TABLE OF CONTENTS
- Blog - 5:33 pm: ラウンド 14 : 大澤 拓也 vs. 森田 雅彦
by Kenji Matsui
- Blog - 5:09 pm: ラウンド 13 :森田 雅彦 vs. 黒田 正城
by Kenji Matsui
- Blog - 3:17 pm: ラウンド 12 :黒田 正城 vs. 清水 朗尋
by Kenji Matsui
- Blog - 1:31 pm: ラウンド 13 :池田 剛vs. 津村 健志
by Yusuke Yoshikawa
- Blog - 1:07 pm: ラウンド 11 : 森 勝洋 vs. 岩井 剛士
by Kenji Matsui
- Blog - 12:33 pm: デッキテク: Maga Control
by Yusuke Yoshikawa
- Blog - 12:09 pm: デッキテク:《不朽の理想/Enduring Ideal》
by Keita Mori
- Blog - 11:46 am: 2日目進出者デッキ分布
by Yusuke Yoshikawa
- Blog - 11:21 am: Round 10 : 真木 孝一郎 vs. 藤枝 勇
by Yusuke Yoshikawa
- Blog - 11:03 am: ラウンド 10 :大礒 正嗣 vs. 渋谷 俊弘
by Kenji Matsui
- Blog - 9:44 am: ラウンド 9 :池田 剛 vs. 大澤 拓也
by Kenji Matsui
BLOG
Sunday, July 24: 9:44 am - ラウンド 9 :池田 剛 vs. 大澤 拓也

日曜日の初戦、フィーチャーマッチでの全勝対決は、藤田 剛史作成の黒単を操る池田 剛と、石田 格が今大会と 75 枚まるまる同じカードで構成されている「けちコン」をプレイ大澤 拓也だ。言うなれば、代理人をたてての東西のドンがそのデッキ構築力で勝負する試合。
さて、このマッチアップだが、昨日の最終戦(ラウンド8)で、池田対石田の激戦が繰り広げられている。そして、そこでの戦いは池田の勝利に終わった。つまり、池田としてはまったく同じデッキとの連戦というわけなのだ。
1本目。後手の池田はマリガンチェックで熟考し、「昨日こんな初手キープして負けたんだよなぁ」と、昨日よりもこの環境や状況を敏感に感じとってのオフェンシブなマリガンを宣言。新たにめくった 6 枚を池田がキープしてゲームを開始するが、先手大澤がマナブーストからの 4 ターン目《初めて苦しんだもの、影麻呂/Kagemaro, First to Suffer》を展開し、さらに《忌まわしい笑い/Hideous Laughter》で池田のアタッカーだけを根こそぎにするという素晴らしいたちあがり。さらに、続けての《けちな贈り物/Gifts Ungiven》から追加の《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》を出し、1 本目は大澤が押し切った。

2 本目は池田の手札破壊が突き刺さり、大澤の手札はぼろぼろに。大澤のドローの弱さも続き、ジリ貧のまま池田のクリーチャーが大澤を圧倒した。
この時点で残り試合時間が 10 分を切り、急いで 3 本目の戦いの準備を始める 2 人。 池田の 1 回のマリガンを経由して始まる 3 本目は、池田が《血塗られた悪姥/Wicked Akuba》で攻め入り、大澤はマナ加速から《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》をキャスト。これは即時に《英雄の死/Hero's Demise》で除去されるも、ブロッカーとしてのトークンを数匹残した所で追加ターンに突入。
試合は引き分けで決着となった。
池田 1 - 1 - 1 大澤
Sunday, July 24: 11:03 am - ラウンド 10 :大礒 正嗣 vs. 渋谷 俊弘

