Round 3: 逢坂 有祐(東京) vs. 岡本 尋(愛知)

更新日 Event Coverage on 2006年 10月 20日

By Daisuke Kawasaki

ラストエンペラー

ファーストドラフト最終戦、ここで2-0同士のマッチとして呼び出されたのは、「タイムシフトプレイヤー」のひとり、ご存知「ラストエンペラー」岡本 尋。

岡本 「やっぱ、時のらせん面白いよね。確かにキーワードが増えすぎて、初心者には少し入りにくいセットになっちゃったかも知れないけれど、古い人にはたまらないよね。昔のカードが昔のままで出てくるのがすごいいい」

と、やはり時のらせんの魅力に惹かれて、今回のプロツアー参戦を考えたとの事。

最近はプレイしているのか、という質問に対しては「ぼちぼち」と、非常に自信なさげの返答であった岡本だが、それでも、2連勝は素晴らしい成績である。

岡本ほどのネームバリューのあるプレイヤーが復帰し、そして序盤快調であるとすれば、フィーチャリングテーブルに呼ばれるのも当然と言えるだろう。

逢坂 「僕、おまけですよね」

逢坂 有祐は、いつも、よくわかってる。

Game 1

岡本のデックは、白のクリーチャーに赤の火力を足したオーソドックスなアーキタイプ。

岡本 「いや、このデッキはすごいし、面白い」

今回、自分のデックがプレイしていて楽しい事を盛んに強調する岡本。白が不人気色であるが故か、パワーカードを大量に手に入れたパワーデックに仕上がったとの事である。そんな岡本のパワーカードにも注目して試合を見ていこう。

ダイスロールで先手は逢坂。

ファーストアクションは2ターン目の《コー追われの物あさり/Looter il-Kor》となかなかに順当な立ち上がり。一方の岡本は《平地/Plains》を2枚置くだけに留まる。

そんな岡本に、逢坂はデックの軸である《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron》を待機させ、プレッシャーを与える。

手札が、3マナ、且つ、赤中心の岡本は、ここで《山/Mountain》をキャスト。手札にいる3マナクリーチャー、《アヴナントの癒し手/D'Avenant Healer》《ヴェク追われの盲信者/Zealot il-Vec》を後回しに、まずは、X火力で《コー追われの物あさり/Looter il-Kor》を除去。

これが、順当に見えていた逢坂に突き刺さる。土地が、3枚でストップする。しかし、かなり強力に構築されている逢坂のデック、この程度では止まらない。変異をキャストし、続いて《島/Island》を引き込んでの《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/Riftwing Cloudskate》待機。

岡本も、《ちらつくスピリット/Flickering Spirit》を場に追加た上で、《魔力の篭手/Gauntlet of Power》を宣言白で場にだし、優位を譲らない姿勢を見せるが、この《ちらつくスピリット/Flickering Spirit》は《心霊破/Psionic Blast》で除去される。

場の、クロックは逢坂の変異だけとなり、さらに逢坂には出番を今か今かと待ち構える待機中のクリーチャーが2体いる。

岡本は、《魔力の篭手/Gauntlet of Power》の魔力で、先ほど後回しにした《アヴナントの癒し手/D'Avenant Healer》《ヴェク追われの盲信者/Zealot il-Vec》を場にだし、《裂け目の稲妻/Rift Bolt》を待機。

逢坂の待機選手一号である《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron》が場に出て岡本にアタック。ここでライフは岡本11の逢坂15。逢坂は更に《アーボーグの吸魂魔道士/Urborg Syphon-Mage》を場に追加する。

ここで、《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron》は待機を抜けた《裂け目の稲妻/Rift Bolt》と《ヴェク追われの盲信者/Zealot il-Vec》の能力のあわせ技で除去するものの、《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/Riftwing Cloudskate》によって《アヴナントの癒し手/D'Avenant Healer》をバウンスされる。

