Live Coverage of 2004 Pro Tour Seattle

更新日 Event Coverage on 2004年 7月 9日

By 森 慶太

チーム・フォーマットのプロツアーでは、参戦するチームそれぞれが背景としてもっている歴史だとか、チームそれ自体のキャラクターというのを知る事が観戦の醍醐味であるといってもいいだろう。そんなわけで、ここでは戦前の段階で話題に上がっているいくつかの海外のビッグネームと日本勢の各チームについてご紹介しておこうと思う。

海外チームに関する情報の大部分がイベント取材の大御所であるBDM(Brian David-Marshall)の協力であることを明らかにしておきつつ、さっそく「無敵のあのチーム」から紹介していくとしようか。

Phoenix Foundation –ドイツ

(Dirk Baberowski, Kai Budde, Marco Blume)

"The best team in the format featuring the best player in the world has never disappointed" –Alex Shvartsman

さすがはAlex。実に綺麗にまとめた ものである。そう、「世界最強のプレイヤー擁する世界最高のチーム」という安っぽいコピーさえ美しく思えてしまうようなトリオがこの「鳳凰財団」ことPhoenix Foundationなのだ。

$329,945(Budde)+ $147,510(Baberowski)+ $88,505(Blume)=$565,960(Foundation!)

上記の計算式は、世界最高のチームを構成する三人のプレイヤーがこれまでにマジックのイベントで稼ぎ出してきた賞金の総額(Lifetime Winning)で、つまるところ「鳳凰財団」は大雑把に6000万円ほどを銀行口座に貯めこんできている勘定だ。今年のエイプリルフールには「Phoenix FoundationがWizards社を買収した!」というジョーク記事がMagicTheGathering.Comに載ったほどで、つまり彼らは本家も笑ってネタにしてしまうほどの支配的な強さを誇っているという次第だ。

まあ、実際のところBuddeがここ数年の年間最優秀プレイヤー賞(Player of the Year)を独占し続けてきたことは周知の事実だし、Baberowskiにしたって初参加となった'98-'99シーズンのプロツアー・シカゴで「初参加での初優勝」という快挙をやってのけてしまったというモンスターだ。三人それぞれがドイツ選手権で戴冠した経験を持ち、この三人はチーム結成以来「チーム・プロツアーの決勝ラウンドに勝ち進めなかったことはない」。

そう、けなす要素がまったくこれっぽっちもないパーフェクト・チームなのだ。
一応ここで財団の戦歴を新しいほうから順番に挙げていくと、以下の通り。

2003プロツアー・ボストン、4位入賞 (※優勝:The Brockafellers)
2003マスターズ・ヴェニス、ベスト8入賞 (※優勝:PS2)
2002マスターズ・大阪、優勝
2002プロツアー・ボストン、優勝
2001プロツアー・ニューヨーク、優勝

ところで、そんな最強の王者たちの凄いところは、まったくもって慢心しないことだろうか。前述のBDMが教えてくれた話なのだが、時差対策と素晴らしい練習環境とを追求する意味で鳳凰財団は早々と渡米し、しばらくニュージャージーに滞在していたようだ。古くからマジックをご存知の方などには「ニュージャージー=Jon Finkelのお膝元」というニュアンスで受け取る方もあるかもしれないが、現在はTOGIT-CMUの本拠地ということになる。そう、YMGの凋落が囁かれるのを尻目に大躍進を遂げている現在のアメリカ中枢へと…Phoenix Foundationは出稽古していたのだ。

「ボストンでは不甲斐なかったから、なんとか挽回したいよね」

とKai御大などは漏らしているということで、やはり兜の緒がまったく弛まない彼らこそが優勝候補ナンバーワンなのであろう。

The Brockafellers -アメリカ

(Brock Parker, William Jensen, Matt Linde)

今シーズン開幕戦であったプロツアー・ボストンで初優勝を果たしたアメリカの仲良し三人組。ともかく、彼らはジュニア・スーパー・シリーズ時代からの連れ合いだということで、そのチームワークに定評がある。

このチームの実質的リーダーは第一回MastersでTradewind-Survival(通称TS。《貿易風ライダー/Tradewind Rider》+《適者生存/Survival of the Fittest》デッキ)を披露して見事な優勝を飾ったWilliam Jensen。実際に彼は一時期の「ポスト・Budde」論争で有力候補としてあがっていたほどのプレイヤーだ。

実績も実力も申し分ない彼ら、ディフェンディング・チャンピオンとしても本来的には巻頭での紹介を考えていたのだが、どうもここのところ彼らはポーカー(もちろん賭博としての)にエネルギーを注いでいるようで、マジック・シーンでは最近今ひとつだ。

BDMなどに言わせると、「David Williamsがポーカーの世界選手権で準優勝して大金をつかみとって以来、どうもオールドタイマーたちにはポーカーへの本格移行を考えているものたちが多い気がするんだよね」ということだ。

はたして「ブロックと愉快な仲間たち」はここでもう一花さかせてみせてくれるのだろうか?

