Round 5: 小室 修(東京) vs. 大澤 拓也(神奈川)

更新日 Event Coverage on 2006年 8月 25日

By Daisuke Kawasaki

小室 修

「華麗なる天才」小室 修
「不遇の王者」大澤 拓也

GP広島では、いま一つお互いの本領を発揮しきれないようなところのあった、2人のリミテッドプロツアーチャンピオンだが、今大会では共に1敗ラインで初日の中盤戦を折り返すと言う、好調、いや実力どおりのパフォーマンスを発揮している。

小室のデックは自称「上中下の下」他称「卓内トップ1・2」と、いつもどおりの本人と周りの評価に激しく差のある黒白青デック。

一方、ラブニカブロックドラフトならまかせとけの「不遇の王者」大澤のデック。詳しくは彼のピックを追った吉川の記事を後々参照してもらうとして、彼らしい「王者のバランス感覚」が発揮された良くまとまった赤緑青の+1/+1カウンターによるギミックを多用「したかった」デック。このへんがまた大澤の不遇な部分。しかし、それでも、常に一定以上のデックを作り上げるピックテックはさすがの一言に尽きる。

天才と努力、華麗と不遇。常に対照的であり、常に敵対し続ける2人によるドリームマッチ。日本マジック界を代表する因縁の対決が、ここに実現した。

Game 1

ダイスロールで大澤が不遇に1をだし、先攻は小室。

ちょっとしたデジャヴ。

大澤は、《森/Forest》から《極楽鳥/Birds of Paradise》、そして《ヴィグの水植物/Vigean Hydropon》キャスト。《粘体投げの小蛙/Plaxcaster Frogling》キャストでマナを使いきった状態で《グルールの芝地/Gruul Turf》セットという小室からも「うぇ」とため息の漏れる理想的な展開。

一方の小室は2ターン目に《オルゾフの聖堂/Orzhov Basilica》をセットしながら《妨害の公使/Minister of Impediments》《ギルドパクトの守護者/Guardian of the Guildpact》を展開して、なんとか守りを固めようと言う、大澤に比べると少し悠長な立ち上がり。華麗から優雅へとキャラクターチェンジか。

しかし、この圧倒的な状態で、舞い上がらずに、着実なプレイングを重ねるのが、大澤が王者である所以。「安い(遅い順目でもピックできる)し、このアーキタイプなら着実な活躍を期待できる」と、まるで自分自身のように評価する《血鱗のうろつく者/Bloodscale Prowler》を狂喜+《ヴィグの水植物》によって5/3の脅威として場に送り込み、4/4の《粘体投げの小蛙/Plaxcaster Frogling》を《ギルドパクトの守護者》《ゴルガリのギルド魔道士/Golgari Guildmage》の2体ブロックで処理されそうな時も、インスタントタイミングで《粘体マンタ/Plaxmanta》をだし、そこに《粘体投げの小蛙》《ヴィグの水植物》のカウンターを移し変え、4/4の脅威を場に維持し続ける。

《鉄の樹の拳/Fists of Ironwood》によるトークンを2/2にする事で、大澤の《ヴィグの水植物》は役目を終えるが、しかし、それが場に残した脅威は、一般的な《ヴィグの水植物》の評価以上のものであるといっても過言ではないだろう。事実、大澤の場には、5/3の《血鱗のうろつく者》、2体の2/2苗木トークン、4/4の《粘体マンタ》と、その恩得を十分に受けた脅威たちが天才を打ち倒さんと立ち並んでいる。それぞれのカードの価値や強さはそこまでではないが、まるで大澤のプレイによって力を与えられたかのようだ。

そして、《粘体投げの小蛙》がいなくなった事によって、その本領を華麗に発揮するかと思われた小室の《妨害の公使》は、大澤の2回複製された《連弾炎/Pyromatics》によって、一度もその能力を発揮しないまま不遇に墓地に置かれていく。

