2012マジック・プレイヤー選手権 トップ5カード

更新日 Event Coverage on 2012年 8月 31日

By Event Coverage Staff


マナ漏出
ある意味、《マナ漏出》は確定打ち消し呪文よりずっと良いものです。

5位 《マナ漏出

 このマジック・プレイヤー選手権で行われたトーナメントの構造で特筆すべき思わぬ展開とは、プレイヤーたちに対戦相手のデッキリストをすべて見る権利が与えられたことです。このことはデッキ構築からプレイングまで、広範囲にわたってさまざまな意味合いが含まれました。

 デッキ構築にいかに影響を与えたかの例は、ジョン・フィンケル/Jon Finkelへのインタビューによって明らかになりました。フィンケルによると、対戦相手がその存在を考慮してくる見込みが高いであろうことから、彼とキブラーは《マナ漏出》をデッキに4枚は入れないことにしないことにしたというのです。これは《マナ漏出》が使用可能などのフォーマットでも見られる破壊効果のひとつです。プレイヤーは《マナ漏出》の存在を意識してプレイしなければならなくなりますが、これはある意味で他のほとんどの打ち消し呪文とは異なるものです。単に追加のマナを払えば呪文を解決できるのですから、プレイヤーは追加のマナが払えるようになるまで呪文を唱えることをただ遅らせるだけになりがちです。

 他の確定打ち消し呪文では、プレイヤーは対戦相手の手札の打ち消し呪文を引き出すために単に呪文を唱えることになりがちです。この最終的な結果として、《マナ漏出》は序盤のゲームを遅らせるにはより適した打ち消し呪文となります。このトーナメントのモダンデッキ分布がZoo、Delver、親和といった高速デッキから成ることを考慮すれば、《マナ漏出》は存分に活躍できる素晴らしい立ち位置を得て、対戦相手がそれがデッキに入っていることを知っているという事実はそれをさらに増強するのです。

 ここから一歩進んだ知見もまた、このトーナメントで《マナ漏出》を使うプレイヤーに利益を与えました。その最たる例はフィンケルと彌永淳也のマッチで見られました。ある時点で、彌永は2枚のアンタップ状態の土地と1枚のフェッチランドを持っており、彼はフィンケルからすれば打ち消さなければならない呪文を唱えました。彌永が潜在的に、《マナ漏出》のために払える3マナがあると示しているにもかかわらず、フィンケルは踏み込んで《マナ漏出》を試みたのです。彌永はフェッチランドを起動して、《マナ漏出》の支払いに使う3枚目の土地を探しました…が、そこには何もなかったのです! フィンケルはそのフェッチランドの適正な対象が彌永には残されておらず、《マナ漏出》の支払いができない状態であることを知っていたのです。それはまさに決定的なプレイでした。

 こうしたプレイと《マナ漏出》がもつ序盤のゲームコントロール力の組み合わせにより、フィンケルはトップ4を成し遂げ、キブラーも最終ラウンドでトップ4を狙える位置につけることができたのです。2人のプレイヤーをほぼトップ4の位置まで送り込んだことと、最高に素晴らしいプレイで重要な役割を果たしたことは、《マナ漏出》を今週のトップ5カードに選ぶに十分な理由でしょう。




ええ、《タルモゴイフ》はまだまだ強力な武器ですよ。

4位 《タルモゴイフ

 あるフォーマットにおける特定のカードの支配力について語るとき、判断に使う基準のひとつがそのフォーマットにおけるそのカードの飽和度です。その点について、《タルモゴイフ》はこのトーナメントで最大の支配力を持ったカードといえます。参加16人のデッキのうち、13人が《タルモゴイフ》を使っていたのです。われわれは《タルモゴイフ》が印刷されて以来その強さについて書き記してきましたが、その事実に変わりはありませんでした。これは歴代で最も効率的な2マナ・カードで、最小のマナ投資で実に強大な脅威をデッキに提供します。攻撃的なデッキはさらなる脅威を追加することができますし、コントロール・デッキは対戦相手への対応に使えるマナを保持することができます。

 モダンにおいて、《タルモゴイフ》と《瞬唱の魔道士》の存在は、それに対処できる2枚のカードに脚光を浴びせました。《精神的つまづき》はこのフォーマットでプレイするには少し強力すぎましたが、《呪文嵌め》は十分にバランスが取れており環境に残っています。環境で広く使われる2マナ圏の圧倒的なカードパワーが、《呪文嵌め》を実に強力にしています。またこれに加えて、プレイヤーたちは、これまた《タルモゴイフ》と《瞬唱の魔道士》の両方を息切れさせられる《大祖始の遺産》もデッキに詰め込んでいました。

