
TABLE OF CONTENTS
- Day 2 Blog
- 1:22 pm - ラウンド 1 : 藤田 憲一(東京) vs. Alex Shvartsman(アメリカ)
- 2:55 pm - Pro Lounge
- 5:18 pm -森 勝洋の4色デッキ
- 7:31 pm - Super Drafter, Anton Jonsson
BLOG
世界王者Julien Nuijten(オランダ)と同卓だった二人、日本の「ご意見番」こと藤田 憲一(東京)とアメリカのAlex Shvartsmanとが緒戦からマッチアップ。

ぜひとも好勝負に期待したいところだったが、第1ゲームでは赤緑デッキの藤田が悲惨なマナトラブルをおこしてしまう。唯一展開できた《燃えさし拳のずべら/Ember-Fist Zubera》さえも、赤黒のShvartsmanが《繰り返す悪夢/Recurring Nightmare》に連繋させた《氷河の光線/Glacial Ray》でなぎ払われてしまう、という惨憺たる有様だった。
しかしながら、第2ゲームでは藤田が面目躍如。《木霊の手の内/Kodama's Reach》によって安定したマナベースを築き上げ、タフネス1クリーチャーが少なくない赤黒のAlexに対して《激憤の本殿/Honden of Infinite Rage》を設置。要所で《花の神/Hana Kami》によって《木霊の力/Kodama's Might》を回収し、さらに《刻みを継ぐもの/Burr Grafter》の転生能力によって《花の神》を回収。その《花の神》で再度《木霊の力》を手札に戻すという輪廻転生を成功させ、2戦目を取り返した。
かくて一進一退。なるべくして3戦目は接戦となった。
まずAlexが《鼠の墓荒らし/Nezumi Graverobber》を出せば、後手藤田は《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》を。ならば、とAlexが《悪逆な大峨/Villainous Ogre》を出すと、藤田もをたてて《燃えさし拳のずべら/Ember-Fist Zubera》を。そこにAlexが《小走りの死神/Scuttling Death》を加えれば、藤田も《木霊の手の内/Kodama's Reach》に《氷河の光線/Glacial Ray》を連繋して《悪逆な大峨/Villainous Ogre》を除去。互いに一歩も譲らなかった。
6ターン目のShvartsmanは《鼠の墓荒らし/Nezumi Graverobber》の能力で藤田の墓地の《木霊の手の内/Kodama's Reach》をゲームから取り除き、条件を満たして《墓荒らし》を4/2の《冒涜する者、夜目/Nighteyes the Desecrator》へと反転させた。そのうえで4/2《小走りの死神》でアタック宣言し、藤田は《ずべら》と《長老》の2体でこれを相打ちにとった。もちろん、《長老》はダメージをスタックしてから土地をサーチしてくる。
そして、藤田は《夜目》を《氷河の光線/Glacial Ray》で焼き払ってから、戦線に3/3の《根走り/Rootrunner》と《燃えさし拳のずべら/Ember-Fist Zubera》を送り込む。しかし、Alexも負けじと《地揺すり/Earthshaker》を召喚して対抗し、藤田は《聖鐘の僧団/Order of the Sacred Bell》を出して睨みをきかせた。Alexはスピリットである《小走りの死神/Scuttling Death》を展開して《地揺すり》の能力を誘発し、藤田の《燃えさし拳のずべら/Ember-Fist Zubera》を2点のダメージで葬った。そして、続くターンに藤田が特にアクションを起こさなかったために、どうやらAlexはここを攻め時と感じたようだった。
Alex Shvartsmanは《小走りの死神/Scuttling Death》を生贄にささげ、藤田の《根走り/Rootrunner》に-1/-1修正をまず加えた。そして、さらに《聖鐘の僧団/Order of the Sacred Bell》にむけて秘儀呪文である《引き込み/Pull Under》をプレイ。《地揺すり/Earthshaker》から誘発される2点の《地震/Earthquake》効果がスタックにのった。Alexのこの仕掛けにより、順当にこれが解決されてしまうと、藤田は2体のファッティを一気に失ってしまうことになる。

