Live Coverage of 2005 Pro Tour Nagoya

更新日 Event Coverage on 2005年 1月 28日

By Yusuke Yoshikawa

2004年度新人王にして世界選手権の覇者、ジュリエン・ヌイテン(オランダ)

昨年度、初挑戦にして世界選手権を制覇し、最優秀新人賞(Rookie of the Year)とのダブル受賞を成し遂げたオランダの15歳、Julien Nuijten(ジュリアン・ヌイテン)。

本トーナメントは、彼の日本デビュー戦でもある。そこで、Julienを黒田 正城・池田 剛・橋本 玲といった日本の強豪勢が迎え撃つ形となった15番ポッドを取り上げたい。
果たしてJulien少年とはどんなプレイヤーなのか? 

また、プロツアーの第2ドラフトはその先への生き残りを賭けた戦いでもある。このポッドは2勝1敗のメンバーが揃ったが、唯一橋本 だけが1勝1敗1分けとなっている。負けの許されない橋本と、2勝が十分条件の他のプレイヤーはどのようなドラフトを見せるのか? 果たして生き残るのは、はたまた上位に顔をのぞかせることができるのは誰か?

筆者自身の興味も尽きないドラフトの模様をどうぞ。

席順は1番にJulien、2番に池田、3番に黒田、離れて7番に橋本となっている。

《氷河の光線/Glacial Ray》《怒りの狂乱/Blind with Anger》、ちょっと下がって《古の法の神/Kami of Ancient Law》といったところが目を引く程度の開幕パック。Julienが《氷河の光線/Glacial Ray》、池田が《古の法の神/Kami of Ancient Law》、黒田が《怒りの狂乱/Blind with Anger》と分かれた形でドラフトがスタートした。離れた橋本は《宝珠編みの蜘蛛/Orbweaver Kumo》《大蛇の葉詠み/Orochi Leafcaller》で緑に手を挙げる。

すると、池田開封の第2パックでいきなりざわめきが。主なカードだけでも、
《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》《義理に縛られし者、長雄/Nagao, Bound by Honor》《無垢の神/Innocence Kami》《氷河の光線/Glacial Ray》《霊魂の奪取/Rend Spirit
と豪華オールスター。もちろん頭抜けて強いのは《曇り鏡のメロク》なのだが、池田は《義理に縛られし者、長雄》で白路線を固め、《曇り鏡のメロク》を黒田に譲った。この選択は、日本人同士というだけでなく2勝条件ということが大きく影響していると考えられる。《霊魂の奪取/Rend Spirit》は7番席の橋本まで回っていくこととなった。Julienは《未達の目/Eye of Nowhere》《ねじれた鏡映の神/Kami of Twisted Reflection》で赤青への姿勢を。

期せずして大物を手にした黒田は《伝承の語り部/Teller of Tales》で青赤路線を固める。橋本も《樫族の肉裂き/Kashi-Tribe Reaver》《大蛇の卵張り/Orochi Eggwatcher》と緑で協調ができている様子。Julienはというと、《木霊の力/Kodama's Might》で緑への渡りをつけながら、《不気味な行列/Eerie Procession》で「秘儀―連繋」系デッキも構想に入れているようだ。池田も、コモンカードにやや恵まれない感があるが、白タッチ黒の侍デッキを模索していく。

分岐点となったのは橋本開封の第7パックだった。緑黒に進んでいた橋本は《鼠の浪人/Nezumi Ronin》《蛇の皮/Serpent Skin》と選択肢がある中で、あえて《氷河の光線/Glacial Ray》を選択したのだ。赤をやっていた8番席のプレイヤーが怪訝そうな顔を見せるが、橋本はドラフト後こう説明してくれた。

「自分は3勝条件なので、とにかくブン回って3人倒さなきゃいけない。それを考えての選択だったわけです。2勝条件だったら、協調を貫いていた可能性が高いですね」

やってみれば分かることなのだが、安定2勝を考えるデッキと3勝を絶対とするデッキは全く異なる。崖っぷちの橋本は、あえて危険な道を渡らなければならなかったのだ。

さてドラフトは中盤にさしかかり、第9パック。ここでまたしても《義理に縛られし者、長雄》が現れるが、《武野の大小、正守/Oathkeeper, Takeno's Daisho》《肉体の奪取/Rend Flesh》《血塗られた悪姥/Wicked Akuba》《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》と揃った中にあって誰も手を出さず、結局6手目で池田のもとへと回る。黒田の協力もあるが、ここは池田の作戦勝ちといった印象か。

折り返しといえる第12パック終了時点で、Julien・緑青、池田・白黒、黒田・青赤、橋本・緑黒タッチ赤という布陣になった。

橋本が前のめりの、他の3人が安定のデッキを目指していく中、再び作戦の岐路となったのは黒田開封の第14パック。《霜投げ/Frostwielder》《汚れ/Befoul》といったカードの横に、《思考の鈍化/Dampen Thought》《不気味な行列/Eerie Procession》が並べられる。ここまで標準程度のクリーチャーを取っていた黒田だが、秘儀インスタントも多く《思考の鈍化/Dampen Thought》に向かうことも十分に考えられた。しかし、ここは《霜投げ/Frostwielder》。池田が当然の《汚れ/Befoul》。そしてJulienだが、これまで青中心にドラフトしてきた資産を活かすべく、《思考の鈍化/Dampen Thought》デッキに活路を見出した。

この《思考の鈍化/Dampen Thought》デッキというもの、先のGP横浜決勝ドラフトで森田 雅彦がお披露目してからというもの随分広まった感がある。リミテッドなのにライブラリを攻撃して勝つ快感とあいまって、今や主要アーキタイプのひとつといって差し支えないだろう。本大会でも、4枚(!)もの《思考の鈍化/Dampen Thought》を使ったデッキが現れるなど、注目されている。

しかし、それは「対策されること」と同じ意味であり、「ライブラリを60枚にする」などの対策が既に知られている。その中でこのタイプを高らかに宣言することはなかなか勇気が要るわけだが、若き世界王者は攻めの姿勢だ。

そうと決まればJulienは一直線に走る。赤をタッチすることを考えて《怒りの狂乱/Blind with Anger》、自らの開封パックでは《霧中の到達/Reach Through Mists》とわき目も振らず。対する日本勢も、自らのデッキの充実に努める。協調の雰囲気が強く感じられるドラフトとなった。

2枚もの《義理に縛られし者、長雄》に加えて《黄昏の守護者、秘加理/Hikari, Twilight Guardian》をも引き当てた池田に軽く拍手などが起こるが、本人によると「強さはそうでもない」とのこと。しかしそれでも、強固な侍デッキに仕上がった。

黒田も《降る星、流星/Ryusei, the Falling Star》を自陣に加え、地上がやや薄いものの《精神のくぐつ/Psychic Puppetry》などの秘儀シナジーで時間を稼ぎながら大物を待つデッキで戦えそう。

3勝条件の橋本は、《武野の大小、正守/Oathkeeper, Takeno's Daisho》を加えたごり押しウィニー風緑黒タッチ赤。最後のパックで《苔の神/Moss Kami》《つぶやく神/Gibbering Kami》を手に入れ、それなりに満足いくデッキになったようだ。

それぞれがそれぞれの条件を理解し、協調しつつ時には主張をしながらドラフトを進めていた。その中で動じることなく自らのデッキを作り上げたJulien少年は、日本勢の目にも強敵と写ったようだ。

これからの戦いがより楽しみになる。

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