
2回のドラフトが終了し、この段階で12点(4勝2敗ないし3勝3分)未満のプレイヤーたちはプロツアー・サンディエゴの舞台を去らねばなくなってしまった。そんな中、岡本尋が4勝2分の14点、大礒正嗣が5勝1敗の15点という具合であり・・・日本勢インビテーショナル参戦組は実に上々の戦果を挙げている。ここでは、栄えあるファーストポッドへと選出された大礒のピックを見てみよう。
1st Pod
Pod | Seat | Player | Points |
1 | 1 | Salvin, Jean Charles | 18 |
2 | Haim, Christophe | 18 | |
3 | Ooiso, Masashi | 15 | |
4 | Seck, Ben | 15 | |
5 | Fabiano, Gerard | 18 | |
6 | Jonsson, Anton | 18 | |
7 | Ruel, Antoine | 18 | |
8 | Spaulding, Ian | 15 | |
Mirrodin -1st Pack
1:《ヴィリジアンの長弓/Viridian Longbow》
ほかの主なカード:《知識の渇望/Thirst for Knowledge》、《等時の王笏/Isochron Scepter》、《ファングレンの狩人/Fangren Hunter》、《物読み/Thoughtcast》、《ゴブリンの放火砲/Goblin Charbelcher》、《コバルトのゴーレム/Cobalt Golem》、《ヴァルショクの狂戦士/Vulshok Berserker》、《屍賊の嘆き/Wail of the Nim》
あなたならどれをピックしただろうか?
じっくりと考えこんだ大礒は、結局ここで優秀な装備品である《ヴィリジアンの長弓/Viridian Longbow》をピック。
2:《魂の消耗/Consume Spirit》
ほかの主なカード:《十二の瞳/One Dozen Eyes》、《テル=ジラードに選ばれし者/Tel-Jilad Chosen》、《浴びせかけ/Irradiate》、《コバルトのゴーレム/Cobalt Golem》
ちなみに、上家の元欧州王者、Haimがピックしていたカードレアリティはアンコモンだった。
3:《鏡のゴーレム/Mirror Golem》
ほかの主なカード:《ゴブリンの模造品/Goblin Replica》、《ウィザードの模造品/Wizard Replica》、《銅のマイア/Copper Myr》
4:《ピューターのゴーレム/Pewter Golem》
ほかの主なカード:《金属ガエル/Frogmite》、《兵士の模造品/Soldier Replica》、《ヴァルショクの狂戦士/Vulshok Berserker》
5:《魂の消耗/Consume Spirit》
ほかの主なカード:《テル=ジラードに選ばれし者/Tel-Jilad Chosen》、《チタンのゴーレム/Titanium Golem》、《オーリオックの貫通者/Auriok Transfixer》、《炎叫びの杖/Fireshrieker》
6:《エルフの模造品/Elf Replica》
ほかの主なカード:《テル=ジラードに選ばれし者/Tel-Jilad Chosen》、《テル=ジラードの流刑者/Tel-Jilad Exile》、
7:《鉄のマイア/Iron Myr》
ほかの主なカード:《忍び寄るカビ/Creeping Mold》、《機械仕掛けのコンドル/Clockwork Condor》
8:《チス=ゴリアの歯/Tooth of Chiss-Goria》
ほかの主なカード:《忍び寄るカビ/Creeping Mold》
9:《屍賊の嘆き/Wail of the Nim》
ほかの主なカード:《ゴブリンの放火砲/Goblin Charbelcher》
10:《チス=ゴリアの鱗/Scale of Chiss-Goria》
ほかの主なカード:《灰塵化/Turn to Dust》、《虚空の杯/Chalice of the Void》
11:《無効/Annul》
12:《逆行/Regress》
13:《惰性の泡/Inertia Bubble》
14:《煙突のインプ/Chimney Imp》
15:《マイアの精神使い/Myr Mindservant》
上が欧州選手権を制したHaim、下に「豪州最強」のBen Seck、CMU-TOGITのGerard Fabiano、スウェーデンのAnton Jonssonという具合に強豪が連なるラインの二番目に大礒は位置している。
