Day 1 Blog Archive

更新日 Event Coverage on 2007年 2月 10日

By Wizards of the Coast

TABLE OF CONTENTS

  • Blog - 8:13 p.m.: Round 7 : 大澤 拓也(神奈川) vs. Thomas Gundersen(ノルウェー)
    by Keita Mori
  • Blog - 4:10 p.m.: Round 5 : 津村 健志(広島) vs. Andre Muller(ドイツ)
    by Keita Mori
  • Blog - 1:41 p.m.: Round 3 : 三原 槙仁(大分) vs. Andre Coimbra(ポルトガル)
    by Keita Mori
  • Blog - 12:58 p.m.: Round 2 : 齋藤 友晴(東京) vs. Antonino De Rosa(アメリカ)
    by Keita Mori
  • Blog - 10:52 a.m.: Draft 1 Report―三原 槙仁(大分)
    by Keita Mori
  • Blog - 9:45 a.m.: 新しいステージ
    by Keita Mori

BLOG

 

私がプロツアーを取材するようになって8年目を迎えるが、このプロツアー・ジュネーヴが取材キャリアにおいて初の「日本人ジャッジが一人も参加していないプロツアー」となった。これは、日本人たちにとって大きなターニングポイントと言えるだろう。

日本勢は母国語を話すジャッジの手助けなしで戦うことになった

基本的にマジック:ザ・ギャザリングの公用語は英語であり、プロツアーの舞台で用意されるパックも英語版となる。そんな中で、日本人選手の多くは英語のスキルが十分とは言えないレベルにあり、ジャッジの裁定や円滑なコミュニケーションの実現のためにバイリンガル・ジャッジの力を借りている。そして、そんな彼らが競技シーンの頂点を、すくなくともその一角を占めているとされている状況にある。いまや、プレイヤー・オヴ・ジ・イヤーと世界チャンピオンの二冠を日本人が二年連続で掴み取っているのだ。

「日本人ジャッジが参加していないプロツアー。これは日本の競技コミュニティにとって大きな挑戦と言えるでしょうし、ある意味では、これこそがあるべき姿なのかもしれません。すでに日本人は競技シーンの中心的な存在となっていますし、英語を苦手としながらも北米や欧州のグランプリに遠征したときは彼らなりに乗り切っているという実績もあります。ですから、グランプリがプロツアーに変わったところで大きな問題はないのではないかと私は考えています」

―DCIトーナメントマネージャー、Scott Larabee氏談

かくて、日本勢に国際化という新たな課題を投げかけたプロツアー・ジュネーヴとなったのである。


Friday, Feb 9: 10:52 a.m. - Draft 1 Report―三原 槙仁(大分)

by Keita Mori
 

「もうね。これが8人ちゃんと揃ったドラフトとしては三回目なんですよ(笑) …で、帰ったらいきなり翌日が修士論文の発表日だし、ほんともうどうしようもない!」

昨年度の世界王者にも輝いた九州男児は豪快な笑いとともにドラフトエリアへとあらわれた。上家にはポルトガルの新鋭Andre Coimbraを迎えての第1ドラフト、練習不足ゆえの「キメウチ」をほのめかしながらも、世界王者・三原 槙仁(大分)は果たしてどのような戦いぶりを見せてくれるだろうか。

三原 槙仁(右)とAndre Coimbra

■Pack 1 : Time Spiral

1st Pick : 《版図の踏みつけ/Tromp the Domains

除去らしい除去が含まれておらず、他候補として挙げられるカードも《トリスケラバス/Triskelavus》や《アトランティスの王/Lord of Atlantis》といったラインナップ。そんな中で三原 槙仁は緑色のフィニッシュブローをファーストピックした。

2nd Pick : 《コー追われの物あさり/Looter il-Kor
3rd Pick : 《水深の予見者/Fathom Seer

ドラフト後のインタビューで「キメウチ的な部分で、アグレッシブな青白をやりたいと思っていました」と語る三原は、2手目、3手目と上から流れてくる青いパワーカードを順当にピック。

