3位決定戦 : 片山 英典(大阪) vs. 石丸 健(熊本)

更新日 Event Coverage on 2006年 8月 27日

By Yusuke Yoshikawa

片山 英典

普段のプレミアイベントでは行われない、3位決定戦。

「負けたら最後」の決勝ラウンドにひとつだけ例外があるのは、これがただの順位決定戦ではなく、このマッチに「日本代表」の座が懸かっているから。

実は、日本選手権でTop4に入った時点で、世界選手権への招待権は確定している。しかし、世界選手権の4日目に行われる「国別対抗戦」において、『日本代表』の名前を背負って戦うことができるのは、わずか3人なのである。

その最後の椅子に挑むのは、予選を勝ち抜いてここまで戦い抜いた、片山 英典石丸 健という2人のプレイヤーだ。

彼らの名前は、普段こうした実況記事をお読みになっている方でもご存じなかったかもしれない。次々にタイトルホルダーが誕生するご時勢にあって、それぞれのプレイヤーの印象が小さくなるのは仕方ないともいえる。

しかし彼らがそれそれ、片山が3回、石丸が4回のプロツアー出場歴を持っている、歴戦の猛者なのであることはご記憶いただきたいと思うのだ。

最近では「プロプレイヤークラブ」の整備により、継続的にプロツアーに出場することは難しくなくなってきてはいる(もちろん、相応の実力は必要なのだが)。ただ、逆説的に、プロツアーのたびに予選を突破して参加し、本戦でも結果を残そうとすることは、以前よりも難しくなっているのかもしれない。

その意味で、片山や石丸がここまで勝ち上がってきたことはある種の必然ともいえるし、彼らのようなスタンスでマジックに臨むプレイヤーにもまた、チャンスをつかむ権利があるということなのだ。

もうひとつ付け加えるなら、彼らが持ち込んだデッキが、いわゆる「ネットで拾ったデッキ」や「プロプレイヤー謹製」のものではなく、自らで考え仲間と調整を重ねた「お手製」であることも強調しておきたい。

ハイレベルなトーナメントにおいては、デッキの「デザイナー」とそれを使用する「ドライバー」が分かれてきている印象もあるのだが、やはり根本的にはデッキ作成とプレイングは不可分のものであるということを、この2人の成績は示唆しているのではないだろうか。

さあ、運命を決める試合に移ろう。

アドバンテージを生み出すクリーチャーを中心とする石丸デッキに、除去・火力満載の片山デッキ。戦前から相性の悪さを嘆く石丸ではあるが、もちろん簡単に引き下がろうはずもない。デッキに最後の熱を込め、彼らにとって最後の戦いの幕が上がる。

Game 1

ダイスロールにより片山が先攻となった。マナベースに苦しめられた準決勝ではあったが、驚異のアドバンテージカード《闇の腹心/Dark Confidant》が2枚に、《ラクドスのギルド魔道士/Rakdos Guildmage》《火山の鎚/Volcanic Hammer》。《硫黄泉/Sulfurous Springs》もあってマナベースも完璧なハンドに満足のキープ。石丸も追随する。

石丸の《極楽鳥/Birds of Paradise》からゲームがスタートし、片山は第2ターンの《闇の腹心/Dark Confidant》を。石丸は第2ターン《オーランのバイパー/Ohran Viper》という十分なロケットスタートではあるのだが、これは《火山の鎚/Volcanic Hammer》に遭ってしまう。

《悪魔火/Demonfire》がめくれてしまうような、物騒な《闇の腹心/Dark Confidant》をひとまず《化膿/Putrefy》で葬って、《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》を追加する石丸。
これに片山は《闇の腹心》の2枚目をすぐおかわり、《ラクドスのギルド魔道士/Rakdos Guildmage》も並べるが、石丸はここがチャンスと《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》から《ラノワールのエルフ》につけて攻撃。

これにはブロックなく、カウンター2個のうち1個を使い《闇の腹心》が除去される。《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》で急に身動きが取れなくなった片山は、《ラクドスのギルド魔道士》のみで攻撃して、《ラノワールのエルフ》を《悪魔火》で除去するしかない。

すると、《巨大ヒヨケムシ/Giant Solifuge》が飛んでくる。直接は対処のできないこの生き物に殴られて、これでライフは13。片山は仕方なく《ラクドスのギルド魔道士》と4マナを立たせて待つが、石丸はプレイに力を込めて、2枚目の《巨大ヒヨケムシ》を送り出す!