今や世界レベルで最強のプレイヤーという説が流れる大礒。未だにプロツアーでの優勝経験こそ無いものの、プロツアーにおけるベスト8進出率『打率3割強』はあのカイ・ブッディをも超えるもの。
そんな彼は、苦笑いしながら「実は今回あんまり練習の時間取れなくて自身ないんですよね」なんて言っていたが、その練習不足が祟ってなのか、ラウンド 5 のフューチャーマッチでは関東のプレイヤーである栗原に敗れている。
さあ、そんな最中に彼の前に立ちふさがるのが渋谷だ。彼は地元新潟のプレイヤーであり、栗原と同タイプの青緑のカウンター《北の樹の木霊/Kodama of the North Tree》となっている。
昨日と同じ轍は踏まぬと、大礒は淀みないプレイ。渋谷が《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を装着した《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》を展開するも《初めて苦しんだもの、影麻呂/Kagemaro, First to Suffer》を出し、そこから《けちな贈り物/Gifts Ungiven》で渋谷を揺さぶりつつ《摩滅/Wear Away》を入手し、《梅澤の十手》と《曇り鏡のメロク》双方をしっかりと破壊。
続けてクリーチャーを展開する渋谷だが、大礒の《花の神/Hana Kami》を中心とした秘儀サイクルが回りだし、《御霊の復讐/Goryo's Vengeance》や《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》が延々と回転しだしたところで渋谷は 1 本目を投了。
2 本目は、大礒が常に《抗い難い知力/Overwhelming Intellect》を警戒するプレイが印象的。それこそラウンド 5 の悪夢が大礒の頭を掠めたのだろう。