4th Pick : 《古木のヴァーデロス/Verdeloth the Ancient

《熟慮/Think Twice》と悩んだ末に《古木のヴァーデロス》へと進んだ三原だが、ここから緑色のカードになかなかめぐり合えず、白へと手を伸ばしていくことに。

5th Pick : 《ヴィセリッドの深み歩き/Viscerid Deepwalker
6th Pick : 《歪んだ爪の変成者/Crookclaw Transmuter
7th Pick : 《拭い捨て/Wipe Away
8th Pick : 《象牙の巨人/Ivory Giant
9th Pick : 《アイケイシアの触れ役/Icatian Crier
10th Pick : 《アヴナントの癒し手/D'Avenant Healer
11th Pick : 《正義の凝視/Gaze of Justice
12th Pick : 《睡蓮の花/Lotus Bloom
13th Pick : 《ジョイラの時虫/Jhoira's Timebug
14th Pick : 《真実か詐話か/Truth or Tale
15th Pick : 《二の足踏みのノリン/Norin the Wary

■Pack 2 : Time Spiral

三原 槙仁

1st Pick : 《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron

プロツアー神戸チャンピオンでもあるJan-Moritz Merkel(ドイツ)がフィニッシュブローとして使用したことでも知られる《塩水の精霊/Brine Elemental》入りのパックで、またしてもレアが《トリスケラバス/Triskelavus》。ほかにも《獣群のナール/Herd Gnarr》や《ヴェク追われの侵入者/Trespasser il-Vec》といったパワーカードがひしめく内容だった。そして、世界王者は迷わず4/4飛行の待機生物へと手を伸ばした。

2nd Pick : 《ぬいぐるみ人形/Stuffy Doll

後に三原がミスだったと振り返るのがここでの選択である。

他候補に《秘教の処罰者/Mystic Enforcer》、《ヴィセリッドの深み歩き/Viscerid Deepwalker》、《アムローの求道者/Amrou Seekers》といったカードがある中で、

「《ぬいぐるみ人形》を使ったことがなかったから使ってみたかった! でも、よくよく考えてみるとこの環境はタフネスに修整を加えるタイプの除去が多いんですよね…。殴るデッキという意味で《アムローの求道者》を取るべきでした。」

3rd Pick : 《城の猛禽/Castle Raptors
4th Pick : 《コロンドールのマンガラ/Mangara of Corondor
5th Pick : 《肺臓スリヴァー/Pulmonic Sliver
6th Pick : 《象牙の巨人/Ivory Giant
7th Pick : 《補強/Fortify
8th Pick : 《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter
9th Pick : 《流動石の媒介者/Flowstone Channeler

システムクリーチャーを除去しにくい青白という色ゆえか、順当にカードをそろえながら赤いシェイプシフターである《流動石の媒介者/Flowstone Channeler》をカット。先ほど三原が挙げていた「タフネスに修整を加えるタイプの除去」の代表例である。

さて、ここでヘッドジャッジに筆者が呼び出され、あれこれと通訳をしているうちにドラフティングは第3パックへと突入することになる。やはりバイリンガル・ジャッジはまだまだ必要な状況のようだ。

■Pack 3 : Planar Chaos

Whitemane Lion

1st Pick : 《白たてがみのライオン/Whitemane Lion

三原 槙仁が「次元の混乱」でファーストピックしたのは、いわゆるゲーティング・クリーチャーの《白たてがみのライオン/Whitemane Lion》。三原はデッキ構築のときにこのクリーチャーを「4マナ域のクリーチャー」あるいは「2マナ域の呪文」としてレイアウトしてデッキのバランスを確認していた。

2nd Pick : 《太陽の槍/Sunlance
3rd Pick : 《模る寄生/Shaper Parasite
4th Pick : 《硫黄の精霊/Sulfur Elemental
5th Pick : 《羊術/Ovinize
6th Pick : 《暁の魔除け/Dawn Charm
7th Pick : 《セレンディブの魔術師/Serendib Sorcerer
8th Pick : 《海賊の魔除け/Piracy Charm
9th Pick : 《覆われた奇異/Veiling Oddity
10th Pick : 《塩平原の世捨て/Saltfield Recluse
11th Pick : 《マナの税収/Mana Tithe
12th Pick : 《暁の魔除け/Dawn Charm
13th Pick : 《水変化の精体/Aquamorph Entity
14th Pick : 《同期スリヴァー/Synchronous Sliver
15th Pick : 《同期スリヴァー/Synchronous Sliver

強烈なアンチカードである《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》を早々とカットした三原だが、ドラフティング全般を通しての感想として

「2マナ域のクリーチャーをぜんぜん流してもらえんかったですよね。協調はできてたと思うんですけど。…おかげで、えらく遠回りなデッキになってしまっています。《象牙の巨人/Ivory Giant》が出てこないと殴れないでしょう」