 こうした非常に強力な対抗手段の存在にもかかわらず、その純然たるカードパワーは《タルモゴイフ》を主流の脅威であり続けさせます。土地さえあれば、あとはデッキに搭載された十分な量の軽量呪文とフェッチランドが1ターンあたり3〜4点のダメージを生む非常に致命的なアタッカーを作り出し、他の《タルモゴイフ》を含めたこのフォーマットのあらゆるクリーチャーに対する頑健なブロッカーにもなります。前述のとおり、それはそこかしこで見られました。




Recurring Nightmare
このトーナメントのキューブ・ドラフト部門で、《繰り返す悪夢》はアレクサンダー・ヘインのデッキで大きな働きをしました。その成果は非常に驚くべきものです。

3位 《繰り返す悪夢

 アレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayneは今回のトーナメントで初戦から最も長く無敗を継続したプレイヤーでしたが、その成功にはこのパワフルなエンチャントの存在がありました。キューブで黒緑デッキをドラフトし、ヘインはかつて世界選手権を制したコンボ、《繰り返す悪夢》と《適者生存》のコンボをデッキに組み込むことができたのです。

 キューブ部門を決定づけたシナジーやコンボといえば、ヘインが複数回《虐殺のワーム》を出したり《永遠の証人》と《叫び大口》を循環させたりしたことか、もしくはジョン・フィンケルが第4ターンに《隔離するタイタン》を《修繕》で持ってきたことでしょう。《繰り返す悪夢》や《修繕》といったカードは幾年にも渡りプロの競技シーンでは陽の目を浴びることはありませんでしたが、マジック・プレイヤー選手権のキューブ・ドラフト部門はこれらの過去の宝石に、輝く時間を与えたのです。




霊気の薬瓶》、おかえりなさい、トーナメントの表舞台へ。

2位 《霊気の薬瓶

 モダンはフォーマットとして発表された当初から、カードプールに元来存在する最も強力なカードを禁止カードリストを伴っていましたが、そこに《霊気の薬瓶》がなかったことは非常に驚くべきことでした。やはり、親和では壊れた働きをし、レガシーでプレイされるとなると、モダンでも実に注目すべきものだったのです。しかし、実際にはそのようなことは起こりませんでした。

 今までは。

 八十岡翔太は、彼のモダン版青赤緑デッキにマナとテンポ両面のアドバンテージを与え、不可能を可能にするこの1マナアーティファクトを後ろ盾にトーナメントで勝ち進む道を切り開きました。観戦者の口をあんぐりと開けさせた一連の流れとして、八十岡はフィンケル相手にライフ11と攻め、戦場にはパワー4点分がありました。彼は《霊気の薬瓶》を起動すると《永遠の証人》を出し、これで《瞬唱の魔道士》を拾いました。そして2個目の《霊気の薬瓶》を使って、《瞬唱の魔道士》を瞬速で出すと《稲妻》をフラッシュバックし、一瞬で勝負を決めたのです。

 彼は週を通じてこのようなプレイを見せ、注目していたすべての人をあっと言わせるとともに、モダンにおける《霊気の薬瓶》エンジンのデッキの新時代の先駆けを示したのです。

 まさに最初のマジック・プレイヤー選手権は、渡辺雄也が2度目のプレイヤー・オブ・ザ・イヤーのタイトルを獲得したトーナメントとして永久に記憶に刻まれるでしょう。しかしそれと同じくらい、《霊気の薬瓶》がモダンの主力の一角であることを再び示した瞬間としても記憶されるものになるでしょう。




血編み髪のエルフ
この続唱の弾丸から撃ち出される純粋なパワーに、議論の余地はありません。

1位 《血編み髪のエルフ

 渡辺雄也がプレイヤー・オブ・ザ・イヤーのタイトルを獲得する助けとなったジャンド・デッキからは選ぶべき多くのカードがありました。《ヴェールのリリアナ》は新機軸の鍵となるもので、週を通じてジャンドの使い手にとって素晴らしい戦力でした。《稲妻》はいつでもどこでもプレイされ、おそらく今週最もプレイされた呪文でしょう。そして《闇の腹心》はやはり《闇の腹心》でした。

 しかし最終的には、八十岡の1対2交換祭りに対し、渡辺も超攻撃的な1対2交換で対抗する原動力となった《血編み髪のエルフ》ということになるでしょう。決勝の天下分け目の第5ゲームでデッキの一番上から降ってきて、渡辺を頂点に押し上げたのもまた、《血編み髪のエルフ》でした。

 このトーナメントは《霊気の薬瓶》の再登場として記憶されるのと同様に、そのアーティファクトを《血編み髪のエルフ》が打ち破り、渡辺雄也にプレイヤー・オブ・ザ・イヤーを掴み取らせたものとして、歴史に残り続けるでしょう。




(Tr. Yusuke Yoshikawa)

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