TABLE OF CONTENTS
- Blog - 8:44 pm: ラウンド 8 :石田 格 vs. 池田 剛
by Kenji Matsui
- Blog - 8:18 pm: ラウンド 7 : 真木 孝一郎 vs. 石村 信太朗
by Keita Mori
- Blog - 7:50 pm: ラウンド 7 :石田 格 vs. 水谷 直生
by Kenji Matsui
- Blog - 6:48 pm: ラウンド 6 :八十岡 翔太 vs. 池田 剛
by Kenji Matsui
- Blog - 5:02 pm: ラウンド 5: 大礒 正嗣 vs. 栗原 伸豪
by Kenji Matsui
- Blog - 3:31 pm: ラウンド4 : 小倉 陵 vs. 津村 健志
by Keita Mori
- Blog - 2:55 pm: 藤田 修 vs. 秋山 貴志
by Kenji Matsui
- Blog - 12:21 pm: 神河ブロック環境考察
by Kenji Matsui
- Blog - 10:14 am: 来日アーティスト:rk post
by Keita Mori
- Blog - 8:10 am: トッププロへのインタビュー
by Keita Mori
BLOG
Saturday, July 23: 8:10 am - トッププロへのインタビュー
グランプリ新潟で注目すべき強豪たちに、eメールでインタビューを試みた。ここでの回答者は三名。
まず、Magicthegathering.comにおける投票で『デッキ構築世界一』の称号である"Resident Genius"に輝いた藤田 剛史。さらに、救済導入前のブロック構築で争われたプロツアー・フィラデルフィアで準優勝を飾った津村 健志と、そのときの『Kobito Deck Wins』をデザインした石田 格のタッグだ。
いずれ劣らぬ、今大会の注目株たちの声をお届けしよう。
――神河ブロック構築における救済の注目カード5枚と、その理由を教えてください。
藤田 剛史の注目する救済カードベスト5
■《初めて苦しんだもの、影麻呂/Kagemaro, First to Suffer》
選出理由:
『けちコン』と白ウィニーの対戦の相性を激変させた一枚。《北の樹の木霊》や《曇り鏡のメロク》をも葬れる
■《万力鎖/Manriki-Gusari》
選出理由:
オレがフィラデルフィアで使ったような《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》系デッキが終わった。
■《残虐の手/Hand of Cruelty》
選出理由:
黒ウィニーの台頭を示唆するカード
■《名誉の手/Hand of Honor》
選出理由:
これがないと黒ウィニーにさえ勝てない。以上4枚で
石田 格の注目する救済カードベスト5
■《初めて苦しんだもの、影麻呂/Kagemaro, First to Suffer》
選出理由:
ご存知、環境最強のリセットつきクリーチャー
■《真髄の針/Pithing Needle》
選出理由:
すべてのデッキに独楽と十手への対策カードを与える素晴らしいカード。
■《荒廃の思考/Thoughts of Ruin》
選出理由:
コントロール全盛の時代なら活躍できる…ハズ
■《分霊の確約/Promise of Bunrei》
選出理由:
シナジーあり、アドバンテージありのかなりスゴイヤツ。《最後の裁き/Final Judgment》が減れば…
■《霊光の追跡者/Ghost-Lit Stalker》
選出理由:
カウンター呪文にどうしようもなく弱いコントロールデッキを救済する
津村 健志の注目する救済カードベスト5
■《初めて苦しんだもの、影麻呂/Kagemaro, First to Suffer》
選出理由:
使えばわかると思いますけれど、とにかくやばい
■《真髄の針/Pithing Needle》
選出理由:
十手や影麻呂など、指定して嬉しいカードは多いはずです。
■《荒廃の思考/Thoughts of Ruin》
選出理由:
コントロールキラーになれそうですが、うまく使えるデッキが出てくるかどうか
■《万力鎖/Manriki-Gusari》
選出理由:
《梅澤の十手》の引き合い勝負だったウィニー対決にインパクト。《忌まわしい笑い》への耐性もつく。
■《竹沼への沈み込み/Sink into Takenuma》
選出理由:
黒ウィニーにフィットする優良手札破壊
――グランプリ新潟では誰のデザインしたデッキをプレイする予定ですか? また、一緒に練習しているプレイヤーを教えてください。
藤田 剛史:一応自分で組んだデッキ。でも、新潟に向けて練習はほとんどしてないから、ここで勝つのは難しいと思う。 練習相手は主にMagic Onlineでちょろちょろ対戦したり、森田(雅彦)と林(宏樹)君が対戦してるのを横で見てみたり、トライアルを見てみたり、といった感じかな。
石田 格:流石に自分で作ったデッキで出るんじゃないでしょうか? 一緒に練習しているのは浅原連合の方々ですね。
津村 健志:フィラデルフィアでは石田 格さんにお世話になりましたけど、今回は同じ広島勢の大礒 正嗣さんも時間がとれるみたいなんで、二人で調整しようと思ってます。多分、同じデッキで出ますよ。
――個人的に活躍を期待している『注目のプレイヤー』を三人教えてください。
藤田 剛史:普段から接している大阪のプレイヤーしかわからないので、大阪に限って言えば、 藤田 修がたぶんベスト8入りに一番近いプレイヤーの一人だ。 あとはフューチャーされなければだろうが(二人とも緊張に弱い) 、トライアル戦線であまり負けていない林 宏樹と片岡 あさみにもチャンスはあるだろう。
石田 格:津村 健志君は期待できます。また勝って、寿司でも奢ってもらいたいところです(笑) あとは、身近なところで、ずっと頑張っている大澤 卓也君に活躍してほしい。もうすぐプロプレイヤークラブでレベル3ですからね。あと、「今、ヤソ(八十岡 翔太)が強い」という感じですね。
津村 健志:大礒 正嗣さんは世界で一番強いと思います。そして、構築といえば『Resident Genius』の藤田 剛史さん。あと、浅原 晃さんも独創的なカードをうまく使うので、対戦を見ていて面白いですよ。
――注目すべきライバルグループやデッキデザイナーについて教えてください。 藤田 剛史:特にはないが、新デッキが出てくるのを期待したい。
石田 格:やはり藤田 剛史さんのデッキですね。
津村 健志:石田 格さんと藤田 剛史さんのデッキはやっぱり気になります。
――全世界のマジックプレイヤーの中で『現時点の三強』をあげるとしたら、誰になると思いますか?