とつぶやく。

また、デッキ構築の最後の最後まで、緑色のエンドカードをタッチするかどうかで迷っていたようだが、

「※《砕土/Harrow》シェイプシフターが出てくれたら、初手の《版図の踏みつけ/Tromp the Domains》もタッチできたんですけどね。残念です。まあ、全体的には2-1を狙いたいなといった出来ですね」

とのことである。

※《砕土/Harrow》シェイプシフター : 《夢次元の芸術家/Dreamscape Artist》のこと

そして、三原 槙仁は狙い通りの2連勝を果たし、上家であったAndre Coimbraとの試合で注目の対戦(Feature Match)エリアへと招待されることになった。

Makihito Mihara

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Friday, Feb 9: 12:58 p.m. - Round 2 : 齋藤 友晴(東京) vs. Antonino De Rosa(アメリカ)

by Keita Mori
 

その短くないキャリアと輝かしい戦績で知られる二人の日米の強豪による対決。見ごたえのあるビートダウンに期待したいところだったが、ともに3色デッキを駆る彼らだけに、さながらそれは色マナをめぐる攻防ともなってしまうのだった。

齋藤 友晴 : 赤白黒スリヴァー
Antonino De Rosa : 赤緑白

Antonino De Rosa(アメリカ)

Game 1

先手Antonino De Rosa(アメリカ)が《原初の腕力魔道士/Primal Forcemage》から「待機」で《ナントゥーコのシャーマン/Nantuko Shaman》と展開する立ち上がりで、対する齋藤 友晴(東京)は《双頭スリヴァー/Two-Headed Sliver》から《菅草スリヴァー/Sedge Sliver》と続ける。

回避能力、サイズアップ、再生、という能力を軍団で共有することになった齋藤は《菅草スリヴァー》で3点のアタックを敢行。すると、待機のあけたところでDe Rosaは2体でフルアタックを宣言。ここで齋藤は《原初の腕力魔道士》を再生つき2/2《双頭スリヴァー》によるブロックで一方的に殺し、強化された《シャーマン》からの6点を通すことを選択する。すると、戦闘後にDe Rosaは《石炭焚き/Coal Stoker》を呼び出してから《乱暴+転落/Rough+Tumble》を使用。再生マナのないところを狙って《双頭スリヴァー》を葬り、残る2点をマナバーンした。

齋藤も《菅草スリヴァー》でのアタック後に《石炭焚き/Coal Stoker》から《針先の蜘蛛/Needlepeak Spider》。齋藤の《蜘蛛》と《石炭焚き》はDe Rosaの《腕力魔道士》と《石炭焚き》の2対2の相討ちとなる。

De Rosaも《垣のトロール/Hedge Troll》を呼び出すが、こちらは《平地/Plains》がないために再生できない2/2というサイズ。それぞれの陣営のHedge(垣)とSedge(菅草)のコントラストが印象的な試合となったものである。

アタッカーとして《吐毒スリヴァー/Spitting Sliver》を加えた齋藤はDe Rosaがトップデッキしてきた《ダークウッドのベイロス/Durkwood Baloth》を《稲妻の斧/Lightning Axe》で葬り、ダメージレースを継続。

ただ、De Rosaも《ユートピアの誓約/Utopia Vow》で《吐毒スリヴァー/Spitting Sliver》を無力化し、さらに再生もちの《マイアー・ボア/Mire Boa》を召喚。残りライフ2点ながらも膠着状態に持ち込まれたかに見えた。

しかし、齋藤 は《ハンマーハイムの落とし屋/Hammerheim Deadeye》、《筋力スリヴァー/Sinew Sliver》と力強く後続のアタッカーたちを展開し、最後の最後まで《平地》を出せなかったDe Rosaを圧倒した。

齋藤 1-0 De Rosa

Game 2

齋藤 友晴(東京)

先ほどは恵まれなかったを《進化の魔除け/Evolution Charm》で2ターン目に獲得し、その上で《原初の腕力魔道士》を呼び出すDe Rosa。これを今度は《沼》に恵まれなかった齋藤 友晴の《菅草スリヴァー》が迎え撃つことになる。

De Rosaの後続は《ナントゥーコのシャーマン/Nantuko Shaman》。齋藤 の《湿布スリヴァー/Poultice Sliver》をDe Rosaは《嵐の束縛/Stormbind》でなぎ払ってアタックを開始する。

