デッキの出来を聞くインタビューで「厳しい」とこぼしていた渡辺だが、そこはやはり世界最高クラスのプレイヤー。1敗を守り、2日目のフィーチャー・マッチにその姿を現した。
対するは河内 佑介。The Limits 2007で好成績を残した実績を持つ彼は不戦勝ゼロから8勝1敗でこの席につき、渡辺を前に臆することなく、静かに闘志を燃やす。
前日の激しい戦いを乗り越えた両者が迎える第10回戦。朝の涼しい空気がしんと張り詰める。
ゲーム1
ダイスロールで先手は渡辺。1枚ずつ初手を確認すると、少し間を置いてキープを宣言。河内もしばらく手札を眺めて、ゲームを始める意思を示す。
先に動いたのは後手の河内だった。2ターン目《カルテルの貴種》を繰り出すと、渡辺も《皮印のゴブリン》を戦場に送り出す。河内は《宮廷通りの住人》を加えてターン・エンド。返しに渡辺が《皮印のゴブリン》で攻撃すると、それを通してファースト・ダメージを許した。渡辺は《債務の騎士》を戦線に加えてターンを渡す。今度は河内の反撃だ。《聖堂の護衛》を出して渡辺の《債務の騎士》をタップすると、《カルテルの貴種》と《宮廷通りの住人》2体で攻撃し、渡辺のライフを16にした。
続くターン、渡辺はしばし思考して《債務の騎士》で攻撃。河内もブロックを悩み、《聖堂の護衛》で止める。ブロック指定後のアクションは両者ともなく、そのままターンが渡る。
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両者の深い思考が、毎ターン静かに火花を散らす。 |
河内は《組織の処罰者》を自陣に追加して強請し、ターンを返した。渡辺は《反逆の行動》で《カルテルの貴種》を奪い、《債務の騎士》と共に攻撃させる。河内は再び《債務の騎士》を《聖堂の護衛》で止めて、2点は通した。
返しのターン、河内は《聖堂の金切り声上げ》を唱え、強請でライフをイーブンに。さらに《排水路潜み》を加えて強請2点と、慎重にプレイを重ねていく。《聖堂の金切り声上げ》での攻撃は、《天駆ける進撃》をまとった《皮印のゴブリン》に落とされた。
強請が大きく絡む複雑なライフレース。両者のライフがめまぐるしく変わる。
河内が《ザリーチ虎》を繰り出し、強請でライフは河内が18点、渡辺が14点。そのままターンを返す渡辺に対し、河内が《幽霊議員オブゼダート》を呼び出す。《宮廷通りの住人》が誘発し渡辺の《債務の騎士》がタップされると、河内は《排水路潜み》と《ザリーチ虎》で攻めかかった。渡辺は《排水路潜み》を《皮印のゴブリン》で相討ちに取る。ターンを渡されると渡辺はしばらく悩み、《発光の始源体》で《聖堂の護衛》を追放して《債務の騎士》を攻撃に送り出した。
河内の《幽霊議員オブゼダート》が舞い戻る。ライフを2点吸い取り、さらに2枚目の《宮廷通りの住人》で渡辺のクリーチャーを寝かせると、渡辺の逆転の芽は摘まれることとなった。
河内 1-0 渡辺
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ライフ・レースの競り合いを制した河内。 |
ゲーム2
「先攻いただだきます」静かにそう宣言する渡辺。再び両者の手札は7枚でゲームが始まる。
先手の渡辺が《皮印のゴブリン》から《空騎士の軍団兵》と展開して先制。土地を置いてターンを渡していた河内に2体のクリーチャーが襲いかかる。河内は《聖堂の護衛》で地上を守るが、《皮印のゴブリン》に《オルゾヴァの贈り物》がエンチャントされ、止めることができない。返しのターンにそれを《千叩き》で封じたものの、《空騎士の軍団兵》が攻撃を続けた。続くターンに河内が《ザリーチ虎》を投入すると、渡辺はターンの終わりに《闘技》で《オルゾヴァの贈り物》と《千叩き》がついた《皮印のゴブリン》と格闘させ、相討ちに取った。
渡辺は《空騎士の軍団兵》で攻撃してターン・エンド。河内は《オルゾフの魔鍵》を唱えて強請。わずかながらライフを戻して9にする。
ここからクロックが伸びない渡辺。空から2点で攻撃を続けた。
河内は《門道の影》を展開して強請。《オルゾフの魔鍵》を起動して攻撃し、再びライフを戻す。渡辺は《空騎士の軍団兵》を立たせてターンを返した。河内は《門道の影》1体で攻撃し、渡辺がブロックしないことを選択すると《オルゾフのギルド門》と《沼》をタップし合わせて5点を通した。序盤に開いた両者のライフ差が詰まっていく。河内はさらに《前線の衛生兵》を戦線に投入し、ターンを渡した。
ドロー後苦い表情の渡辺。盤面下半分に土地が並んでいく。彼は《空騎士の軍団兵》で攻撃後、《皮印のゴブリン》を出した。
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盤面が思うように伸びない渡辺。 |
河内は土地、クリーチャーと盤面を丁寧に見直し、《門道の影》、《聖堂の金切り声上げ》、《前線の衛生兵》の3体で攻撃した。大隊が誘発して鉄壁となった《門道の影》を、渡辺は《皮印のゴブリン》でチャンプ・ブロック。河内の土地に《債務者の演壇》がつき、強請でついにライフが逆転すると、渡辺は次のドローを見てカードを片づけた。
「どうしてもクリーチャーが足りなかったですね」これまでの苦しい戦いを含めてため息とともに出す渡辺。だが2日目は始まったばかり。さらに過酷な戦いが、これから待ち受けているのだ。
河内 2-0 渡辺