Benjamin Niedrig にとって、ニースで過ごしたこの週末の出来事は驚きと歓びに満ち満ちたものとなった。そう、人口わずか 4000 人ほどという規模のスイスの静かな街で暮らす 21 歳の若者にとって、今大会がプロツアー初体験だったのだ。普段、彼はどのようにしてマジックとつきあっているのだろうか?
「僕の対戦相手はもっぱら二人の兄弟か、親友の Mario Steger ですね。ちなみに、Mario もこの PT ニースに参加してますよ」
Niedrig は第四版(4th Edition)の頃からマジックをプレイしはじめたそうだが、トーナメントに参加するようになったのはここ数年でのことらしい。彼はスイス国内の大きな大会やヨーロッパ各地で開催されるグランプリサーキットに参戦している。彼のこれまでの主だった戦績は、GP カンヌ(Team Limited)での 10 位入賞、GP コロンでの 23 位入賞、そして昨年度スイス選手権での Top 8 入賞といったものがある。
Magic Online はやはり彼の PT ニースのための練習として大いに役立ったようだが、練習のため...というよりは純粋に面白かったから、だそうだ。
「Online ではかなりの数をこなしましたけど、実際のパックをあけてドラフトをした回数は数えるくらいかな。正直、プロツアーのためだからといって特別な特訓などはしませんでしたね」
彼はもっぱらリミテッド専門らしく、構築フォーマットを楽しむ ことはほとんどないそうだ。
「構築よりもずっとリミテッドのほうが面白いですね。性分が怠け者だからかもしれませんが、ビッグイベントにむけてプレイテストを繰り返すようなことは好きじゃないかな。それに、構築戦をプレイしているときは対戦相手のセットしてきたランドで相手のデッキの内容がわかっちゃいますよね? でも、リミテッドだったらそんなことはないし、常に(経験したことのない)真新しい状況と直面する楽しみがあります。構築戦で起こるのは、過去の追体験ばっかりですからね。」
そんな Niedrig のドラフト戦略は、とにかく柔軟に物事に対処していくこと、だそうだ。
「個人的に黒いデッキが好きですが、着席前から『決め打ち』したりはしません。《恐ろしい死/Ghastly Demise》や《グレイブディガー/Gravedigger》をとれたならそれにこしたことはないですけどね。でも、だからといって特定の色の組み合わせを毛嫌いしたりはしていません。どんな色の組み合わせだって構いませんよ。」
Niedrig は今晩ぐっすりと休んで、明日の決勝に備えるだけだ。自分の理論が実戦で十分に通用するのだという手ごたえをつかんだ彼は、最終日における大快挙(訳注:ツアー初参加での初優勝)にむけて鼻息も荒い。
「僕は十分今回の成績に満足していますよ。なんだってできるもんだなって、ちょっと自信はもてましたね。何はともあれ、プロツアーでプレイするマジックが最高だってことはよくわかったので、これからもできる限り参戦したいですね」