Live Coverage of 2004 Pro Tour Seattle

更新日 Event Coverage on 2004年 7月 11日

By 森 慶太

Luminous Angel

このチームフォーマットでのドラフトには様々な戦略が存在する。全体的な采配をワントップの司令塔一人に任せるという「司令塔型」、二人のプレイヤーがピックに関して意見を交換させる形の「ツインタワー型」、そして各自が協調を崩さない前提で好き勝手に三者三様思い思いのピックを果たす「独立採算型」という具合である。

たとえば、敗れてなお世界最高峰のチームと評価されるPhoenix FoundationなどはBuddeとBaberowskiの「ツインタワー型」でのロチェスターを行うし、「Nicolai Herzog率いるチーム」と表現されることの多いTeam Burkasが…実は三者それぞれが自分のデッキを追及する「独立採算型」であったりする。

そんな中、Top 4 Profile でそれぞれがワントップ型であることを名言している両チームがここでマッチアップされることになった。FireballのコンダクターがPanzer Huntersとしてマスターズ2大会連続準優勝を果たした石田格で、対するS.A.I.の采配を日本マジック界で黎明期からリミテッダーとして活躍してきた射場本正巳が担当する。

射場本というのは日本ではじめてのプレミアイベントだったグランプリ東京(96'-97'シーズン。優勝は藤田憲一)でベスト8に入っているという古株で、当時「日本最強の高校生」と呼ばれていた石田とは長年のつきあいの友人同士でもある。脱線だが、筆者などは射場本たちが同人誌で紹介していた記事によってリミテッドのなんたるかを啓蒙してもらったクチであり、つまるところ射場本は昔からリミテッダーとして広く知られた存在だった。ロチェスターというフォーマットが日本勢にとっては手探りだった頃のプロツアー・マインツで18位入賞を果たすという実績も残しており、やはり彼は本物である。

そんな実力肌の射場本の名前をここ数年間のトーナメントシーンで目にすることができなかったのは、彼がホビージャパン社に就職していたためだ。彼は守秘義務やら契約上の制約やらで…惜しまれつつも公式トーナメントから姿を消してしまっていたのである。しかし、彼は戦いを求めて最前線へと帰ってきたのだ。

そんなこんなで、かつての「フジケン組」や「チーム・ジョン」でチームメイトとして共闘してきた石田と射場本が、別々のチームを率いて戦うことになった。それも、テレビカメラが見守る栄光のプロツアー決勝ラウンドで、だ。まったくもって、日本のオールドファンにはなんとも感慨深いアングルのマッチアップといえるのではないだろうか。

藤田剛史によるドラフトの考察記事は こちら をご参照あれ。

www.shop-fireball.com2
Player A:石田 格
Player B:池田 剛
Player C:岡本 尋

S.A.I.
Player A:志村 一郎
Player B:射場本 正巳
Player C:有田 隆一

石田 格(青黒) vs. 志村 一郎(赤白)

両軍がエースと認めるプレイヤーのマッチアップを主軸に、この試合を見届けることにしよう。志村は《清純な天使/Pristine Angel》、《光明の天使/Luminous Angel》、《メガエイトグ/Megatog》といったトリプルフィニッシャーを搭載した赤白のビートダウンデッキで、対する石田はオーソドックスな青黒ながらも「戦える構成にはしましたよ」というガッチリとした陣容。《屍賊の嘆き/Wail of the Nim》が突き刺さるようなゲームに持ち込みたいところだろうか。ちなみに、「破壊されない」ダークスティール製品と《選別の秤/Culling Scales》によるコンボも石田の側には内包されている。

Game 1

先手志村が《平地/Plains》三枚から《空狩人の散兵/Skyhunter Skirmisher》を展開するアクションを見せると、後手石田も2/2で《太陽に触れたマイア/Suntouched Myr》をプレイ。志村は続く4ターン目にランドをおけず、《レオニンの古老/Leonin Elder》召喚のみでターンエンド。これを見て石田はここで《選別の秤/Culling Scales》を場にもたらすのだった。