藤田 剛史:Olivier Ruel(フランス)と大礒 正嗣の二強時代ですね。
石田 格:Olivier Ruel、大礒 正嗣、藤田 剛史。
津村 健志:Olivier Ruel、大礒 正嗣、森田 雅彦。
Saturday, July 23: 10:14 am - 来日アーティスト:rk post

残念ながら、《Black Lotus》を手がけたことで知られるChristopher Rush氏が体調不良のために来日をキャンセルするという事態になってしまった。しかし、Wizards社はここで超のつくビッグネームをわずかな日程でブッキングするという離れ業をやってのけてくれた。すなわち、rk post氏が、ここグランプリ新潟でサイン会を行っているのだ!
下のリストをご覧いただければ一目瞭然、rk post氏は67枚ものアートをマジックの世界に提供してきたアーティストだ。氏は《変異種/Morphling》、《欲深きドラゴン/Covetous Dragon》、《果敢な勇士リン・シヴィー/Lin Sivvi, Defiant Hero》、《崇拝/Worship》、《稲妻の天使/Lightning Angel》といった数々の人気カードを手がけており、最新の神河救済でも《最後に訪れしもの、亜楡身/Ayumi, the Last Visitor》と《騙り者、逆嶋/Sakashima the Impostor》のために美麗なイラストを書き下ろしている。
グランプリの楽しみ方は様々だが、まちがいなく醍醐味のひとつといえるのがアーティストのサイン会だろう。ちなみに、rk post氏の美麗な作品の数々は、氏のウェブサイトでも楽しむことができる。
・公式サイト:rk post
・Gatherer カードリスト:rk post
Magic; the Gathering Artwork of rk post | |
カード名/Card Name | 収録セット/Set |
《深淵の怪物/Abyssal Horror》 | 第7版 |
《アクリディアン虫/Acridian》 | ウルザズサーガ |
《天罰の天使/Angel of Retribution》 | トーメント |
《大天使/Archangel》 | 第6版 |
《憤怒の化身/Avatar of Fury》 | プロフェシー |
《希望の化身/Avatar of Hope》 | 第8版 |
《力の化身/Avatar of Might》 | プロフェシー |
《意志の化身/Avatar of Will》 | プロフェシー |
《悲哀の化身/Avatar of Woe》 | プロフェシー |
《最後に訪れしもの、亜楡身/Ayumi, the Last Visitor》 | 神河救済 |
《炎の斉射/Blazing Salvo》 | オデッセイ |
《沼の信徒/ |
インベイジョン |
《チョー=アリムの使節/Cho-Arrim Legate》 | メルカディアンマスクス |
《珊瑚マーフォーク/Coral Merfolk》 | 第7版 |
《欲深きドラゴン/Covetous Dragon》 | ウルザズディスティニー |
《減衰機関/Damping Engine》 | ウルザズレガシー |
《夜明けに歩くもの/Dawnstrider》 | メルカディアンマスクス |
《デス・マッチ/ |
オンスロート |
《汚辱の涙/ |
インベイジョン |
《根気強いハンター/Dogged Hunter》 | オデッセイ |
《絶望の使者/Emissary of Despair》 | ダークスティール |
《希望の使者/Emissary of Hope》 | ダークスティール |
《侵食/Encroach》 | ウルザズディスティニー |
《フェアリーの戦隊/ |
インベイジョン |
《運命をもてあそぶ者/Fatespinner》 | ミラディン |
《悪臭のスピリット/Foul Spirit》 | ポータル・セカンドエイジ |
《高所/High Ground》 | エクソダス |
《虚ろの死霊/Hollow Specter》 | レギオン |
《イチョリッド/Ichorid》 | トーメント |
《熟達の戦士ジェスカ/Jeska, Warrior Adept》 | ジャッジメント |
《獣の守り手/Keeper of the Beasts》 | エクソダス |
《淑女の騎士/Ladies' Knight》 | アンヒンジド |
《レシュラックの秘儀/Leshrac's Rite》 | 第7版 |
《稲妻の天使/ |
アポカリプス |
《果敢な勇士リン・シヴィー/Lin Sivvi, Defiant Hero》 | ネメシス |
《ルーメングリッドの占い師/Lumengrid Augur》 | ミラディン |
《未収マナ保管所/Mana Cache》 | ネメシス |
《変異種/Morphling》 | ウルザズサーガ |
《ネファーシュ/Nefashu》 | スカージ |
《巣ごもりワーム/Nesting Wurm》 | ネメシス |
《鉱石喰らい/Ore Gorger》 | 神河物語 |
《大蛇の支援者/Orochi Sustainer》 | 神河物語 |
《パーディック山の火つけ/Pardic Arsonist》 | トーメント |
《ファイレクシア流再利用/Phyrexian Reclamation》 | ウルザズレガシー |
《原初の成長/ |
プレーンシフト |
《騙り者、逆嶋/Sakashima the Impostor》 | 神河救済 |
《砂州のマーフォーク/Sandbar Merfolk》 | ウルザズサーガ |
《セラの儀式文/Serra's Liturgy》 | ウルザズサーガ |
《Shrieking Specter》 | スターター1999 |
《音無しの暗殺者/Silent Assassin》 | メルカディアンマスクス |
《シルバーグレイド峡谷の開拓者/Silverglade Pathfinder》 | メルカディアンマスクス |
《ほとばしる魂/Spirit Flare》 | トーメント |
《最高審問官/Supreme Inquisitor》 | オンスロート |
《虫つぶし/Swat》 | オンスロート |
《テフェリーの濠/ |
インベイジョン |
《茨の精霊/Thorn Elemental》 | 第8版 |
《スラルの外科医/Thrull Surgeon》 | エクソダス |
《よじれた実験/Twisted Experiment》 | ウルザズディスティニー |
