栄光の日曜日に向けての最終戦。泣いても笑っても、これが最後となる。
そんな状況でフィーチャーマッチの席についた猪野健太郎は、意外にもこの席が初めてだという。普段は地元・千葉の大会で腕を磨く彼だが、チャンスを見事に活かしこの席までたどり着いた。

立ちはばかるのは、この大会で日本勢の壁となった感のあるAnton Jonsson。8連勝からスタートした彼も、今日は不調でこの試合に勝ってオポーネント%勝負となってしまった。
果たして、猪野はこの大きな壁を乗り越えることができるか。
Game 1
ダイスロールでJonsson先攻。開始の合図が来るとすぐに、Jonssonはキープを宣言。
《狐の癒し手/Kitsune Healer》《亡霊の牢獄/Ghostly Prison》に土地が5枚というやや不安の残る手札に、猪野はしばし悩むが、そのままキープを宣言する。
さてゲームはゆっくりとした立ち上がり。静かに土地を並べあい、猪野の《亡霊の牢獄/Ghostly Prison》《狐の癒し手/Kitsune Healer》が場に置かれる。
ここにJonssonは《風見の本殿/Honden of Seeing Winds》。ドローを倍化し、長くなるであろう戦いの礎を用意した。
猪野は《虚飾の道の神/Kami of the Painted Road》をプレイするが、Jonssonは少考の後《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》で対抗する。装備品のサーチはなし。
これらが一度殴りあった後、Jonssonは増えたリソースを利して《かまどの神/Hearth Kami》《浮き夢のずべら/Floating-Dream Zubera》と追加。
猪野は《虚飾の道の神/Kami of the Painted Road》で攻撃してみるも、これは《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》と《かまどの神/Hearth Kami》の惜しげもないブロックにあってしまい退場。それきり、すっかり動きがなくなってしまった。
というのも、土地5枚を含めて土地を引きすぎてしまっていることが全て。…その後も土地を引き続け、一時は手札と場を合わせて土地12枚、それ以外の呪文は今までに出てきた3枚だけ…という状況となってしまった。
《浄火の本殿/Honden of Cleansing Fire》で生き長らえ、《空民の助言/Counsel of the Soratami》《洞察力の花弁/Petals of Insight》といったドローカードで追いすがろうとするも…そのときには既に、「あの」《山伏の長、熊野/Kumano, Master Yamabushi》+《伍堂の大槌、天鎖/Tenza, Godo's Maul》が君臨していたのだった。
猪野 –0 Jonsson –1
Game 2
気を取り直しての第2ゲーム。今回はバランスの良い初手を引くことができたようだ。《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》の姿も見える。
猪野の《献身的な家来/Devoted Retainer》が開幕を告げる。続いて第3ターンに《空民の雨刻み/Soratami Rainshaper》を追加するが、時間の稼ぎたいJonssonはこれを即座に《消耗の渦/Consuming Vortex》で戻す。
猪野が《空民の雨刻み》を再召喚すると、Jonssonは《川の水神/River Kaijin》《空民の学者/Soratami Savant》で場を構築にかかる。
そして第5ターン、またしても《山伏の長、熊野/Kumano, Master Yamabushi》が降臨してしまった。
猪野としてはこれを何とかしなければ勝ちはないわけだが、いかんせん白青という色の都合上、根本的な対処ができない。しばらく殴ってはみるものの、ひとつ、またひとつと希望の灯が落とされていく。
不敵に首を振ってみせるJonsson。慎重に、慎重に場を掌握していく。それはさながら、猪野ではなく最悪のケースを想定して戦っているようで。
場は《山伏の長、熊野/Kumano, Master Yamabushi》で、呪文は《空民の学者/Soratami Savant》で完全に支配され、あとは投了を待つだけとなってしまった。
猪野 –0 Jonsson –2

フィーチャーマッチ初挑戦が残念な結果に終わった猪野。第1ゲームのマリガンの選択やドラフト時点でのカード選択など、反省材料となる点は多いと思うが、見方を変えれば素晴らしい経験なのだから、今後のさらなる活躍を期待したい。
Anton Jonssonは最終的にオポーネント%勝負を制してTop8入り。明日も、同じくTop8に入った黒田・小室の前に立ちはだかるだろう。
プロツアーはひとまずの終わりを告げる。明日の戦いは、言うなれば別のものだからだ。
この大会に参加した日本勢は総勢57名。その全てに、等しくスポットライトのもとへたどり着く権利があった。
そしてそれは、全てのプレイヤーと言い換えても同じことだろう。
プロツアーは、あなたを待っている。
Anton Jonsson defeats Kentaro Ino.