Feature: 「時のらせん」ドラフトの基礎

更新日 Event Coverage on 2006年 10月 20日

By Koichiro Maki

物事には須く何かしらの基本がある。ボクシングなら左ジャブだし、釣りならヘラブナというように。「時のらせん」を3パック使用したドラフトだって、それは同じこと。ではどんな基本があるのだろうか? それを導き出す鍵はパックの構成に隠されている。

「時のらせん」を1パック開封すると、その中身はこうなる。

タイムシフトカード 1枚
レア        1枚
アンコモン     3枚
コモン       10枚

一目見れば、コモンの構成比率が圧倒的に高いのが解るはずだ。コールドスナップ以前のパックに比べるとコモンの枚数はタイムシフト1枚分減ってはいるが、それでも大多数がコモンである事実は揺るがない。なので、「時のらせん」のドラフト環境を理解するには、まずコモンの強いカードから把握するのが手っ取り早いことになる。

というわけで、若干前置きが長くなってしまったが、日本が誇るプロツアーチャンプの面々に各色コモンで優先的にピックしたいカードを順に5枚ずつ挙げてもらったので、それをご覧頂きたい。

■コモンピックオーダー

その1 青 by 小室@名古屋王者

聞いた順に好きな一色を選んで回答してもらったのだが、手近にいた小室は力強く「青」と答えた。何か理由があるのだろうか?

「いや~、最近出来た彼女が相性診断を何かで読んだらしいんですけど、その時に僕のラッキーカラーが青だったらしいんですよ。」

ごちそうさま。

第一位 《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron

安定です。物あさりも捨てがたいですけど、すぐ死にますからね。その点、4/4は堅い。

第二位 《コー追われの物あさり/Looter il-Kor

十分強いんですけど、耐久力の差で。

第三位 《応じ返し/Snapback

色々便利ですよね。トリックになるし。

第四位 《トゲ尾の仔ドレイク/Spiketail Drakeling

3マナは安定です。安心感ありますね。

第五位 《歪んだ爪の変成者/Crookclaw Transmuter

トリックとして使えるのがいいです。

その2 黒 by 大澤@プラハ王者

大澤と言えば、プロツアープラハでは他のプレイヤー達が必死に印鑑やバウンスランド等のマナサポート探しに苦心する中、一人ひょうひょうとパワーカードピックするスタイルを作り上げ優勝した隠れ策士としても知られている。そんな彼に、今回最強色という呼び声も高い黒の順位付けを任せてみよう。

第一位 《絞殺の煤/Strangling Soot

赤使ってなくても、フラッシュバック用に山一枚足すまでありますね。不動の一位。

第二位 《堕落の触手/Tendrils of Corruption

二位は相当難しいですね。沼増やさないと強くないんで、期待込みで。

第三位 《闇の萎縮/Dark Withering

大澤 「マッドネスエンジンが無いと弱いんですよ」
筆者 「何枚ぐらいエンジン欲しい?」
大澤 「最低3~4枚ってとこですかね。《ヴェク追われの侵入者/Trespasser il-Vec》とか、《アーボーグの吸魂魔道士/Urborg Syphon-Mage》や《流動石の媒介者/Flowstone Channeler》。特に最後のは遅い順目で取れるのが好きです」

第四位 《ゴルゴンの世捨て/Gorgon Recluse

堅くて安心。素で出してもやりよりますし。

第五位 《アーボーグの吸魂魔道士/Urborg Syphon-Mage

次点の《ヴェク追われの侵入者/Trespasser il-Vec》と悩みますけど、こっちで。

その3 緑 by 八十岡@チャールストン王者

八十岡と言えば、数々の記事でも面白おかしく「対抗呪文の化身」と書かれるように無類のコントロール好きと知られているが、残念なことに既に青は終わってしまっている。そこで、ここは敢えてあんまり好きそうじゃない緑を振ってみることにした。八十岡はスタンダード環境だけじゃなくリミテッド環境でも数多くのアーキタイプを誰よりも早く完成させる男としての評価も現在鰻登り中。さてどんな回答を導き出してくれるだろうか。

