Round 7: Amiel Tenenbaum(フランス) vs. Chris Ripple(アメリカ)

更新日 Event Coverage on 2006年 10月 20日

By Yusuke Yoshikawa

Amiel Tenenbaum

Amiel Tenenbaum(アミエル・テネンバウム)。ディープなマジックプレイヤーか、今年の各国選手権のカバレージに注目していた方なら、ご存知かもしれない。

まだGabriel Nassifが新鋭と呼ばれていたころ、チーム「Les Plus Class」でブレイクを果たし、その後もチーム戦・リミテッド戦中心に活躍してきたフランスのプレイヤーである。
それとは別に、2003年のプロツアー・横浜のころ、日本を放浪している謎のフランス人がいて、各地でマジックをして遊んでいるという出来事があった。もちろんそのうちひとりが彼であり、個人的には筆者自身も一時いっしょに遊んでいた1人なのだが、その点で知られる部分もあるのかもしれない。

ここ最近はマジックから離れていたらしく、名前を見かけることもなくなっていたのだが、突如彼の名前が記録に戻ってきたのが今年の初夏。なぜか「ドイツ選手権」に参戦していた彼は、好成績を残し「ドイツ代表」入り。マジックの表舞台に戻ってくることになったのである。

その理由はあるらしいのだが、長くなるので対戦後の部分にて。

そんな彼が、「初日全勝」を賭けた対決に帰ってきた。

対する相手はChris Ripple(アメリカ)。物静かなたたずまいで、プロツアー参加も初めてながら、予選を突破してはるばる日本までやってきた熱意は6連勝という記録に現れている。
彼らのともに白赤中心のデッキとなっている。この色の注目カードのおさらいも含めて、対戦に注目してみよう。

Game 1

Amiel、マリガン。Amiel、華麗にマリガン。5枚を見て「Perfect!」というので見てみたら、土地1枚の初手をキープしていた。

しかし、Rippleも動きが遅く、《菅草スリヴァー/Sedge Sliver》《断骨スリヴァー/Bonesplitter Sliver》もそれぞれ《流動石の媒介者/Flowstone Channeler》《果敢な先兵/Defiant Vanguard》と相打ちになるのみ。

Rippleは《雲を追うケストレル/Cloudchaser Kestrel》で細々と攻撃を続けていくが、地上が《監視スリヴァー/Watcher Sliver》で止まり、攻撃できないで時間が過ぎていく。
クリーチャーがスリヴァーに寄っているAmielは、Rippleの《ヴェンセールのスリヴァー/Venser's Sliver》にちょっと驚いたリアクション。まあ、彼はいつもオーバーアクションというか反応過剰系なのだが。

ただその間、Rippleは《アイケイシアの触れ役/Icatian Crier》で淡々とクリーチャーを増やし、Amielがお願いとばかりに出した《セラの報復者/Serra Avenger》は、先ほど捨てた《絞殺の煤/Strangling Soot》のフラッシュバックで除去。

そして、延々クリーチャーを並べたということは…つまり、《補強/Fortify》の時間なわけだ。

Amiel –0 Ripple –1

Fortify

《補強/Fortify》は、プロプレイヤーの中でも人気が高かったカードである。攻防自在の汎用性に加え、上記のように《アイケイシアの触れ役/Icatian Crier》との分かりやすい決め技が存在する。これからは、このカードが白いドラフトの鍵と見てよいかもしれない。

Game 2

Amielはまたしても、《トリスケラバス/Triskelavus》はあるものの序盤を支えるカードがない初手に困り顔。ライブラリを叩いて気合を入れつつ(?)キープを宣言する。

はじまりはRippleの《モグの戦争司令官/Mogg War Marshal》だが、返しのAmielの《アイケイシアの触れ役/Icatian Crier》を見てエコーを払わず。《炎の刃のアスカーリ/Blazing Blade Askari》のプレイを優先した。

それを見て、Amielは第4ターンに《セラの報復者/Serra Avenger》をプレイし、ここは引かない構えを見せた。

Rippleも《流動石の媒介者/Flowstone Channeler》をプレイ、Amielは《鋸刃の矢/Serrated Arrows》を設置。《流動石の媒介者》はAmielの《アイケイシアの触れ役》を、《鋸刃の矢》は《流動石の媒介者》をそれぞれ除去する交換になった。

