Eivind Nitter は安堵と満足とをたたえた表情を作った。彼は Ed Fear をスイス最終戦で破り、とうとう念願の Pro Tour Top 8 入賞を果たしたのだ。23 歳の欧州王者にとって、今回の Top 8 入賞は予想外の出来事だった。
「いつも、どこかしらで躓いてしまうという負けグセ...というか勝ちきれないところがあっただけに、大きく自信を取り戻せたような感じだね」と、Nitter は言う。
いつも小洒落た服装とアクセサリーでのコーディネイトが売り物(ブリュッセルでの世界選手権で披露した『手錠』とか!!)のノルウェーのパンク野郎。そんな彼がマジックプレイヤーとして大きく存在をアピールしたのは 2001 年の欧州選手権に優勝したことだった。しかし、彼にもプロツアーにおける結果だけが不足していた。初日突破は難なくやってのけるのだが、二日目にどうしても勝ちきれなかった。
「今回、Top 48 に残れなかったら Gravy Train から脱落するところだったんだよね。そのときはそのとき、マジックもここまでかな...と覚悟していたところでのことだからさ...なんかすごいよね」と Eivind は語る。彼はマジックに専念するために学業を一年間中断しており、マネードラフト三昧というマジック漬けの日々を送っているところだった。最低週 3 回のブースタードラフトに毎日のマネードラフトの繰り返しが、彼にフォーマットの何たるかを叩き込んだ。
このニースを勝ち抜くために、彼は青白をドラフトしようと心に決めていた。「もっとも安定したデッキが青白で、状況を確実にコントロールできるからね」と彼は言う。そんな彼は、このトーナメントの先頭集団を牽引していたわけではなく、むしろ、かなり厳しいポジションから二日目をスタートしたものだった。そして、その「勝ちきれなかった」二日目に今度こそ素晴らしい結果を残してみせたわけだ。Eivind は青白ベースに《秘教の処罰者/Mystic Enforcer》のために緑を、そして《ラクァタスのチャンピオン/Laquatus's Champion》のために黒をタッチしたデッキを構築した。そのデッキが二日目のファーストドラフトで 4-0 というパーフェクトスコアをもたらし、彼にセカンドドラフト 2-1 での決勝進出という希望をあたえた。そして 1-1 で迎えた最終戦に Ed Fear の強力な赤黒デッキとマッチアップされ、これをまさに執念でもぎとってみせたのだった。
「正直なところ、最終戦を勝てるとは思っていなかった。しかし、緒戦をギリギリのところでトップデッキした《ティーロ大隊長/Major Teroh》に救われたことでツキがむいたんじゃないかな。Ed が事故ったところでオレはゴッドドローを連発したんだよね...」と、彼は望外の幸運に感謝しきりだった。
今や、Nitter はプレイオフへとたしかに駒を進めた。
「ここまでは長かったね。もう、勝ちきれないスランプモードにはもどりたくないよ」と、彼は微笑む。そうなると、お洒落な彼としてはしたの衣装選びに一苦労だ。
「オレのスーツケースはイロイロはいってるからね(笑)。何着ていこうかな。」と語る彼はカメラをかなり意識していることだろう。
「欧州選手権はテレビカメラまわってたからね。だからオレは被写体として勝てたんじゃないかなってね」と、彼は胸のうちを明かしてくれた。
彼は準々決勝で新鋭の Talim とマッチアップされた。Eivind Nitter はどうやら今回の決勝ラウンドで Kai Budde と対戦したいという強い思いがあるようだ。「日曜日無敗の Budde を倒してみたいよ。それが最大の目標だね」
そして、彼は友人たちと掲げる祝杯のためにも日曜日を闘いぬく決意を新たにした。
「オレとØyvind [Ødegaard] と Lovre [Crnobori] とで約束したんだ。オレらの誰が優勝して、そいつがニースで一番のレストランでたらふく奢ってやるっていう約束をね」