八十岡 「何事も、シナジーだからね。シナジーなきゃわかんないよ」

まーまー、そう言わずに。

第一位 《ダークウッドのベイロス/Durkwood Baloth

シナジー関係なく普通にでかいからね。

第二位 《サリッドの発芽者/Thallid Germinator

※二位と三位に関しては横にいた大礒と若干熱めのトークをした後に決定

第三位 《サリッドの殻住まい/Thallid Shell-Dweller

サリッドじゃ無くても堅いから結構何にでも入るよ

第四位 《獣群のナール/Herd Gnarr

サリッドかトークン出せる作れる赤緑での必須パーツ。これないと殴れないからね。

第五位 《狩りの興奮/Thrill of the Hunt

火力とか簡単にかわせるのがいい。

その4 赤 by 黒田@元祖神戸王者

日本初のプロツアー王者である黒田だが、最近第二子が誕生。マジックプレイヤーとしてだけじゃなく、一家の大黒柱としてもきっちりと活躍中である。ちなみに、その第二子の名前は某「ほにゃららの奇妙な冒険」第三部の主人公とくりそつだという噂だが、実際のところはどうなのだろうか。気になる方は、本人を見つけて訪ねてみて欲しい。

第一位 《稲妻の斧/Lightning Axe

軽いし、マッドネスもいけるのが魅力やね。

第二位 《裂け目の稲妻/Rift Bolt

文句無し。

第三位 《オークの連続砲撃/Orcish Cannonade

なんか死ぬし、アドヴァンテージ狙えるしね。

第四位 《石炭焚き/Coal Stoker

テンポでミラクル狙えるのがいい。希にマナバーンもあるよ。

第五位 《地の底のシャンブラー/Subterranean Shambler

生きてるけど火力だし。青とかんでるよね。

その5 白 斎藤@チャールストン王者

いやー順位まだ決まってないんですよ、ぐるぐるぐるぐる変わるんですよね。第二ラウンドを勝利し、ここまで2-0と絶好調の斎藤は悩んだ顔でそう答えた。その昔、緑単色ビートダウンで鮮烈なデビューを飾った斎藤は、その後もアグレッシブなデッキを得意とすることで知られている。彼が先の日本選手権で使用したSea Stompy もその一つ。斎藤自身は惜しくも準々決勝で敗れてしまった為に日本代表入りを逃してしまったが、その後海を越えたオランダでは、斎藤の遺伝子を受け継いだデッキが大活躍しているのは記憶に新しいところ。さて、そんなビートダウンの貴公子が捻り出した答えがこれだ。

第一位 《時間の孤立/Temporal Isolation

一位~三位は本当に難しい。取りあえず、こうするけど、直ぐに変わるかもしれない。白は除去が薄い色なんで、どうしても欲しい。

第二位 《城の猛禽/Castle Raptors

白が濃くなるならレベルも強いんだけど、最終的に白が2色目以降になっても強いのはこっち。安定性で言えば、こっちかな。

第三位 《アムローの偵察兵/Amrou Scout

ちなみに、リクルート対象にも順序を付けてもらったところ、(《アムローの求道者/Amrou Seekers》、《ヴェク追われの盲信者/Zealot il-Vec》、《遍歴の宿命語り/Errant Doomsayers》とのこと)
 
第四位 《補強/Fortify

これも五位との差が僅差。というか、セットで使いたいカード。トークン産んでこれ打つだけで勝てるゲームも相当あるから。

第五位 《アイケイシアの触れ役/Icatian Crier

ソープロ(《正義の凝視/Gaze of Justice》)使いやすくなるのも魅力。

別枠 《象牙の巨人/Ivory Giant

※順位には入ってこないが、かなり熱くこのカードについて語ってくれていたので、別枠として紹介しておきたい。

「1ターン目に待機できるかどうかがこの環境では超重要。各色に1マナ待機があるので、それがあるのとないのとではテンポに大きく差がつくから。普通に待機なかったとしてもコストパフォーマンスはなかなかだし。ただ、白が濃ければ2枚とか33枚でも普通に入れられるけど、二色均等みたいなデッキだと入らないから、そこは間違えないように」