今度は3/3となる《垣のトロール/Hedge Troll》がDe Rosa陣営に加わり、対照的に齋藤が色マナトラブルに陥っている。このまま風向きが変わることはなく、圧倒的な制圧力でもって《嵐の束縛》がゲームを決めてしまった。

De Rosa 1-1 齋藤

Game 3

そして、続く第3ゲームでもDe Rosaの側に早々と現れてしまった《嵐の束縛》が齋藤のスリヴァーたちを次々と撃破していくことになり、今度は土地ばかりを引き当てていくことになる齋藤を一蹴することとなった。

De Rosa 2-1 齋藤


Friday, Feb 9: 1:41 p.m. - Round 3 : 三原 槙仁(大分) vs. Andre Coimbra(ポルトガル)

by Keita Mori
 

先ほどの記事でそのドラフティングを紹介した世界チャンピオン、三原 槙仁(大分)が見事な2連勝から注目の対戦(Feature Match)に招待された。対するは、三原のひとつ上の席でピックしていた、いわゆる「上家(かみちゃ)」の位置のAndre Coimbra(ポルトガル)。成長著しいポルトガルの若武者である。

Andre Coimbra(ポルトガル)

Coimbraのデッキは実に強力な黒単色デッキに《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》と《山/Mountain》をタッチして《絞殺の煤/Strangling Soot》のフラッシュバックに対応したかたちのデザイン。三原の青白も悪くない仕上がりとなっているわけだから、ドラフトポッドの「こちらがわ」の協調路線はうまく行っていたということだろう。いわゆる「勝ち組半球」の二人の直接対決である。

三原 槙仁 : 青白
Andre Coimbra : 黒単色タッチ赤

Game 1

先手を獲得したCoimbraがこの第1ゲームを完璧な形で支配することとなった。毎ターン、マナカーブ通りにキッチリとマナを使い切り、《精神攪乱/Mindstab》(待機)、《ラースのわな師/Rathi Trapper》、《アーボーグの吸魂魔道士/Urborg Syphon-Mage》、《脳喰らい/Brain Gorgers》と展開していったのだ。そこからCoimbraはマッドネス・モードへとギアチェンジし、《病的な出来事/Psychotic Episode》、2体目の《脳喰らい》、《ベラドンナの暗殺者/Nightshade Assassin》と次々にプレイしていった。

一方の三原の視点でゲームを見てみると、2ターン目に《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron》を待機し、変異クリーチャー、《コロンドールのマンガラ/Mangara of Corondor》、と、なんとか《精神攪乱/Mindstab》がやってくる前に陣立てをはかっている。そして《精神攪乱》によって《アヴナントの癒し手/D'Avenant Healer》、《島/Island》、《拭い捨て/Wipe Away》を捨てることとなるわけだが、まさに手札が《ぬいぐるみ人形/Stuffy Doll》1枚きりとなってしまったところで、敵陣から《病的な出来事/Psychotic Episode》マッドネスが襲い掛かってくるのである。

そこから、《アーボーグの吸魂魔道士》のドレイン能力が起動され続けることとなり、Andre Coimbraは迅速に、そして圧倒的に第1ゲームを獲得した。

Coimba 1-0 三原

Game 2

三原 槙仁(大分)

リベンジに燃える「マハラ」は先手テイクマリガンを余儀なくされてしまったが、対するCoimbraの初手がたったの5枚ということになり、今度は三原がゲームの主導権を握ることになった。《ヴィセリッドの深み歩き/Viscerid Deepwalker》(待機)、《コー追われの物あさり/Looter il-Kor》、《セレンディブの魔術師/Serendib Sorcerer》、《アイケイシアの触れ役/Icatian Crier》と連続召喚である。

他方、ダブルマリガンのCoimbraの土地が3マナで止まってしまい、《ラースのわな師/Rathi Trapper》でなんとか傷口が広がるのを防ぎながらも、じりじりと後退を余儀なくされてしまう試合運びとなる。Coimbra側の2体目のクリーチャーである《ヴェク追われの侵入者/Trespasser il-Vec》も《太陽の槍/Sunlance》で除去されてしまい、絶体絶命の窮地。それでもCoimbraはなんとか4枚目の《沼/Swamp》を引き当てて《堕落の触手/Tendrils of Corruption》をプレイした。

しかし、

そのとき世界王者が握り締めていたのは、
サイドボードから投入した《マナの税収/Mana Tithe》!