しかし、藤田もそうはさせなかった。ここで《根走り/Rootrunner》に《蛇の皮/Serpent Skin》をまとわせてAlexに対抗し、返すターンに1/2の《大蛇の支援者/Orochi Sustainer》を展開。さらに、その次ターンには《激憤の本殿/Honden of Infinite Rage》を引き当てるという力強さを我々に見せ付けてくれたのだ。
藤田はこの《本殿》の1点を《地揺すり/Earthshaker》に与えたうえで、4/4の「再生」能力もちとなった《根走り/Rootrunner》で攻撃宣言。こういう具合に動かれてしまうとAlexも迂闊にブロックは出来ない。「それならば殴りあうしかない」とAlexは2/1のスピリットである《かまどの神/Hearth Kami》を召喚し、1/2の《大蛇の支援者/Orochi Sustainer》を《地揺すり》の能力で除去した上での4点アタック。
藤田も《かまどの神》を《激憤の本殿》で狙撃して再度の4/4アタック。もちろんAlexも4/5のスピリットで力強く殴り返した上で《燃えさし拳のずべら/Ember-Fist Zubera》召喚、という具合にインファイトが展開された。
これを受けて、藤田は《激憤の本殿》で本体を狙撃。2/3の《火の咆哮の神/Kami of Fire's Roar》、2/2《粗暴な詐欺師/Brutal Deceiver》という2匹のスピリットを連続展開した。《火の咆哮の神》の能力が誘発されてAlexの《燃えさし拳のずべら》はブロックに参加できないクリーチャーとなり、藤田はやはり力強く4点のパンチをAlexに見舞う。Alexの残りライフはこれで5点だ。
しかし、ここでAlexも《痛めつける鬼/Painwracker Oni》を召喚して《地揺すり》の2点のダメージを誘発し、自陣の《燃えさし拳のずべら》がこれによって墓地に落ちたことによる1点をあわせ、藤田の2/3《火の咆哮の神/Kami of Fire's Roar》と2/2《粗暴な詐欺師/Brutal Deceiver》を一気に葬っての4点アタック(藤田、残りライフ8点)。戦闘終了後に《血に飢えた大峨/Bloodthirsty Ogre》を戦線に加えた。こちらも不退転。
藤田はその《大峨》をアップキープに《激憤の本殿》で撃ち殺し、《刻みを継ぐもの/Burr Grafter》を召喚した上で、《蛇の皮/Serpent Skin》つき《根走り/Rootrunner》でアタック宣言。Alexは5/4の《鬼》でブロックを宣言し、再生した《根走り》が一方的に勝利をおさめた。
ここで引くわけにはいかないAlexも《灰色肌のずべら/Ashen-Skin Zubera》を召喚し、《地揺すり/Earthshaker》の2点《地震/Earthquake》能力によって《刻みを継ぐもの/Burr Grafter》を即座に除去。藤田はここでの「転生」で《燃えさし拳のずべら》を回収したものの、《地揺すり》アタックに対するブロッカーを失ってしまったため、4点スルー。残り4点(Alexは残り5点)。ライフレースは実に抜き差しならない局面になった。
こうなって、《激憤の本殿/Honden of Infinite Rage》をコントロールしている藤田は、これを最後のトドメに活用することとした。確実にAlexの本体を狙撃しながら《燃えさし拳のずべら/Ember-Fist Zubera》、《狩猟の神/Kami of the Hunt》を淡々と展開し、地上戦線をかためて逃げ切ろうという構えを見せたのだ。・・・実際に藤田のこの作戦はある程度功を奏し、Alex のライフを2点まで削り落とすことにしている。
しかし、Alex Shvartsmanも歴戦の強豪だった。彼は制限時間内に「直接火力」である《貪る強欲/Devouring Greed》を引き当て、文字通りにギリギリの勝利を掴み取ることとなったのだ。
Alex Shvartsman 2-1 藤田 憲一
かくて、最初のフューチャーマッチでの日米古豪対決ではアメリカに凱歌。
Alex Shvartsman :ところで今度の賞金システムだけれど・・・素晴らしいプレイヤーにとってはひどい仕打ちで、ひどいプレイヤーにとっては素晴らしいプレゼントってことになると思うな
Friday, January 28: 2:55 pm - Pro Lounge
「このプロツアーから、イベントに参加する権利を勝ち取ってきたプレイヤーに提供される新たなサービスがお披露目されます。これによって、プロツアーという舞台に参加することの栄誉が一つ上のものとなるでしょう」