しかし、小室も、大澤が驚異的な展開をしたからといって、みすみすサンドバックとなるようなプレイヤーではない。ここから、天才による華麗な延命劇がスタートする。

まず、最も大きなダメージ源である《血鱗のうろつく者》に《平和の羽毛/Plumes of Peace》をエンチャントし、大澤のクロックを縮小しつつ《絹羽の斥候/Silkwing Scout》を5点の《棄却/Overrule》することで、後続を断ちながら、ライフを回復する。そして《盲目の狩人/Blind Hunter》をキャストしブロッカーを確保しつつ、大澤からライフをドレインする。一時は、4まで減った小室のライフだったが、ダメージをくらいながらも、8まで回復する。

だが、延命はやはり延命でしかない。大澤が《ストラトゼッペリド/Stratozeppelid》を場に追加し《肥沃な想像力/Fertile Imagination》で小室の1枚の手札が土地であることを読みきって、トークンを2体場にだすと、逆転に繋がるようなパワーカードを持たない小室にはどうしようもない場となってしまう。そう、小室自身も認めていたではないか。

小室「なんとかまとまったデッキの形にはなったんですけど、状況をひっくり返すようなパワーカードに恵まれなかったのが不安要素ですね」

小室は華麗に投了を。

大澤 1-0 小室

Game 2

大澤 拓也

先手は小室。

2ターン目の《印鑑/Signet》キャストによるマナのジャンプアップからの3ターン目《盲目の狩人》と一見理想的な展開だが、しかし、続くターンに土地が止まってしまう。なんとか《ギルドパクトの守護者》のキャストとマナを無駄にしない行動は出来たのだが、手札を見ると、2マナ3マナ域のカードが中心であり、土地さえ引けていれば、2枚のカードを展開できていたことを考えると、理想的な展開とはいい難い。

一方の大澤は、序盤こそ、2ターン目に《森》から《極楽鳥》、いわゆる《鳥》と、韻は踏んでいるものの少々かみ合わない展開だったが、続くターンには《粘体投げの小蛙》《炎の印章/Seal of Fire》と攻守バランス取れた展開へと切り替え、後続として《ストラトゼッペリド》を場に送り出す。一方の小室が結局マナを揃えられず、3マナの《サディストの穴開け魔道士》《金切り声の混種/Shrieking Grotesque》と展開したり、やっと引いた4枚目の土地も《オルゾフの聖堂》というタップインする土地であったりとやはりちぐはぐな動きを続けているのと好対称だ。

しかし、ここで、場の優位に甘んじて、適当なプレイになったり、舞い上がったりしないのが、大澤である。何度も繰り返すが、これが王者のプレイである。

タフネス1のクリーチャーの多い小室のデックに対して、劇的な効果を発揮する《ウォジェクの燃えさし魔道士/Wojek Embermage》を序盤から手札に持っていた大澤であったが、小室がタフネス1のクリーチャーを場に並べるまで手札に温存すると言う、大澤らしい我慢のプレイング。

そして、満を持しての《ウォジェクの燃えさし魔道士》キャスト、光輝発動。もともと場に置かれ、小室を牽制していた《炎の印章》と組合わされ、小室の場は壊滅状態となる。

《ストラトゼッペリド》が強烈なアタックを繰り返す中、《粘体投げの小蛙》と凶悪なシナジーを発揮する《シミックのギルド魔道士/Simic Guildmage》がキャストされると、小室は、自身の持つ逆転の芽が完全に摘まれたことを悟った。

小室、本日二回目の華麗なる投了。

大澤 2-0 小室

ゲーム終了後、後ろで見ていた世界チャンピオンの森 勝洋が大澤に声をかける。

 「プレイングうまいじゃん」

そして続ける。

森 「もう、オレより下手とはいいきれなくなっちゃったな」

それは、森ならではの最大級の賛辞。

大澤はその努力によって、ひとりの天才を下し、ひとりの天才と肩を並べるまでになったのである。

だが、仲間に囲まれる大澤には、いつもとかわらぬ満面の笑みが。

Shu Komuro

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Takuya Osawa

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