にわかに観衆が沸き、Coimbraは盤上に突っ伏してしまう。

三原 1-1 Coimbra

Game 3

どうやら好不調の波が激しい二人だが、決戦の三本目では三原が痛恨のマリガン、Coimbraが笑顔で7枚キープという立ち上がりになる。

3ゲーム続けて、2ターン目にタッパーである《ラースのわな師》を召喚するという立ち上がりを迎えるCoimbra。さらに《ヴェク追われの侵入者》、《アーボーグの吸魂魔道士》と連続展開し、その上で三原の変異へと《堕落の触手/Tendrils of Corruption》を撃ち込む。

その一方で、《コー追われの物あさり/Looter il-Kor》だけが場に残っている状況の三原が《ぬいぐるみ人形/Stuffy Doll》を呼び出すのだが、これをトップデッキの《隷属/Enslave》で奪い取ってみせるCoimbra。それならば、と三原は上空に《城の猛禽/Castle Raptors》を呼び出すが、これを2枚目の、そして7点という規模の《堕落の触手》で撃ち落すCoimbra。どうにも、彼らの試合は一方的で圧倒的な展開になりがちなようだ。

三原が待機させていた《象牙の巨人/Ivory Giant》が出てきてみるものの、それはやはりタッパーに封じ込められてしまうだけのこと。第1ゲームさながらに《アーボーグの吸魂魔道士》のドレイン能力を起動され続け、気がつくと、ライフレースでは31対6という大差がついてしまっている。

まもなく、《トリスケラバス/Triskelavus》が世界王者を介錯した。

三原 1-2 Coimbra


Friday, Feb 9: 4:10 p.m. - Round 5 : 津村 健志(広島) vs. Andre Muller(ドイツ)

by Keita Mori
 

石田 格(東京)がデザインした「明神デッキ」によるプロツアー・フィラデルフィアでのパフォーマンス(準優勝)こそが、後にそのシーズンのMVPを受賞するにいたる津村 健志(広島)の国際的な成功を決定付けたといっても過言ではないだろう。

津村 健志(広島)

そして、ここで津村がまみえるAndre Muller(ドイツ)もそのフィラデルフィアでベストエイト入賞を果たしているという強豪である。ちなみに、フィラデルフィアの地でも彼らの直接対決は実現していて、津村が2連勝でMullerをくだしている。

「そうそう、オレがサイドアウトしているのを知らないで、《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》で《風見明神/Myojin of Seeing Winds》を指定して負けちゃったヒトです」

と、屈託のない笑顔で当時の思い出を筆者に語ってくれる津村。

はたして2年前になされた格付けは覆るのか、否か。

津村 健志 : 赤緑
Andre Muller : 青黒

Game 1

先手Mullerの《夢次元の芸術家/Dreamscape Artist》を《乱暴+転落/Rough+Tumble》で葬った津村が《原初の腕力魔道士/Primal Forcemage》を召喚するというファーストアクション。

そこにMullerが《虹色のレンズ/Prismatic Lens》でのマナ加速を経て《トレイリアの歩哨/Tolarian Sentinel》を召喚。そこへ津村が《腕力魔道士》でのアタックを宣言を行った。これをブラフと断じたか、Mullerは自信満々に《トレイリアの歩哨》でノータイムでのブロック。「それなら」と、津村が《憤怒の魔除け/Fury Charm》を使用(+1/+1&トランプル)すると、Mullerは「1マナ残していたのはこのためだ!」と言わんばかり、したり顔で《歩哨》の「共鳴者」能力を起動して自身をバウンスしようとする。

津村 「それ、召喚酔いでしょ」

Muller 「…あっ」

ミスはミス。気を取り直して《コー追われの物あさり/Looter il-Kor》、《呪われたミリー/Mirri the Cursed》と展開して建て直しをはかりたいMullerだったが、津村は自陣に《ナントゥーコのシャーマン/Nantuko Shaman》が「待機」から出てきたところで《硫黄破/Sulfurous Blast》を詠唱。《原初の腕力魔道士》の恩恵で6/5速攻となって登場した津村の《シャーマン》だけが生き残るということになり、強烈な一撃がMullerを襲う。