ちなみに、上家のHaimが流してきたカード(大礒の2nd Pick)に関して大礒はかなり悩んだそうである。大礒はHaimのピックをソーティング的に《オーリオックの貫通者/Auriok Transfixer》ではないだろうかと考えていたようだが・・・
「いくらなんでも初手《貫通者》はあるのかなぁ? と、すごい悩んだんですけどね。でも、前のドラフトであたったときにHaimは相当な白好きらしいという感触があったのは確かです。まあ、あのパックで黒いカードをとりたくなくて、決めウチに近い白好きならありえなくもないのかな?」
しかし、実は大礒がコモンだと思いこんでいたようだが、上家のHaimが初手でピックしていたのは《流血スリス/Slith Bloodletter》。そう、実はアンコモンであり、大礒はレアリティを勘違いしてしまっていたのである。
インビテーショナルからの連戦による疲労を隠せない大礒は「久々に7回戦が長丁場なんだな、って痛感しています」とこぼしており、らしくない見落としをこのDraftingでもしてしまったということだろう。
その、黒《スリス》からスタートした上家Haimのピックは実は迷走気味。最初のパックを終了した時点でのピック整理を覗いてみた限りでは、《等時の王笏/Isochron Scepter》を一番手元にもってきており、刻印用と思われる《静電気の稲妻/Electrostatic Bolt》と《急報/Raise the Alarm》が《王笏》に続く形で整理されている。クリーチャーは少なく、色が定まっていないという印象をうける。
一方、大礒の下にいたBen Seckは大礒が流した緑のカードを確実に受けとめており、このパックの中盤(大礒の7手目と8手目の候補だった)で大礒が2枚連続でスルーした《忍び寄るカビ/Creeping Mold》を回収するにおよんで、緑路線を確定させたようだ。
Mirrodin -2nd Pack
1:《鏡のゴーレム/Mirror Golem》
ほかの主なカード:《ヴィリジアンのシャーマン/Viridian Shaman》、《厳粛な空護り/Somber Hoverguard》、《骨断ちの矛槍/Bonesplitter》、《タージ=ナールの剣鍛冶/Taj-Nar Swordsmith》、《解体/Deconstruct》、《鉄のマイア/Iron Myr》、《教議会の座席/Seat of the Synod》、《大焼炉/Great Furnace》
「間違いないことに、上下どちらかで緑かぶったら共倒れなんです。ですから、《シャーマン》だけは絶対にピックできませんでした。」
2:《静電気の稲妻/Electrostatic Bolt》
ほかの主なカード:《立ちはだかる空護り/Looming Hoverguard》、《拘引/Arrest》、《浴びせかけ/Irradiate》、《鉄のマイア/Iron Myr》
3:《ゴブリンの模造品/Goblin Replica》
ほかの主なカード:《屍賊の模造品/Nim Replica》、《無効/Annul》
4:《モリオックのゴミあさり/Moriok Scavenger》
ほかの主なカード:《屍賊のシャンブラー/Nim Shambler》、《空狩人の巡回兵/Skyhunter Patrol》
5:《迷惑エンジン/Nuisance Engine》
ほかの主なカード:《上天の呪文爆弾/AEther Spellbomb》
6:《金属ガエル/Frogmite》
ほかの主なカード:《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》、《屍賊の殴打者/Nim Lasher》
7:《モリオックのゴミあさり/Moriok Scavenger》
ほかの主なカード:《ヨーティアの兵/Yotian Soldier》
8:《嘘つきの振り子/Liar's Pendulum》
9:《屍賊の嘆き/Wail of the Nim》
10:《ボトルのノーム/Bottle Gnomes》
ほかの主なカード:《浴びせかけ/Irradiate》
11:---
12:《悲哀を持つもの/Woebearer》
13:《金床の拳/Fists of the Anvil》
14:《戦闘の成長/Battlegrowth》
15:《ゴブリンの打撃者/Goblin Striker》
《迷惑エンジン/Nuisance Engine》が流れてきたときに、大礒は大きな笑顔を作ったわけだが、4手目で《モリオックのゴミあさり/Moriok Scavenger》と《屍賊のシャンブラー/Nim Shambler》のどちらをピックするかでは相当に悩んだようだった。
