Live Coverage of 2004 Pro Tour Seattle

更新日 Event Coverage on 2004年 7月 10日

By 森 慶太

初日を全勝という最高の形で折り返したのが日本の「S.A.I.」。

「しゃば・ありた・いちろー」でも「志村・有田・射場本」でも「サイ」でも…まあ読み方は何でも良いのだが、ともかく日本勢期待の星となった関東勢トリオがここで対峙することになったのがチーム・フォーマット屈指のプレイヤーたちを集めた「Cosmis Tones for Mental Therapy」だ。

昨日の観戦記事でも紹介したチームであるわけだが、この「Cosmic(以下略」はかつてのチーム・プロツアーで決勝ラウンド進出を記録した「Potato Nation」(優勝)、「Car Acrobatic Team」(ベスト4)、「Zabutan Nemonaut」(ベスト4)のメンバーであったJoseph Gary Wise、Andrew Cuneo、Eugene Harveyというタレントによって構成されている。

そう、どう贔屓目に見ても格上の相手を前に、S.A.Iはいったいどんな戦いを見せてくれるだろうか? なんであれ、ここで緒戦を白星で飾れたなら決勝進出も夢物語ではなくなるというラインでのマッチアップだ。

S.A.I.
Player A:志村 一郎 UB
Player B:射場本 正巳 5cG
Player C:有田 隆一 WR

Cosmic Tones for Mental Therapy
Player A:Eugene Harvey UB
Player B:Andrew Cuneo WR
Player C:Joseph Gary Wise UR Affinity

Drafting

Matchup A:志村 vs. Harvey

「シアトルでイチロー。負ける要素がないですよね!」とはチームメイトの射場本の言葉。実際問題、志村をエースという位置づけでここまで戦ってきたのがチームS.A.I.だ。

今回のドラフティングで志村はA席という位置をいかして(ダークスティールを中心に)青黒路線のデッキを構築。対する敵軍のHarveyも禁止カード《頭蓋骨絞め/Skullclamp》を引き当てた上で青黒という同色で対抗してきており、さらにこちらはタッチ《火の玉/Fireball》。

Matchup B:射場本 vs. Cuneo

戦前に語ってくれた構想どおりに緑多色に走った射場本。このデッキにも《火の玉/Fireball》がはいっている。敵軍が緑を誰もつかっていないため、資産をほぼ寡占できたのが強みだろうか。

そして、対するCuneoはチームCMUのお家芸である赤白ビートダウン。《星界の幼生/Cosmic Larva》や《溶鉱炉の脈動/Pulse of the Forge》がはたして火をふいてしまうかどうかが気になるところだ。

Matchup C:有田 vs. Wise

《溶鉱炉の脈動/Pulse of the Forge》をフューチャーした赤白の有田。対するWiseは《手綱取り/Grab the Reins》入りの赤青親和。S.A.Iの予想では「今回、有田が負け役になってしまうんじゃないかな」ということで、《エネルギー室/Energy Chamber》やらから2枚の《マイアの処罰者/Myr Enforcer》を高速展開されてしまうような盤面だけは何とか回避したいところだった。

さて、三つのマッチアップの中からまずはエース対決の青黒ミラーマッチを見てみよう。

志村 一郎 vs. Eugene Harvey

Game 1

先行となった志村は開幕ターンにセット《島/Island》から《血清の幻視/Serum Visions》キャストというたちあがり。対するHarveyは《マイアの月帯び/Myr Moonvessel》を召喚。

志村の2ターン目は《回転する破壊者/Spincrusher》プレイ。ここでHarveyは史上最凶の装備品である《頭蓋骨絞め/Skullclamp》を設置し、これで《マイア》を締めて2枚のカードを手にすることとなった。

しかし、志村は《頭蓋骨絞め/Skullclamp》へと即座に《秘宝の破滅/Relic Bane》をエンチャント。これを逆手にとって見事な10ターンクロックを仕掛けてみせた。クールなプレイスタイルで知られているHarveyはここで顔色を変えたりしないのだが、となりのCuneoとWiseがそろって額に皺を寄せている。ともあれ、Harveyは《威圧の杖/Staff of Domination》をキャストしつつライフを減少させて3ターン目を終えた。

