Feature: The Legend of Solar Flare

更新日 Event Coverage on 2006年 8月 24日

By Keita Mori

昨今、世界のスタンダードシーンを席巻する珠玉のデッキがある。

それは、「ジャパニメーション」(日本製アニメーション)をもじった「ジャパニメーター」(日本製リアニメイター)と呼ばれる青白黒のリアニメイト/コントロール型のアーキタイプで、おそらく今年度の日本選手権取材記事でも頻出することになるだろう。

これは、学名なのか一般的な名称なのか、「緑単色ビートダウン」なのか「セニョール・ストンピィ」なのか、といったような程度の問題でしかないのだが、「ジャパニメーター」という呼び名は分類項として英語圏の人々によって「あとづけ」されたもので、広く用いられている呼称ではない。

通称、ソーラーフレア(Solar Flare)。

これは「太陽拳」という言葉の英訳で、アメリカ選手権を制したことによって名実ともに現スタンダード環境の大本命となりおおせたデッキの名前である。

Solar Flare

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今年度アメリカ王者のPaul Cheon(ポール・チョン)が使用していたこのレシピはコールドスナップが使用可能になる前のデザインだが、お手本としての有用さは疑うべくもない。

印鑑でマナを加速し、青いドロースペルでライブラリーを掘り進みながら、《迫害/Persecute》による手札破壊や《神の怒り/Wrath of God》による盤面制圧を行い、手札ないし墓地からフィニッシャーを展開する。かなり大雑把な説明となってしまったが、パワーカードを乱打して勝利を掴み取るというゴージャスなアーキタイプである。

これは日本各地で行われた選手権予選シーズンにも多くの勝利者を生み出したデッキであり、その活躍がマジック・オンラインを中心とした各種ネット媒体によって世界へと浸透していったというのが主な伝播経路だ。

最近では日本発世界というムーブメントも珍しくなくなったが、この「ソーラーフレア」には特筆すべき点がある。

それは、草の根のトーナメントシーンから産み落とされた無印良品デッキであるということ。つまり、プロツアーのような特別な舞台のために有名プレイヤーがデザインしたブランドものではなく、週末に行われる身近な大会会場で温められてきたアイデアだったということだ。

■もうひとつの輝き

日本の草の根のトーナメント初の情報がさまざまなプレイヤーの手に渡り、改良を重ね、それが最終的に大輪の華を咲かせた。これが「ソーラーフレア」の物語だ。

すなわち、

あの「ガジーの輝き」(Ghazi Glare)――草の根スタンダードからデヴェロップされていったデッキが日本に念願の世界チャンピオンを誕生させた――と瓜二つのストーリーがそこには存在しているのだ。

Ghazi Glare

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昔から、変なデッキ、いわゆるローグ(Rogue)系アイデアの宝庫という意味で注目を集める国が日本だった。現在はそれにプラスするかたちで、誰かのユニークな着想をほかの誰かがデヴェロップさせていくというクリエイティヴな連鎖反応が起こっているのである。これこそが今の日本コミュニティの真骨頂と断言しても過言ではないだろう。

わずか一年の間に「ガジーの輝き」と「ソーラーフレア」という二つのグローバルなアーキタイプを送り出したのが現在の日本の草の根コミュニティの構築力。国際舞台で日本が強いと言われているバックボーンがまさしくここにある。身近なトーナメントから生まれてくるアイデア、それをリレーして広げていける力。

思い起こせば、白緑ボードコントロール「ガジーの輝き」も当時は作者不明の「コミュニティ合作」的な名作という扱いだった。しかしながら、かのデッキの原型製作者として後に知られるようになった鈴木 貴大はそれから大躍進を果たすことになり、プロツアー・チャールストンで8位入賞(チームGG Jirou)、つい先週行われたグランプリ広島でもベスト4入賞という活躍ぶりである。それを思うと、ジャパニメーター「ソーラーフレア」の作者たちがプレイヤーとして脚光を浴びるような日が遠からず来るという可能性もまた大きい。

今現在のところ、日本国内ではジャパニメーターの原型製作者に関しては諸説あるようだ。筆者が伝え聞くだけでも、一番最初にコントロール型をラヴニカ発売直後に完成させたのが山川 洋明だ、とか、現在の形の原型というべきバージョンを確立したのが清水 直樹だ、とかとか、実に様々である。また、それぞれの段階に応じて「ヤマコン」だの「太陽拳」だの「ムネオコン」だのとデッキの呼ばれ方も色々とあるようだ。

そもそも、どういった段階のレシピを「原型」とするかという定義もあいまいな話なのかもしれないが、そういった意味でも「コミュニティ合作」という海外勢の認識は正鵠を射ているのかもしれない。着想したもの、デヴェロップしたもの、それを使って成功したもの、そのすべてがコミュニティなのだから、「ソーラーフレア」に関しても誰か一人の功績に限定してしまう必要はないだろう。

何はともあれ、無名の若者をアメリカ王者にまで導いたジャパニメーターが誇るべき名作であり、今現在の対策すべき仮想敵であることもまた事実である。

そして、今からはじまる日本選手権とは、「ガジーの輝き」に続いて「ソーラーフレア」を生み出したコミュニティの王座をかけた戦い。疑いなく、国際的な関心事だ。

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