This is the "Solution"!:
チーム 三原/板東/山本のデッキ構築

更新日 Event Coverage on 2013年 11月 22日

By 金子 真実

 その時、TwitterのMTG界隈に激震が走った。

「この環境のコツが分かった!」

 その一言を見ていたMTGプレイヤーは驚いたことだろう。

 それもそのはず、このツイートの日時は10月27日。誰もが頭を悩ませるチームリミテッドにおいていち早くこんなツイートをしてみせたのは、"英知"板東潤一郎だ。

 多くのプレイヤーがまだ十分な練習ができていない中、彼はいち早く環境のセオリーを理解してしまった。

 そしてそれを裏付けるかのように、練習の大会後には「セオリー通りで勝てた」と呟いている。実際彼のチームの成績は2回の大会出場で1位、2位という輝かしい成績だ。

 そして、彼のチームメイトたち。

 "魔王"三原慎仁。

 "イケメン"山本賢太郎。

 つい先日のプロツアー「テーロス」でトップ8に入ったのも記憶に新しい、押しも押されぬトッププレイヤーの2人だ。波に乗っている2人の圧倒的なパフォーマンスと、「この環境のセオリーを理解した」という板東。


英知feat.魔王軍

 圧倒的ではないか、魔王軍は。

 そんな圧倒的なパワーチームのデッキ構築を観ていこう。

Deck Construction

 とてつもないスピードだった。時間が無いわけではない。たっぷりと60分ある。しかしこれが練習をしたプロプレイヤー達の標準的なスピードなのだろう。3人をフィーチャー席に連れてくると、彼らは無言で作業に入った。

 まずはカードを色ごとに仕分けプレイに値するカードをピックアップする3人。当然の手順とでもいうようにあっという間にこの作業を終えた。ここからは色の組み合わせの検証だ。強力で枚数もあるメインカラーとして使えそうな白と赤に対して、枚数が少なくパワーの弱い青と黒をどのように組みわせていくか検討していく。いつも軽口を飛ばし合う三原や板東も、この時ばかりは真剣だ。

 ぱっと目につくのは《威名の英雄》や《鍛冶の神、パーフォロス》、《嵐の息吹のドラゴン》《霧裂きのハイドラ》といった強力なレアたち。《アナックスとサイミーディ》も含め白と赤には十分な戦力とカードの量がある。

対して黒は環境の象徴ともいうべき《アスフォデルの灰色商人》が1枚も無く、枚数にも不安がある。青もまた3枚の《航海の終わり》や《海神の復讐》こそあるもののカードの枚数が少ない。

 この確認までに7分程度。あっという間に共通認識を作りあげた。

 そしてこれから作り上げる3つのデッキを検討していく。

 《威名の英雄》《天馬の乗り手》2枚、さらには《恩寵の重装歩兵》《密集軍の指揮者》までも控える強力な「英雄的」ラインナップで白を中心とした「英雄的」デッキでひとつ。

 《鍛冶の神、パーフォロス》《嵐の息吹のドラゴン》を中心とした赤のデッキをひとつ。

 そこそこの質のクリーチャーを揃えた緑を中心としたデッキがひとつ。

 作るべき3つのデッキの骨格は出来上がった。

 ここまで約10分。そう、たったの10分である。こんなことは当たり前だ、当然のセオリーだとでもいうように彼らは次のステップに入る。

 ここからは補色の組み合わせの検証に入る。《アクロスの重装歩兵》《アナックスとサイミーディ》を考えると「英雄的」デッキに赤を足したいが、赤をメインとしたデッキから何をもらうのか。

 メインカラーとなった赤と緑に対して、黒と青どちらを組み合わせるのか。

 デッキの骨格が出来るまでは多くはなかった会話も、ここからは活発になっていく。

「緑のデッキには10枚前後のカードが必要だ」「赤のカードと組み合わせるには黒のカードは防御的すぎる」「緑は多色も可能だけれどもどうするのか?」「英雄的デッキはあと4枚程度でカードが足りる」 めまぐるしい情報交換が行われる。情報が行き交っても処理できるのがプロプレイヤーだ。