志村はダメージクロックを早めるために《コバルトのゴーレム/Cobalt Golem》をここで展開。Eugene Harveyは対抗手段として《電結の混種/Arcbound Hybrid》を。そして志村は素直にサイズを考えて2/3ゴーレムを次ターンにそのままレッドゾーンに突っ込ませる。アタック宣言。しかし、Harveyはこれを2/2《混種》でブロックしつつの《チス=ゴリアの鱗/Scale of Chiss-Goria》によって防いでみせた。戦闘後、志村は《妖術師のガラクタ/Conjurer's Bauble》と《屍賊の模造品/Nim Replica》を展開してターンエンド宣言。返すターンにHarveyは《生皮はがれの屍賊/Flayed Nim》を召喚し、《頭蓋骨絞め/Skullclamp》を《電結の混種/Arcbound Hybrid》へとまとわせたのだった。しかし、この《混種》でのアタック宣言は出来ないHarvey。

そう。確実なダメージクロックを仕掛ける事が出来た以上、志村としては攻勢を維持することによってHarveyが反撃に出る暇をあたえないことが肝心なのだ。サッカーでいうならば志村はもはや先取点をあげている状態で、その上でラインをあげてプレスかけることに成功したなら…相手はもうにっちもさっちも行かなくなってしまうだろう。
もっとも、リミテッドにおける攻防の押し引きに関して、Eugene Harveyは世界屈指の存在であるわけだが。

ともあれ、終始志村はいつもどおりの丁寧できびきびとしたプレイを心がけた。
そして、彼の《襲い掛かる恐怖/Fill with Fright》がHarveyのハンドから《物読み/Thoughtcast》と《本質の吸収/Essence Drain》を奪いとり、この手札破壊魔法が実質的に金星の前触れとなった。

志村 1-0 Eugene Harvey

一方その頃、中央の席でAndrew Cuneoと対峙した射場本は圧倒的な強さを見せ付けていた。

一本目はCuneoのダブルマリガンもあって、緑特有のサイズを武器に圧殺劇。二本目でも3ターン目に《シルヴォクの開拓者/Sylvok Explorer》と3枚の《森/Forest》から《絡み森のゴーレム/Tangle Golem》召喚という凄まじいビートダウンをスタートさせていたのだった。赤マナが2枚そろわないように、とCuneoの真っ白なマナベースに時折セットされる《山/Mountain》を《刈り取りと種まき/Reap and Sow》アントワィンなどで責めながら攻勢を続けた射場本は、まさしくワンサイドゲームによって鮮やかな白星を掴み取っていた。もちろん、Cuneoのハンドは真っ赤に染まっていた。

射場本 2-0 Cuneo

ただ、志村と射場本の好調ぶりとは対照的に、有田隆一は試練のときを迎えていた。

緒戦はAndrew Cuneoさながらにダブルマリガンスタートから一蹴されてしまい、二本目も序盤を《ヴァルショクの魔術師/Vulshok Sorcerer》によって足止めされてしまう。そして、そこから《エネルギー室/Energy Chamber》で強化されながら襲い掛かってくる《潜むエイノデット/Anodet Lurker》や《マイアの処罰者/Myr Enforcer》たちによって蹂躙されてしまったのだった。

Wise 2-0 有田

Game 2

そんなこんなでA席のエース対決が勝敗を決することになった。

こうなっては、なんとか星を取り戻したいEugene Harvey。彼は《マイアの月帯び/Myr Moonvessel》召喚からゲームをスタートさせ、続けて《肉体を継ぐ者/Fleshgrafter》を展開した。すると志村もここで《肉体を継ぐ者/Fleshgrafter》召喚で対抗してくる。

Harveyは4ターン目に《大笑いのインプ/Cackling Imp》を展開して航空戦への布石を見せ、一方で4枚目の土地を引き当てられなかった志村はハンドの《粗石の魔道士/Trinket Mage》によって《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》を調達し、これをセットしてターンを返した。