そんな事を考えつつ、ゆっくりと《木霊の手の内/Kodama's Reach》や《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》でマナを伸ばし、《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》などを餌にし、渋谷のマナがないところを狙って《初めて苦しんだもの、影麻呂/Kagemaro, First to Suffer》などを展開。
この丁寧なプレイが功を奏し、一歩ずつ渋谷を追い詰め、最後は《曇り鏡のメロク》のトークンが《鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni》に化けたところでゲームは終了。
自分との勝負に打ち克った大礒は、また一歩上へと駆け上がっていくのだった。
大礒 2 - 0 渋谷
Sunday, July 24: 11:21 am - Round 10 : 真木 孝一郎 vs. 藤枝 勇
真木 孝一郎
イベント取材におけるカバレージ・ライターとしても活躍する二人が、今回はプレイヤーとして相見えた。彼らは藤田憲一と組んで「Team Unchain」としてともにプロツアーに出た過去も持つ。
デッキはともに藤枝の構築した黒単。藤枝自身がトライアルで優勝するなどの実績を残したそのデッキを、真木にシェアする形をとっている。
つまり、75枚すべてが同じ、コンプリート・ミラーである。
「《鼠の殺し屋/Nezumi Cutthroat》とかマジ○○○○なんだけど」
「《真髄の針/Pithing Needle》とかどうすんの? 意味ないよ?」
和やかに文句を言いつつ、ゲームスタート。
Game 1
第1ターン、土地を横にして置きかけた真木に対し、藤枝「早く置きなよー」。当然《真髄の針/Pithing Needle》なわけで、真木は一応《鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni》を指定するも、「マリガンしたのと一緒だよ」。
藤枝は《血塗られた悪姥/Wicked Akuba》、真木は《残虐の手/Hand of Cruelty》からのスタート。続いて《竹沼の嫌われ者/Takenuma Bleeder》を鏡打ちするが、藤枝は先手の利を生かし《切苦の影/Kiku's Shadow》《不快な群れ/Sickening Shoal》(コスト:《鼠の殺し屋/Nezumi Cutthroat》)と一掃して攻撃。真木も《不快な群れ/Sickening Shoal》で応戦するが、守勢は否めない。
ここから除去の打ち合いで、一時、藤枝《鼠の殺し屋/Nezumi Cutthroat》に対し真木《血塗られた悪姥/Wicked Akuba》という殴り合いになるが、藤枝はすぐに《血塗られた悪姥/Wicked Akuba》を引き、出す。真木の悲鳴が上がる。
相打ち後、真木は《鼠の殺し屋/Nezumi Cutthroat》。しかし藤枝も《竹沼の嫌われ者/Takenuma Bleeder》。にもかかわらず、真木はそこに平然と突っ込んでいく。
藤枝「何かあるのか?」
だがそれはあっさり墓地に。そしてそのまま何ごともなく。
真木「…あそこからひっくり返すの無理だしね」
真木 0, 藤枝 1
Game 2
藤枝「先手は、先に《剃刀顎の鬼/Razorjaw Oni》出せるから有利なんだよね」
その言葉どおり、《血塗られた悪姥/Wicked Akuba》《竹沼の嫌われ者/Takenuma Bleeder》そして《剃刀顎の鬼/Razorjaw Oni》と展開する真木。藤枝も《残虐の手/Hand of Cruelty》2枚だがこれにはなんとも。
真木「除去持ってるんでしょ?」
藤枝「それ(=《剃刀顎の鬼/Razorjaw Oni》)には効かないんだよ!」
真木 1, 藤枝 1
Game 3
藤枝 勇
今度は先手の利を生かし、除去と相打ちで主導権を握る藤枝。しかし、藤枝《竹沼の嫌われ者/Takenuma Bleeder》対真木《血塗られた悪姥/Wicked Akuba》の構図になって手を止める。
そして今回も真木が先に《剃刀顎の鬼/Razorjaw Oni》を引いた。直後に藤枝も引いたのだが、やはり間に合わないわけで。
真木 2, 藤枝 1
戦いが終われば、また和やかな雰囲気で今のサイドボーディングについて話し始める二人。ライターも、きっとジャッジも、すべてはこんなマジック話から始まっているのだ。
Sunday, July 24: 11:46 am - 2日目進出者デッキ分布
デッキアーキタイプ | 人数 | 備考(使用者など) |
けちコントロール | 22 | 石田、大礒、黒田、中村、モリカツ |
no-けち | 8 | 田中久也、小室修 |
黒単 | 10 | 藤田剛史、池田剛 |
青単 | 7 | 八十岡翔太、塩津龍馬 |
白単 | 5 | |
緑青 | 3 | |
緑黒 | 2 | |
白青 | 2 | 《曇り鏡のメロク》入りレジェンド |
赤単 | 2 | |
その他 | 3 | 青赤、蛇、本殿、各1 |
この表で、「no-けち」とは《緊急時/Time of Need》などをサーチ手段とするコントロールデッキをさし、いわゆる「明神フレア」などもこれに含まれる。ネーミングとしては《ヤヴィマヤの火/Fires of Yavimaya》時代の「Fires」に対する「no-Fires」のような感覚で考えていただけたら幸いだ。
石田 格を筆頭とする「けちコン」軍団に対し、藤田 剛史デザインなどの黒単勢が挑むという構図になっているといえよう。彼らに代表されるように、有力デッキデザイナーのデッキを数人でシェアするという形が普段以上に多く見られるのが今大会の特徴である。
しかし、その他のデッキ勢も負けてはいない。八十岡 翔太のデッキからひそかな人気となった青単、いまだ安定した力をもつ白単も虎視眈々と王座を狙っている。また、《不朽の理想/Enduring Ideal》を使ったいわゆる「本殿デッキ」、赤単などの伏兵もいる。
個人的にはデッキタイプが限られるかという印象があったのだが、各自の工夫も随所に見られ、様々なデッキタイプが活躍できるフィールドになっているといえるだろう。
そして、中でも注目されるのはPT名古屋チャンプ・小室 修の操る「Limited Master Deck」。Richard Hoaen(カナダ)から伝えられたという、この一風変わった《春の鼓動/Heartbeat of Spring》デッキについては、後ほどの記事でお伝えすることにしよう。
Sunday, July 24: 12:09 pm - デッキテク:《不朽の理想/》