「ちょうど3手目で赤レプリカがとれてましたし、アドバンテージをとれたほうがいいかなと。ただ、《屍賊のシャンブラー/Nim Shambler》はこれがたっているだけで緑もなぐってこれなくなりますし、フィニッシャーにもなりますから・・・かなり迷いました。でも、結局《ゴミあさり》を選んで、次のピックで《迷惑エンジン》がとれるなんて、ちょっと皮肉ですよね(笑)」
大礒は10手目というタイミングで回収可能だった《浴びせかけ/Irradiate》をパスして《ボトルのノーム/Bottle Gnomes》に手を伸ばしたのも「この際《ゴミあさり》とのシナジーと、ゲームを長引かす事が出来る点を考えて」判断したという。
Darksteel
1:《薄黒爪のコウモリ/Grimclaw Bats》
ほかの主なカード:《酸化/Oxidize》、《ヴィダルケンの技術者/Vedalken Engineer》、《尖塔のゴーレム/Spire Golem》、《鋳潰し/Unforge》
2:《炉のドラゴン/Furnace Dragon》
ほかの主なカード:《電結の働き手/Arcbound Worker》
3:《電結のとげ刺し/Arcbound Stinger》
ほかの主なカード:《尖塔のゴーレム/Spire Golem》
4:《穴掘り掬い/Drill-Skimmer》
ほかの主なカード:《クラーク族の火焚き/Krark-Clan Stoker》、《ニューロックの神童/Neurok Prodigy》
5:《ドロスのゴーレム/Dross Golem》
6:《電結の混種/Arcbound Hybrid》
7:《鋳潰し/Unforge》
8:《針金バエの巣/Wirefly Hive》
9:《鋳潰し/Unforge》
10:《電結の槍騎兵/Arcbound Lancer》
11:《寄生された根張り/Infested Roothold》
12:《地核搾り/Coretapper》
13:《ダークスティールの反応炉/Darksteel Reactor》
14:---
15:---
Interview After Round 7
Sideboard:まずは7回戦の勝利、おめでとうございます。この赤黒デッキの手ごたえはどうでしたか。
大礒:ありがとうございます。まさか隣り合ったBen Seckといきなりあたるとは思っていませんでしたので、ちょっと驚いてました。協調というか、こっちにとっては結構いやなカードをブンブンまわしちゃいましたからね(笑)
SB:緑がカブルと共倒れするから、が大礒さんの強い確信なんでしたよね。そういう意味では大礒さん自身も緑に進める可能性がまったくなかったというわけではないように思います。
大礒:そうですね。一番最初のピックに関しても、どの色になっても強いから《ヴィリジアンの長弓/Viridian Longbow》という選択をしましたけど、さっきは実際に《ファングレンの狩人/Fangren Hunter》スタートから真緑に突き進みましたしね。初手《ファングレン》から2手目で《十二の瞳/One Dozen Eyes》という感じで進むこともありえた・・・かもしれません。
SB:一部のプレイヤーたちとはちがって、大礒さんは緑を毛嫌いしている、というわけではないんですよね?
大礒:そうですね。不人気色をかき集める、というのが徹底されれば、デッキにならないわけはないと思いますよ。ただ、かぶったらぜっっったいに共倒れですから(笑)
SB:結局、大礒さんの意を汲んで、下のSeckはその緑役を引き受けてくれましたね。
大礒:そうですね。でも。緒戦であたるかもしれないんだったら、あそこまでダダ漏れにはしなかったとは思います(笑)

SB:実際にはどのあたりのピックがその「ダダ漏れ」なんでしょう?
大礒:1パック目の《エルフの模造品/Elf Replica》をとったとき、とかですね。特にデッキに入るカードをとるというわけでもないのに、こっちとしては対処しにくい《テル=ジラードの流刑者/Tel-Jilad Exile》を流してます。まあ、《ダークスティールの鋳塊/Darksteel Ingot》がらみでたまにエンチャントわれたりするかもしれないカードですけれど。
SB:《ダークスティールの鋳塊/Darksteel Ingot》というとマナベース関連なわけですが、《魂の消耗/Consume Spirit》2枚に《炉のドラゴン/Furnace Dragon》というのを共存させるマナベースは苦労なさいましたか。
大礒:そうですね。実際、《ダークスティールの鋳塊/Darksteel Ingot》をピックできなかったのはかなりショックでした。
SB:しかし、実際にSeckに勝利し、6勝1敗という素晴らしいスコアで二日目に勝ち進めることになりました。
大礒:そうですね。2-1を、できたら3-0で次に進めたら最高ですね。