Harveyは5ターン目に《インプ》と《肉体を継ぐ者》でアタック宣言。志村は《粗石の魔道士》で《肉体を継ぐ者》との相打ちを打診するが、Harveyは《電結の混種/Arcbound Hybrid》をディスカードしてこの戦闘で一方的な勝利をおさめることを望んだ。その戦闘終了後にHarveyは航空戦の追加戦力として《ニューロックの神童/Neurok Prodigy》を召喚。しかし、続くターンに志村が《インプ》を《残響する衰微/Echoing Decay》で除去しつつ《屍賊の模造品/Nim Replica》を召喚し、戦況は一方的なものにはならない。

なんとかここでビートダウンを継続したいEugene Harveyは《襲い掛かる恐怖/Fill with Fright》をここでキャスト。志村はここで自分の4枚のハンドのなかからどれをディスカードすべきかを長く考え込むことになった。

選択肢
《襲い掛かる恐怖/Fill with Fright
《コバルトのゴーレム/Cobalt Golem
《モリオックのゴミあさり/Moriok Scavenger
《秘宝の破滅/Relic Bane

ここから2枚。

どうやら《ゴミあさり》で回収できる《コバルトのゴーレム/Cobalt Golem》を捨てることだけは早々に決断したようだったのだが、緒戦での勝利をもたらしてくれた《秘宝の破滅/Relic Bane》と《襲い掛かる恐怖/Fill with Fright》とのどちらを残すかで志村はかなり考え込んでいたようだった。

結局、志村は《襲い掛かる恐怖/Fill with Fright》と《コバルトのゴーレム/Cobalt Golem》をディスカードし、Harveyは《ニューロックの神童/Neurok Prodigy》のアタックを済ませてターンを返した。

ここで志村は攻守のギアを入れ替える。《屍賊の模造品/Nim Replica》と《肉体を継ぐ者/Fleshgrafter》でアタック宣言。この5点がスルーされたのちに志村は《モリオックのゴミあさり/Moriok Scavenger》を召喚して墓地の《コバルトのゴーレム/Cobalt Golem》を回収した。

Harveyはここに来て攻め手がつきてしまい、《神童》のみでのアタック宣言でターンを返してきた。そんなわけで、追い風を感じながら志村はこのターンも果敢なアタック宣言。3/1《屍賊の模造品》、2/2《肉体を継ぐ者》、2/3《ゴミあさり》をレッドゾーンへ。Harveyは3/1《模造品》を1/1の《マイアの月帯び/Myr Moonvessel》で、2/2《肉体を継ぐ者》を同じ《肉体を継ぐ者》でブロック宣言。志村はこのブロックを受けて《肉体を継ぐ者》を《妖術師のガラクタ/Conjurer's Bauble》をコストに強化し、《屍賊の模造品/Nim Replica》はダメージスタック後に特殊能力によって《ニューロックの神童/Neurok Prodigy》を打ち落とすこととした。ただ、Harveyは温存してあった《チス=ゴリアの鱗/Scale of Chiss-Goria》でこの《屍賊の模造品/Nim Replica》の一撃から《神童》を守ってみせる。

そしてHarveyは志村の側にだけ生き残った《肉体を継ぐ者/Fleshgrafter》を《火の玉/Fireball》で除去し、《ニューロックの神童/Neurok Prodigy》のみのアタック宣言で返すターンを終了。明らかに流れをつかんだ志村はここで《血清の幻視/Serum Visions》をプレイしてから、予告先発だった《コバルトのゴーレム/Cobalt Golem》を戦線に加えつつアタック宣言。

なんとかライブラリーのトップに期待したいEugene Harveyだったが、次のターンも何も動きがない。もとい、動けない。追い風を確実につかんだ志村は、さらに《屍賊のシャンブラー/Nim Shambler》を戦線へと加えた。

そして、イチローは見事にエースとしてのつとめを果たすことになった。

志村 2-0 Harvey

S.A.I.は独走状態での7連勝を果たしてしまった!

Final Results:S.A.I 2-1 Cosmic Tones for Mental Therapy

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