今大会の二日目に勝ち上がった64個のデッキリストを見渡してみて、やはり異彩を放っているのが野上 雅博(東京)の白い『歴伝』デッキだ。堂々たる6勝1敗1分というパフォーマンスで初日を突破した野上に、ちょっと話を聞いてみよう。
――どのような理由でこのアーキタイプを選択することになりましたか?
野上:いろいろなデッキを試していたんですが、このデッキは黒単色、白単色、「けちコン」といったあたりに勝てるからです。白に《日光女/Nikko-Onna》が入ってたら、どう逆立ちしても勝てませんけれど…たぶん、入ってないだろうなあと。
――たしかに、対戦相手にとって想定外であることが多そうです。実際の対戦ではどのような感じでしたか? 野上さんのメタゲームの読みは正しかったですか?
野上:そうですね。「けち」が多かったりしましたから、特にサイドボードの《霊光の追跡者/Ghost-Lit Stalker》4枚が火を噴いてくれましたね。これを『魂力(Channel)』でプレイすればカウンターされませんから、これだけで勝てた試合も多かったです。たとえば、プロツアーチャンプの黒田 正城さん(「けちコン」)との試合なんかでも、黒田さんが《花の神/Hana Kami》でのロックっぽいデッキ循環コンボを始めた中で、この《霊光の追跡者》で手札を捨てさせてからの《不朽の理想/Enduring Ideal》で勝てました。
――『歴伝』をプレイしたあとでも、『魂力』はできますからね。そういう意味では、『魂力』はとてもデッキによくあっていそうですね
野上:そうなんです。そういう意味では、もっと『魂力』系をつめこんできたほうが良かったと今では思っています。《空を引き裂くもの、閼螺示/Arashi, the Sky Asunder》なんかで《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》も倒せますし、《霊光の略奪者/Ghost-Lit Raider》あたりだと、場に出てしまえば、青はお手上げだと思うんですよね。青いデッキに耐性をつけるためにそういった工夫をしたほうがよさそうです。今のサイドボードだと、《霊光の追跡者》と《亡霊の牢獄/Ghostly Prison》と《世界の源獣/Genju of the Realm》しかサイドインしてないですから。
――そういう意味では、もっと練りこめそうなわけですね。さて、デザイナーの岩田 太さんとのご関係は?
野上:友人です。射場本 正巳さんもたしかこのデッキをコピーしていたと思うので、たぶん、このグランプリに4人くらいこのデッキがいたと思いますよ。
Sunday, July 24: 12:33 pm - デッキテク: Maga Control
今大会で小室 修が使用しているデッキは、どこか目新しさを感じさせる。入っているカードはどれもこの環境でポピュラーなものであるのに、である。これは、カナダのRichard Hoaenの手によるものだという。
「けちコンが周りに多かったんですけど、同キャラ対決を避けたくて。最初はコガモ(津村 健志)にHoeanが『面白いデッキがあるよ』と言っていたらしくて、自分からMagic Onlineで直接話しかけて教えてもらいました」
《春の鼓動/Heartbeat of Spring》デッキというと、緑白青の《最後の裁き/Final Judgment》《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》タイプが良く知られている印象がある。実際、小室もこれと迷ったそうだが、
「やっぱり相手のターンエンドに動けるっていうのが大きいですね。《不快な群れ/Sickening Shoal》や《忌まわしい笑い/Hideous Laughter》とか。白だと6マナスペルが多くなって、返しで《塵を飲み込むもの、放粉痢/Hokori, Dust Drinker》とか言われたらもう投了ですから」
という、除去の質の差が決め手になったようだ。事実、サイドの《切苦の影/Kiku's Shadow》もいい働きをしていた。また、《時間停止/Time Stop》や《密の反抗/Hisoka's Defiance》による「けちコン」への耐性も見逃せないところだろう。
「その分勝ち手段が薄いんですけどね。Hoeanに『青コン以外には勝てるよ』って言わていたんですが、意外と青コンが多くてきついんですけど、がんばります」
Sunday, July 24: 1:07 pm - ラウンド 11 : 森 勝洋 vs. 岩井 剛士

第11回戦の1番テーブルがフューチャーマッチへと選出され、ここまで無傷の10連勝の森 勝洋が招待された。それこそ、ここに勝ったうえでIntentional Draw(両者合意での引き分け)をどこかで選択できれば、彼はベスト8進出が確実になるだろうという位置である。自作の「けちコン」で出場している彼だが、こんなに勢い良く勝ち進んでいるのは何時以来であろうか。
勢いに乗った森を食い止めるのは難しいが、ここで一人の戦士が戦いを挑む。今大会の負け頭であると思われた白単のウィニーで奮闘し、今この席に着いた岩井だ。
岩井曰く、「森に当たるまでの 10 回戦で一度もけちコンに当たらずここまで駆け上がってきた」と言う。
無論、マジックは運の要素も大きく絡むゲームであり、つらいデッキには当たらないと割り切って戦いに挑んで勝利を収める例も少なくない。が、岩井はとうとう苦手なデッキに当たってしまったわけだ。
しかし、けちコン対白単ウィニー。その相性差は歴然であった。
1 本目は《木霊の手の内/Kodama's Reach》経由で 4 ターン目に森が《初めて苦しんだもの、影麻呂/Kagemaro, First to Suffer》を展開。一方の岩井が《八ツ尾半/Eight-and-a-Half-Tails》と《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を出すも、森はそれらを半分無視しつつ《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》を呼び出して岩井に攻撃を加え、次の森のターンに彼は、アタック後に 2 枚目の《夜の星、黒瘴》を出して、スピードで城ウィニーを圧倒という完璧さ。
2 本目こそ、岩井のメタカードである《真髄の針/Pithing Needle》や《塵を飲み込むもの、放粉痢/Hokori, Dust Drinker》が森を苦しめるも、《引き裂く蔦/Rending Vines》や《摩滅》がこれらを破壊し、既に展開していた《初めて苦しんだもの、影麻呂》の能力を起動して場を一掃。手札差は 6 対 1 。