《ヴェク追われの盲信者/Zealot il-Vec》の能力と《燃焼/Conflagrate》のフラッシュバック(Xは3)で《アーボーグの吸魂魔道士/Urborg Syphon-Mage》と《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/Riftwing Cloudskate》を除去し、《アヴナントの癒し手/D'Avenant Healer》をキャストし、なんとか場の均衡を取り戻す岡本だったが、ここで、自身の《魔力の篭手/Gauntlet of Power》の存在を忘れ、《平地/Plains》を3枚タップしてキャストしてしまうというミスをおかしてしまう。

アピールによって、ジャッジが呼ばれ、状況の説明が始まる。ここで、逢坂が一言。

逢坂 「ジャパニーズジャッジプリー」

そして、更に一言。

逢坂 「今日一番しゃべった英語、ジャパニーズジャッジプリーズですよ」

国内で行なわれているとはいえ、ここはプロツアー会場。

会場での公用語は英語であり、日本人のジャッジの人数も限られている。そして、複雑な状況説明も、英語で行なわなければならない場面も少なくないのだ。

自身の英語力に自信がなければ、逢坂のように積極的に日本人ジャッジを呼ぶのも手だろう。

閑話休題

件のジャッジングは、すでに、逢坂のターンになってしまっていたので、岡本は、3点のマナバーンという裁定になり、ライフが2になってしまう。そして、逢坂の場には追加のクロックとして、飛行を持つ《トレイリアの歩哨/Tolarian Sentinel》が登場する。

だが、岡本は「ラストエンペラー」とまで呼ばれた男である。

今度は慎重に土地を確認し、キャストされたカードは《聖なるメサ/Sacred Mesa》。《魔力の篭手/Gauntlet of Power》でマナとトークンが強化されるこのカードは盤面を圧倒的に支配するに十分すぎる。

3体、そして4体と生み出されていくトークンたち。

最後まで土地の伸びなかった逢坂、手札に《結核/Phthisis》を握ったまま、その少ない土地を片付けた。

岡本 1-0 逢坂

逢坂 「《結核/Phthisis》待機する手もありましたね…マナバーンと、《聖なるメサ/Sacred Mesa》でた後に待機する暇ないのが計算外でした。完全に自分のミスですね」

と、デュエルを振り返る逢坂。非常に自己分析に長けたプレイヤーである。

さて、序章ではおまけ扱いをしてしまった逢坂ではあるが、実際、国内での、特にネットコミュニティでの知名度は非常に高いプレイヤーである。たしかに、プロツアーであれば国際的な知名度の低さからおまけとしかいえないが、国内の大会であれば十分に主役をはれる「個性的な」プレイヤーのひとりである。

北海道で、マジックでもそれ以外でも「ブイブイ」言わせていた逢坂ではあったが、就職によって上京し、少なくともマジックはおとなしくなったという。

しかし、ぽっと参加したPTQで権利を得て今回の神戸参戦となったわけだ。逢坂もまた「タイムシフト」プレイヤーのひとりである。

本人も、昨日から会場入りし、積極的に練習に参加するというモチベーションの高さを発揮している。しかし、いまや社会人の逢坂、いわゆるRound 0、会社の休みはとれたのか?

逢坂 「会社なんかやめる覚悟ですよ!」

願わくば会社からも「タイムシフト」をしてしまわん事を。

そんな逢坂のデックは、待機を中心にピックし、《ジョイラの時虫/Jhoira's Timebug》で「ブイブイ」いわせる、人気のアーキタイプである。

逢坂 有祐

Game 2

先手の逢坂は、またも2ターン目に《コー追われの物あさり/Looter il-Kor》。そして、今度は変異ではなく、《アーボーグの吸魂魔道士/Urborg Syphon-Mage》をキャストという、またも順当な立ち上がり。今回は、《コー追われの物あさり/Looter il-Kor》も除去されない。

一方の岡本も、1回のマリガンを挟んだものの、2ターン目の《虹色のレンズ/Prismatic Lens》によるマナ加速から、《アヴナントの癒し手/D'Avenant Healer》、そして《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》待機と一気に動き、逢坂の動きを牽制する。これによって、実質的に《コー追われの物あさり/Looter il-Kor》は動きを封じられた事になる。

