Round 14: 平山 大輔(千葉) vs. 石丸 健(熊本)

更新日 Event Coverage on 2006年 8月 26日

By Yukio Kozakai

平山 大輔

初日全勝を飾り、2日目は3勝3敗1分けでほぼ日曜日が約束されていた平山 大輔だったが、Round11が終わった時点で今日1勝3敗。何と、この2ラウンドは「絶対に負けられない戦い」という、どこかで聞いたことのあるフレーズを背中で感じながら綱渡りを続けていたのだ。

The Finalsベスト8など、主に構築戦で結果を残してきた平山にとって、やっと戻ってこられた自分のフィールド。オープン予選から日曜日に進んだプレイヤーの筆頭として掲げられる津村 健志(広島)の再来を期待するプレイヤーは少なくない。初日の勢いを取り戻せるかが鍵だ。

そして、石丸 健と平山が戦うのには理由がある。

平山がここまでで30点。31点あれば日曜日に進めるのに、ID出来ないでいるのは石丸が9勝3敗1分けの28点だからだ。確定条件は、平山は引き分け以上、石丸は勝利。これを満たした上で、他の結果待ちという状態だ。

毎年の事だが本当に最後までわからない。だからこそ面白いのが、長丁場の日本選手権なのだ。その行方を、とくとご覧あれ。

石丸が黒緑+赤のクリーチャーコントロール。平山が《制圧の輝き/Glare of Subdual》入りの"蛇デッキ"だ。

Game 1

開いた手札には、土地5枚、《呪文嵌め/Spell Snare》、《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》。熟考の末、平山はマリガンを宣言。巡ってきた6枚も芳しくは無いが、最初のハンドよりはマシと、キープする。

ゲームは、後手の石丸が序盤を支配する。

《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》から《オーランのバイパー/Ohran Viper》と最高の展開を見せ、平山は《桜族の斥候/Sakura-Tribe Scout》の後に石丸の《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を《差し戻し/Remand》してドローを進め、再び出てきた《梅澤の十手》は対消滅で対処し、《とぐろ巻きの巫女/Coiling Oracle》《桜族の長老》と展開して、何とか盛り返す。

石丸は、《巨大ヒヨケムシ/Giant Solifuge》と共に攻撃を宣言し、平山は《桜族の長老》で《オーランのバイパー》を止める事を選択。ダメージよりもカードを引かせない事に重きを置き、返しに《清められし者、せし郎/Seshiro the Anointed》を召喚。パワーアップとドローを兼ね備えた平山の蛇たちが反撃を開始する。

しかし、ここまでカードを引いていて除去が無いはずもない。《悪魔火/Demonfire》で《清められし者、せし郎》を焼き払うと、《とぐろ巻きの巫女》が《巨大ヒヨケムシ》のブロックに回らざるを得なかった平山の場には、《桜族の斥候》だけが残された。石丸は《闇の腹心/Dark Confidant》をプレイしてターンを返す。

その後に置かれた《制圧の輝き/Glare of Subdual》も心なしか寂しく映るが、その後の平山のドローと展開が物凄い。

《そう介の召喚術/Sosuke's Summons》《翼膜のバイパー/Patagia Viper》と連打し、手札には帰ってきた《そう介の召喚術》と《オーランのバイパー》。一気に盛り返し、逆に石丸の攻撃陣を完封して見せたが、石丸も黙ってはいない。《迫害/Persecute》を突き刺して平山のハンドを空にし、《翼膜のバイパー》を《化膿/Putrefy》。均衡を作り出す。

しかし、その間。もりもり石丸のライフを削っているボブが1人。

13……8……4……どんどん削れていき、平山の最終突撃フルアタックを何とか《化膿》でしのいで残ライフ1。押し留めたが、返しのアップキープにめくれたカードは《惑乱の死霊/Hypnotic Specter》。もしも、そこでめくれたのが土地だったら勝っていたのは石丸だったが、勝負事に「もしも」はないのだ。

ただ、ほんのちょっとだけ。平山に運が向いていた。

平山 1-0 石丸

Game 2

石丸 健

今度も《ラノワールのエルフ》からの《オーランのバイパー》で立ち上がり、《桜族の長老》で守る平山に《梅澤の十手》《闇の腹心》と、第1ゲームに続いて完璧な回りを見せる石丸。

さらに、《シミックの成長室/Simic Growth Chamber》プレイで遅れる平山を完全に置いていく《惑乱の死霊》召喚で、スタートの4ターンで完全に差がついてしまった。