《暴露/Unmask》 | メルカディアンマスクス |
《ウルザの鎧/Urza's Armor》 | 第8版 |
《Veteran Cavalier》 | スターター1999 |
《万物の声/ |
プレーンシフト |
《真理の声/Voice of Truth》 | ネメシス |
《ヴァルショクの魔術師/Vulshok Sorcerer》 | フィフスドーン |
《ひねくれた研究者/Warped Researcher》 | レギオン |
《悩みの数珠/Worry Beads》 | メルカディアンマスクス |
《崇拝/Worship》 | 第8版 |
Saturday, July 23: 12:21 pm - 神河ブロック環境考察
今年もやってきたブロック限定構築シーズン。最新エキスパンション 3 つ(神河物語+神河謀叛+神河救済)のみを使用したこの特殊な環境は、毎回多くのプレイヤー達を悩ませる。
また、次世代のスタンダード環境のデッキには、ひとつ前のブロックで活躍した限定構築のデッキをもじった物が作り上げられることも珍しくないため、様々な意味で明日へ繋がる重要なイベントだと言えるだろう。
ここでは、観戦している皆さんのために、簡単に現在のブロック構築について軽くおさらいしておこう。
■プロツアー・フィラデルフィア (物語+謀叛)
多くのプレイヤーがブロック構築に関わるのは 3 つのエキスパンションが出揃ってからであるのだが、プロツアーではエキスパンションが 2 つの段階でのブロック構築イベントが開催されるのが恒例だ。まだまだ記憶に新しい、プロツアー・フィラデルフィアがそれにあたる。昨年度の世界選手権に日本代表として出場した津村 健志が準優勝を飾ったこのイベントから、ブロック構築の流れをおさらいしてみよう。
さて、大会全体としては最多勢力が『蛇』デッキだったのだが、これはどうやら狙い撃ちされてしまったようで、総じて負け組となっている。二日目に生き残った最多勢力は白単色だ。そして、それら白単色を食い荒らして、決勝ラウンドには、右を見ても左を見ても《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》と《木霊の手の内/Kodama's Reach》がひしめくベスト8になったのだった。
ただ、ベスト8の緑のデッキでも内容は色々で、《けちな贈り物/Gifts Ungiven》を使用した「けちデッキ」と固有名詞がつくようなデッキや、マナフレアこと《春の鼓動/Heartbeat of Spring》を使った明神デッキなど、そのデッキの種類は多岐に亘る。一応、負け組の「蛇」も一矢報いてベスト8が一名いたりもする。
そして、このプロツアーで勝ち組だったのは、いわゆる「けちデッキ」だ。デッキの全体を余す事なく循環させ、その姿は遠く昔の「nWo」を彷彿させる作りになっている。実際、二つのけちデッキが決勝戦を戦っているのだ。
■神河救済導入
さて時間を現代に戻し、今を話そう。エキスパンションも 3 つに増え、先日開催されたグランプリ・ミネアポリスの結果なども踏まえて、おおまかな構図をご説明しよう。
・大本命=けちコントロール
《初めて苦しんだもの、影麻呂/Kagemaro, First to Suffer》を搭載し、益々デッキに厚みが増したのが「けちデッキ」。ミネアポリスのワンツーフィニッシュも「けちデッキ」であり、間違いなく環境ナンバー 1 のデッキであろう。
・青単色コントロール
その「けちデッキ」の慢心を真っ向から打ち砕こうと鼻息を荒くしているのが青単。デッキを構成するパーツの単体としてのカードパワーは貧弱なものの、《呪師の弟子/Jushi Apprentice》を筆頭とするドロー強化と、「けちデッキ」に対してのピンポイントカウンターにて、真綿を絞めるように相手を倒す。懐かしい匂いを感じさせる仕上がりだ。日本では早くから八十岡 翔太が青単色でPTQ戦線を席巻しており、ミネアポリスでもベスト8に青単色が勝ち上がっている。
・白単色ウィニー
そんな初動が遅い 2 つのデッキに対して、小細工なしにスピードで決めるのが白単。凶悪な 1 マナ 2/2 クリーチャーである《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》を始めとした軽量良質クリーチャーで一気に押し切るのがコンセプト。
どちらかと言えばこのデッキ、「けちデッキ」には前環境の時点から対策されており、さらに《初めて苦しんだもの、影麻呂/Kagemaro, First to Suffer》が搭載されている昨今だけに、青を食う位置にこのデッキは存在するのかもしれない。
・黒単色ウィニー
また、スピードで相手を圧倒するカテゴリの中にも、別のアプローチとして、黒単が挙げられる。
白単程のスピードは無いものの、 2 、 3 マナ圏の優秀なクリーチャーが多数存在し、《不快な群れ/Sickening Shoal》などの除去もある。サイズを大きめにして《大薙刀/O-Naginata》というアプローチのものもある。
そして、多彩な手札破壊カードの存在も大きい。メインボードでは《困窮/Distress》を 4 枚を搭載し、サイドボードに《精神の槍/Psychic Spear》や《竹沼への沈み込み/Sink into Takenuma》などの準備もある。もちろん、調整によってはメインから重厚な手札破壊を行うことにもなるのだろう。手札破壊は無論青に強く、「けちデッキ」のようなコントロールにも強い。《鼠の墓荒らし/Nezumi Graverobber》や《鼠の短牙/Nezumi Shortfang》の 2 種も、両デッキに対して脅威となるカードだ。
ここまでヨイショしてしまうと、黒単色こそ環境最強デッキのように思えるが、白単には色的な相性の悪さがあり、実際に青単や「けち」と戦うと、どのカードも手札で重く感じるのが黒単の欠点であろう。
と、以上がこの環境の概観だ。
マジックには多数のカードが存在し、上記以外のデッキを組み、別方面からのメタゲームを展開して来るプレイヤーも勿論いるだろう。青緑、白緑といったカラーコンビネーションも結果を残しているし、強豪たちが最初のインタビューで語ってくれたように、赤い《荒廃の思考/Thoughts of Ruin》のようなカードを活かしたデッキも出てくるかもしれない。
あくまでも概観は概観として、これから台頭してくる新しいデッキにも期待しよう。それがマジックの恐ろしい所であり、楽しい部分であるのだ。
はたして、グランプリ新潟でも「けちコントロール」の快進撃は続くだろうか?
