている。

 一体何が起きているのか、という謎を解く鍵はダモ・ダ・ロサがくれた。

「普通なら、この大会はストームにとって有利な大会なんです」ダモ・ダ・ロサは主にストームのようなデッキが他を喰うと予想していたことを示した。「でも、どうしても気に入るリストができなくて」

 そう、ツァーテンウェルドとデュークは一段上を狙っていたのだ。この大会がストーム有利なものならば、ストームを狙い、打ち負かすデッキがより有利だ。さらに彼らのメイン・デッキの《渋面の溶岩使い》が、《鏡割りのキキジキ》入りのクリーチャーを基本としたコンボ・デッキに対して有利を取り、それを際立たせるに違いない。

 しかし、一段上を行くには遠すぎることが判明した。フィールドがもっとコンボ寄りだったなら、あるいはひとつでもコンボがあれば、2人はもっと良い順位を得ていたかもしれない。ところが、コンボ・デッキが現れることはなく、彼らのサイドボードには実質6枚の空白(《精神壊しの罠》4枚と《墓掘りの檻》2枚)が並ぶこととなった。

 ツァーテンウェルドは、Twitterを通してモダンで使用したデッキへの嘆きを公にしている。

「プレイには満足してる。Top4に行くにはM13ドラフトで3-0しなくちゃダメだ。
モダンは厳しいかな。ここじゃデッキが不利だよ。」

 つまり、マジックのプロだって私たちと同じなのだ! 彼らだって家事をするし、メタゲームを読み間違えるし、大会に友人や仲間がいるなら尚更だ。誰にでもあることなのだ。

 だから君たちがメアリーのようにいつもゴブリン・デッキを使っているなら、次のFNMでみんなが何を使うか考えてみるのも良いかもしれない。マイクのようにいつも最新のテクニックを見せているなら、先読みをしすぎてメタゲームを完全に読み間違えることのないようにしよう。

 でももし読み間違えてしまっても、それは君たちだけじゃないとわかったね。

 

(Tr. Tetsuya Yabuki)

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