Round 15: 齋藤 友晴(東京) vs. Andre Coimbra(ポルトガル)

更新日 Event Coverage on 2006年 10月 21日

By Yukio Kozakai

齋藤とCoimbraによる最終決戦

齋藤 「My Deck, OK!?」

デッキチェックが終わり、ジャッジに元気に尋ねる。目を瞑って、入念かつ迅速にシャッフルする姿もいつも通り。先程のラウンドまで、どこか薄く漂っていた弱気な表情は微塵も無い。Coimbraと冗談交じりにコミュニケーションを取りつつ、ゲームの開始を待つ。余計な力が抜けて、気合に満ちている。

Coimbraも、毎度のごとく淡々とシャッフル。もうケーキは平らげたようだ。

どちらも、勝利が日曜日への必須条件。彼らのデッキについては、ラウンド13とラウンド14でフィーチャーされている。それらを確認した上で、このラウンドでは純粋に「スイスラウンド最終戦」「勝ったら天国負ければ地獄」のマッチを楽しもうではないか。

もちろん、筆者自身もワクワクしつつ、手に汗握りながらお伝えする気マンマンだ。

Game 1

《ヴェク追われの盲信者/Zealot il-Vec》の鏡打ちからゲームスタート。これが相打ちになると、Coimbraが《マナを間引くもの/Mana Skimmer》、齋藤が《騎兵戦の達人/Cavalry Master》と互いにプレイする。

攻撃の後、悩んだ末にCoimbraが《山/Mountain》を縛りつけ、《城の猛禽/Castle Raptors》を追加。齋藤は《アイケイシアの触れ役/Icatian Crier》を2体呼び出し、トークンの量産に入る。狙いは一つ、《補強/Fortify》による一発逆転だ。

しかし、Coimbraが呼び出した変異が大問題だった。表返ったその姿は《雨ざらしのボディガード/Weathered Bodyguards》。齋藤の手札は、その全てが土地。トップデッキを期待してトークンを生み出し続けたが、Coimbraを止める手立ては引き込めず―――――

齋藤 0-1 Coimbra

齋藤 友晴

Game 2

もう後の無い齋藤。力強く「I go first!」と宣言すると、《遍歴の宿命語り/Errant Doomsayers》《ヴェク追われの盲信者》とつなげる。このままテンポを維持したかったが、Coimbraのレスポンスは《病的な出来事/Psychotic Episode》。

これによって手札にあった2枚の《騎兵戦の達人》のうち1体を失い、残りのハンドは全て土地である事が露見してしまった。しかも、《時間の孤立/Temporal Isolation》で《ヴェク追われの盲信者》が立ち往生している間に、Coimbraのハンドから《魔女狩り師/Witch Hunter》が登場。

ならば、稼げるうちにダメージを稼ごうと、《遍歴の宿命語り》に《死せざる怒り/Undying Rage》をエンチャントして攻撃する。

《騎兵戦の達人》を戻し続けられ、Coimbraは《茨の騎士ティヴァダール/Tivadar of Thorn》《城の猛禽》と、堅く強いクリーチャーを次々に調達。齋藤も、Coimbraのライフを7まで落とし込み、2枚目の《ヴェク追われの盲信者》を送り込むが、《魔女狩り師》の能力が邪魔で全く身動きが取れない。

2枚目の《城の猛禽》を召喚出来たCoimbraは、ついに攻撃に転じる。齋藤は、ただただ地上クリーチャーを立たせておく事と、戻される《ヴェク追われの盲信者》を再召喚するのみ。齋藤の踏ん張りもここまでか……。誰もがそう思った。

その刹那、齋藤は攻撃可能な全てのクリーチャーを横向きにし、レッドゾーンへと押しやった。この行動の後ろ盾は、Coimbraも、ギャラリーも、齋藤自身も、誰もが承知している1枚のカードに他ならない。