Saturday, July 23: 2:55 pm - ラウンド 4: 藤田 修 vs. 秋山 貴志

今大会、藤田 剛史が『ベスト8に最も近い位置にいる一人』とイチオシするプロツアー準優勝経験者の藤田 修(大阪)と、若手の勝ち頭の一人、2005年GP横浜でベスト8に輝いたこともある秋山 貴志(千葉)との対決。
そんな彼らが今回用意したデッキは、藤田がメインに《塵を飲み込むもの、放粉痢/Hokori, Dust Drinker》を搭載した白ウィニー式にタッチ《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》の半ロックデッキ。動きとしては、過去にアグロウォーターと呼ばれた青単の《水位の上昇/Rising Waters》デッキを想像していただけると解りやすいだろうか。
対する秋山は、緑主体の、《春の鼓動/Heartbeat of Spring》入りの《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》デッキ。青も少し多めに含まれ、《密の反抗/Hisoka's Defiance》や《精神の渦/Psychic Vortex》なども投入されている。
Game 1
後手の藤田が《今田家の猟犬、勇丸》、《八ツ尾半/Eight-and-a-Half-Tails》と軽快に流れ出すも、後続のクリーチャー続かずにターンエンド。その間に、淡々を《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》を経由して 4 ターン目には《曇り鏡のメロク》を出す秋山。
返しで《塵を飲み込むもの、放粉痢》を出したい藤田だが、それも適わずターンを返すと、 5 、 6 ターン目と秋山は《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》を 2 連打し、藤田の動きを完全に縛りつつ、《曇り鏡のメロク》の能力で土地を全てトークンに変えた。
秋山完勝
藤田 0 - 1 秋山
Game 2
再び 1 ターン目に藤田は《今田家の猟犬、勇丸》からスタートし、 4 ターン目には《塵を飲み込むもの、放粉痢》を張る。流れは藤田のものかと思えば、秋山はサイドボードから投入した《矢ぶすま/Hail of Arrows》で《塵を飲み込むもの、放粉痢》を見事に討ち取る。
そのまま《曇り鏡のメロク》を場に放った秋山は、 1 本目同様このままゲームエンドにもっていく勢いだが、返すターンに藤田は《今田家の猟犬、勇丸》に《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を張って攻撃開始。2 回目の《今田家の猟犬、勇丸》の攻撃が通ったところで、藤田はすぐさま《曇り鏡のメロク》を除去した。
だが、まだ策はある秋山。自身のメインターンに《春の鼓動/Heartbeat of Spring》をセットし、そこから《緊急時/Time of Need》で、《浄火明神/Myojin of Cleansing Fire》を手に入れてそのまま場へ放とうとするが、藤田のピンポイントの《密の反抗/Hisoka's Defiance》が突き刺さる。
2 本目は藤田の勝利。
藤田 1 - 1 秋山
Game 3
「バイ 3 明けのラウンド 4 の試合結果ってその日 1 日のゲンかつぎなとこありますよね」
なんて話を聞いたことがある。
確かにその日の初戦を勝てば、一日のテンションも上がると言うものだろう。そんな事を思い出しつつ、彼らの本日の初戦、 3 本目。
秋山が痛恨のマリガンを選択し、後手の藤田が 3 度 1 ターン目に《今田家の猟犬、勇丸》をキャスト。秋山はその動きを見て、急いで《緊急時》で《曇り鏡のメロク》を掘り起こして手の内に加える。

藤田がそのまま《名誉に磨り減った笏/Honor-Worn Shaku》、《塵を飲み込むもの、放粉痢/Hokori, Dust Drinker》と並べ、そこへ《曇り鏡のメロク》を送り込みたい秋山だが、土地が 4 枚で止まってしまい、次の策を講じようにも今の手札ではなにもできずに…ターンエンド。
この 1 ターンが大きかった。
返すターンに藤田はマナを余らせて《曇り鏡のメロク》を出し、未だ 5 マナ目を引けない秋山を尻目にトークンを展開して藤田は攻撃を始める。
なんとか5 枚目の土地に辿り着いた秋山。負けであることは感じつつも、自身も《曇り鏡のメロク》を出して、藤田の《曇り鏡のメロク》を葬り去ってみるが、返しのターンに食らうダメージを冷静に計算し、投了を宣言したのだった。
藤田 2 - 1 秋山
Saturday, July 23: 3:31 pm - ウンド4 : 小倉 陵 vs. 津村 健志

このイベントで最初のフューチャーマッチ(注目の対戦)となった試合の組み合わせは、おそらくこの週末に何度となく繰り返されるであろう《けちな贈り物/Gifts Ungiven》コントロールデッキのミラーマッチとなった。一見したところ、どうやらこのアーキタイプは本日の一大勢力といって良さそうである。