 そして、以下の3つのデッキの原型が出来上がった。

  • 白タッチ赤「英雄的」
  • 赤青「バウンスビートダウン」
  • 緑黒「コントロール」

 担当デッキもあっという間に決まる。これも彼らの中で「決まっていること」なのだろう。選択肢の多い「緑黒コントロール」を三原が。「英雄的」デッキが嫌いな板東が「赤青バウンスビートダウン」を。そしてエースデッキである「英雄的」デッキを山本が。ほとんど言葉をかわすことなく彼らは担当デッキを決めた。

 ここまで15分。一般的にデッキを作るまでの工程を、規定時間のたった1/4で終わらせた。

 そして彼らは、これから本当の「デッキ構築」に入る。

 数枚のカードの選択。例えば《マグマの噴流》はどちらのデッキにあるべきか。《ドラゴンのマントル》は「英雄的」として使うか、赤の濃い赤青デッキで使うか。緑黒には他の色を、例えば《捕海》などをタッチするのか。

 どの色を濃くし、どの色を薄くするのか。土地のバランスは10:7が適切なのか、11:6なのか。

 どのカードはどのデッキのサイドボードに置いておくのが適切なのか。

 先ほどまでは認識の共有と確認作業。本当にデッキを組むのはここからだと言わんばかりに、自分のデッキを、仲間のデッキを強くする方法を提案していく。

 ここからがまさに「デッキ構築」、クリエイティブな時間だ。

 どのような提案にも価値がある。「デッキを強くする」、ひいては「勝つ」という目標に対して3人がまっすぐ向かう。誰も相手の意見を即座に否定したりはしない。ノーだと思うことには理由を話す。これが、これでこそチーム。

 もちろん合間に笑顔は忘れない。

 板東は自身が素人であることをアピールしながら「《解消》は素人には打てない」と切り捨てた。

 三原は「このデッキ入れたいカード一杯ありすぎて困る!」と色々なカードを並べていく。

 採用される意見、採用されない意見。

「《はじけるトリトン》よりもはじけそう」と《メレティスのほら吹き》に夢を見たがる板東、《前兆語り》を指しながら「さすがに前兆は語らないとダメかな?」などとも語り始めるが、そこは冷静な山本と三原が諌めていく。板東の知るセオリーとは何なのか。

 かと思いきや、2枚ある《ドラゴンのマントル》のうち1枚は白赤でも良いのではないかと提案し、結果的に白赤の《マグマの噴流》と交換するなどネタもネタ以外にも積極的だ。さすがに環境のセオリーを識っている男は違う。

 そして彼らはデッキに納得し、リストに記入を始めた。

 ここで残り時間30分。規定は60分。そう、彼らに必要な時間は規定時間の半分だった。

 記入しながら少しずつ意見交換しつつ、間違いがないことを再三確認していく。それぞれが最低2回の確認をし、間違いないと言える状態にしていく。

 そして彼らは、3つのデッキを完成させた。

白赤「英雄的」
赤青「バウンスビートダウン」
緑黒「コントロール」

Let's Play!!

 兎にも角にもそのスピード感に圧倒された。無駄な時間を極力減らしたその構築スタイルは洗練されたプロ達の技だ。無駄な時間を減らしつつもコミュニケーションはしっかり取り、冗談混じりに色々な提案をしては検討を重ねていく。「勝つ」という明確な目的が共有できてこその技。そこに無駄なことは何一つなく、これが、これこそが「チーム」なのだろう。

 出来上がった3つのデッキは十分に満足のいくものだったようだ。三原にこのパックの強さを訊いてみたところ、「80点、平均よりは強い。」という力強い言葉をもらえた。強力なチームに強力なデッキ。彼らの活躍に期待したい。

 最後に、板東が発見したというセオリーを教えてもらおう。

 この環境必勝のそのセオリーとは。

板東「強い人と組む。これが環境のセオリーです。この環境は強い人環境。というかマジック自体が強い人環境。」

 なるほど、これは真理だ。

三原 槙仁

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板東 潤一郎

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山本 賢太郎

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