第5回戦:ドロー・カードは時を越えて
Eric Froehlich(アメリカ) vs. Bob Maher(アメリカ)

更新日 Event Coverage on 2013年 5月 17日

By Adam Styborski

Stybs has played Magic the world over, writing and drafting as part of the event coverage team and slinging Commander everywhere his decks will fit.

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エリック・フローリッヒ/Eric Froehlich(エスパー・コントロール) vs. ボブ・マーハー/Bob Maher(バント・コントロール)

 対戦相手のライフ総量が底をつくまでに、いったい何枚の《思考を築く者、ジェイス》が使われたことだろう? 殿堂顕彰者ボブ・マーハーの場合は3ゲームでのべ6枚を要した。彼はバント・コントロールを繰り、プロツアー「ギルド門侵犯」トップ8進出者でありこちらも長年のプレイヤー、エリック・フローリッヒのジェイス入りエスパー・コントロールを下した。

エリック・フローリッヒと殿堂顕彰者ボブ・マーハーは、両者とも10年前のプロツアートップ8にその名を残している。ふたりのベテランにとって、ドローゴーと《嘘か真か》が織り成す昔ながらのゲームは慣れ親しんだ世界だ。

 フローリッヒの評価はここ数ヵ月、とりわけ前回のプロツアー後から上昇傾向にある。今シーズン4つのグランプリでトップ8を記録していることはさておき、彼が10年以上前にプロツアー・サンディエゴ2002でトップ8に名を連ねたことは記憶におありだろうか。

 マーハーが最後にプロツアートップ8へ名を残したのも10年前の2002年、ヒューストンでのことだった。だがそれよりも彼を一気にマジック・プレイヤーたちの心に刻んだのは、ブリュッセルでの世界選手権2000、その決勝の舞台でジョン・フィンケル/Jon Finkelに惜しくも負けたことだった。この週末にマーハーが活躍する姿を見ると、マジックというゲームにおける偉人がどれだけ長い間プレイしているのか、誰もがそのことを思い起こさずにはいられない。

 簡潔に言ってしまえば、《思考を築く者、ジェイス》第二の能力は「小型《嘘か真か》」と言える。そのスペルは両プレイヤーとも10年前に良く知っていたものだ。そして、カードの枚数において有利を取れる能力がコントロール同系戦での勝者を決める、というのは今も変わらない。どちらのデッキにとっても大切な要素だった。「ここだというタイミングにジェイスを出せなかった」試合後、フローリッヒはそう語った。「ゲーム全体でアドバンテージを取っていたのはジェイスだったよ」と、早い段階で出た《思考を築く者、ジェイス》に裏打ちされたマーハーの強固な支配を振り返る。

1ゲーム目を通して、マーハーは《思考を築く者、ジェイス》の強力なドロー能力を後ろ盾に、素早い動きを見せた。

 勝利を得たものの、想像しているほどマーハーはこの試合に対する準備をしていなかったようだ。「どっちのデッキが良いかわかるにはプレイ回数が足りなかった。構築は尚更ね。こうして試合の後でも、どっちが良いか答えられないよ。3ゲームともドロー勝負にもつれ込んで、ゲームが終わる瞬間でも引き続けていた……」と、マーハーは3ゲーム目の終わりに《霊異種》がフローリッヒの《ヴィズコーパの血男爵》と向かい合う息の詰まる場面を振り返って、そう言った。「……本当に投げ出してしまう直前だった。ギリギリだったよ」

 《思考を築く者、ジェイス》の重要性については、1ゲーム目の早い段階から明白だった。マーハーが4ターン目にそのプレインズウォーカーを唱えると、すぐさまフローリッヒが《心理的打撃》を放ったのだ。マーハーは次のターンに2枚目の《思考を築く者、ジェイス》を続けた。2ターン後、フローリッヒがマナを《スフィンクスの啓示》に注ぎ込みタップ・アウトすると、マーハーは《霊異種》を通した。この《霊異種》は《遠隔+不在》でフローリッヒにバウンスされるが、一方マーハーはフローリッヒのジェイスを打ちのめす《原形質捉え》を持っていた。フローリッヒから奪ったマナを使い、マーハーは《霊異種》を守れる青マナを残しつつ余裕を持って戦場へ送り直した。土地を置けないターンが続いた後のフローリッヒには、ほぼ破壊できないクリーチャーを対処する手段はなかった。

 2ゲーム目もまたドローが勝敗を決める試合となった。マーハーはしばらく3枚から土地が引けず、何度かディスカードを余儀なくされた。最終的にフローリッヒの10枚に対して5枚しか土地を出せなかった。勇敢さを捨てず、マーハーはフローリッヒの《霊異種》2体の前にジェイスを繰り出したが、予定通りマーハーのライフはたった2回の攻撃で切り刻まれた。

 両者がコントロール・デッキを使っていながら、ラウンド残り時間は半分ほどあった。ジャッジが時間を確認し、時間通りに進められるようなできごとがあったのか尋ねた。「時間切れになる前に、デッキが切れると思うよ」フローリッヒが冗談を飛ばす。

 もっとも、3ゲーム目は始めから大きく傾いた。マーハーが3ターン目《ロクソドンの強打者》、4ターン目《思考を築く者、ジェイス》と、アグレッシブなスタートを切ったのだ。フローリッヒはすぐさま《遠隔+不在》の《遠隔》側を使って《ロクソドンの強打者》を送り返すが、《思考を築く者、ジェイス》がほぼ毎ターン追加のドローを与え、マーハーの支援を始めた。マーハーは《取り消し》でフローリッヒの《拘留の宝球》を止め、《思考を築く者、ジェイス》を守った。フローリッヒの《ヴィズコーパの血男爵》は通し、間髪入れずに《至高の評決》で除去した。それからフローリッヒは自分も《思考を築く者、ジェイス》を出して、対消滅を狙った。そこで起こった《取り消し》、《払拭》、《払拭》の打ち消し合戦はマーハーの勝利に終わり、彼は潤沢にマナを残して《霊異種》をプレイした。

フローリッヒは2ゲーム目で状況をイーブンに戻したが、最後の3ゲーム目にはマーハーの《思考を築く者、ジェイス》によるアドバンテージ差の前に屈した。

 3ゲーム目を通して、フローリッヒは《思考を築く者、ジェイス》は無かったものの、序盤から《地下世界の人脈》でドローをしていた。《地下世界の人脈》で引いた5枚のカードのおかげで、減ったライフにとって致命的な《霊異種》を対象にした《アゾリウスの魔除け》を巡る2度目の打ち消し合戦を戦うことができた。安全を確保すると、フローリッヒは2枚目の《ヴィズコーパの血男爵》を投入し、ゲームを《霊異種》とのライフ・レースに持ち込んだ。ところが、フローリッヒがメイン・フェイズに《スフィンクスの啓示》をX=7で撃ち隙を見せたそのとき、マーハーの忍耐が実を結んだ。《セレズニアの魔除け》の強化を受けたマーハーの《霊異種》が残りをパワーに注ぎ込むと、ライフ11点では足りなかったのだ。


(Tr. Tetsuya Yabuki)

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