ただ、このミラーマッチが少々特異な点は、その使い手がともに非凡なるプレイスキルをもった若者であるということだ。対戦風景の写真で、手前に写っている緑色のシャツを羽織ったプレイヤーが津村 健志(広島)、奥の眼鏡の成年が小倉 陵(愛知)だ。小倉は昨年の世界選手権でベスト4に入賞した名古屋の若虎で、対する津村 健志はプロツアーで2大会連続の決勝ラウンド進出を果たしている。
Game 1
双方、《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》を展開しつつ、ゆるやかにゲームははじまった。そんな中で最初の大きな動きを見せたのは小倉で、《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》で津村の《けちな贈り物/Gifts Ungiven》を抜き去る。さらに小倉は《花の神/Hana Kami》で《頭蓋の摘出》を回収し、この《摘出》に《魂無き蘇生/Soulless Revival》を連携して《花の神》を回収しつつ、津村のデッキからさらに《鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni》を奪い取るというアクションだった。
しかし、あのフィラデルフィアでの決勝戦におけるGadiel Szleiferさながらに、ここで津村はビートダウンという形で返礼してみせる。まずは攻防一体の《初めて苦しんだもの、影麻呂/Kagemaro, First to Suffer》をダメージクロックとして機能させ、そこへさらに《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》を追加したのだ! そう、殴り倒すのみ。
ライフを蝕まれつつも、なんとか小倉は《不快な群れ/Sickening Shoal》によって《メロク》を破壊することに成功するが、このレジェンドは上空に忘れ形見のトークンを次々と生み出す。さらに、小倉は《初めて苦しんだもの、影麻呂》を召喚して、敵陣のそれとのレジェンド・ルールでの対消滅に成功。しかし、《メロク》の残滓ともいうべきトークンたちの握った制空権を奪い返すことはできず、津村 健志がここで白星先行となった。
津村 健志 1- 0 小倉 陵
Game 2
初戦を奪った津村 健志はアグレッシブにサイドボードを使用し、大礒 正嗣とともに練り上げたというそのマスターピースに…《山/Mountain》と《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》、さらに《霊光の追跡者/Ghost-Lit Stalker》といったカードをサイドインする。
そして、津村は《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》なしマナ加速なし《山賊の頭、伍堂》ありという初手をキープし、最初のドローで《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》を引き当て、順調に始動した。小倉の4ターン目エンドステップに《けちな贈り物/Gifts Ungiven》を詠唱し、《師範の占い独楽》と《桜族の長老》を墓地に送り込みつつ、《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》と《木霊の手の内/Kodama's Reach》を入手。さらに、津村は引いてきた《桜族の長老》と《木霊の手の内》を詠唱してマナを伸ばす。
そこへ小倉は最初の《けちな贈り物/Gifts Ungiven》をプレイし、津村の前に《霊光の追跡者/Ghost-Lit Stalker》、《鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni》、《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》、《木霊の手の内》という4枚をプレイマットへ静かに並べた。津村は小倉に《木霊の手の内》と《霊光の追跡者》を与え、返す自ターンには《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》を召喚し、《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を場に出した。
この《山賊の頭、伍堂》は小倉の《初めて苦しんだもの、影麻呂》によって地獄へ道連れとされてしまうが、ここで津村は《霊光の追跡者》を『魂力(Channel)』で使用し、小倉の手札を残り1枚というところまで攻撃した。小倉も返す刀で《霊光の追跡者》を『魂力』して津村の手札を捨てさせるのだが、たった1枚だけ、津村にはカードが残ってしまう。そして、それこそが《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》だった。
すでに《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》が出ている中、《メロク》での進撃を開始する津村。…これはもう、決まりだろうか?
