2003年度世界選手権というのは、様々な意味で大きなイベントだ。まず第一に、これはMagic;the Gatheringという素晴らしいトレーディングカードゲームの生誕十周年という記念すべき年に行われる大会なのである。そして、世界中祝祭ムード一色という中でリリースされた第八版がはじめてスタンダードフォーマットでお披露目されるイベントでもあり、《対抗呪文/Counterspell》や《強迫/Duress》を失った世界の勢力図がはじめて明らかになるというわけだ。はたして、ペインランドを失った痛みがどれほどのものだろうか? もっとも、悪名高きオデッセイ・ブロックがローテーション落ちしてからこそが第八版時代である、という声も根強い。たしかに、《野生の雑種犬/Wild Mongrel》や《激動/Upheaval》、《サイカトグ/Psychatog》といったパワーハウスの存在はあまりにも大きいかもしれない。
ちなみに、ここドイツは言うまでもなく"German Juggernaut"のホームタウンである。はたして、今年の年間MVPも帝王Kai Buddeが順当に掌中におさめてしまうのだろうか。あるいは、猛追を見せたMattias Jorstedtらが一つの時代を終わらせるのだろうか。
また、この2002-2003シーズンというのが日本勢にとっても大きな一年だったと総括できるかどうかも、このベルリン大会に臨む10人のプレイヤーたちの奮闘振りにかかっている。現在の新人王レースを暫定首位というポジションでリードしているのが日本の大礒正嗣であり、今大会でよほどの波乱がない限りはタイトル獲得は間違いないだろうといわれている。しかし、往々にして番狂わせが起こるのもまた勝負事の常だ。
3つのフォーマットで総計18ラウンドを戦うという長い長い個人戦予選ラウンド。
世界中から駆けつけた猛者たちがスタートラインについた。