遅れながらも《踏み吠えインドリク/Indrik Stomphowler》で《梅澤の十手》を割る平山だったが、続く石丸の《闇の腹心》が見せた《死の印/Deathmark》であっという間に墓地送りになり、《惑乱の死霊》を止めるべく呼び出した《翼膜のバイパー》は即座に《化膿》。

平山にとっては絶望的な場だが、《桜族の長老》と《制圧の輝き》をプレイして《惑乱の死霊》を押さえ込み、手札の《清められし者、せし郎》で一発逆転の可能性に賭けたが、石丸の《悪魔火》がそれを許しはしなかった。

平山 1-1 石丸

Game 3

平山は、やっと十分な初手を手に入れる。

1ターン目に《桜族の斥候》で立ち上がると、これを《死の印》で早速失うものの、《シミックの成長室》《翼膜のバイパー》と動き続ける。石丸も、《闇の腹心》《化膿》で対応し、平山は《そう介の召喚術》でトークンを生み出しながら《呪文嵌め》を構える。

《闇の腹心》で引き込んだ《惑乱の死霊》をプレイし、平山は《桜族の長老》召喚で応える。

第1ゲームの事が頭にある両者。そろそろライフの厳しい石丸は《闇の腹心》を殺したい。だからこそ平山も除去はしない。《そう介の召喚術》を循環させて、手札と攻撃力を維持する。

いよいよ、戦闘によるライフ損失と石丸の自滅。どちらが早いかのチキンレースに持ち込まれるかと思いきや、これが直接火力の偉大さか。再び《悪魔火》が平山に引導を渡し、同時に石丸に決勝進出の最終切符をもたらした。

平山 1-2 石丸

ゲームが終わると、同じ九州勢の三原 槙仁(大分)らが石丸の元に集まった。いくつかのプレイミスを指摘しつつ、デッキのテクニカルさを解説してくれた。

石丸 「かみ合ったら本当に強いデッキなんですけど、かみ合わないと物凄く厳しいんですよ。地元のアリーナリーグでボコボコにされてますからね」

三原 「何も出来ないまま負けるとか、普通にあり得ますよ」

と話すものの、回れば今のラウンドのようなパフォーマンスを発揮出来るという事だ。しかも、九州勢のデッキという事で「三原ブランド」と考えてしまいがちだが、このデッキは石丸のオリジナルだそうだ。

三原 「大分と熊本って、遠いとですよ」

それでもコミュニティは成立しているのだから、素晴らしい話である。関東のコミュニティにばかり注目が集まっていたが、昨年の諸藤 拓馬(福岡)に続いて、日本王者という名誉が再び九州へ帰るという可能性が示されているのだ。

同じく、平山の元にも仲間達が大挙して押し寄せる。共にTop8をかけて最後まで戦った三田村 和弥(千葉)や、同じく本戦に出場していた有田 隆一(千葉)が開口一番、平山のプレイミスを指摘し、それに呼応して、応援に駆けつけた千葉勢のプレイヤーが一斉に平山へ罵声を浴びせる。それも全員が笑顔で。もちろん、平山も満面の笑顔だ。

見ていて思った。これが、彼ら流の平山に対しての労いと、そして仲間としての愛情表現なのだと。結局、平山はOpp%でわずかに及ばず、決勝進出は叶わなかった。しかし、平山を支えた彼らの結束と練習の成果は決して裏切らなかった。

忘れないでほしい。一人では、「コミュニティ」という言葉は成立しない。勝ち負けはもちろん大事だが、それ以上に、一緒にマジック:ザ・ギャザリングを遊ぶ仲間達が最も大切だということを。

一人では、彼らはこのテーブルにすらたどり着いていなかっただろう。彼らを取り囲むプレイヤー達のように、上を目指して練習を積み、何でも言い合えて、共に高めていける仲間達こそが、一番の宝なのだから。

Final Result:石丸 Wins!

Hirayama Daisuke

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Ishimaru Ken

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ソーサリー (6)
4 Demonfire 2 Persecute
インスタント (2)
2 Putrefy
アーティファクト (4)
4 Umezawa's Jitte
エンチャント (2)
2 Genju of the Cedars
60 カード
サイドボード (15)
1 Giant Solifuge 4 Carven Caryatid 3 Deathmark 3 Distress 2 Crime/Punishment 2 Indrik Stomphowler

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