しかし、小倉は《不快な群れ/Sickening Shoal》を引き当ててこのフィニッシャーを早々に葬ることに成功し、さらに《魂無き蘇生/Soulless Revival》で回収した《初めて苦しんだもの、影麻呂》を使用し、津村の陣容をカウンター3つの《梅澤の十手》つきトークン1体のみというところまで対処した。
津村は小倉を残りライフ4点というところまで追い詰めたが、小倉は《御霊の復讐/Goryo's Vengeance》によって『速攻』をもった《鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni》で急襲し、津村 健志の墓地の《曇り鏡のメロク》を奪取。このあたり、小倉の奮闘が実に目立つ中、津村は延々と土地を引き続けるという状態に突入していたりもする。そんな局面で、ようやく津村が引き当てた《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》を…小倉は満を持して、《密の反抗/Hisoka's Defiance》! そこへ小倉は《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》と《桜族の長老》を展開する。
ただ、それでも、津村 健志はここぞと《けちな贈り物/Gifts Ungiven》をトップデッキ。《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》、《御霊の復讐/Goryo's Vengeance》、《不快な群れ/Sickening Shoal》、《魂無き蘇生/Soulless Revival》をテーブルに並べた。ここで小倉は《夜の星、黒瘴》と《魂無き蘇生》を津村の手札に送り込ませることを選択するわけだが、小倉の残りライフは4点だ。
そして、続くターンに小倉は輝かしいプレイを我々に見せつける。魅せる。
津村 健志のアタックしてきた《夜の星、黒瘴》を《潮の星、京河》でブロックし、小倉はここで『敵陣の黒竜を』《先祖の院、翁神社/Okina, Temple to the Grandfathers》でパンプアップさせたのだ。これによって小倉の《京河》が一方的に敗れ、誘発型能力でなんと津村の《黒瘴》を奪い取ることに成功するというビッグプレイだ。
それでも津村は《魂無き蘇生》で《曇り鏡のメロク》を拾ってみたわけだが、小倉 陵は《死の溜まる地、死蔵/Shizo, Death's Storehouse》によって『畏怖/Fear』を得た《夜の星、黒瘴》でトドメをさすことに成功する。
かくて、粘りに粘って、土俵際からの大逆転。小倉は長い長い「けちコン」ミラーマッチを五分の星で終わらせることとなったのだった。
Final Results: 津村 健志 1- 1 小倉 陵
Saturday, July 23: 5:02 pm - ラウンド 5: 大礒 正嗣 vs. 栗原 伸豪
先日のプロツアーフィラデルフィアでも『あたりまえのように』見事なベスト 8 入りを成し遂げた大礒。世界で誰よりも早いスピードでプロツアーベスト 8を5回も経験している彼だが、実はフィラデルフィアで上がる予定(?)であったプロレベルが実は上がっておらず、今大会は是非とも勝利を掴み取ってレベルを上げたいとの意気込みである。
そんな大礒の今回のデッキはいわゆる《けちな贈り物/Gifts Ungiven》デッキ。津村 健志と同じデッキを使用する彼だが、ほかのプレイヤーと違うアプローチをしている点を上げれば、《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》に、《龍の牙、辰正/Tatsumasa, the Dragon's Fang》と《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を仕込んでいるところであろうか。
その対戦相手である栗原のデッキは、青緑メインの、タッチでこちらも《山賊の頭、伍堂》 & 《龍の牙、辰正》を投入した、カウンター《北の樹の木霊/Kodama of the North Tree》デッキである。
Game 1
互いに序盤は《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》や《木霊の手の内/Kodama's Reach》などでマナベースを整え、まず始めに場に姿を現したクリーチャーが大礒の《初めて苦しんだもの、影麻呂/Kagemaro, First to Suffer》。それに対するは、栗原の《北の樹の木霊/Kodama of the North Tree》。
これは大礒の能力起動によってお互い墓地へ流れ、続いて栗原は《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》を場へ。これによってライブラリから捜索してきた装備品は《龍の牙、辰正/Tatsumasa, the Dragon's Fang》と、一気にハードパンチャーを配備。
これに対処しようと動く大礒。
まずは《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》を回し、《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》を追加。そのまま《山賊の頭、伍堂》をブロックしつつライブラリの上を更新し、次へと繋がるカードを捜索にかかり、栗原が《龍の牙、辰正》を《山賊の頭、伍堂》に装備させようとしたところで、大礒は《山賊の頭、伍堂》に向けて《不快な群れ/Sickening Shoal》をキャスト。
《初めて苦しんだもの、影麻呂》をコストに使用しつつ -5/-5 をあびせかけるも、栗原はこれを《邪魔/Hinder》で回避してゲームセット。
一気に 16 点の攻撃を受けて、大礒のライフは 0 を割った。
大礒 0 - 1 栗原
Game 2
先手大礒の《木霊の手の内》を栗原が《密の反抗/Hisoka's Defiance》でカウンターするところから 2 本目が開始。
また、互いに淡々と土地を並べ、栗原が《北の樹の木霊》を出せば、大礒は返す刀で《夜の星、黒瘴》を場に出し、彼らは相打ちに。
続いて栗原、《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》を出せば、大礒は追加の《夜の星、黒瘴》で対抗しようとするも、これは《邪魔》によってライブラリの下へと帰って、場は栗原一歩リード。そのリードをさらに広げるべく、栗原は追加の《北の樹の木霊》を出すと、大礒は《木霊の手の内》を頭に、連携で《魂無き蘇生/Soulless Revival》を使用して《夜の星、黒瘴》の再利用を図るが、これまた《邪魔》にてライブラリの下へ。
場の有利はカウンターで守ってきた栗原だが、これで手札は 0 。
対して、大礒はターンを栗原に移し、攻撃を受けてライフは風前の灯火。
栗原の手札がライブラリの上から引いてきたカード 1 枚のみというところで、大礒が手札に暖めていたカードである《初めて苦しんだもの、影麻呂》をキャストすると、栗原はそれを《抗い難い知力/Overwhelming Intellect》でカウンターしてみせる。そう、栗原のライブラリの上には最高のカウンターが待ち構えていたのだった。