Fortify

「《補強/Fortify》がある!」

その影が及ぼす破壊力は尋常ではない。《魔女狩り師/Witch Hunter》をも全力でブロックに回さざるを得ず、墓地送りになって回収した《死せざる怒り》は生き残った《ヴェク追われの盲信者》へと再びエンチャントされ、自陣をズタズタにされたCoimbraは、ドローしたカードを困惑の表情でライブラリーへと差し戻すのみ。

齋藤が、第3ゲームへ進む権利を掴み取った瞬間だった。

齋藤 1-1 Coimbra

Game 3

齋藤がマリガンから《象牙の巨人》(待機)、Coimbraが《ヴェク追われの盲信者》でスタート。その後、齋藤は《断骨スリヴァー/Bonesplitter Sliver》まで何も展開出来ずにいたが、Coimbraは《アーボーグの吸魂魔道士/Urborg Syphon-Mage》《城の猛禽》と淡々と並べ、ゆっくりと構える。

激しいアクションで自らを鼓舞しながらゲームを進める齋藤とは対照的だ。

展開が変わったのは、《断骨スリヴァー》に《グリフィンの導き/Griffin Guide》がエンチャントされてからだ。《象牙の巨人》の待機が解けた事で、《断骨スリヴァー》が一旦お休みとなり、単体で攻撃。《城の猛禽》でブロックが成立するのを見るや、先程ゲームを決めた《補強》を即座に打ち込み、ゲームの天秤をさらに自分へ傾けようと動く。

《アーボーグの吸魂魔道士》のマッドネスで《病的な出来事/Psychotic Episode》をプレイし、齋藤の手札を見た上でトップにあった《死せざる怒り》をライブラリーの底へ。

序盤からのテンポは良好だったCoimbraだが、以降、展開出来るクリーチャーを引き当てられない。なにより、《グリフィンの導き》がエンチャントされた《断骨スリヴァー》を止める手段が見つからないのだ。

それでも、《アーボーグの吸魂魔道士》で粘り続けるCoimbra。齋藤は《ヴェク追われの盲信者》をプレイしてCoimbraのそれと相打ちし、返しに全軍攻撃。《玄武岩のガーゴイル/Basalt Gargoyle》が《城の猛禽》に打ち落とされるも、《ゴブリンの空切り/Goblin Skycutter》がその身を呈して打ち取り、障害は全く無くなった。さらに、とどめとばかりに《聖なる後光の騎士/Knight of the Holy Nimbus》を送り込んだ齋藤は、勝利を確信してターンを返す!

Andre Coimbra

もう、再逆転のドラマは要らない。

最後のドローを確認したCoimbraが、諦めと共に右手を差し出し、その手がガッチリと握られた時、齋藤の「プロツアー連覇」という夢がしっかりとつながったのだ!

天国と地獄、そしてまた天国と、激動の1日を送った齋藤に最後の最後に用意されていた確かな標。それは、いまだ「無冠」である「齋藤自身」が、手に入れるべき「個人戦タイトル」が残されているという事だ。

そう、PTチャールストンは団体戦だった。勝ち切ったのは1999年の「The Finals」のみと、グランプリやプロツアーといったプロポイントの発生するプレミアイベントでは無かった。世界選手権に直結する日本選手権でも、今年はTop8で世界王者・森 勝洋(東京)の前に玉砕した。

個人戦のタイトルホルダーであるチームメイト達と肩を並べるには、齋藤がどうしても手に入れなければならない物。それを掴む為の道のりがどんなものなのか、もちろん齋藤自身が一番熟知している。もはや、「Top 8に残った」だけで満足出来るレベルのプレイヤーではないのだから。

では、今日はここまで。明日の決勝ラウンド開始まで、「待機」せよ!

齋藤 2-1 Coimbra

齋藤 友晴、決勝ラウンド進出!

Andre Coimbra

Download Arena Decklist
ソーサリー (2)
2 Psychotic Episode
アーティファクト (1)
1 Sarpadian Empires, Vol. VII
エンチャント (1)
1 Temporal Isolation
土地 (18)
10 Swamp 8 Plains
40 カード

Tomoharu Saito

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