これはプレビュー記事にて紹介させていただいたウィザーズ社のRon Fosterの台詞で、彼がほのめかしていた新しいサービスというのがこの「Pro Lounge」だった。
これはプロツアー参加選手に配られる「タグ」を持っていないと入ることがかなわないエリアで、ラウンジの中ではソフトドリンクやコーヒー、フルーツ各種やドーナッツといった軽食が無料でサービスされる。ここはいくつかのソファやテーブルがあって、友人同士や対戦を終えたプレイヤーたちが談笑することができる場所で、もちろんマジックをプレイしている者たちも多いようだ。
高速インターネット回線に接続されたパソコンやビデオ放映(私がのぞいた時はマトリックスを放映していた)といったサービスもあって、たしかにちょっとしたくつろぎの場所となっているようだ。ここが実際にどのような場所であるのかは、まもなく掲載される予定のVideo Coverageをご参考いただきたい。
ちなみに、同じくRon Fosterが言っていた
「このプロツアー名古屋の舞台で、これからのプロツアーの開催に関する大きな発表をします。おそらく、驚きをもってこのニュースは伝えられることになるのではないかと私は思っています」
というのは、プロツアーフィラデルフィアで新しい賞金システムが試験的に導入されることだった。
Friday, January 28: 5:18 pm -森 勝洋の4色デッキ
「これは三勝狙いますよ!」

と、元気な声で意気込みを聞かせてくれたのは、セカンドドラフトで二連勝を果たしてきた森 勝洋。つい先日のグランプリ大阪でチームPS2としての優勝を飾ったばかりという彼がここで我々に披露してくれたのは・・・4色のデッキだった。黒緑青にタッチ赤という内容で、実は《鼠の殺し屋/Nezumi Cutthroat》と《木霊の力/Kodama's Might》という2枚の優良ビートダウンカードがサイドボードに眠っていたりする。実に印象的だ。
森が言うには、本来は緑黒のビートダウンにタッチ《風見の本殿/Honden of Seeing Winds》するくらいのデッキを組むつもりでドラフトを終えていたそうだ。しかし、デッキ構築中に自分の手元にあったすべてのカードをながめて、3枚の《忌まわしい笑い/Hideous Laughter》を徹底的に活かすコントロール系にシフトしたほうが良いのではないか、と思えたのだとか。そんなわけで、ありったけの《ずべら》をメインボードに詰め込んで、3枚目の本殿をフル投入した。実際にその戦略は成功しているようだ。
ちなみに、ここまで5勝1敗というパフォーマンスの森は、実は先日のグランプリでは個人として全勝という大偉業を成し遂げたばかりである。つまり、今年の「モリカツ」は絶好調。すでに二日目進出を決めている彼の動向は今後も要注目かもしれない。
Friday, January 28: 7:31 pm - Super Drafter, Anton Jonsson
昨シーズンのリミテッドシーンにおける主役をあげるなら、間違いなくそれは次の三人だった。Nicolai Herzog、Mike Turian、そしてAnton Jonssonだ。Nicolaiはアムステルダムとサンディエゴという二つのリミテッド・プロツアーを連覇するという大偉業を成し遂げてしまった人物で、残る二人もこの二つのイベントで決勝ラウンドへ連続進出しているという化け物なのだ。

しかし、Herzogがこのプロツアーに欠場し、Turianがウィザーズ社で働くようになってしまったため、その「三強」のうちではAnton Jonssonだけしかプロツアー名古屋へと参戦していない。そんな中で、Anton Jonssonは順当に最初の関門を6連勝で突破し、堂々のトップグループとして第3ドラフトを迎えることになった。ちなみに、今回の第1ポッドには3人の日本人が勝ち進んでいる。はたして、塩津 龍馬(愛知)、小室 修(東京)、熱田 直央(東京)たちがJonsson相手にどのようなロチェスターを見せてくれるかも要注目と言えるだろう。