Round 9: 石丸 健(熊本) vs. 金 民守(神奈川)

更新日 Event Coverage on 2006年 8月 26日

By Yusuke Yoshikawa

石丸 健

当然のことではあるけれど、この日本選手権は「日本の」選手権大会なのである。
日本各地で予選大会が行われ、そこで好成績を残したプレイヤーには旅費を支給され、この日本選手権に招かれる。そうして、この152名の大会は成り立っているのだ。

例を挙げる間もなく、東京・大阪やその周辺のみならず、マジック:ザ・ギャザリングは日本中で楽しまれているのは間違いない。しかし、トーナメントプレイという文脈においては、その条件はずっと厳しくなってしまうのが現状だ。

トッププレイヤーたちを考えてみると、その多くは大都市圏から輩出されており、広島に住む津村 健志であったとしても、練習を行う際には人が集まる東京・大阪に出ることが多いという。

多くの人が集まれば、そこに情報も集まるし、経験のフィードバックも行われ、お互いの熱意に感化されるところも大きくなる。熱意を持って練習を重ねる仲間が現れれば、またそこに新たな情報が生まれる。そうした循環でプレイヤーは成長していくものだが、残念なことに、そもそもの人が少なければこうした循環は起こりえない。そして逆の循環が起こり、地方での衰退が起こってしまうのも、またやむを得ないことかもしれない。

そんな中、石丸 健は地元・熊本でプレイを続け、予選を突破して日本選手権に出場を果たした一人である。

彼は地元のプロツアー予選で度々Top 8に顔を出す常連ではあるが、拠点としている「Fireball熊本店」でのプレイは、多忙なこともあり頻度は週1度ほどにとどまるという。この話から想像するのは、ごく一般的な社会人プレイヤーの姿である。

しかしと続けるのは失礼かもしれないが、ここまでの彼の戦績は堂々の7勝1敗。今や、トーナメントをリードする一人なのである。

それでも仲間との真摯にプレイを重ねれば、このレベルに到達することも夢ではない、ということなのだ。おっと、夢といってしまうには、まだ6ラウンドも残されているが。

このラウンドで立ちはだかるのは、金 民守(神奈川)。リミテッダーとして鳴らす彼の実力もまた折り紙つきだ。

Game 1

先攻の石丸は微妙な初手に顔をしかめるが、第2ターンに《クロヴの悪漢/Krovikan Scoundrel》のドロップ。金も鏡打ちで応える。

《クロヴの悪漢/Krovikan Scoundrel》同士がすれ違いの殴り合いを見せた後、金の方にだけ《霜網の蜘蛛/Frostweb Spider》が現れる。

3マナを立てたまま金の終了フェイズに考え込んだ石丸に、金は「《クロヴの腐敗/Krovikan Rot》ですか?」とひとこと。促されるままに、石丸はこれを《霜網の蜘蛛/Frostweb Spider》にプレイ。

そして自らのターンに《ゾンビの犬ぞり乗り/Zombie Musher》を続けるが、これは金自身の《クロヴの腐敗》によって退けられてしまう。

ドローの芳しくない石丸は、金の《うねる力/Surging Might》を《雪崩し/Skred》で、《ボリアルのケンタウルス/Boreal Centaur》での攻勢を《バルデュヴィアの戦死者/Balduvian Fallen》で阻むのだが、逆に言うと戦力はそれだけ。

そうして金のサイドに《ロノムの大男/Ronom Hulk》が登場。《バルデュヴィアの戦死者》では止められないサイズ、(《無残な収穫/Grim Harvest》で拾った)《ゾンビの犬ぞり乗り》では止められないプロテクション(氷雪)。石丸のライフは12、7、2と瞬時に削り取られてしまう。

何とか《無残な収穫/Grim Harvest》で粘りを見せようとするが、金が順調に《呼び声の鳴動/Sound the Call》《カープルーザンの徘徊者/Karplusan Strider》とクリーチャーを展開してみせると、総攻撃にカードを片付けた石丸だった。

石丸 0-1 金

Game 2

金 民守

金の《ストロームガルドの十字軍/Stromgald Crusader》を石丸が《肉体の饗宴/Feast of Flesh》で退ける立ち上がり。しかし、石丸の《ゴブリンの霧氷走り/Goblin Rimerunner》も金の《肉体の饗宴》で除去され、金の《臆病なグール/Gutless Ghoul》、遅れて《クロヴの悪漢/Krovikan Scoundrel》が殴り始める。

石丸の2枚目の《ゴブリンの霧氷走り》が《臆病なグール》と相打ちになるが、ここで《ロノムの大男/Ronom Hulk》が登場。

しかし、石丸は今度こそ《骨に染む凍え/Chill to the Bone》を持っていて、無事これに対処できた。しかし、《カープルーザンの徘徊者/Karplusan Strider》をプレイする金の形勢はやまない。

カードが出るたびに「強すぎる」を連発する石丸。《ゴブリンの霧氷走り》を《無残な収穫/Grim Harvest》で回収し、《臆病なグール》とこれを場に送る。《カープルーザンの徘徊者》《クロヴの悪漢》の攻撃は一度通して態勢を整える。

しかし、そこに金の追加戦力《恐怖症の幻/Phobian Phantasm》が。

石丸は1枚の手札をちょっと見やる。土地は6枚。ここのドローを見て少し考えたが、石丸はそのままターンを返した。

金は《恐怖症の幻》《カープルーザンの徘徊者》《クロヴの悪漢》で攻撃、ここで石丸はブロック前に今引いた《雪崩し/Skred》を《恐怖症の幻》へ(氷雪パーマネント3枚)。しかしこれにも金は《寸法変更/Resize》で応えた。