この《選別の秤/Culling Scales》は志村の《レオニンの古老/Leonin Elder》を破壊し、対照的に順調にマナを伸ばす石田は《潜むエイノデット/Anodet Lurker》を戦線に追加。石田が5マナまで伸ばしたというのに、志村はすべてのノンランド・パーマネントを《選別の秤/Culling Scales》で失ってしまうことになる。そこで石田は《四足マイア/Myr Quadropod》をさらに追加した。

志村はなんとか4マナ目を引きてて《ロクソドンの世捨て人/Loxodon Anchorite》召喚。石田の《秤》はここで自壊し、石田はやっかいな2/3プリヴェンターに《本質の吸収/Essence Drain》で即応。

いまもって志村のマナベースはモノホワイト。志村はここに《兵士の模造品/Soldier Replica》を置いただけでターンエンド。対して石田は《魂込めの円月刀/Ensouled Scimitar》を《太陽に触れたマイア/Suntouched Myr》にまとわせてから全軍でアタック宣言だ。志村はここで《四足マイア》を《模造品》でブロックし、《潜むエイノデット/Anodet Lurker》からのダメージを《畏敬の一撃/Awe Strike》で軽減した。実質的にコンバットダメージを帳消しにして時間を稼いだのだ。

ここで志村は待望の5枚目のランドをひきあてるのだが、これがまた《平地/Plains》と微妙。《上昇スリス/Slith Ascendant》召喚のみでターンエンド。
現時点でライフトータルは志村が6、石田は16だ。

石田は猛然とここで3体アタック宣言。志村は《スリス》で《太陽に触れたマイア/Suntouched Myr》を、《模造品》で《四足マイア》をチャンプブロックし、《模造品》は能力起動で《潜むエイノデット/Anodet Lurker》を除去しにかかった。

Suntouched Myr

そんなこんなで、なんとか志村は抵抗を続けたいところだったが、石田格のハンドには冷酷にも《本質の吸収/Essence Drain》が握り締められているのだった。

石田 1-0 志村

Game 2

デッキポテンシャルにはこの卓一番の志村。なんとかここで星を取りも出したいところだろう。先手を力強くキープ宣言。すると、後手の石田格がここでテイクマリガンを選択したのだった。はたして、逆転への追い風は吹いているだろうか?

先手の志村は2ターン目に《鉄のマイア/Iron Myr》という上々のスタートで、一方の石田は2枚目のランドがおけない有様。志村はここで3ターン目に《ロクソドンの世捨て人/Loxodon Anchorite》召喚という素晴らしい展開で、なんとか挽回したい石田は2マナ目を引き当てて《マーフォークの物あさり/Merfolk Looter》あらため《思考の急使/Thought Courier》を召喚した。

しかし、マリガンスタートのハンデを克服するための《急使》はきっちりと《ヴァルショクの魔術師/Vulshok Sorcerer》によって即応されてしまう。それでも石田は4ターン目にもなんとかランドを引き当て、このマッチアップのキーとなる《選別の秤/Culling Scales》をプレイマットへと送り込んだ。

この《秤》が志村の《マイア》と《魔術師》を葬り去ったため、志村はダメージクロックとして《ロクソドンの世捨て人/Loxodon Anchorite》を使用し始めた。つまりプリヴェンターとしての特性は放棄してしまったわけで、ここに石田の《本質の吸収/Essence Drain》がグサリと突き刺さる。

志村はここにきて後続が一瞬途絶えてしまい、すわここだ! と石田は《潜むエイノデット/Anodet Lurker》、《厳粛な空護り/Somber Hoverguard》、《盲目の忍び寄るもの/Blind Creeper》といったアタッカーたちを繰り出していった。

しかし、志村も《ロクソドンの世捨て人/Loxodon Anchorite》、《頭蓋囲い/Cranial Plating》、《銅のマイア/Copper Myr》を展開していくことで事態を収拾させようと必死だ。