これをカウンターされたとしても、大礒の手札に残る《御霊の復讐/Goryo's Vengeance》が《初めて苦しんだもの、影麻呂》を回収してくる予定だったのだが、これによって栗原はカードを 5 枚ドロー。
さらに大礒は、おそるおそる《御霊の復讐》をキャストしてみるのだが、 《抗い難い知力》の5 枚のうちに含まれていた《密の反抗》が大礒の最後の抵抗をおさえこみ、栗原は大金星をあげてラウンド 6 へ向かうのだった。
大礒 0 - 2 栗原
Saturday, July 23: 6:48 pm - ラウンド 6 :八十岡 翔太 vs. 池田 剛

今回の環境の話をするときにあるプレイヤーの名前が出てくる事が多くなった。
「けちコンに強いヤソコン」。ヤソこと八十岡のことだ。
ちなみに、現在のヤソオカ・コントロール、ヤソコンは青単である。
ネットでも多く公表されている彼のデッキだが、カード単体のパワーは低いものの、青特有の相手の力を逆手に取る方法などを交えて、勝利への道を辿るものとなっている。
カウンターデッキという性質上、動きの遅いデッキにはカウンターを併せやすく、早いデッキに対しても《不忠の糸/Threads of Disloyalty》や《精神の渦/Psychic Vortex》などを用いて相手の動きを制限する。そして、こちらの土俵に持ち込めば勝てない相手でもない、という自分のフィールドまで相手を引っ張り込むのだ。まさに、青らしいデッキに仕上がっている。
対するは、プロツアーベスト4入賞経験2度という九州のベテラン、池田 剛の黒単色だ。
Game 1
先手は池田。黒単としては青を食いたいところで、逆に、青単としては《不忠の糸/Threads of Disloyalty》で逆手に取りたいところだろうか。
そんな思いが交錯する中、 2 ターン目に《鼠の殺し屋/Nezumi Cutthroat》を出し、続けて 3 ターン目に《困窮/Distress》で八十岡の手札を確認する池田。
池田の狙いのカードは《不忠の糸》ただ 1 枚で、見事に八十岡の手に眠るその1枚を狙い撃ちし、そのまま墓地へ捨てさせた。
後手 2 ターン目に《呪師の弟子/Jushi Apprentice》を場に放っていた八十岡は、渋々ながらも攻撃を受けつつ、この《弟子》によってドローを進める。
八十岡は《抗い難い知力/Overwhelming Intellect》などを筆頭にカウンターカードを引いてくるのだが、一向にクリーチャー対策カードを引き当てることができず、ライフは少しずつ減り落ちていく。
池田の後続には対処できるのだが、結局《鼠の殺し屋》の攻撃を 10 回受けて、八十岡のライフはきっちりと 0 になってしまった。
八十岡 0 - 1 池田
Game 2
2 本目は八十岡先手でゲーム開始し、2 ターン目に《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を出し、 3 ターン目に池田が出す《血塗られた悪姥/Wicked Akuba》を《邪魔/Hinder》でライブラリの下へ送り込み、淡々を土地を並べ、 6 ターン目にマナフルタップで《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》をキャスト。
池田は除去を持っているそぶりもなく、そのまま八十岡へターンが帰り、《潮の星、京河》に《梅澤の十手》が装着されて攻撃開始。
ご丁寧にも《水辺の学舎、水面院/Minamo, School at Water's Edge》まで用意されており、攻守共に良しとすばらしい展開。
八十岡 1 - 1 池田
Game 3

先手 2 ターン目に力強く《鼠の殺し屋》を展開する池田。アーティファクトクリーチャーが許されていない(《まどろむ虎の像/Slumbering Tora》等はのぞく)神河環境の青単では、このクリーチャーの攻撃を止める手段は皆無。バウンスでお帰り願うか、《不忠の糸/Threads of Disloyalty》でコントロールを得るなどの手段を講じねばならない。
本来は青のお家芸であるドロー強化でライブラリを掘り進め、目的のカードを手に入れて行動に移すといきたい八十岡だが、なかなかデッキが期待に答えてくれない。
そんな事を考えていると、池田は 2 枚目の《鼠の殺し屋》を通し、毎ターン 4 点のダメージクロックで攻撃を加えると、そのまま八十岡のライフは 0 を割った。
八十岡 1 - 2 池田
Saturday, July 23: 7:50 pm - ラウンド 7 :石田 格 vs. 水谷 直生

会場を出れば潮の匂いがするベンチがあり、多くのプレイヤーもその体を休めている。それに、夏の暑い盛りだが、広くて空調もよく効いているこの新潟の会場ではなかなかに快適だ。そんな中、これからラウンド 7 が開始されようとしている。
ここで新潟在住の地元勢、水谷 直生がフィーチャーエリアに呼ばれ、その対戦相手は天才・石田 格がつとめることとなった。
彼らの今回使用するデッキだが、水谷が《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》を 4 枚搭載した赤単デッキ。《思考の猛火/Mindblaze》や《初めて欲したもの、仇麻呂/Adamaro, First to Desire》など、水谷独特のチョイスで仕上がっており、6 連勝という成績によってデッキのポテンシャルの高さを証明している。
対する石田はこの環境最強と名高い、通称「けちコン」をプレイ。「けちコン」の性能は今更語るまでも無いだろうが、このデッキをプレイするには、一定以上のプレイヤースキルを要求されることは言及しておきたい。《けちな贈り物/Gifts Ungiven》で持ってくるカード、マナベースの調整、秘儀サイクルの流れなど、一日や二日で使いこなせるデッキではない。しかし、それだけに優秀なプレイヤーが手にすれば、必ずこのデッキはその期待に答えてくれるというわけであろう。
Game 1
先手を取った石田が《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》を出し、これを即使用して次ターンに《木霊の手の内/Kodama's Reach》と、一気にマナベースを築き上げる。
その間、水谷は《かまどの神/Hearth Kami》を出し、《伍堂の大槌、天鎖/Tenza, Godo's Maul》を装備して攻撃を加えようとするが、石田はそこへ《不快な群れ/Sickening Shoal》で《かまどの神/Hearth Kami》を除去。
返す石田のターン。マナも揃い、せっかく引いてきた《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》を打つ石田。カード指定を《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》とし、アドバンテージの塊をライブラリから抜きさる。このプロセスで水谷のデッキと手札を確認した上で、《夜陰明神/Myojin of Night's Reach》から《鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni》と並べて一気に勝負に決着をつけた。