それでも、《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron》の待機、そして逢坂のデックのキーカードである《ジョイラの時虫/Jhoira's Timebug》と主導権を強引に奪おうと動く逢坂。そんな逢坂を更に押さえ込むために岡本がキャストした《円盤の大魔術師/Magus of the Disk》も、《アーボーグの吸魂魔道士/Urborg Syphon-Mage》の能力からのマッドネスで《闇の萎縮/Dark Withering》で処理する。

そして、逢坂は《ジョイラの時虫/Jhoira's Timebug》で2ターン早く《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron》を場に登場させる。

だが、この逢坂の攻めも、岡本の《聖なるメサ/Sacred Mesa》キャストによって、一気に鈍る。岡本は、地上は《アヴナントの癒し手/D'Avenant Healer》で牽制し、《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron》は、《聖なるメサ/Sacred Mesa》のトークンでチャンプ、《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》の餌にするという動きで処理する。

一見、磐石に見える岡本の守りではあるが、《聖なるメサ/Sacred Mesa》によるマナ拘束が実に厳しい。今回は、Game1と違い、《魔力の篭手/Gauntlet of Power》の加護もない為、ペガサストークンを場に出すだけで、マナが一杯である。

一方の逢坂も、土地が4枚でストップしてはいるのだが、3マナで変異を出しつつ《ヴィセリッドの深み歩き/Viscerid Deepwalker》を待機などのように、マナを有効に活用して、続々と脅威を用意していく。さらに《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/Riftwing Cloudskate》も待機。
こうなってくると、逢坂の場の《ジョイラの時虫/Jhoira's Timebug》が非常に強いクリーチャーに見えてくる。

だが、岡本。長かった《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》の待機が終わると同時に、《魔力の篭手/Gauntlet of Power》をドロー。

《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》を《応じ返し/Snapback》し、《魔力の篭手/Gauntlet of Power》は《ジョイラの時虫/Jhoira's Timebug》で強制的に登場させた《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/Riftwing Cloudskate》で手札に戻させる。

そのまま、ターンエンドに《珊瑚のペテン師/Coral Trickster》で、《コー追われの物あさり/Looter il-Kor》を牽制していた《アヴナントの癒し手/D'Avenant Healer》をタップし、ほぼ全軍でアタックする逢坂だが、まだ12点ある岡本のライフは削りきれない。岡本のライフは9に。

そして、再度キャストされる《魔力の篭手/Gauntlet of Power》。

《トレイリアの歩哨/Tolarian Sentinel》を引いて、プレイした逢坂は、《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/Riftwing Cloudskate》を使いまわし、岡本をジリ貧に追い込んで場を圧倒するプランを選択。

しかし、ピンポイントで土地を引き、逢坂の予定を上回るトークンを生み出し続ける岡本。

Psionic Blast

その猛攻の前に、逢坂は《トレイリアの歩哨/Tolarian Sentinel》も《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/Riftwing Cloudskate》もブロッカーに回さざるを得なくなってしまった。

岡本 「このデッキ楽しすぎる。《ミラーリの目覚め/Mirari's Wake》デッキみたいだよ!」

久しぶりのマジックを満喫する、岡本の笑顔。

岡本 2-0 逢坂

逢坂 「本当は、《アーボーグの吸魂魔道士/Urborg Syphon-Mage》でライフを削っていくプランもあったんですよね…間に合わないかなって思ってたら、最後に引いたカードが…」

と、逢坂が筆者に見せてきたカードは《心霊破/Psionic Blast》。

逢坂 「完全にミスでしたね。ミスだったって書いてください。その方がおいしいので。でも、尋さん相手に場でおして勝とうなんて、ちょっと夢を見すぎちゃいましたね」

しかし、誰にだって夢を見る資格はある。
そして、ここは、夢のかなう街、神戸。
逢坂の今後の活躍に期待したい。

Yusuke Osaka

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Jin Okamoto

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