
浅原のメガネが壊れたのは、4月1日の事だった。新しいメガネを買わないのか、という筆者の質問に、浅原はこう答えた。
浅原 「いや、このまま横浜いこうかと。なんかチャネル的なものが発生するかも知れませんし」
いくらなんでも、エイプリルフールだと思った。
二日目を今のところ全勝で折り返した浅原のRound 13の対戦相手は、04-05Rookie of the Yearにしてプロツアー・コロンバス王者のPierre Canali(ピエール・カナーリ/フランス)。彼もまた、この地で表彰されたプレイヤーのひとりだ。
使用しているデックは、赤単ビートダウン。緑マナの出る土地として、《菌類の到達地/Fungal Reaches》が入っているが、これは純粋にマナ加速と、巨大な《分解》のためだけに入っているということだ。
Game 1
先手は浅原。
1ターン目に《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》を待機するPierreに対して、浅原は2ターン目に「表向きで」《水深の予見者/Fathom Seer》をキャストする。当然、続くターンには変異が。
どうみても、《ヴェズーヴァの多相の戦士/Vesuvan Shapeshifter》なので、Pierreもすぐさま《分解》。2体目も、《分解》。すると、このドローエンジンを当てにしていた浅原の動きが一気に鈍くなる。
なんとか、《戦慄艦の浅瀬/Dreadship Reef》にカウンターを載せて、《永劫の年代史家/Aeon Chronicler》を待機する浅原だが、このタップアウトの隙に、Pierreが勝負をかけてくる。
《特務魔道士ヤヤ・バラード/Jaya Ballard, Task Mage》をキャストすると、土地のほとんどをサクリファイスして、無理やり《大いなるガルガドン》の待機を終わらせ、2体の《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》とフルアタックしてきたのだ。

《取り消し/Cancel》をリムーブしながらの《応じ返し/Snapback》でなんとかこの難を逃れる浅原だが、しかし、青メインの浅原のデックにとって、《特務魔道士ヤヤ・バラード》はあまりにも脅威である。浅原は、《永劫の年代史家》をブロッカーとして残しつつ、《虹色のレンズ/Prismatic Lens》をキャスト。次のターンには《滅び/Damnation》でリセットする構えを作る。
リセット後に再び登場する《特務魔道士ヤヤ・バラード》。しかし、すでに先ほどの《大いなるガルガドン》降臨でマナソースのほとんどを失っていたPierre。この《特務魔道士ヤヤ・バラード》は虎の子である《菌類の到達地/Fungal Reaches》のカウンターを消費してのキャストであった。いつも色気のある微笑を浮かべているPierreだが、これが、《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/Riftwing Cloudskate》でバウンスされると、さすがに苦い顔となる。
《モグの戦争司令官/Mogg War Marshal》で《大いなるガルガドン》が再び場に登場する布石は打ったものの、浅原は、守護神とも言える《影魔道士の浸透者/Shadowmage Infiltrator》を次々と場に送り込み、徐々に場を有利にしていく。
1体は《裂け目の稲妻/Rift Bolt》で除去したものの、《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》をコピーした《ヴェズーヴァの多相の戦士》が《菌類の到達地》をバウンスし、浅原の体制が整う前に《特務魔道士ヤヤ・バラード》をキャストするプランが封じられてしまう。
《大いなるガルガドン》が場に登場し、《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》がチャンプブロック。《死亡/Dead》で《ヴェズーヴァの多相の戦士》を除去して、一応は優位を築くPierreだったが、この優位は再びの《滅び》でリセットされてしまう。そして、《影魔道士の浸透者》。続いて、《永劫の年代史家》。
なんとか、浅原のライフを削りきるプランを模索するPierreだが、《水深の予見者》によって急速に膨れ上がった《永劫の年代史家》が、《応じ返し》の助けで一気にPierreのライフを削りきったのだった。
浅原 -1 Pierre -0
Game 2
2ターン目にPierreが《大いなるガルガドン》を待機する以外は、しばらくドロー後が続く静かな立ち上がり。
だが、またも2ターン続けてキャストされる《硫黄の精霊》が静寂を破る。手札に《堕落の触手/Tendrils of Corruption》を抱える浅原ではあったが、《大いなるガルガドン》の前ではその効果も半減、いや、それ以下である。
浅原は2体の変異(両方とも《水深の予見者》)を場に送り出すが、《裂け目の稲妻/Rift Bolt》と《捕縛の言葉/Word of Seizing》がこれを除去する。Pierreの場に追加される《特務魔道士ヤヤ・バラード》。

詰め将棋のように、Pierreは浅原のライフを削っていった。
浅原 -1 Pierre -1
Game 3
《ケルドの匪賊/Keldon Marauders》が、《硫黄の精霊》が浅原のライフを削っていく中、《影魔道士の浸透者》が浅原にカードを与えるべく黙々とアタックを繰り替えす。もたらされたカードが浅原の力となる。2枚の《突然の死/Sudden Death》が《硫黄の精霊》《特務魔道士ヤヤ・バラード》を退け、《大いなるガルガドン》の奇襲を《応じ返し》が防ぐ。
徐々に、だが確実に増えていく浅原の軍勢の前に、いつの間にかライフレースは逆転していたのだった。
浅原 -2 Pierre -1
浅原は、冗談のように本気のことを言う。