かくて、要所要所でゲームの流れをしっかりと掌握した津村が、ここからのクリーチャー展開合戦でも数的優位を築き、Mullerを圧倒することになった。

津村 1-0 Muller

Game 2

青黒のMullerが《祖先の幻視/Ancestral Vision》待機から《熟慮/Think Twice》とドロースペルを連打するスタートとなり、赤緑の津村が《本質の管理人/Essence Warden》から《流動石の媒介者/Flowstone Channeler》とクリーチャー連続召喚で応じる。それぞれのデッキの特色をよくあらわした立ち上がりと言えるだろう。

Andre Muller(ドイツ)

Mullerが最初のクリーチャーとして《幽霊船/Ghost Ship》を召喚したところへ津村は前出の2体でアタック宣言を行い、《管理人》をブロックしてきた《幽霊船》を《粗暴な力/Brute Force》によって葬った。

しかしながら、Mullerも待機していた《祖先の幻視》によるドロー加速から息を吹き返し、《呪われたミリー/Mirri the Cursed》を召喚。ここで津村はエンドステップに《灰毛皮の熊/Ashcoat Bear》、メインに《針先の蜘蛛/Needlepeak Spider》、と盤上の数的優位を拡大し、それにともなうライフアドバンテージを稼ぎだす。

ここでMullerはブロッカーとして《夢で忍び寄るもの/Dream Stalker》を追加するが、津村は《呪われたミリー》を《突然のショック/Sudden Shock》でなぎ払い、《灰毛皮の熊》と《針先の蜘蛛》でのダメージレースを再開する。

それでも、7マナに到達したMullerが《変幻影魔/Phantasmagorian》、《疫病スリヴァー/Plague Sliver》と連打し、さらに《哀愁/Melancholy》を《針先の蜘蛛》へとプレイしたことで攻守は逆転。津村は《変幻影魔》の6点ずつのアタックを食らいながら《ナントゥーコのシャーマン/Nantuko Shaman》を待機することになる。そうこうするうちにライフトータルは8対9というところまで追い上げられてしまい、Mullerはさらに《影武者/Body Double》を召喚して墓地の《幽霊船/Ghost Ship》をコピーしてきた。

とうとう津村はMullerの猛攻に対してチャンプブロックを迫られることとなり、自陣のクリーチャーも残すところ《ナントゥーコのシャーマン》と《流動石の媒介者》のみという展開となってしまった。

…しかし、《版図の踏みつけ/Tromp the Domains》を握り締めながらギリギリまで耐えてきた津村 健志は、ここで見事に《硫黄破/Sulfurous Blast》をトップデッキ。大逆転だ!

巧みさと勝負強さとを見せつけ、Andre Mullerとの再戦をふたたび2連勝で飾ることとなったのだった。

津村 2-0 Muller


Friday, Feb 9: 8:13 p.m. - Round 7 : 大澤 拓也(神奈川) vs. Thomas Gundersen(ノルウェー)

by Keita Mori

津村(左)と大澤は全勝卓で見事な協調ドラフトを展開

ここまでを見事な6連勝で勝ち上がっている日本人プレイヤーは2人だけで、先ほどの記事で登場した津村 健志(広島)と大澤 拓也(神奈川)ということになる。そして、第3ドラフトで隣り合って着席することになった彼らは暗黙裡の協調路線を敷くことに成功し、上家の津村が赤黒、下家の大澤が青白におさまった。

この第7回戦の試合で紹介するプレイヤー、大澤 拓也はラヴニカ・ブロックのリミテッドを文字通りに極めた男だ。ディセンションが発売された直後のプロツアー・プラハで《楽園の拡散/Utopia Sprawl》に活路を見出し、効果的なマナベースを築き上げてプロツアー・チャンピオンに輝いたという実力者が彼なのである。

そして、今まさに大澤は初日全勝の栄誉をかけてノルウェーのThomas Gundersenと戦うこととなった。

大澤 拓也 : 青白
Thomas Gundersen : 青赤

Game 1

先手をとった大澤が《ベナリアの騎兵/Benalish Cavalry》、変異、変異と続け、対するGundersenは《珊瑚のペテン師/Coral Trickster》、《トゲ尾のドレイク/Spiketail Drake》と召喚する序盤となった。