Team Burkas –多国籍軍

(Nicolai Herzog, Tuomo Nieminen, Anton Jonsson)

今シーズンのプロツアー・アムステルダム(ロチェスタードラフト)とプロツアー・サンディエゴ(ブースタードラフト)で優勝を飾ったことで現段階のシーズン暫定MVPとなっているNicolai Herzog(ニコライ・ハースォグ)。今大会で彼を支える両翼は、世界選手権決勝ラウンド進出の実績で知られるTuomo Niemenen(トゥオモ・ニェメネン)と、アムステルダムとサンディエゴで連続決勝進出を果たしているAnton Jonsson(アントン・ヤンスン)で、間違いなくこのチームは実力的に優勝候補の一角といえるだろう。

とくにHerzogとJonssonのこのミラディン・ブロックでの強さは驚異的なものがあり、「第三の男」的にうつってしまうNiemenenにしても、Herzogをして「私よりもドラフトピックに輝きを見せる」という天才肌だ。

力強い仲間たちのサポートを得て、HerzogとしてはぜひともBudde越えを、すなわちPlayer of the Year受賞へのたしかな手応えを掴み取りたいところだろう。

Original Slackers –ノルウェー

(Lovre Crnobori, Jake Smith, Rickard Osterberg)

同郷のHerzogが成し遂げてしまった圧倒的なパフォーマンスによって、すこし話題から遠のいてしまうことになったのがRickard Osterbergだろうか。彼はこのOriginal Slackersを率いてプロツアー・ボストンで準優勝を果たし、続くエクステンデッドでは「ジョージ・W・ボッシュ」と名づけられた青赤の「ティンカー・スタックス」デッキによって優勝を勝ち取っている。

この一連の快挙もあって、Osterbergは今シーズンここまでで65点というプロポイントを稼ぎ出しており、全体でも暫定2位という好位置につけている。さらに、つい先日に行われたノルウェー選手権でもベスト4入賞を果たしたばかり、と、ここにきてキッチリ調子をあげているのも心強いところ。はたして、OsterbergはここでHerzogを追い抜き返すことができるだろうか?

www.shop-fireball.com2

(池田剛、石田格、岡本尋)

レポーターとして筆者と席を隣にしたMike TurianとBrian David-Marshallに日本勢の中でもっとも有力だと思うトリオを選んでもらうことになり、双方がノータイムで指名してくれたのがこのFireballだった。

たしかに、この三人組は世界の強豪を相手に名前を出してもまったく恥ずかしくないラインナップといえるだろう。世界選手権準優勝の岡本尋、プロツアー・横浜ベスト4入賞の池田剛という二人の強豪を相棒として、タクトを手にするのが石田格である。

石田格といえば安藤玲二の就職によってもはや伝説の存在となってしまったPanzer Hunters(石田・安藤・百瀬和之)を率いてチーム・マスターズで二大会連続準優勝を果たしているわけで、森勝洋をRookie of the Yearに導くための特別ユニットだったAnchans(石田・森・藤田修)でもチームリーダーとして八面六臂の活躍であった。そう、誰もが認めるチーム・フォーマットのスペシャリストが石田である。

しかしながら、誰もがトップランナーと認める石田格なのだが…なぜか彼はプロツアー決勝日進出の機会に恵まれていない。コンスタントに賞金圏内に食い込むという石田の安定した地力は日本勢の誰もが認めているところであり、そろそろ彼にも順番が回ってきてもいい頃ではないだろうか。

T.O.L. = N.oka

(藤田剛史、藤田修、森田雅彦)

