Extended: Get the Gob-Vantage!

更新日 Event Coverage on 2003年 8月 9日

By Brian David-Marshall<break /> Translated by Keita Mori

ありし日の7版スタンダード環境下でのことですが、日本の藤田剛史はグランプリ・バンコクをGoblin Biddingデッキで優勝したことでマジック・コミュニティから注目を集めました。彼のデッキがそれまでのものと大きく異なっていた点、それは忘れられていた《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》を7版のカードリストから掘り起こしてきたということにあります。

Goblin Recruiter
そして今、新エクステンデッド環境で争われる世界選手権でも日本勢のゴブリンデッキが大きな話題になっているのです。そして、そこでは《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》だけでなく《ゴブリン徴募兵/Goblin Recruiter》や《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》といったカードたちもフィーチャーされているのです。これは池田剛が率いるチームFireball Proがデザインしたデッキで、彼らは「Gob-vantage」と呼んでいます。人々はこの新エクステンデッド環境下でゴブリンデッキ(スライ)が流行るだろうということは予測していましたが、まさか「この手の」ゴブリン達に陽の目があたるとは思ってもみなかったことでしょう。

Scourge参入前の段階では、この「Gob-vantage」はゴブリンをライブラリーに積み込む能力だけに頼るデッキタイプで、それは前川徹がPTQヴェニスシーズンにデザインしたものでした。そうです、日本選手権で三位に入賞した《疑い深い濃霧獣/Leery Fogbeast》デッキのあの前川です。この「Gob-vantage」デッキの原型を見つけたのは信下淳で、彼はそれを横浜でのマスターズ予選(Gateway)に出場する池田剛へと紹介しました。池田はFireballというショップのオーナーであり、チームのスポンサーです。結局、Scourgeがリリースされる前のこのデッキで池田がイベントを席巻することは出来ませんでした。

そして、とうとうScourgeが発売され、《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》と《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》という二体のゴブリンが登場しました。池田はこのデッキタイプの可能性についてチームメイトたちに語り、彼らは世界選手権にむけてのプレイテストのメニューを一つ追加しました。ちなみに、これは藤田剛史がGoblin Biddingを完成させたのとはまったく別の話であるようです。なぜなら、藤田剛史はFireball Proのメンバーではありません。

そうして出来上がったデッキは彼ら自身が予想していたよりもはるかに強力なもので、チームメンバーの全員がこのアーキタイプを世界選手権でプレイすることにしました。石田格はトータルで4勝2敗くらいは出来るだろうと考えていたようで、彼の予測は事実にほとんど肉薄していました。

NameWinsLossesTies
*Jin Okamoto411
Kotaro Otsuka510
Osamu Fujita510
**Tsuyoshi Ikeda220
Itaru Ishida420
***Hisaya Tanaka420
***Nao Atsuta510
Totals29101

*岡本の引き分けはIDで、最後の一敗はYMGのDave Humpherysへの投了です。
** 池田は家族との所要で途中棄権しています。
*** 熱田と田中はFireball Proではありませんが、同じ大会に参加する日本勢の仲間としてデッキテクを共有させてもらいました。

さてさて、このデッキの鍵となるのは《ゴブリン徴募兵/Goblin Recruiter》です。石田格はこのVisionsに埋もれていた宝物のことを「史上最強のゴブリンである」とまで評しており、あの《ネクロポーテンス/Necropotence》のことを引き合いにだしていました。なんとも強気な発言であるかのように聞こえるかもしれませんが、このことを考えてみてください。初手が6枚の土地と《ゴブリン徴募兵/Goblin Recruiter》であった場合、貴方は4ターンキルを果たせるのです。...本当かって?

第2ターンの《ゴブリン徴募兵/Goblin Recruiter》で以下のカードを積み込みます。《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》、《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》、《スカークの探鉱者/Skirk Prospector》、3枚の《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》。そして3ターン目に貴方は《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》をプレイし、4ターン目には《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》を召喚。これによってハンドには《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》3枚と《スカークの探鉱者/Skirk Prospector》が加わります。そして残ったマナで《スカークの探鉱者/Skirk Prospector》をプレイし、その特殊能力で《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》、《ゴブリン徴募兵/Goblin Recruiter》、《スカークの探鉱者/Skirk Prospector》をにかえて《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》の3連星を召喚するのです。そう、この全軍突撃で貴方の勝ち。

運にも大きく左右される4ターンキルの話はさておくとして、対戦相手が序盤の脅威を凌ぎきった状態でもこのデッキは活躍できるということを考えてみてください。つまり、このデッキはビートダウンというよりもコンボデッキ然とした動きを見せ、つまり攻め手が尽きないのです。基本的にこれまでのゴブリンデッキは第一波の突撃を凌がれてしまうと往々にしてガス欠になってしまったわけですが、「Gob-vantage」デッキにはそんなことが起こらないのです。

《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》からの2ターン目《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》という猛攻にたとえ耐えることが出来たとしても、さらに「Gob-vantage」は《ゴブリン徴募兵/Goblin Recruiter》によって4~5体の選りすぐりのゴブリンをたった1ターンでハンドに調達することができるのです。そう、対戦相手はこの第二波も凌げなければならないのです。そうそう、2ターン目に《新緑の魔力/Verdant Force》を展開できたリアニメーターデッキですら「Gob-vantage」デッキには勝てなかったという例が実際に存在しています。

この強力なゴブリンデッキの助けを借りて、岡本尋は二日間の素晴らしい成績をもとにした4-1-1という結果をのこして日本勢初の世界選手権ベスト8進出を決めました。ちなみに、彼はデッキのデザインという部分に関してはほとんどノータッチだったと控えめなコメントを残しています。彼が言うには、彼が十分な睡眠をとらせてもらっている間に、仲間たちが必死に最終調整を行ってくれたのだそうです。そして、最終的に《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》がメインデッキに採用されたことこそが成功の原動力となったことだろう、と岡本は述べています。

ところで、この記事を読んだ貴方が大慌てでカードのトレードに言ってしまう前に(《ゴブリンの暗殺者/Goblin Assassin》はプロテクション赤のカードに対抗するための唯一の手段で、大真面目なチョイスです。《幻影のニショーバ/Phantom Nishoba》やら《銀騎士/Silver Knight》やら《怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath》やらを除去できるのですから)これだけはお伝えしておきましょう。石田格いわく、「正体が明らかになってしまったことでこのデッキは明らかにその強さを失ってしまう」そうです。たしかに、これからより多くのデッキが《仕組まれた疫病/Engineered Plague》を採用するようになったとしたら、ここまで派手なパフォーマンスを成し遂げるのは難しくなりそうです。つまり、日本勢の成功の原動力は「この素晴らしいデッキをメタゲームにのレーダーにかからせなかった」ことにもあるというわけですね。

Jin Okamoto

Download Arena Decklist
サイドボード (15)
4 Seal of Fire 4 Pyrostatic Pillar 4 Pillage 1 Goblin Sharpshooter 1 Goblin Assassin 1 Goblin Incinerator

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