ブロックに出てきたゴブリントークンを《梅澤の十手》カウンターで除去、《ラクドスのギルド魔道士》が一方のブロックに入るが、これで片山のライフは7に。

続く《闇の腹心/Dark Confidant》で《巨大ヒヨケムシ/Giant Solifuge》をブロックして始末はしたが、ライフは既に危険水域の4。石丸が一縷の望みと評した《巨大ヒヨケムシ》が、素晴らしい仕事を見せている。

《惑乱の死霊/Hypnotic Specter》を2体並べてくる石丸に、片山はこれらを《ショック/Shock》《黒焦げ/Char》で始末はするが、これでライフ2。

《闇の腹心》までは除去するものの、火力を求めるために《海の中心、御心/Mikokoro, Center of the Sea》を使わざるを得ない。

そこで《悪魔火/Demonfire》を引き当てた石丸が、「奇跡の」先勝を果たした。

片山 0-1 石丸

片山のサイドボーディング
Out:
4《血の手の炎/Flames of the Blood Hand
1《ラクドスのギルド魔道士/Rakdos Guildmage
In:
2《紅蓮地獄/Pyroclasm
1《流砂/Quicksand
1《陶片のフェニックス/Shard Phoenix
1《灰の殉教者/Martyr of Ashes

石丸のサイドボーディング
Out:
2《化膿/Putrefy
In:
1《困窮/Distress
1《巨大ヒヨケムシ/Giant Solifuge

Game 2

石丸 健

奇跡の勝利に俄然意気上がる石丸なのだが、マリガン後の6枚にも苦笑を浮かべる。それでもキープするしかない。石丸の《極楽鳥/Birds of Paradise》に対し、片山は第2ターン《闇の腹心/Dark Confidant》という、先ほどを思わせる順調な滑り出しである。

第2ターンに《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を並べる石丸だが、片山の手には《紅蓮地獄/Pyroclasm》が見える。

しかしこれをすぐにはプレイせず、《ショック/Shock》で《ラノワールのエルフ》を焼き払って《闇の腹心》で攻撃。石丸は《極楽鳥》の2枚目を出して、なんとなく《梅澤の十手》をつけておくしかない。

《闇の腹心》が静かに殴り、石丸が勇躍《巨大ヒヨケムシ/Giant Solifuge》を送り込んだところで、一呼吸溜めた《紅蓮地獄》が突き刺さる。

場がまっさらに、マナベースも厳しい。石丸はそのまま2ターンほど沈黙してしまうが、片山もとどめまでの火力を引けない。

見ると、手札には8点分の火力、石丸のライフは10。

《オーランのバイパー/Ohran Viper》が出てきたときにペインランドが使われ、石丸のライフが9になるが、まだ足りない。

しかし、続く《梅澤の十手》つき《オーランのバイパー》の攻撃を《流砂/Quicksand》で受け流すと、続くドローが《悪魔火/Demonfire》。

X=7の大火力と、《炎の印章/Seal of Fire》が石丸を焼いた。

片山 1-1 石丸

Game 3

石丸先攻に変わって第3ゲーム。

開幕《草むした墓/Overgrown Tomb》ペイ2ライフから《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》を、《ショック/Shock》で除去するという交換から、片山は《尖塔の源獣/Genju of the Spires》を設置。石丸は《惑乱の死霊/Hypnotic Specter》を続けるが、これにも《ショック》が。

石丸は第4ターンの《巨大ヒヨケムシ/Giant Solifuge》に賭けるが、これには《残酷な布告/Cruel Edict》。片山が淡々と攻撃をさばいていく立ち上がりになった。

足を止めてはならない石丸の次の手は《香杉の源獣/Genju of the Cedars》。擬似「速攻」でさらに4点のダメージを与え、ライフレースを18対12とする。
守りの立場にいた片山も、ここで攻め合いに出る。《尖塔の源獣/Genju of the Spires》が返しの一撃を与え、ライフは12対12のタイに。

石丸は《香杉の源獣》クリーチャー化から攻撃、そして《極楽鳥/Birds of Paradise》でブロッカーを用意せんとするが、これには当然のごとく《ショック》が刺さる。
《尖塔の源獣》が駆け抜け、石丸のライフは6に。