石田は掴みかけた流れのままに白星をもぎ取るべく、戦線に《上位の空護り/Advanced Hoverguard》を追加。しかし、負けるわけにはいかないチームのエース、志村一郎はここで《清純な天使/Pristine Angel》を降臨させてプレイグラウンドに大きな大きなインパクトをあたえることに成功した。

こうなっては、犠牲を覚悟しつつも石田は《屍賊の嘆き/Wail of the Nim》をにおわせての果敢な突撃を繰り返すしかないわけだが、ここで致命傷を与えることはできない。そこに志村は《メガエイトグ/Megatog》、《光明の天使/Luminous Angel》とスーパーフィニッシャーを連打して形勢を再逆転させてしまったのだった。

実は、なんとか志村の残りライフを3点というところまで削っていた石田としては、デッキにもう一枚眠っている《本質の吸収/Essence Drain》を呼び込めれば・・・というところだったのだが、それはかなわなかったのである。

志村 1-1 石田

一方その頃、岡本尋が2-0で有田隆一を下し、射場本正巳が池田剛をこれまたストレートで撃破したため、このA卓の3本目が決勝進出の行方を決定付けることになったのだった。

Game 3

肝心の一戦で志村は後手ながらマリガン。しかし、土地2枚+マナマイア+《レオニンのボーラ/Leonin Bola》という具合の未来ある6枚の初手にめぐり合い、これをキープした。

後手マリガンながら《レオニンの古老/Leonin Elder》を開幕ターンに展開する志村。この1マナ1/1クリーチャーは実際にこのゲームの最終局面まで生き残ることになり、かなりのライフ面でのアドバンテージを志村にもたらしてくれることになった。

2ターン目の先手石田格のアクションは"Looter"こと《思考の急使/Thought Courier》展開。志村は《銅のマイア/Copper Myr》で応じたわけだが、数ターンにわたって機能し続けた《思考の急使/Thought Courier》が石田のライブラリーを掘り進み、石田のハンドを濃密なものへとかえていった。

石田は3ターン目に《騒がしいネズミ/Chittering Rats》を召喚し、志村は返しで《兵士の模造品/Soldier Replica》。《屍賊の嘆き/Wail of the Nim》をにおわせつつ、石田は次ターンに2/2《騒がしいネズミ/Chittering Rats》でアタック宣言。志村は少しここで考えたものの、まっすぐにこれを1/3《模造品》でブロック宣言。結局ここでは何も起こらず、石田は戦闘後に《ダークスティールの鋳塊/Darksteel Ingot》経由で《先陣のマイア/Alpha Myr》を召喚してターンを終えた。ここで志村は2/2《熱風の操縦者/Thermal Navigator》サモン。

攻め手を何とか調達したい石田はここでの《思考の急使/Thought Courier》起動で《厳粛な空護り/Somber Hoverguard》へとたどり着く。しかしながら、志村は初手から隠し持っていた《レオニンのボーラ/Leonin Bola》によってダメージレースでの先行を許さなかった。それでは、と石田は2体目の航空戦力として《上位の空護り/Advanced Hoverguard》を前線へ配備。対する志村はハンドに《ヴァルショクの魔術師/Vulshok Sorcerer》を抱えながらも2枚目の赤マナにたどり着けていなったのだが、ここで《鉄のマイア/Iron Myr》を召喚することができた。

Vulshok Sorcerer

航空戦力でのビートダウン。正確には《天使》を引かれてしまう前のビートダウン、という明確なストラテジーを確立した石田は3/2の方の《空護り》を《ボーラ》でタップアウトされつつも2/2の《空護り》でアタック。戦闘終了後には2/4《尖塔のゴーレム/Spire Golem
をさらに展開して見せた。やや劣勢の志村に見えるが、開幕ターンから生き延びて《レオニンのボーラ/Leonin Bola》のための駒となっている《レオニンの古老/Leonin Elder》がものすごいライフを提供してくれているために、まだライフは20点を割っていない。そんなわけで、あわてず騒がず《ヴァルショクの魔術師/Vulshok Sorcerer》を召喚して石田の《思考の急使/Thought Courier》を狙撃した。このカードによる供給能力は明らかに石田の側のダイナモとして活躍していたわけで、まだまだ志村を追い詰めたという段階からは程遠い石田としては残念なところだった。

