Draft Report: それぞれの勝負駆け

更新日 Event Coverage on 2006年 10月 21日

By Yusuke Yoshikawa

2日間にわたる長い戦いも、いよいよ第5ドラフト。

幾多の修羅場を渡ってきたプレイヤーたちも、ここまで来ると目指すところは皆同じ。すなわち、トップ8入賞、栄光の日曜日への進出である。彼らは、想定される勝ち抜けラインに向けて、最後の勝ち点を積み上げにいくことになる。

あと1勝で確定、2勝が必要など与えられた条件は様々だが、ここで取り上げる第3ポッドのプレイヤーたちは、現在9勝3敗のラインにいる。状況にもよるが、トップ8に入るには3連勝が必要と考えられる。

道は険しい。しかし、困難な道をこじ開けるべく、彼らがいかに与えられた条件に向かっていくかを、日本勢である三田村 和弥北山 雅也栗原 伸豪・そして津村 健志を軸に見てみたい。つまりこれは、「3-0を目指すデッキ」が作られる過程である。

席順
三田村→Ripple→Gundersen→北山→Martin→栗原→Galbiati→津村(→三田村)

初手について
まずは、それぞれのプレイヤーのファースト・ピックを見てみることにしよう。

Spectral Force

三田村 《幽体の魔力/Spectral Force
北山 《増力スリヴァー/Might Sliver
栗原 《堕落の触手/Tendrils of Corruption
津村 《堕落の触手/Tendrils of Corruption

このうち、最初から緑白を決め打っていた三田村はその色・強さからも問題ない選択であるが、他の3人の初手は「緑は嫌いなんですが、一番強いカードだったので」(北山)のように、特に志向していた色だからというわけではなく、パックの15枚の中での相対的な戦力比較で決める、ということのようだ。

それに加え、再三言われている「シグナル」の問題もある。

「白いカードが2枚あったんですが、白をやるなら固め取りしなくてはいけなくて、入るなら『レベル』から入りたいんですよね。だから、白を流して(シグナルを送りつつ)《堕落の触手/Tendrils of Corruption》を取りました」

との津村の説明にも見られるように、中堅クラスの同色カード2枚(以上)がある場合、それを避けて1枚落ちるほかの色のカードを選ぶという戦略もあるのだ。

以上の意味では、ここに挙げたカードは(相対的には)強いということになるのだが、三田村以外の3人に関してはこれらのカードに特に固執するつもりもなかったようだ。実際に、北山はこの《増力スリヴァー/Might Sliver》を使わず、最終的に黒赤になっている。

ここから分かることは、3-0狙いが分かっていても、特殊なピックは必要なく、「普通どおり」(北山)のピック、それを支える相対評価・ソートの研究などが重要だということだろう。

デッキの方向性

では、各プレイヤーはその後のドラフトをどのようにイメージしていたのだろうか。
当然のことながら、3-0条件であるがゆえに、自分の好きな色をやりたい、という志向は強いようだ。決めうちの三田村は言うに及ばず、北山は前述の初手を除いて1パック目はほぼ黒単のピックになっていたというし、栗原も「青がやりたかった」という言葉の通り、黒青にまとめることに成功している。好みの色はやはり、自信につながるのである。

ただ、自分の好みを優先した結果として、周囲と多少の色の衝突があった点は各人、気になっているようで、例えば津村は、

「上(Galbiati)は青赤ですね(編注:実際には黒赤)。最初は青を軸に、赤か黒を2色目にしようと思っていて、実際2パック目で《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir》が流れてきたりはしたんですが…」

と、色を読み切りながらも、十分にコントロールしきれなかったことに言葉を濁していた。
3-0を考えるためには、カードパワーをある程度優先しなければならない。しかし、色の配置を読みきってその色に転換するタイミングも図らなければならない。そのバランスを取るのは難しく、同時に楽しい作業でもある。その難しさは、ここまで9勝を重ねてきた猛者たちといえども変わらない。

デッキの到達点

さて、そうして迷いながらも慎重にカード選択を重ねた結果、各人のデッキは以下のようになった。

Kazuya Mitamura

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ソーサリー (1)
1 Wurmcalling
インスタント (4)
1 Fortify 2 Thrill of the Hunt 1 Hail Storm
アーティファクト (2)
2 Weatherseed Totem
土地 (17)
10 Forest 7 Plains
40 カード

Masaya Kitayama

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Shingo Kurihara

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Kenji Tsumura

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当初狙っていたとおりの緑白を構築した三田村、重いながらも新旧の強力カードに恵まれパワー十分のデッキに仕上がった北山は一発の魅力がありそうだ。

一方で、栗原は「2・3パック目で流れが悪くなってしまいました」との言葉が示すように、上流側を青、下流側を黒で押さえられてしまったことで、やや厳しいデッキになってしまったか。また、同じカラーコンビネーションとなった津村もまた、代償として「色拘束のキツさ」を抱えている。しかし、両者もそれぞれ《影魔道士の浸透者/Shadowmage Infiltrator》、《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir》があり、それが機能すれば高いスペックを披露できるだろう。

卓全体の色の選択は以下のようになっていた。

三田村(緑白)→Ripple(白赤)→Gundersen(緑赤)→北山(黒赤)→Martin(青赤)→栗原(黒青)→Galbiati(黒赤)→津村(青黒)

津村(右) vs. 三田村(左)

試合経過

負ければレースから脱落の生き残りマッチ。それでは、対戦の模様をダイジェストでお送りしよう。

第13回戦の対戦組み合わせは以下の通りであった。

津村 vs 三田村
北山 vs Martin
栗原 vs Ripple
Gundersen vs Galbiati

このうち、まずGundersenが《断骨スリヴァー/Bonesplitter Sliver》+《版図の踏みつけ/Tromp the Domains》でGalbaitiを粉砕。北山は緒戦を落とすも第2ゲームで《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》、第3ゲームで《魂の収集家/Soul Collector》《パーディック山のドラゴン/Pardic Dragon》とレアが吼えて勝利。

栗原も勝負の第3ゲームに持ち込むが、望みをかけた《アーボーグの邪眼/Evil Eye of Urborg》が《時間の孤立/Temporal Isolation》されるという最悪の対処をされてしまい、敗れた。

そして日本勢対決となった津村 vs. 三田村戦は、デッキ相性で三田村が優位かと思われたが、第1ゲームは土地を引きすぎ、逆に第2ゲームは土地が《森/Forest》3枚のみで止まるという不運。それだけに、津村の《コー追われの物あさり/Looter il-Kor》の強さが印象に残った。

第14回戦は、津村 vs 北山、Ripple vs Gundersenの組み合わせ。このうち、津村にとって2連続の日本勢対決となったマッチは観戦記事があるので、そちらをご覧いただきたい。もう一方のマッチはGundersenが凱歌をあげた。

Round 14: 北山 雅也(東京) vs. 津村 健志(広島)

その結果、最終第15回戦に望みをかけて戦うのは、津村とGundersenということになった。こちらも観戦記事をご参照いただきたい。

Round 15: 津村 健志(広島) vs. Thomas Gundersen(ノルウェー)

結果として、津村は3連勝。厳しいと思われたデッキも、最後には《基底スリヴァー/Basal Sliver》のビッグ・プレイまで飛び出し、見事な勝利を印象付けた。

果たして、「2日目全勝」を成し遂げた津村 健志は一応のハッピーエンドを迎え、他の7人は惜しくも成就ならなかった、ということになったのだが、「負けたら終わり」の状況下で名手が見せたドラフトは、様々な点で参考になるものと思われた。

記事を読んで感化されたなら、あなたもドラフトをしてみませんか?

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