コントロールデッキ相手にこの展開を見せられると、岩井に逆転の目は皆無に近い。
森も、岩井のデッキに未だ眠っているであろう《輝く群れ/Shining Shoal》を警戒してプレイを続け、《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》を展開し、大量にトークンを生み出して攻撃を加えるなどの磐石のプレイ。
かくて、予選ラウンド残り 3 戦あるにも関わらず、一足先にベスト 8 をほぼ確実とした森なのだった。
森 2 - 0 岩井
Sunday, July 24: 1:31 pm - ラウンド 13 :池田 剛vs. 津村 健志

「今日はけち系としか当たってないよ」と、黒単を駆る池田は言う。方や、ここまで『無敗』=8勝4分けと「けちコン」らしい成績の津村。
池田の手札破壊スペシャルが制するか、津村が無敗ロードを続行するか。
Game 1
後手の池田がダブルマリガン。
だが、「緑マナがないというミラクルが(あるかも)」と池田が言うと、なんと津村はその通り土地が《島/Island》《沼/Swamp》で一時ストップしてしまう。その隙に、と池田は《血塗られた悪姥/Wicked Akuba》《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》での攻撃を敢行。
だが続くターンに無事《氷の橋、天戸/Tendo Ice Bridge》を引き当て《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》が場に送られると、その差は如何ともしがたいものになってしまった。
池田 – 0, 津村 – 1
Game 2
開幕は《精神の槍/Psychic Spear》。重い手札を見越して池田は《木霊の手の内/Kodama's Reach》を選択するが、津村はきっちりと《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》《木霊の手の内/Kodama's Reach》を引き込む。
第3ターンの《鼠の墓荒らし/Nezumi Graverobber》からと多少動きが重い池田に対し、着々と場を構築する津村のペースの序盤となった。
だが池田も黙っているわけではなく、《剃刀顎の鬼/Razorjaw Oni》《冥府の麒麟/Infernal Kirin》と重いながらも強力なパンチを出していく。

しかし場が固まってしまってはさすがに分が悪い。《冥府の麒麟/Infernal Kirin》は《不快な群れ/Sickening Shoal》でかわし、《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》から《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を導く津村が主導権を握る。
《剃刀顎の鬼/Razorjaw Oni》を《鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni》に化けさせて、《剃刀顎の鬼/Razorjaw Oni》+《死の溜まる地、死蔵/Shizo, Death's Storehouse》で完全スルーの場を作ってみるも、除去も手札破壊も引かない池田は《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》2枚の前に屈することになった。
「完敗だった」という池田の言葉は、諦観の念とともにどこか清々しさを感じさせた。
池田 – 0, 津村 – 2
Sunday, July 24: 3:17 pm - ラウンド 12 :黒田 正城 vs. 清水 朗尋