石田 1 - 0 水谷
Game 2
2 本目は、水谷の土地事故に終わってしまう。
カードを展開できれば強い手札をキープするも、山 2 枚で土地が止まってしまうのだ。悶々としているところへ、石田は《けちな贈り物/Gifts Ungiven》を経由してどんどんデッキを掘り進める。

5 ターン目に待望の土地を引き当てた水谷は、やっとの事で《初めて欲したもの、仇麻呂/Adamaro, First to Desire》を出してみるのだが…、これは即時に石田の《撲滅/Eradicate》を食らって退場。
谷が出遅れている間に、石田は《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》で攻撃を開始。水谷も《名誉に磨り減った笏/Honor-Worn Shaku》などでマナを伸ばし、《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》をだしてみるも、これまた《撲滅》を食らって世界の外へ吹き飛ばされてしまう。
水谷の手には《思考の猛火/Mindblaze》が 2 枚残っているのだが、石田のライフはピクリとも動かず。その上で《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》まで場に追加されてはどうすることもできず、水谷はここで星を落とす事となった。
石田 2 - 0 水谷
Saturday, July 23: 8:18 pm - ラウンド 7 : 真木 孝一郎 vs. 石村 信太朗

第7回戦フューチャーマッチは、これぞまさしく新旧対決というべきアングルのものだった。
『マジック界のご意見番』真木 孝一郎は30代のベテランプレイヤーで、The Finalsでいうならば第1回大会から活躍しているという古豪だ。対する石村 信太朗はティーンエイジャーで、昨年末の10周年記念大会(The Finals 2004)での決勝ラウンド進出によって表舞台にデビューしたという若い世代。それこそ、倍近く年齢の離れた二人がフューチャーマッチエリアで全勝対決をするわけである。
かくて、老獪な真木の操る黒単色ビートダウンと、若き石村がプレイする青単色コントロールの対決が実現。そして、このゲームでは新鋭が古豪を圧倒することになる。
一本目では、真木 孝一郎のマナがから伸びない展開から、石村が《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》を召喚し、《水辺の学舎、水面院/Minamo, School at Water's Edge》のバックもあって、綺麗にこのドラゴンでの4発のアタックだけで幕。
二本目では、両者マリガンスタートの中で、真木の《鼠の墓荒らし/Nezumi Graverobber》を《不忠の糸/Threads of Disloyalty》で石村が奪うスタートとなったが、そこに4マナ4/5ファッティである《剃刀顎の鬼/Razorjaw Oni》を真木が追加してビートダウンをスタート。そこから、後続となった真木の《血塗られた悪姥/Wicked Akuba》を石村が《撹乱する群れ/Disrupting Shoal》でカウンターし、石村の《巻物の君、あざみ/Azami, Lady of Scrolls》を真木が《英雄の死/Hero's Demise》で即応するという具合にゲームは進んだ。
そして、石村のフルタップを狙い済ませて、真木は必殺の一撃。《竹沼への沈み込み/Sink into Takenuma》。手札をすべて捨てさせる強烈な魔法だ。
『ぅ…しずみました』

と、石村も思わず弱音を漏らしてしまう展開である。さすがに勝負あったか。
しかし、石村はホンモノだった。なんと、ここでのドローが100点満点の《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》トップデッキなのである!
結局、真木は《真髄の針/Pithing Needle》も《英雄の死/Hero's Demise》も引けず、青い悪魔が縦横無尽の活躍を果たし、まさにこれ一枚だけでゲームをひっくり返してしまったのだった。
石村 信太朗 2-0 真木 孝一郎
Saturday, July 23: 8:44 pm - ラウンド 8 :石田 格 vs. 池田 剛

既にドロップアウトした仲間のプレイヤーから「 2 人が全勝対決なんて珍しいね」などと野次られながらも、最終戦のフィーチャーエリアに陣取る彼ら。ご存知の方も多いだろうが、彼らはshop-fireball.prosとしてプロツアーで準優勝したチームメイト同士である。
石田の使用するデッキは「けちコン」。この環境の最大勢力であり、《初めて苦しんだもの、影麻呂/Kagemaro, First to Suffer》の実装により更に完成度を増した緑多色系の王道デッキである。
対する池田は黒のビートダウンと手札破壊を織り交ぜた黒単。白に対する勝率は良くないものの、「青単色」や「けちコン」などの遅めのデッキに対しては絶大な力を発揮する仕上がりだ。
互いにデッキの内容も知れており、なにをどうするかもすべてシュミレーション済みであろうが、何が起こるかが解らないのがマジック。
さて、その試合のほうだが、 1 本目は池田の手札破壊が石田に抜きさってビートダウンを決め、 2 本目は石田に忌まわしい笑い》を決められて、勝負の行方は 3 本目にゆだねられる事になった。
Game 3
後手の石田は《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》を出し、手札破壊系カードで抜かれないように大切に《忌まわしい笑い》をライブラリで暖める。
池田は 2 ターン目の《鼠の墓荒らし/Nezumi Graverobber》に始まり、 3 ターン目に《困窮/Distress》で石田の手札を確認して、《木霊の手の内/Kodama's Reach》をディスカード。
手札も確認したし、さあクリーチャーを出して来いと構える石田に対し、 4 ターン目に池田がとった行動は《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》。
これを承認した石田。ここで池田が宣言するのは、先ほど石田の手札を確認して 2 枚持っていた《不快な群れ/Sickening Shoal》の名前を口にする。かくて、除去カードの恐怖から逃れた池田。
更に、ライブラリで暖めていた《忌まわしい笑い》が何処かに消えてしまった事もあり、新しい期待を持って《師範の占い独楽》を回す石田。ライブラリを 3 枚捲ると、そこにはデッキ名を冠するカード、《けちな贈り物》が。石田はこれを即座に打ち、手に入れた《曇り鏡のメロク》を即召喚。
しかし、これは即座に《英雄の死/Hero's Demise》で沈んでしまい、返す池田のターンに、手札破壊の猛攻が石田を襲い、たちまちにクリーチャーが墓地に落ちていく。続けて《剃刀顎の鬼/Razorjaw Oni》を出してターンエンド。
池田は石田を押し切り、初日全勝をもぎとったのだった。
石田 1 - 2 池田