痛い交換ではあったが、《カープルーザンの徘徊者》を《臆病なグール》と《ゴブリンの霧氷走り》のダブルブロックで始末(《寸法変更》はリムーヴ)。《恐怖症の幻》と《クロヴの悪漢》から8点のダメージを受け石丸のライフは4となった。

石丸の残る手札は…《レシュラックの伝令/Herald of Leshrac》であった。わずかにドローに力を込めると、7枚目の土地を引き込み、これをプレイ。

これに向かってくる《恐怖症の幻》《クロヴの悪漢》。ここで石丸は《クロヴの悪漢》をブロックで葬ることを選び、ライフは1の瀬戸際。金は《テヴェシュ・ザットの信奉者/Disciple of Tevesh Szat》を追加した。

一度はこれで《レシュラックの伝令》を除去されてしまったのだが、石丸には幸いに、金には残念なことに後続がなく、《無残な収穫/Grim Harvest》で《レシュラックの伝令》が再登場するにいたって、金は黙ってカードを片付けた。

石丸 1-1 金

Game 3

金が《ボリアルのドルイド/Boreal Druid》《ボリアルのケンタウルス/Boreal Centaur》続いて《クロヴの悪漢/Krovikan Scoundrel》というロケットスタート。

押し切られたくない石丸は、《恐怖症の幻/Phobian Phantasm》をブロッカーとして用意。金も、コスト支払いで自滅するまで待つ姿勢で、《呼び声の鳴動/Sound the Call》をプレイして頭数を増やして待つ。

石丸もコストを払いながらの《ゴブリンの霧氷走り/Goblin Rimerunner》2連打で場を作りにいくのだが、ここに現れたのは《テヴェシュ・ザットの信奉者/Disciple of Tevesh Szat》。そして石丸のお得意、「強すぎるー」のつぶやき。

仕方なく石丸が《臆病なグール/Gutless Ghoul》を出してフルタップの返し、金は考えに沈む。攻撃陣は《クロヴの悪漢》《ボリアルのケンタウルス》、2/2狼トークンと《ボリアルのドルイド》である。しかし、ここは攻撃せず、《クロヴの悪漢》の2枚目を出すに留まった。

石丸は4回目の《恐怖症の幻》のコスト支払い。しかしここで{B}が尽きてしまった。金も無理せず、《雄オーロクス/Bull Aurochs》を出すのみでターンを返す。

石丸も《雪崩し/Skred》で《テヴェシュ・ザットの信奉者/Disciple of Tevesh Szat》を除去、盤面の安定を取り戻す。そしてコストの払えない《恐怖症の幻》を《臆病なグール/Gutless Ghoul》でライフにした上で、《無残な収穫/Grim Harvest》から《恐怖症の幻》を回収してプレイと、粘りを見せる。

Herald of Leshrac

しかしここで7マナに到達した金のプレイは…
《レシュラックの伝令/Herald of Leshrac》。そう、こちらにも。

《恐怖症の幻》や《無残な収穫》のコストを払いたい石丸のリソースを切り取りながら、《レシュラックの伝令》が攻めに向かう。

石丸もこのままではジリ貧と悟ったか、《ゴブリンの霧氷走り/Goblin Rimerunner》の能力を《ボリアルのケンタウルス》に使った上で《ゴブリンの霧氷走り》《熱足ナメクジ/Thermopod》《恐怖症の幻》が攻撃。《ゴブリンの霧氷走り》が《クロヴの悪漢》に、《熱足ナメクジ/Thermopod》が2/2狼トークンと《クロヴの悪漢》にブロックされる。

石丸は相打ちになりそうなクリーチャーをマナに変換したりライフに変換したりしつつ、《無残な収穫》を使いまわし《ゴブリンの霧氷走り》回収から復活。

居並ぶ金の軍勢を減らしはした石丸だが、さすがに攻め合いに活路はなく、攻撃を耐えしのぎにいくしかなくなってきた。同時に、残り時間も少なくなってくる。

ドロー内容が土地ばかりでもうダメかと思われた石丸ではあったが、《レシュラックの伝令》の3回目のコスト支払いまで耐え、ギリギリで《恐怖症の幻/Phobian Phantasm》がチャンプブロックしてライフが間に合った。4回目のアップキープは土地3枚しかなく《レシュラックの伝令》がついに退場。石丸はマナを回復し最大の脅威は去った。

この過程で石丸は使いまわした《無残な収穫》を失うが、2枚目の《無残な収穫》を引き込み、これと《臆病なグール/Gutless Ghoul》で耐えに耐える。

しかし、金の手に《寸法変更/Resize》は入ってからというもの、どんなに小さいクリーチャーであっても相打ち以上に取られ、石丸は防戦一方になってしまう。彼の言葉を借りれば、「《さまようもの/Wandering Ones》であっても苦しい。」

しかし、《無残な収穫》が頑張った。金の《雄オーロクス/Bull Aurochs》《ストロームガルドの十字軍/Stromgald Crusader》を《恐怖症の幻》のブロックで耐え抜いてみせた石丸は、追加第4ターンに《肉体の饗宴/Feast of Flesh》を引き当てたことで、絶望的なゲームを引き分けにまで持ち込んだのだった。

石丸 1-1-1 金

痛恨の引き分けか、殊勲の引き分けか。どちらになるかは終わってみるまでわからないが、この勝ち点1は意味を何らかの意味を持ってくるだろう。

Result: Draw Game

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