第6回戦:フラッシュだけは御免だ!
Shahar Shenhar(イスラエル) vs. 渡辺雄也(日本)

更新日 Event Coverage on 2013年 7月 31日

By Frank Karsten

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 総勢16人のプレイヤーのうち実に8人が、スタンダード構築に青白赤フラッシュを選択した。遅かれ早かれ、ミラー・マッチが起こるのは必然と言える。結論から先に言うなら、ふたつの青白赤フラッシュが相対すると、ゲームは長期化し、動きはほぼ終了ステップに限られる。そこで問題となるのは、土地を多くコントロールしているのは誰か、《スフィンクスの啓示》のXの値が大きいのは誰か、そして脅威を着地させられるのは誰か、の3つである。

 これらの問題に答えを出す責務を負わされたのが、渡辺雄也とシャハール・シェンハーの両名だ。シェンハーは今大会最年少の選手でありながら、今最も注目されている才能のひとりだ。弱冠19歳にして、彼はすでに100ポイントを超えるプロ・ポイントを稼ぎ出している。本日もここまで4-1と好調を維持しており、最高峰のレベルでも戦えることを証明してきた。そして彼の前に立ちふさがるのは、3-2の成績でこの試合を迎える、現王者渡辺雄也だ。

試合

 ゲームの大半が終了ステップに費やされた。プレイヤーたちは《熟慮》や《修復の天使》を唱え、《修復の天使》に《雲散霧消》を合わせ、《瞬唱の魔道士》が《アゾリウスの魔除け》をフラッシュバックしてドローをもたらし、《修復の天使》に《戦導者のらせん》が差し向けられる、という具合に。渡辺の反撃を恐れてか、シェンハーは決して自分のターンにタップ・アウトをしないように徹底していた。渡辺は何とかプレインズウォーカーを通そうと試みるが、シェンハーはしっかり《雲散霧消》を構えている。

 ゲームが中盤にさしかかっても変化は訪れず、プレイヤーたちはポジション争いに集中していた。お互いがお互いのクリーチャーを焼き、お互いがお互いのリソースを吸い取る。このゲームの進行具合を表す良い例がある。あるとき渡辺が《ボーラスの占い師》を通すと、シェンハーはすぐさま《火柱》を2枚撃ち込んだ。両プレイヤーから笑い声が漏れた。あまりにも盤面が進まないため、つい笑ってしまうほどなのだ。

隙を見て《スフィンクスの啓示》を通せる機会をじっと待つシェンハー

 これまでのすべてはメイン・ステージ前の前座だったのか。高出力の《スフィンクスの啓示》により、ゲームが動き出した。手札に《スフィンクスの啓示》2枚と《中略》を抱え、13枚もの土地を有するシェンハーが、ボタンを押すときを感じ取ったのだ。「ターン終了時」シェンハーが土地に手をかけながら言う。カウンター合戦に勝つために《中略》のマナは残して――「《スフィンクスの啓示》X=5です」。渡辺はそれをただ見送った。シェンハーにカード・アドバンテージが流れ、間もなくして《ムーアランドの憑依地》がトークンの生成を始める。次のターンに放たれた渡辺の《スフィンクスの啓示》は、《イゼットの魔除け》が打ち消した。

 その後、シェンハーは《スフィンクスの啓示》をX=8で通し、ゲームを掌中に収めた。スピリット・トークンの攻撃で渡辺のライフがひと桁になると、シェンハーは手札いっぱいの火力を見せ、第1ゲームを取った。

 長きにわたる接戦を繰り広げ、激しい戦いを越えた後に続く第2ゲームは、やや拍子抜けなほどだった。コントロールの同系戦で最も大切な要素のひとつは土地だ。ところが渡辺は、数ターン続けて5枚目の土地を置くことができなかったのだ。その一方でシェンハーは《熟慮》を重ね、土地が止まらないように動けた。この差はそのまま1ターンに唱えられる呪文の差となり、打ち消し合戦の優劣となるのだ。

血で血を洗うコントロール同型戦で、土地が止まる痛みを受ける渡辺。

 あるとき、シェンハーの土地も止まった。「8枚です」と言ってディスカードの準備をする。しばらく思案した後、シェンハーは《否認》を捨てた。両プレイヤーとも吹き出し、このマッチアップでは大きな役割を持つカードをシェンハーが捨てたことを笑い合った。

「それでいいの?」ひとしきり笑った後、渡辺が尋ねる。「はい」とシェンハーは答えた。渡辺が頭を振った。わかってる。それが意味するところはひとつしかない――シェンハーの手札は、想像できないほどに強いのだ。それは間違いなかった。彼の手札は《スフィンクスの啓示》と《中略》が2枚ずつ、それと《否認》、《瞬唱の魔道士》、《払拭》という布陣だったのだ。

 数ターン後、シェンハーは《ボーラスの占い師》と《ムーアランドの憑依地》が生み出すトークンで攻撃を続け、渡辺はこれに対応するすべがなかった。シェンハーの手札には《雷口のヘルカイト》が複数枚あったが、彼は決して自分のターンにタップ・アウトをせず、渡辺の繰り出す脅威を打ち消すべく必ずマナを残した。シェンハーが見せた自制心は、呆れるほどに徹底していた。シェンハーは渡辺最後の行動も打ち消し、《戦導者のらせん》と《雷口のヘルカイト》がこのゲームの幕を下ろしたのだった。

試合後

「青白赤フラッシュは、スタンダードのベスト・デッキだと思っています。ジャンドに相性が良いし、僕のスタイルにも合っていて、ミラー・マッチにも自信ありますよ」試合後、シェンハーはこう語った。私は両プレイヤーに、このマッチアップをどう戦おうと考えていたのか尋ねた。彼らのデッキリストの違いについて、一歩踏み込んだ考察を得られれば、と願いを込めて。

「今回のマッチアップをコントロールしていたのは雄也さんですよね。僕は一時たりとも目が離せなくて。《霊異種》を通すわけにはいかなかったから」シェンハーがそう分析する。それでも、彼は手応えを感じていたようだ。「僕の方が《修復の天使》と《瞬唱の魔道士》の枚数が多いから、《スフィンクスの啓示》が使いやすい。カウンター用のマナを残してX=4くらいで唱える余裕があったりして。それが上手くいったんだと思います。それと、僕は《熟慮》を4枚採用していて、なにより大切な土地を引きやすかった。《雷口のヘルカイト》も《霊異種》より良かったかも。《魂の洞窟》が無い場合は特にそう思いますよ」渡辺もシェンハーに同意する。「カード選択が有利なマッチアップを作ったんだと思います」明日の幸運を祈るように、彼はそう述べた。

シェンハー 2-0 渡辺


(Tr. Tetsuya Yabuki)

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