ここで石田は《ヴァルショクの魔術師/Vulshok Sorcerer》に迷わず《本質の吸収/Essence Drain》を叩き込み、2/4と2/2の航空戦力でアタック宣言。次のターンに出てきた2/3プリヴェンターこと《ロクソドンの世捨て人/Loxodon Anchorite》にも2枚目の《本質の吸収/Essence Drain》を叩き込みながらアタックした。

しかし、マリガンスタートながら徐々にマナ基盤を整えてきた志村は、アタッカーの片割れである2/4《尖塔のゴーレム/Spire Golem》に《錆の雨/Rain of Rust》。石田は《肉体を継ぐ者/Fleshgrafter》、《盲目の忍び寄るもの/Blind Creeper》を展開しながらコツコツと2点ずつ(3/2はタップされ続けている)ダメージをあてながらゲームを進める。

志村のデッキには《清純な天使/Pristine Angel》という最悪の生物が隠れ潜んでおり、次点の爆弾カードとして《光明の天使/Luminous Angel》や《メガエイトグ/Megatog》の可能性もあるわけだから、この「コツコツと」という路線が実に心細い。うらをかえすなら、《レオニンのボーラ/Leonin Bola》などでゲームを長引かせ、レアゲームにもちこんでしまえば志村の勝ちなのだ。

第12ターン目を迎え、石田格はとうとう地上戦線も動員してのアタック宣言を開始した。ここで3/3の《盲目の忍び寄るもの/Blind Creeper》が《熱風の操縦者/Thermal Navigator》に、2/2の《肉体を継ぐ者/Fleshgrafter》が1/3《兵士の模造品/Soldier Replica》と1/1マイア二体によってブロックされ、2/2《上位の空護り/Advanced Hoverguard》と2/2《騒がしいネズミ/Chittering Rats》がスルーされる。この戦闘中に志村は《盲目の忍び寄るもの/Blind Creeper》を一方的に殺すために《畏敬の一撃/Awe Strike》を使用し、ライフトータルは志村が12、石田が25ということになった。戦闘後に石田は《ダークスティールのペンダント/Darksteel Pendant》を設置。そう、これも《選別の秤/Culling Scales》とのシナジーを期待できそうな一枚だ。

さて、そろそろなんとかクリーチャーゾーンに突入したい志村は《彩色の宝球/Chromatic Sphere》などでキャントリップしてみるも、とにかく延々とランドばかりのドロー。《レオニンのボーラ/Leonin Bola》で延々3/2《厳粛な空護り/Somber Hoverguard》をなんとか封じ込めているのだが、クリーチャーの頭数がとにかく足りない。このあたり、マリガンスタートのプレイヤーと《思考の急使/Thought Courier》を何度も何度も起動させてきたプレイヤーとの差ということだろうか。

石田は《物あさりのスカラベ/Scavenging Scarab》、《魂込めの円月刀/Ensouled Scimitar》と陣容に少しずつ厚みをもたせながら淡々とアタック宣言を繰り返す。すると、とうとう志村は観戦ステージ上から熱い視線を送ってくれていた射場本と有田に「すいませんでした」と頭をさげ、偉大なる先輩、石田格に右手を差し出したのだった。

そう、天使は微笑んでくれなかったのだ。

石田 2-1 志村

Final Results:www.shop-fireball.com2 WINS 2-1 against S.A.I

かくて、遅咲きの大輪、石田格は今やプロツアー・チャンピオンの座に王手をかけることとなった。

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