Live Coverage of 2004 Pro Tour Seattle

更新日 Event Coverage on 2004年 7月 9日

By 森 慶太

2003-2004シーズンで二回目のチーム・リミテッド(3人制)フォーマットの大会となるのがこのプロツアー・シアトルだ。もちろん、ワンシーズンに同一のフォーマットでのプロツアーが複数回開催されるというのは特異なことで、これは「夏に始まって夏に終わる」という従来のマジックのイベントカレンダーを「1月に開幕して12月に千秋楽を迎える」という実際の暦と整合させるための作業の一環として生まれてしまった「調整試合」なのだそうだ。シーズン最終節に当たる世界選手権の前に、強引にチーム・プロツアーを一大会ねじこんでしまったという感じだろうか。

Seattle

さて。せっかくの国際舞台なのだから、今大会をホストすることになった街について軽くご紹介しておこう。そう、マジック・ザ・ギャザリングのプロツアー・サーキット連戦というのはちょっとした世界旅行のような趣があるのだ。

というわけで、ワシントン州シアトル市。ここはメジャーリーガーとして成功をおさめているイチロー選手の所属球団シアトル・マリナーズのホームタウンであり、私達日本人にとってもどこか身近な印象がある場所といえるだろう。実際、イチロー選手の試合目当ての観戦ツアーのようなものも盛んであるようだし、イチロー選手が広告塔として起用された大きな看板なども街のあちこちで見かける事が出来る。在米の日本人コミュニティも比較的規模が大きいそうだ。

地理的にいうと、シアトルというのは日本からは飛行機で8時間あまりという距離に位置しており、ワシントン州では最大の都市だ。ワシントン湖、ユニオン湖、エリオット湾、レーニエ山といった大自然と高層ビルが共存する景観は素晴らしいもので、エメラルド・シティというニックネームでも知られている。非常にすごしやすい気候の土地としても有名で、たとえば同じ夏の季節だとしても、湿度の高い日本のそれに比べると驚くほどさわやかな印象を受けるはずだ。日本との時差は15時間。

また、シアトルといえばスターバックス・コーヒーやエディー・バウアーといった日本でもおなじみのショップの本拠地(一号店)が存在する場所でもあり、今では"スタバ"一号店などはちょっとした観光スポットとして持て囃されている。日本の企業では任天堂の現地法人の本拠地がここにあり、航空機や軍需産業で知られるボーイング社の主要な拠点があることでも知られている(本社はシカゴに移転してしまったが、いまだに工場をはじめとした多くの施設がある)。

そして、さらに付け加えると、ここシアトル市のレントンにマジック・ザ・ギャザリングというカードゲームの産みの親であるウィザーズ・オブ・ザ・コースト社がオフィスを構えている。そう、シアトルというのは「マジックのうまれた街」でもあるのだ。

Kai vs. Nico

さて、話をマジックのプロツアー・サーキットに戻すとしよう。

今現在、戦前のプレビュー記事の段階でプロツアー・シアトル観戦のポイントをあげるとなると、間違いなく真っ先にKai Budde(カイ・ブッディ) とNicolai Herzog(ニコライ・ハースォグ)という二人のスタープレイヤーの動向をあげねばならないだろう。かつてマジック界ではBudde-Finkel論争なるものがあったわけだが、今はさながらBudde-Herzog論争といったような世情であるからだ。

まず、大前提として…チーム・プロツアーで2大会連続優勝を飾った"Phoenix Foundation"を率いるKai Buddeこそが現時点における世界最高のプレイヤーである、という評は動かしがたい。実際問題、ここ数年間の年間最優秀プロプレイヤー賞(Player of the Year)をBuddeがことごとく独占し続けてきたという厳然たる事実があり、今シーズンの開幕戦であったプロツアー・ボストンでも Phoenix Foundation は難なくトップ4入賞をはたしている。

しかし、ここでBudde時代を脅かす強力な対抗馬としてHerzogが台頭してきた。北欧ノルウェーの"Nico"lai Herzogはプロツアー・アムステルダム(ロチェスター・ドラフト)とプロツアー・サンディエゴ(ブースター・ドラフト)の二大会を優勝してみせたことでミラディン・ブロックにおける圧倒的な強さを証明し、なんと現段階ではKai Buddeを差し置いて暫定・年間最優秀プロプレイヤーという位置にまでのぼりつめているのだ。もちろん、同一ブロックのリミテッド・プロツアーを連続優勝するなどという芸当はBuddeもいまだになしえていない空前の快挙である。そんなわけで、はたしてHerzogがポストBuddeの時代を築いてしまうのかどうかというアングルが、国際的関心事となっているのだ。

当然、「チームとしての完成度という意味では Phoenix Foundationにかなうものなど無いわけで、Kaiがここで順当に巻き返すだろう」という意見もあれば、「そうは言っても今季絶好調のNicolai HerzogがAnton Jonsson(アントン・ヤンスン)と組んだら鬼に金棒だろう」というもっともらしい反論もある。蛇足しておくと、JonssonもHerzogに負けじと今シーズンのプロツアー・アムステルダムとプロツアー・サンディエゴの双方でトップ8に勝ちあがっており、ミラディン・ブロックでは世界有数のリミテッダーと認められることになった欧州勢である。

…とまあ、そんなような状況であるだけに、Budde対Herzogというのは間違いなく今大会最大の注目カードということになるだろう。もしもこの直接対決が決勝戦で実現しようものなら、全世界のマジック・ファンは最大級のカタルシスを味わうことになるのではないだろうか。