予選ラウンド、残すところあと 3 回戦。その中でも、ここから 3 連勝を決めないとベスト 8 の目は薄い 2 人である、黒田と清水がこのフィーチャーエリアに招待された。
今大会初のフィーチャーマッチに招待となる黒田だが、彼は(言うまでもなく)日本人初のプロツアーチャンプである。今回彼が使用するデッキは「けちコン」と、これまた言わずと知れた環境最強デッキであるが、このデッキはモロにプレイヤーの腕を反映する。元々 「nWo」などのデッキを好んで使う黒田がけちコンを使えない理由もないだろう。
さて、そんな彼に戦いを挑むのは清水。今回の彼がフィーチャーエリアに招待されたのには、デッキに理由があった。なんと、赤単色デッキでここまで奮闘しているからだ。
デッキの内容はシンプルである。
《悪忌の撃ち手、イシイシ/Ishi-Ishi, Akki Crackshot》と《罰する者、ゾーズー/Zo-Zu the Punisher》を搭載し、環境最強デッキである「けちコン」を討伐すべく作成されたデッキというわけだ。
それでは試合の流れをお伝えしよう。
1本目は 1 ターン目から綺麗なマナカーブで《凍らし/Frostling》、《悪忌の撃ち手、イシイシ》、《尖塔の源獣/Genju of the Spires》と並び、黒田がもがけばもがくほどに首が絞まる状態になって清水が勝利。
2 本目は清水が 2 ターン目に《悪忌の撃ち手、イシイシ》、《仇麻呂の凝視/Gaze of Adamaro》と攻め入る。しかし、黒田の 2 匹の《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》が時間を稼ぎ、そのまま《初めて苦しんだもの、影麻呂/Kagemaro, First to Suffer》と《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》へと流れ、パワーゲームで圧倒した。
そして運命の 3 本目。今回も 2 ターン目に《悪忌の撃ち手、イシイシ》を出してくる清水だが、気にせず《木霊の手の内/Kodama's Reach》を打ってマナを伸ばし、 4 ターン目には《初めて苦しんだもの、影麻呂》を展開する黒田。
《伍堂の大槌、天鎖/Tenza, Godo's Maul》を装備して攻撃などこしかけてくる清水だが、一度《初めて苦しんだもの、影麻呂》でリセットを食らい、黒田が後続として《北の樹の木霊/Kodama of the North Tree》を出す頃にやっと姿を現す《罰する者、ゾーズー》。
そのまま黒田は《摩滅/Wear Away》で《伍堂の大槌、天鎖》を破壊し、《北の樹の木霊》が突進。この試合の星は黒田が手にする事となった。
黒田 2 - 1 清水
Sunday, July 24: 5:09 pm - ラウンド 13 :森田 雅彦 vs. 黒田 正城

崖っぷちゾーンでの師弟対決である、森田対黒田。この 2 人のカードは過去のイベントで幾度となくお伝えしているが、今回のそれは特に筆者にとって懐かしい光景を思い出させてくれる。
過去、大阪にあった Adept と言うマジックショップで、彼らは連日、毎日 8 時間にもわたって『 nWo』 の同キャラ対決を続けていた。そして、その練習量ゆえに大会でのミラーマッチでは負け知らずだったものだ。
今回の限定環境で猛威を振るう「けちコン」は、その当時の 「nWo」 に似た雰囲気がある。なぜなら、使うのが難しいと言われるゆえんが、《けちな贈り物/Gifts Ungiven》を打ったときに一番適切な 4 枚を状況によって上手に選び出す難しさにあるからだ。
場を読み、手札を読み、相手を読み、細かい条件が決まっている環境を前に適切なプレイを行うには、ただただ練習あるのみ。その練習量と辛抱強さが、彼らの今の強さにつながっているに違いない。
他の記事でも触れているが、今回彼らが使用するデッキは「けちコン」。内容のバランスは多少違うも、デッキの目指すところは同じ仕様になっている。
Game 1
1 本目。先手の森田が《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》、《木霊の手の内/Kodama's Reach》とマナのを伸ばし始めれば、対する黒田も同じ手段で土地を並べる。
だが、ここは先手の有利。森田が先に 8 マナ並べたところで《夜陰明神/Myojin of Night's Reach》を出して、これの能力を即起動すると、黒田の手にも《夜陰明神》を含んださまざまなカードがあった。まさに 1 ターン遅れだ。
《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》の力でライブラリの上に隠していた《死の否定/Death Denied》を使い、黒田は一気に捨てられたカードを回収にかかるが、その間に、森田は後続の《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》を追加。黒田はなんとかこれらを葬って行くが、最後は《御霊の復讐/Goryo's Vengeance》で《夜の星、黒瘴》を吊り上げ、森田がそのまま勝利した。
Game 2
先手後手が入れ替わって 2 本目。今回もマナベースを鏡打ちで展開し、先手の黒田の《夜陰明神》がさきに突き刺さる。森田は苦し紛れに《けちな贈り物/Gifts Ungiven》を打って土地を 4 枚持ってきてデッキを圧縮するも、逆転のためのカードを引けずに試合は 3 本目へ。
Game 3
今回は先手の森田だが、 3 ターン目に沼 2 枚で土地が止まってピンチ。なんとか 1 ターン遅れで森を引き当て、そこから《木霊の手の内》を打てるが、その返しに黒田は《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》を《けちな贈り物》と宣言しながらキャスト。