関西最強軍。ほかに表現しようがないトリオがここシアトルへと参戦している。

藤田剛史は「世界王者を目指す」という高らかな宣言ともに先日の日本選手権でタイトルをつかみとったばかりで、ぜひとも世界選手権へむけてギアをいれておきたいところ。藤田修もプロツアー・アムステルダムでの準優勝をはじめとした奮闘ぶりで今シーズンでの獲得プロポイントが世界トップ10に食い込んでおり、今大会の活躍いかんではさらなる高みを目指すことも夢物語ではない。そして、数多い日本人タレントの中でも「チーム戦での三人目としては最高のプレイヤー」と考えられている森田雅彦が二人の藤田をがっちりとサポートすることになった。森田は黒田正城と森勝洋を相棒としたチーム「PS2」としてマスターズ・ヴェニスで優勝を飾っているわけで、おそらくこのチームが躍進できるかどうかは彼のコンディション次第といったところではないだろうか。

Tomtom.com

(鍛冶友浩、横須賀智裕、小室修)

新人王狙いチーム、その壱。

現段階でRookie of the Year Raceで暫定三位につけているのが鍛冶友浩。そんな鍛冶の逆転勝利を助けるために早い段階からこのフォーマットでのサポートに名乗りを挙げていたのが先日の日本選手権で「狂える26歳」デッキを披露した横須賀だった。横須賀はプロツアー・ニュー・オーリンズでのベスト8進出(《等時の王笏/Isochron Scepter》+《サイカトグ/Psychatog》デッキ)によって相当のプロポイントを稼ぎ出している。そして、鍛冶と横須賀の保有ポイントでも足りなかった数点のプロポイントを埋める三人目として白羽の矢があたったのが…グランプリ・チャンピオンに輝いたことでも記憶されている小室だった。

ときに、鍛冶にとって、そして次項で紹介する大澤拓也にとっても追い風といえるのが、現在暫定首位のポジションで新人王レースをリードする志岐和政が今大会の参戦を見合わせたことだろう。もっとも、暫定2位の位置にいるAlexandre Peset(フランス)がグランプリ・ボーフムでベスト4へと勝ち上がったチームを率いてこのイベントへと参戦しており、シーズン終盤に来て新人王レースはまさに熾烈な戦いとなりそうだ。

Ready Go !!

(大礒正嗣、森勝洋、大澤拓也)

新人王狙いチーム、その弐。

このチームのテーマはとにもかくにも「Rookie of the Year」タイトルということになるだろう。日本勢にはじめての国際タイトルとして「新人王」をもたらした森勝洋が、もう一人の「新人王」大礒正嗣とタッグを組んだ。そして、彼らは浅原連合の新鋭・大澤拓也を日本勢三人目の新人王として世に送り出そうという目論見でここシアトルへとやってきたのである。

もちろん、世界選手権9位入賞をはじめとした実績やその独特のキャラクターで森勝洋の名前はワールドクラス。大礒正嗣も一年間で3度のプロツアー決勝ラウンド進出という派手なパフォーマンスをやってのけたことで「日本人最強の男」として認められている。そんなわけだから、国際舞台は二人の新旧新人王が起用した三人目の若者、大澤拓也というプレイヤーがどのような活躍をみせるだろうかと目を凝らしているところなのだ。

実際問題、大澤拓也の戦歴欄は今のところ「グランプリ香港5位入賞」というシンプルなセンテンスのみで完結する。しかし、それも今週末までのこととなるかもしれない。

S.A.I.

(志村一郎、有田隆一、射場本正巳)

Shimura-Arita-Ibamoto。すなわちS.A.I。PTQ戦線で活躍を果たした彼らは、やはり日本国内では名前の売れているプレイヤーたちによって構成されている。

志村一郎はチームConcordant Crossroadと「コガモ団」に所属する茨城のプレイヤーで、つい先日にグランプリ・チャンピオンに輝いたばかりだ。有田隆一は古くから活躍している古豪で、塚本俊樹が絶対的な力で日本に君臨していた時代にThe Finalsで塚本と決勝戦を戦ったプレイヤーだ。射場本正巳は黎明期と呼ばれる時代から日本マジック界では腕利きのリミテッダーとして鳴らしていた存在で、Hobby Japan社に就職したことによって惜しまれつつもトーナメント・マジックの世界からは姿を消してしまっていた。しかし、射場本は戦いを求めてマジックの世界へと復帰し、いまでは彼自身が主催となって開催している「しゃばドラ」が東京のちょっとした虎の穴となっているほどだ。

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