なるほどなるほど。

■コモン 色の順位

ピックオーダーを聞くついでに、各色の強さについても簡単に意見を求めてみた。途中から始めたので全員分揃っているわけではないが、これを元に各色の許容人数がどの程度なのかとか、もし始めるならどの色が有利なんて辺りを押さえて欲しい。

その1 八十岡

黒 >越えられない壁> 白=青 > 赤=緑

その2 黒田

黒=白 > 青 > 赤 > 緑

その3 斎藤

黒 >(僅差)青 > 白 > 緑 > 赤

三人とも、黒が最強色であるという認識は同じだが、それ以下の順番には色々と差があるようだ。また、三人とも赤ないし緑をワースト2に選んでいるのは同じで、黒・白・青の三色が三強ということになる。

ただ、八十岡がこんなコメントを残している。

「黒と白は単体ではそれぞれ強いんだけど、黒白っていう組み合わせは×。バランスが悪すぎるんだよね」

また、こうも語っていた。

この環境は、とにかくテンポ。なので、テンポを取りやすいカードが無いから青はそれほど強くないよ。《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/Riftwing Cloudskate》が一杯あるとかなら別だけど。

■基本アーキタイプ

では、最後に、このリミテッド環境の基本アーキタイプをまとめてみよう。毎回ランダムのカードを使うリミテッドと言えども、カードプールが決まっており、更にコモンという登場頻度の高いカードが存在する以上、作りやすいデッキタイプというのが明確に存在する。

○白青待機

Jhoira's Timebug

《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron》や《ヴィセリッドの深み歩き/Viscerid Deepwalker》といった待機を持つカードを多めに採用するのが特徴。隠れたキーカードとなるのが、待機期間を短縮する《ジョイラの時虫/Jhoira's Timebug》だ。

また、この色の組み合わせには他にも多くのヴァリエーションがあり、白を濃くしてレベルの枚数を増やしたタイプや、《象牙の巨人/Ivory Giant》の能力を《一瞬の瞬き/Momentary Blink》で利用し疑似Timewalk とするタイプ等がある。

○黒緑サリッド

《サリッドの殻住まい/Thallid Shell-Dweller》《サリッドの発芽者/Thallid Germinator》といった3ターンで1トークンを生成するサリッド軍団を集めるタイプ。これのキーカードは二つあって、一つは貧弱な1/1トークンを危険な凶器に代える《死胞子のサリッド/Deathspore Thallid》。そして、もう一つがトークンの生成タイミングがいつでもいいことを利用した《獣群のナール/Herd Gnarr》だ。

このように、1/1を生み出すギミックをどれだけ活用できるかがサリッドデッキの鍵となる。

○黒赤青スペル祭り

インベイジョン産ドラゴンの名前で表現するとクローシス=カラーとなるこの三色は、昔からインスタントやソーサリーが強力な色の組み合わせとして知られている。それは、この「時のらせん」でも同じ。その代表格は、一度目は黒く二度目は朱い《絞殺の煤/Strangling Soot》だ。ただし、呪文は強力だが、このタイプの場合はクリーチャーのラインが細くなりやすいのが問題点。何かしら戦線を支えるクリーチャーが必須となるので覚えておこう。

補足

なお、これをまとめるに辺り、前述の八十岡から幾つか面白いコメントがあったので、列記しておく。

・スリヴァーは基本やらない
・もしスリヴァーをやるなら、レアから入れ
・赤青はあんまり
・緑は弱い
・でも日本人は緑が嫌いなので逆説的に強いことも
・でもでもツアーだと緑好きの外人も多いので再逆転してやっぱり弱い

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