4マナ域に到達したGundersenはドローゴーを宣言し、大澤の果敢な全軍突撃にあわせて《歪んだ爪の変成者/Crookclaw Transmuter》を瞬速でプレイした。自身の能力によって1/3となった《変成者》と2/1《珊瑚のペテン師》が大澤の2体の変異をブロックし、《珊瑚のペテン師》と変異の片方が相討ちとなる。大澤は生き残った変異を《模る寄生/Shaper Parasite》へとフェイスアップし、誘発される能力で《トゲ尾のドレイク》を除去した。これを受けたGundersenのアクションは《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron》を待機させるにとどまる。

大澤 拓也(神奈川)

実は3マナで土地がピタリととまってしまっている大澤なのだが、悪くないドローと堅実なデッキ構成ゆえか、後続が尽きない。マナこそ伸びたもののドローが澱んでしまったGundersenとは好対照だったと言えるだろう。

大澤は《塩平原の世捨て/Saltfield Recluse》を盤面に加え、敵陣の《歪んだ爪の変成者》へと《うつろう突然変異/Erratic Mutation》をプレイして第1ゲームを終わらせた。

大澤 1-0 Gundersen

Game 2

またしても2ターン目に《ベナリアの騎兵/Benalish Cavalry》からのスタートを迎える後手の大澤。ちなみにこれは単なるラッキードローというわけではなく、大澤のデッキにはこの優良ウィニークリーチャーが3体も搭載されているのだ。

しかし、この第2ゲームではGundersenの空軍力が大澤を圧倒することになった。《トゲ尾のドレイク/Spiketail Drake》、《歪んだ爪の変成者/Crookclaw Transmuter》、《歪んだ爪の変成者/Crookclaw Transmuter》という素早い展開で、あっという間にダメージクロックは8点というサイズに肥大化してしまったのだ。

大澤は《エピティアの賢者/Sage of Epityr》によってこの先の展開を確認し、それによって航空戦力への解答が見つからないことを知らされた。皮肉なもので、ライブラリーを確認する作業というのは、往々にしてゲーム投了への予備動作となりがちである。

大澤 1-1 Gundersen

Game 3

一進一退の展開の中、後手Gundersenが《ヴィセリッドの深み歩き/Viscerid Deepwalker》待機からゲームをスタートし、先手大澤も2ターン目に《覆われた奇異/Veiling Oddity》を待機するという立ち上がりを迎えた。

ここでGundersenは《霊気炎の壁/AEtherflame Wall》と《霊気の皮膜/AEther Membrane》という2体の壁をプレイし、彼のデッキが「地上防壁+空軍」という古典的な蒼いストラテジーにのっとったものであることを示唆した。対して大澤は《ベナリアの騎兵/Benalish Cavalry》を召喚し、展開した変異を即座に《水深の予見者/Fathom Seer》にフェイスアップして2ドローという動きから《エピティアの賢者/Sage of Epityr》でライブラリーを調整。実にめまぐるしい動きを見せた。

そして、Gundersenが《原初のプラズマ/Primal Plasma》を2/2飛行として召喚すると、大澤が《マーフォークの秘術師/Merfolk Thaumaturgist》を展開。思わずGundersenから苦悶の声があがる。パワーとタフネスをスイッチさせるというシンプルな能力は、各種「壁」に対する明快な解答となりうるからだ。

Thomas Gundersen(ノルウェー)

大澤の《覆われた奇異/Veiling Oddity》が「待機」経由で場に登場すると、大澤は慎重に《ベナリアの騎兵》と《エピティアの賢者》だけをレッドゾーンへと送り込み、3点のダメージを与えた。Gundersenもそのエンドステップに《歪んだ爪の変成者/Crookclaw Transmuter》をインスタントタイミングで召喚する。…が、ここで誘発された《変成者》の能力にレスポンスして大澤は2つのアクションを起こした。《うつろう突然変異/Erratic Mutation》によって《歪んだ爪の変成者》自身を、《マーフォークの秘術師》の能力起動で《霊気炎の壁》を屠ってみせたのだ。

追い風ムードが漂いはじめてきた中で、大澤は決定的なトップデッキを果たして優位を築き上げた。すなわち、《心霊スリヴァー/Psionic Sliver》を召喚した直後のターンに《監視スリヴァー/Watcher Sliver》を引き当てたのだ!

かくて、砲台として完成したスリヴァーたちがThomas Gundersenの陣営を根絶やしにすることになり、大澤 拓也は初日全勝という最高のスコアで予選初日を折り返すこととなった。

大澤 2-1 Gundersen

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