ちなみに、ここでHerzogが優勝するような事があれば、彼の年間タイトルの獲得はシーズン最終節を待たずにほとんど確実となる。

-Player of the Year Race 暫定Top 10 Ranking-

First Last Country Pro Points
Nicolai Herzog Norway 78
Rickard Osterberg Norway 65
Gabriel Lillian Nassif France 63
Michael Turian United States 57
Antoine Ruel France 53
Ben Stark United States 53
Kai Budde Germany 52
Osamu Fujita Japan 45
Yann Hamon France 43
Eugene Harvey United States 42
 

Japanese Teams

個人戦線における日本勢のパフォーマンスは今シーズンこれまで絶好調そのもので、黒田正城がプロツアー・神戸で戴冠したことによって待望のプロツアーチャンプも誕生した。…誕生したわけだが、やはり、話題がチーム戦となるとすこしトーンダウンしてしまう感があることは否めない。なんせ、今シーズンで唯一日本勢が日曜日の話題を作れなかったのがプロツアー・ボストン…そう…チーム戦だったのだ。

たしかに、マスターズで二大会連続の準優勝を果たしたPanzer Hunters(安藤玲二・石田格・百瀬和之)や、マスターズ・ヴェニスの優勝チームであるPS2(黒田正城・森勝洋・森田雅彦)といったスターチームがかつて存在したこともあるわけで、日本勢もチーム戦でまったく結果を残せていないわけではない。しかし、今ここで挙げた二大チームに希望を託そうにも、双方ともすでに解散ならぬ自然消滅となってしまっている。

そんなこんなで、日本勢が決勝ラウンドを経験していない唯一のプロツアーがチーム・フォーマットであるわけだから、果たしてそのハードルをまたぐことができるかどうかというのも今大会の注目すべきトピックといえるだろう。

もっとも、池田剛+石田格+岡本尋という大御所級を三枚そろえた「Fireball」、藤田剛史+藤田修+森田雅彦という布陣の関西最強軍「Go Anan(仮)」、大礒正嗣+森勝洋という新人王コンビに浅原連合の新鋭・大澤拓也を加えた「ルーキーズ(仮)」…と言ったタレントチームがこのプロツアーへの参戦を表明しているわけだから、歓喜の瞬間到来というのも決してありえない話ではない。

また、日本勢の応援という意味では新人王争いでデッドヒートを繰りひろげている鍛冶友浩(暫定三位)の動向にも注目していただきたい。今回鍛冶が参加しているチームは「鍛冶に新人王にするため」のもので、プロポイントでの招待のために横須賀智裕と小室修がタッグを組んでサポートしてくれているのだ。そう、鍛冶自身はPTQ戦線で権利を勝ち取れなかったのだが、そんな彼を助かるために横須賀と小室が一肌脱いだのだ。現在暫定新人王の志岐和政が今大会欠場を表明したわけでもあり、鍛冶としてはここで是非とも新人王タイトルへの足がかりを見つけたいところだろう。

ただ、強力なライバルであるフランスのAlexandre Peset(アレクサンドル・ペセィ、暫定2位)も要注意。Pesetはミラディン・ブロックのチーム・リミテッドを種目としたグランプリ・ボフムでTop 4に入賞(NPC All Starsとして)しているわけで、彼も今大会に期すものは大きいはずなのだ。

さらに、さきほどルーキーズ(仮)として紹介した大澤拓也の現在までの獲得プロポイントも10点という好位置。ルーキーズ(仮)は大礒が渡米前に上京してきたために十分な練習時間を得る事ができたということで、その練習で森勝洋が全盛期を思わせるキレを取り戻していたという話も耳に挟んだ。実際に新人王をつかみとってきた二人の先輩の助けを得て、大澤もここで逆転劇を狙っているに違いない。…そう、新人王レースも熱いのだ。

-Rookie of the Year Race 暫定 Top 10 Ranking-

First Last Country Pro Points
Kazumasa Shiki Japan 23
Alexandre Peset France 21
Tomohiro Kaji Japan 18
Chris Fennell United States 15
Luigi Sbrozzi Italy 15
Stefano Fiori Italy 14
Simon Carlsson Sweden 13
Tobias Henke Germany 12
Aeo Paquette Canada 12
Angel Luis Perez del Pozo Spain 12

さあ、この週末の熱戦の行方をお見逃しなきように!

Video Coverage

ちなみに、日曜日の決勝ラウンドに関してはライヴでのストリーミング映像配信がある。
残念ながら対応音声は英語のみで、放映の開始予定時刻がシアトル現地時間の日曜の朝9:00~だから、日本では日付が月曜日かわったあたりからの配信ということになる。
しかし、マジックというのは言語を障害としないスポーツでもあるわけだから、可能な方にはこの機会にリアルタイムでの観戦にぜひとも挑戦していただきたいと思う。

Video Preview : Pro Tour Seattle 04 (音声:英語)

Pro Tour Seattle Live Coverage 放映タイムスケジュール- Sunday, July 11, 2004  
9:00am(現地時間) 準決勝 第一試合 ドラフト中継
9:30am 準決勝 第二試合 ドラフト中継
10:00am 準決勝 第一試合 マッチ中継
11:15am 準決勝 第二試合 マッチ中継
12:30pm 食事休憩 (ESPNで放映した過去の映像をお届けします)
2:00pm 決勝 ドラフト中継
3:00pm 決勝戦 マッチ中継

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