Rippleの後続は《アムローの求道者/Amrou Seekers》、さらに《疾風衣の騎兵/Gustcloak Cavalier》が続く。ここで一気に攻め倒したいRippleだが、《疾風衣の騎兵》で《セラの報復者》が寝かされての攻撃に対し、Amielは《一瞬の瞬き/Momentary Blink》で《セラの報復者》を起こし(正確には一度取り除いて再度場に出し)、《アムローの求道者》をブロックして葬ることで対応した。

Momentary Blink

この《一瞬の瞬き/Momentary Blink》は効果こそ地味だが、相手の呪文・効果をかわす以外にも、いわゆる『CIP能力(場に出たときに~する、という効果)』を使いまわすことにも使えるため、観戦記事でも頻出した印象がある。覚えておくことをお勧めしたい。

さて、《セラの報復者》対《炎の刃のアスカーリ》《疾風衣の騎兵》、という構図で戦いが進むかと思われたが、Amielが6マナに到達して《憤怒スリヴァー/Fury Sliver》をプレイしてきた時点で天秤が傾きだす。

コツコツと攻撃していた《セラの報復者》は《疾風衣の騎兵》と相打ちになったが、7マナに到達してついに《トリスケラバス/Triskelavus》。

これが《憤怒スリヴァー》の通り道を作るに至って、勝負は第3ゲームへ。

Amiel –1 Ripple -1

Game 3

同じ白赤でも、軽量速攻のRippleに対し、スリヴァーとカードのパワーで押すAmielと、随分趣の違う両者のデッキなのだが、果たして第3ゲームはどんな展開になるか。

Rippleは《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》で圧縮してから《厚皮のゴブリン/Thick-Skinned Goblin》というスタート。これに続けて《モグの戦争司令官/Mogg War Marshal》を出し、メリットを活かす

対してAmielは《彩色の星/Chromatic Star》から《ヴェク追われの盲信者/Zealot il-Vec》、ちっぽけな1/1に見えるこのクリーチャーが徐々にRippleの戦力を奪っていく。
Rippleも、デッキの《沼/Swamp》を利して《菅草スリヴァー/Sedge Sliver》を出すが、《監視スリヴァー/Watcher Sliver》で止められつつ《ヴェク追われの盲信者》が走り出し、結局のところどうにもならない。

Zealot il-Vec

「シャドー」は、数ある回避能力の中でも対処しにくい部類に入る。《ヴェク追われの盲信者》は見た目こそ3マナ1/1だが、クリーチャーへの直接対処に欠ける白にとって貴重な手段なのである。また、このカードは『レベル』であり、《アムローの偵察兵/Amrou Scout》があればそこから呼び出すことも可能となる。

今回は注目カードが白に偏ったが、面白いカードであることに気づかされた次第だ。

その《ヴェク追われの盲信者》が大威張り、ゴブリン軍団から《流動石の媒介者/Flowstone Channeler》を介して《疾風衣の騎兵/Gustcloak Cavalier》まで除去されては、クリーチャーを出すこともままならないRipple。

一度は《菅草スリヴァー/Sedge Sliver》がブロックされたところに《補強/Fortify》で《監視スリヴァー/Watcher Sliver》を除去しようとするが、これをAmielは《一瞬の瞬き/Momentary Blink》でかわして事なきを得た。

相手の《菅草スリヴァー》などお構いなく、《監視スリヴァー》《監視スリヴァー》《断骨スリヴァー/Bonesplitter Sliver》《ヴェンセールのスリヴァー/Venser's Sliver》と嬉しそうに
並べてビートダウンするAmiel。

それを見ながら、実に悲しそうな顔でカードを片付けだしたRippleであった。

Chris Ripple

Amiel –2 Ripple -1

さて、なぜAmielが「ドイツ選手権」に出場できたかであるが、彼曰く、

「ベルリン(ドイツ)へは仕事で引っ越したんだ。最初はマジックをやる気もなかったけど、たまたまマジックをやる環境が見つかって、やってみたらやっぱり面白くて。それで練習して、ドイツ選手権に参加したんだ」

とのこと。

つまり、彼は一足早く「タイムシフト」して戻ってきたプレイヤーであったのだった。

その彼も、今や7戦全勝、斉藤 友晴とともにトーナメントをリードする立場となる。明日以降の熱戦がまた、楽しみになってきた。

明日の戦いも、要注目だ!

Amiel Tenenbaum defeats Chris Ripple.

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