「そうだよねぇ…」

何かを納得したように石丸のつぶやき。《惑乱の死霊》と《香杉の源獣/Genju of the Cedars》をブロッカーに用意してはみたが、プレイヤー自身に《黒焦げ/Char》がプレイされ、片山が《悪魔火/Demonfire》を見せると、石丸はカードを片付けた。

片山 2-1 石丸

Game 4

緒戦を落としたものの、圧倒的なまでの相性差を見せつけ王手をかけた片山。しかし石丸も、あきらめたような素振りながら準備はキビキビ、虎視眈々と逆転を狙う。

開けた7枚にも苦い表情を隠し切れない石丸だが、プランを練りこれがベターと判断してマリガン。対して片山は、このマッチ初めてのマリガンを宣言する。

《香杉の源獣/Genju of the Cedars》から始まる第4ゲームは、石丸の《闇の腹心/Dark Confidant》を片山が《ショック/Shock》し、自らの《闇の腹心》を送り出す立ち上がり。
石丸は《惑乱の死霊/Hypnotic Specter》をプレイするのだが、片山の《闇の腹心》で見えたのは《ショック/Shock》。思わずげんなりする石丸。
単純なことだが、デッキに含まれる除去量が大きな差を生み出している。

片山は手札を考えて《悪魔火/Demonfire》で《惑乱の死霊》を除去、《闇の腹心》をレッドゾーンへ。

《香杉の源獣》で一度は攻撃する石丸だが、土地が3枚で止まり苦しい。
《闇の腹心》の攻撃に備え《香杉の源獣》を残すことにするが、片山の追加戦力は《陶片のフェニックス/Shard Phoenix》。

石丸は使えない手札を抱えながら悩むが、そのままターンを返す。

しかし、《陶片のフェニックス》のみならず《闇の腹心》も攻撃に向かってきたのでは、《黒焦げ/Char》の影を感じて《香杉の源獣》をブロックに参加させづらくなってしまった。何より、これは貴重な土地でもあるのだ。
石丸はこれを通す。片山の手札にあったのは、《残酷な布告/Cruel Edict》ではあったのだが。

片山は、石丸の終了フェイズを待って《黒焦げ》を。これでライフ4の石丸に対し、《陶片のフェニックス/Shard Phoenix》の攻撃から《炎の印章/Seal of Fire》をプレイ。石丸も自らのライフ0を待って、右手を差し出したのだった。

片山 3-1 石丸

2006年度日本代表、片山 英典

第4ゲーム、沈黙してしまった石丸の初手は、《香杉の源獣》《悪魔火/Demonfire》2枚、そして《迫害/Persecute》2枚に土地2枚だったという。

非常に厳しいマッチアップなのは、彼が強く認識していたところだった。だから、ストレートに《迫害》へと繋がれば、にミラクルを賭けたのだった。
それは成就せずとも、石丸にとっては納得の敗戦だったようだ。

そして片山は初めての日本代表入り。

1日目のラヴニカドラフトで大失敗しながらも2-2にまとめ、翌日の快進撃につなげたのは、着実にプレイ歴を重ねたことによって身につけた精神力の賜物だ。準決勝で土地事故に見舞われて敗れても、そこからリズムを取り戻して3位の座をつかみ取って見せた。
徐々に頭角を現し始めた彼は、これから世界選手権に向けても、さらなる成長を見せてくれるだろう。

世界選手権への切符を手にした彼らだが、出場に向けてこれから越えなければ問題はたくさんあるという。

しかし、それを解決して「マジックのために」パリに行けるとしたら、それはとても、幸せなことではないだろうか。

それだけの価値が、このゲームにはあると思う。

片山 英典が初の日本代表入り!

Katayama Hidenori

Download Arena Decklist
クリーチャー (8)
4 Dark Confidant 4 Rakdos Guildmage
ソーサリー (11)
4 Cruel Edict 4 Volcanic Hammer 3 Demonfire
インスタント (12)
4 Shock 4 Char 4 Flames of the Blood Hand
エンチャント (7)
3 Genju of the Spires 4 Seal of Fire
60 カード

Ishimaru Ken

Download Arena Decklist
ソーサリー (6)
4 Demonfire 2 Persecute
インスタント (2)
2 Putrefy
アーティファクト (4)
4 Umezawa's Jitte
エンチャント (2)
2 Genju of the Cedars
60 カード
サイドボード (15)
1 Giant Solifuge 4 Carven Caryatid 3 Deathmark 3 Distress 2 Crime/Punishment 2 Indrik Stomphowler

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