森田の手札にこそアタリクジがなかったものの、ライブラリからデッキ名を冠するカードをすべて抜き去られてしまう。さらに、今回キャストした《頭蓋の摘出》で森田の手札に《夜陰明神》があるのがわかり、とりあえずおちついて、追加の《頭蓋の摘出》を森田に打つ黒田。もちろん、カード指定を《夜陰明神》とし、どんどん森田のデッキから危険カードを抜き去って行く。
こうなると、森田はダメージレースで押し切るしかないと、《初めて苦しんだもの、影麻呂》、《夜の星、黒瘴》と連打して攻撃を開始。黒田も《初めて苦しんだもの、影麻呂》を出して森田の《初めて苦しんだもの、影麻呂》とレジェンドルールでの相打ちにとるが、《夜の星、黒瘴》を葬る手段がなく、殴り続けられる。
《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》と《桜族の長老》などを駆使してライブラリから希望を探す黒田だが、それも間に合わない。結局、森田が《御霊の復讐/Goryo's Vengeance》を引き、《初めて苦しんだもの、影麻呂》を拾い上げて攻撃を加えると、森田の勝利が確定したのだった。
森田 2 - 1 黒田
Sunday, July 24: 5:33 pm - ラウンド 14 : 大澤 拓也 vs. 森田 雅彦

予選ラウンド最終戦。上位に「けちコン」が数多く存在し、 1 ラウンド 50 分で戦うには多少時間がたりないのか、引き分けが続出しているようだ。そして、この予選最終ラウンドのフィーチャーマッチエリアには、 4 人のベスト 8 を賭けた試合を行う4人の「けちコン」使いが着席しているのだ。
ちなみに、反対側のテーブルでは、プロツアーフィラデルフィア準優勝者である津村 健志と、その津村にデッキを提供した石田 格との対決が行われている。
「強い奴が使うとつえーんだよ」と弱音を漏らしているプレイヤーがいたが、全くそのとおり。「けちコン」とはその名の通り、《けちな贈り物/Gifts Ungiven》と言うカードを上手にプレイするのが全てなのだ。
場、ライフ、相手の手札、自分の手札、様々な要因が絡まりあったところで、自分が如何に欲しいカードを手に入れるかの選択を行わなければならない。かつては《嘘か真か/Fact or Fiction》という壊れたカードがあったが、これよりも更に複雑で頭を悩ます 1 枚である。
実際に大澤と森田の試合を見ていても、序盤は兎に角《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》を持って、相手の《けちな贈り物》をライブラリから抜き去る事を優先させ、お互いがお互いの《けちな贈り物》をゲームから取り除いている。
ある意味泥仕合の様相だが、そこで先に大澤が《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》を発掘して攻撃を開始し。森田の残りライフ が10点となったところで、攻撃を加えてから、自分の《夜の星、黒瘴》に《不快な群れ/Sickening Shoal》を打ち込んで、誘発型能力でとどめをさした。
そして、 1 本目で 35分もの時間を消化してしまい(試合時間は50分)、 2 本目が始まった時点で残り試合時間 10 分という有様だ。
そんな中でも、大澤が一気に《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》を展開して攻撃を始め、森田が出す《夜陰明神/Myojin of Night's Reach》はピンポイントの《密の反抗/Hisoka's Defiance》でカウンターがバッチリ決まる。
かくて、あざやかなビートダウンで大澤のベスト 8 が確定した。
大澤 2 - 0 森田